もう一人の勇者 作:大和
「チッ。」
戦闘が始まって1分くらいが経過したのだが。
トラウムソルジャーに二人だけではさすがに無理があるのか俺とシズは少しずつ後退していく。
「……さすがにきりがないな。」
「えぇ、いくら斬っても本当に嫌っていうほど出てくるわね。」
俺は少し間が空いたのを見過ごさず魔力回復薬を煽る
そして魔剣と呼ばれる俺の剣に魔力を注ぎ込むと
「魔力撃。」
俺は斬撃をトラウムソルジャーに放つ。
魔力の力によって増強された衝撃派はおよそ30体ほどのトライムソルジャーを吹き飛ば俺が声をあげる
「手が空いて奴は俺とシズのフォローに回ってくれ。俺とシズが階段までの道を切り開く。」
俺の声が届いたのかすると少しの生徒はこっちを見る
「前衛職は後衛職のガード上級魔法が使える奴は左サイドをそれ以外は前衛職と俺らを支援してくれ。」
「わ、分かった。」
すると少しずつだが行動を始めていくんだが
「シズあぶねぇ。」
「きゃ」
死角からトライムソルジャーに気づいてなかったシズに対して俺はシズを軽く押し出すとその瞬間肩を鎧越しだが切られ痛みに襲われる。いくら痛覚体制があるものの剣で切られた衝撃は
「キュウジ。」
「大丈夫だ。」
俺は前を向くと回復魔法がちょうど俺のところに降り注ぐ
「……サンキュー。辻。」
「うん。支援は任せて。」
「ごめん。」
「死角からだったから仕方がないさ、支援魔法をかけていたからダメージはそんなにないさ。」
俺は声を出しそして
「ここが正念場だ。気合をいれろ。絶対ここから脱出して生きて帰るぞ。」
「「「「おう。」」」」
と声が響き俺はもう一度魔力を剣に込める
死ぬのが怖いのは当たり前。
俺だって前線に出るのが怖いし、今だって少し怖いけど
「限界突破。」
勇者しか使えない、全てのステータスを3倍にするけど10分もしないうちに動けなくなるがそれでもここで使うしかない
「……魔力撃。」
一振りは広範囲の敵を蹴散らし右サイドの敵を蹴散らす。
「なっ。」
「すげぇ。」
となぎ倒される敵をみて驚き、そして撃ち漏らした敵をシズが機敏に殺していく。
それに連れられ俺たちは攻勢を開始した
「……はぁ、はぁ。」
俺は8分を過ぎたあたり俺は息バテをし始める
やばい。限界突破の効果が切れ始めて来やがった
暑くもないのに俺は汗を大量にかいており、そして目の前のトライムソルジャーをみる
残り数十匹くらいになるのだがそれでもまだ敵の方が多く
そして俺とシズに限ってはかなり限界に近かった
重い体を引き絞って俺は剣を振ると
「坊主。一旦下がれ。」
と頼りになる声が聞こえる
「……遅いっすよ。もう魔力も体力もからっけつだし。」
「あぁ、あとは俺たちに任せろ。そこの嬢ちゃんも今日の主役の一人を負ぶって後退してくれ。」
「えぇ。」
「いや、歩くくらいならなんとか。」
フラフラになった体を俺は持ち直す
「それに俺が離脱したら士気に関わります。俺が指揮を取るので。それに従ってください。」
「……やれるのか?」
「やります。悪いヒールかけてくれ。」
「あっ。うん。天の息吹、満ち満ちて、聖浄と癒しをもたらさん――〝天恵〟」
傷だらけの体と少量の魔力を回復する魔法を白河はかける
「あっちはどうなってますか?」
「今は錬成師の坊主と弓師の嬢ちゃんがベビモスを抑えてくれている。」
「……。」
俺は目を見開く。助けに行きたいのもあるのだが、俺は声を大に叫ぶ。
「いいかラストスパートだ。魔法師は支援、近接攻撃で残りの敵を片付けろ。」
すると俺の声に合わせて近接職が前に出る。そして俺もラスト一撃
「魔力撃。」
右サイドから敵を倒す。そして
「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」
左サイドも天之河のスキルにより、全滅させた。
すると歓声が湧いた瞬間
「あっ。やべ。」
力が抜け完全に俺は動けなくなってしまい倒れこんでしまう
「「球児(坊主)!!」
「いいからさっさとハジメとメイを助けに行って。」
するとざわざわと騒ぎ始めるでも構わずメルド団長に話す
「頼むよ。親友と妹分なんだ。報酬も何もいらないから、あいつらを助けて。」
俺は涙が出そうなのを堪えて声を出す。
あいつらから離れて逃げ場を作らなければ俺たちは死んでいただろう。
それについては後悔も反省もしてない
……でも、あいつらは俺の支えだったんだ
「……そんなの分かっている。嬢ちゃん。」
「言われるもなく」
そして俺を目の前でシズは剣を抜く
多分俺の護衛をしようとしているんだろう
「なんだよあれ、何してんだ?」
「あの魔物、上半身が埋まってる?」
「メイちゃんはバインドで足を封じているの」
「あの坊主と嬢ちゃんがあの化け物を抑えているから撤退できたんだ!後衛組は遠距離魔法準備!前衛組はこの坊主の護衛だ。もうすぐ坊主たちの魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」
メルド団長が指示を出す。すると一斉に動き出すクラスメイト達。
「……ありがとう。また助けてくれて。」
動き始めてすぐにシズはそんなことを言い出す
「別に。耐久が俺の方が高かったからな。俺が受けた方がダメージは少ないしお前が死んだらお前のおやっさんに会う顔がねぇってだけだ。」
「……まぁ、そういうことにしてあげるわ。」
するとクスッと笑い戦況を見始めるシズにつられて反対方向の方を見たときだった
火の魔法が軌道を変えハジメに向かおうとした奴をかばったメイに直撃した
「……えっ?」
メイをかばったせいかもう二発同じ魔法が飛んでいくがハジメがメイ今度は庇いそして地中の中に落ちていく
「……メイ?ハジメ?」
俺はただ呆然と見るだけしかできなかった
力も入らないし動けやしない
そして最後に目に入ったのは
薄気味悪い笑みで笑っているトラップにかけた男子と白崎を抑えるシズの姿だった。