もう一人の勇者 作:大和
「……」
こっちに来て一ヶ月が経とうとしようとした時だった
「ふぅ。この層も懐かしいな。」
「あんた相変わらず呑気ね。」
「まぁ、それが大久保くんだから仕方ないと思うけど。」
と俺たちは勇者パーティーの後ろをちびちびついていた。
というのもさっきまでは俺とシズがメイン前衛として最前線を戦っていたのが原因だろう。
……あれからというものの俺は冒険者ギルドにも所属しており盗賊倒しなどの人殺しも始めている
というのも完全に裏切り者がいるのは当たり前なことであり
いつかは殺さないといけない相手だ
俺たちは最近は王宮のみじゃなく街にもでられてそして訓練にも自由参加なので俺たちは行動範囲が広がっている。
俺は軽くため息を吐きのんびりと進んで行く
ウルはここからはそう遠くはないのだが王都からするとやはり時間がかかるしな
「まぁとりあえず下降りるまでは罠はどうか知らないけど魔力感知と気配感知に反応はねぇよ。」
「……ならいいけど。」
と少し前線に走って行くシズ
「というよりも前の攻略とは違って大久保くん気楽だね。」
「当たり前だ。気が緩みすぎても、逆に緊張しすぎても体は硬直しやすくなりやすい。それがスポーツの基本だからな。ここまで緊張していたら本来の力も出せねぇよ。」
「……あぁ、雫ちゃんのためか。」
「……否定しねぇけど。お前に話したのやっぱ失敗だったかもな。」
「何が!!」
と白崎は驚いているのだが
「……お前もいい具合に緊張とれただろ?」
「……あっ。」
白崎はやっと気づいたそうだ。そしてもう一つ魔力感知に引っかかたものがある
「……次の階層に大きな気配が一つある。個体は違うけど多分同じ魔法陣だ。」
「……それ本当?」
「どうする?」
俺は白崎に聞いてみる
「……戦いたい。あの時の私じゃないことをここで証明したい。」
俺は少し苦笑する
「……ん。まぁこのルートじゃ戦うことになるから準備しとけよ。」
「……どうした?」
「いや、なんでもないですよ。」
俺は笑顔を作る。
「……本当に性格悪いね。」
白崎のジト目に耐えながら俺はただ優等生を演じきっていた。
しばらく進んでいると、大きな広間に出た。
「ここだな。」
「うん?どうしたの。」
「……雫ちゃん構えて。」
広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
天之河が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。
「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」
誰もが驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。
「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」
いざと言う時、確実に逃げられるように、まず退路の確保を優先する指示を出すメルド団長。それに部下が即座に従う。だが、天之河がそれに不満そうに言葉を返した。
「メルドさん。俺達はもうあの時の俺達じゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」
「へっ、その通りだぜ。何時までも負けっぱなしは性に合わねぇ。ここらでリベンジマッチだ!」
も不敵な笑みを浮かべて呼応する。メルド団長はやれやれと肩を竦め、確かに今の光輝達の実力なら大丈夫だろうと、同じく不敵な笑みを浮かべた。
そして、遂に魔法陣が爆発したように輝き、かつての悪夢が再び現れたかのように見えた
「魔力撃」
「グゥガァアアア!!!」
俺は無詠唱で剣に魔力を入れきりつけるとベビモスは叫び声が響きわたる
「おい。大久保。」
「戦いによーいドンも何もない。ただの殺しあいだろ?先手必勝ってな。思い出にふけている暇があるんだったら一発でも多くの攻撃をいれろよ。魔法組詠唱準備」
俺はそうやって後ろポケットから買っておいたピンを取り出しベビモスの目をめがけて投げるとステータスと投擲スキルを覚えているので避ける暇なく
「グゥガァアア。」
「かかってこいや。牛野郎。デコイ。」
と俺は挑発スキルを使いベビモスのタグをとると俺は手を下げる
すると一斉に火の魔法がベビモスを襲う。
俺は魔法組に先にぶっぱなすのをみるとベビモスに接近し
「バーサーク。」
攻撃力増加防御力低下のエンチャントをかけると同時に支援職からのパフが乗っかる
反対側にいるシズと同時攻撃をする。
「「全てを切り裂く至上の一閃 〝絶断〟!」」
その剣技によりベビモスの命は尽きることになった
「……悪い白崎出番なかった。」
「いや、いいよ全然。」
と終わってみたら俺と白崎はクラスメイトが喜んでいる合間に謝る。
多分一番こいつを倒しておきたかったのは白崎だろうし、俺はあんまり手出しを出すつもりはなかったのだが
「珍しく頭に血が上っていたわね。」
「……悪い。先走った。」
シズの指摘に俺は素直に謝る。
「……はぁ、言いたいことはあるけど。怪我は。」
「ねぇよ。魔法の発動も起動も完璧だったし。支援組も支援が完璧に近かったしな。」
「そう。よかった。」
すると笑顔になるシズに俺は顔を背けてしまう
……その(笑顔は)反則だろ
「まぁ、今回は俺が悪い。てかよく俺のスピードに合わせられたよな。お前。」
「あんたステータス全開でやるから合わせるの苦労したわよ。」
というのも今の俺のステータスは
大久保球児 17歳 男 レベル:50
天職 勇者
筋力 600
体力 6000
耐性 2500
敏捷 1500
魔力 600
魔耐 2500
技能 全属性適性・全属性耐性・状態効果無効・物理耐性・魔法耐性・痛覚耐性・魔力操作・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解 体術 投擲 回避 統率 庇う
固有技能 上限突破 真の支配者 天才肌
となっており、明らかに飛び抜けているのが現状だ。
……防御系にもう突っ込んでいたら負けだと思っているけど
てかこの防御力絶対あの人たちのせいだろうな
何回も子供の頃から死にかけていたし
正直今の俺の防御力フルエンチャントしたら10000超えるんですが
まぁ俺はアーティファクトの特性上体力を削っての攻撃が多いから十分ありがたいんだが
なお、このステータスはさすがに見せるわけもいかず、俺は未だに王宮の証明書を使うことが多い。
すると小さな声で何か聞こえたような気がする
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってないわよ。」
気のせいか。そんなことを思っていると
「さてと、ハジメとメイを探しに行くか。」
「そうだね。気配感知は。」
「反応ねぇよ。……人間はだけど。多分モンスターハウスが一つあるな。魔力の塊が一つある。」
「うむ。それならそこを避けて次の階層をマッピングする。案内頼んでいいか?」
「了解です。」
「それじゃあ先に進むぞ。」
といい俺が先頭に立ち歩き始める。
……二人とも頼むから生きていてくれ
そんなことを思わずにはいられなかった