もう一人の勇者 作:大和
再び実力至上主義の教室へ
原作ようこそ実力至上主義の教室へ
「おい、おまえ『ドガッ!!』ぐぺっ!?」
当然、美女美少女を引き連れた俺たちが目立たないわけがなく、しきりにちょっかいを掛けられては問答無用に沈めるという事を既に何度も繰り返していた。
「うぅ、話には聞いていましたが……帝国はやっぱり嫌なところですぅ」
「うん、私もあんまり肌に合わないかな。……ある意味、召喚された場所が王都でよかったよ」
「まぁ、軍事国家じゃからなぁ。軍備が充実しているどころか、住民でさえ、その多くが戦闘者なんじゃ。この程度の粗野な雰囲気は当たり前と言えば当たり前じゃろ。妾も住みたいとは全く思わんがの」
「そうか?結構俺はこっちの方が好きなんだけど。」
俺の意見にみんなが驚くが
「だってさすがに教皇とかに縛られるよりも少しは自由にしたいだろ?」
「……まぁ、確かになぁ。」
すると坂上には共感を得られたのか頷く
「これはこれで国としてはありだろ?特に軍事国家としては強ければ正義弱者は悪。簡単なルールだがその分全員が平等だ。まぁ人間はな。」
俺がそういうと全員が何が言いたいのかわ分かったのだろう
目に入ってしまうそれは亜人族の奴隷達だ。使えるものは何でも使う主義の帝国は奴隷売買が非常に盛んだ。今も、シアが視線を向けている先には値札付きの檻に入れられた亜人族の子供達がおり、シアの表情を曇らせている。
傍らのユエが心配そうにシアの手を握る。ハジメも、シアのほっぺをムニムニと摘んで不器用な気遣いをする。二人の暖かさが手と頬に伝わり、シアのウサミミが嬉しそうにパタパタと動いた。
「……許せないな。同じ人なのに……奴隷なんて」
ハジメ達の後ろを歩いていた光輝が、ギリっと歯噛みする。放って置けば、そのまま突撃でもしそうだ。
ハイリヒ王国は、聖教教会の威光が強く、亜人への差別意識も高い。その分、亜人を奴隷として傍に置くという考え自体が忌避されがちな風習なので、王都で奴隷の亜人を見る機会はなかった。だから余計に心に来るものがあるのだろう。
「そう言えば、雫ちゃんって皇帝陛下に求婚されたよね?」
「……そう言えば、そんな事もあったわね」
「……そうなのか?」
俺は初めて聞くことに少し驚いてしまう
「……まぁ好きな人がいるのでお断りしますって言ったけど。」
「……」
「嬉しそうだな。お前。」
「うるせぇ。さっさと冒険者ギルドに行って情報聞き出すぞ。」
俺は照れ隠しに話を逸らす
「……球児は彼等が捕まっていると考えているの?」
「十中八九な。さっきのハウリア族かなり高いステルス能力を持っていた。だから連絡もつかないとなると捕まっているって考えるのは妥当だろ?まぁ皇帝の性格上拷問はされているけど奴隷や殺されはされてないんじゃないか?あいつかなりの戦闘狂だし俺と性格が似ているからちゃんと認められてじゃないと奴隷にはしないと思うけど。」
「そういえば球児ってあの皇帝と息があったわよね?」
「お前んところのおっさんとそっくりだからな。」
「ちょっと待って。あなた私の家族を毎回なんだと思っているの?」
いや本当に似ているんですよ。ハウリア族も皇帝も。
「捕まっているなら取り返せばいいだけだ。安心しろよ、シア。いざとなれば、俺達が帝都を灰燼にしてでも取り戻してやる」
「ん……任せて、シア」
「ハジメさん、ユエさん……」
「いやいやいや、灰燼にしちゃダメでしょう? 目が笑っていないのだけど、冗談よね? そうなのよね?」
「雫ちゃん、帝都はもう……」
「諦めてる!? 既に諦めてるの、香織!?」
「まぁそれをしないために俺が作戦を考えるんだけどな。」
「……お主も苦労人じゃのう。」
「球児くん。頑張って。」
「応援はいいから手伝ってくれよ。」
そんなことをいいながら歩いていると
「……帝国もやっぱ被害は大きいな。」
「そうだね。」
道中、耳に入ってきた話によれば、コロシアムで決闘用に管理されていた魔物が、突然変異し見たこともない強力かつ巨大な魔物となって暴れだしたらしい。都市の中心分に突如出現した巨大な魔物(体長三十メートルはあったようだ)に対して後手に回った帝国は、いい様に蹂躙されたようだ。魔人族がその機に乗じて一気に皇帝陛下に迫ったらしい。その皇帝陛下自らの出陣で何とか魔物も魔人族も退けたらしいが……街の様子を見る限り代償は大きかったようである。
まぁその労働力の確保のために獣人が使われているってことか
その時、俺達から少し離れたところで犬耳犬尻尾の十歳くらいの少年が瓦礫に躓いて派手に転び、手押し車に乗せていた瓦礫を盛大にぶちまけてしまった。足を打ったのか蹲って痛みに耐えている犬耳少年に、監視役の帝国兵が剣呑な眼差しを向け、こん棒を片手に近寄り始めた。何をする気なのかは明白だ。
そして、それを見て黙っているわけのない正義の味方がここに一人。
「おい! やめっ……」
はぁしゃーなし。
ピンを引き抜き帝国兵の足に躓かせて転倒させる
ゴシャ! と何とも痛々しい音が響き、犬耳少年に迫っていた帝国兵はピクリとも動かなくなった。どうやら気絶してしまったようである。同僚の帝国兵が慌てて駆けつけて、容態を見たあと、呆れた表情で頭を振るとどこかへ運び去っていった。犬耳少年のことは放置である。
犬耳少年は、何が起きたのかわからないといった様子でしばらく呆然としていたが、ハッとした表情で立ち上がると自分が散らかした瓦礫を急いでかき集めて、何事もなかったように手押し車で運搬を再開した
何事もなかったように俺は歩く。ろくにこいつに言っても無駄ってことはわかりきっているしな
「……」
するとハジメパーティーは気づいたようだが俺の考えていることが分かったのか何も言わずついてくる
辿り着いた帝都の冒険者ギルドを開くと
「「「「師匠!!!」」」」
「「「「……えっ?」」」」
すると王都にいた俺の弟子がなぜか帝都の冒険者ギルドに来ていた
「えっ?師匠?」
「いやなんでお前らここにいるの?三日前にお前ら王都にいたよな?」
俺が軽く冷や汗をかきながら聞く
ここから王都までは歩いて二ヶ月はかかる距離で馬でも15日はかかるはずなのだが
「師匠がいるところに私たちありですから。」
「そんなこと聞いてねぇよ。どうやって王都に来たんだって聞いているんだよ!!」
俺が突っ込むとあっといってプリントを差し出してくる
見ると簡潔な地図が書いてあった
「ん。なんだこれ。」
「シアさんの父上が閉じ込められている地下牢の場所です。」
「「「「「「……」」」」」」」」
全員が絶句で声が出ない
「あの、お前らホント何しているの?」
「師匠のやりたいことなんて私たちにはお見通しなんですよ。」
「…そ、そうか。」
もう突っ込むのも馬鹿らしくなり俺はスルーを決め込む。
「それじゃあ僕たちはこれにて。」
といって冒険者ギルドから出て行く弟子たち
「……。」
しばらく俺たちはその場から動けなくなっていた
「……悪い。あまりの弟子の奇行にさすがに戸惑いを隠せなかった。」
俺たちは酒場に来てマスターに情報を求めるために来ているのだが俺の弟子のせいでお通夜モードになっていた。
「あ、あぁ。さすがに俺もあれは驚いたな。」
「どうやって来たのかかなり気になるんですが。」
「冷静に考えたらマジで発狂するから話戻すぞ。んでさっきどこかのバカがテンプレでテンションが高くなってうきうきしながら手にいれた情報だと。」
「……ぐはぁ」
「球児。あんだけ丸わかりで厨二全開だと私も思っていたけどそれでも言わないであげてよ。ハジメくんも左腕が疼く期間があったんだから。」
「ゴフゥ。」
俺とメイの口撃でクリティカルを2度受け一気にHPが減る
「いや、俺そこまで言ってない。」
「ハジメくん!!」
「メイちゃん結構辛辣ね。」
みんなは戦慄を覚えるけど
「……メイ。あんまりキレるなよ。」
「分かってる。でもあんまりいい気持ちになれないでしょ?」
「まぁ女子から見たら奴隷制度ってなしだろうな。まぁマスターから聞いた情報によると多分弟子の情報が認めたくないけど多分本当のことぽいな。牢屋の位置もあっているらしい。一応警邏隊の第四隊にネディルという男がいるらしいから情報収集をハジメ頼めるか?」
「まぁ妥当な人選だな。ああ。詳しい場所を聞いて、今晩にでも侵入するつもりだ。今から、俺とユエで情報を仕入れてくるから、お前等は適当な場所で飯でも食っててくれ。二、三時間で戻るからよ」
ハジメの指示に、疑問顔を向けるシア達。
「? どうして二人だけなんですか? ……ハッ!? まさか、ユエさんとしっぽりねっとりする気ですか!? いつもみたいに! いつもみたいにっ!!」
「なっ!? そうなの、ハジメくん!? ダメ、絶対ダメ! こんな状況で何考えてるの!」
「むっ? ユエばかりずるいのぅ~。……のぅ、ご主人様よ。妾も参戦してよいかの?」
「んなわけあるかっ! 往来で何喚き出してんだよ。俺って、どんだけ空気読めない奴だと思われてんだ」
「……もう心折れそう。坂上進行役変わってくれよ。」
「さすがに嫌に決まっているだろ!!」
俺はため息を吐く。日頃服用している頭痛薬を取り出しそれを水で飲み込む。
「……お外でするの?」
「いや、しないから」
「……じゃあ、何処かに入る?」
「いや、場所の問題じゃねぇから。そこから離れてくれ」
「……むぅ、わかった。夜戦に備える」
「その夜戦は、帝城への侵入のことを言ってるんだよな? そういう意味だよな?」
もう本気で疲れて俺はぐったりしてしまう
「お、大人だぁ! 同級生が凄く大人な会話しているよぉ、シズシズ、どうしよう!」
「……やっぱりそういう事してるのね。……でも、香織はまだ? ……どうしましょう? ここは親友として応援すべき? それともまだ早いと諌めるべき?……」
「おい。そこで2人は俺を見る。」
「いや、球児もそういうこと。」
「……したくないと言ったら嘘になるけど。抑えてるな。……というよりもみんながいる前でそういうことできるかよ。」
「私は別にいいけど。」
「「えっ?」」
俺と谷口が驚く
「……私もそういうことは興味あるし。」
すると照れたようにしているシズに少しだけ苦笑してしまう
「シズシズ変わったね。」
「……ちょっと変わりすぎだけどな。」
そしてその後俺はやることがあったのでそっちの仕事に専念することになったのでシズが顔を真っ赤にして谷口がフォローするという珍しいことが起こったのは少し見てみたかった