もう一人の勇者 作:大和
66層をマッピングしたあたりで俺たちは一度疲労回復を兼ね王宮へ戻っていた
というのも帝国の使者がどうやらこっちに向かってくるらしくその対応するために戻って今はその報告会の最中なんだけど
「ふぁ〜〜。」
俺はついあくびをしてしまう
「こら球児。なんであくびをするのよ。一応国王と王女様の前なのよ。」
「いやだってあんなの見せられて眠くならない方が無理だろ。」
「……気持ちは分かるけど。」
というのも王宮に呼ばれてから10歳くらいの次期国王とされる奴に猛アプローチを受けている白崎を俺たちはずっと見せられているのをただひたすらに耐えなければならなかった
「……はぁ。野球してぇ。」
「私も、こんなことなら身体動かしたい。」
俺とシズは必死に耐えていると
「ランデル殿下、香織は俺の大切な幼馴染です。俺がいる限り、絶対に守り抜きますよ」
とどこかのバカがそんなことを言い出す。
どうやらランデル陛下の恋心なんてさっぱりで年下の少年を安心させるつもりで善意全開に言ったのだが、この場においては不適切な発言だった。
そして始まるくだらない話に
「やばい。頭が痛い。」
「奇遇ね。私もよ。」
俺とシズはもう限界だった
もうちょっとシズのいうことを素直に聞こうとそう思った矢先だった。
「ランデル。いい加減にしなさい。香織が困っているでしょう? 光輝さんにもご迷惑ですよ」
するとこの国の王女リリアーナがようやく口を挟む
「あ、姉上!? ……し、しかし」
「しかしではありません。皆さんお疲れなのに、こんな場所に引き止めて……相手のことを考えていないのは誰ですか?」
「うっ……で、ですが……」
「ランデル?」
「よ、用事を思い出しました! 失礼します!」
ランデル殿下はどうしても自分の非を認めたくなかったのか、いきなり踵を返し駆けていってしまった。その背を見送りながら、王女リリアーナは溜息を吐く。
なんだろう。あの王女シズと同じタイプの気がする
「はぁ、話していいか?」
俺がそして声を上げる。
「一応報告会だったはずだ。とりあえず成果を発表したいんだけど。」
「えぇ。すいません。時間を取らしてもらって。」
「全く待つ方の気持ちも考えてくれると嬉しいんだけど。天之河も白崎も話をややこしくするな。面倒臭いんだよ。」
「なっ、何を。」
「いいから黙れ。」
俺は軽く殺気をだし、怯ませる
「とりあえず。報告から始めさせてもらう。とりあえず今回進出した階層は66層まで。そして。」
俺はそうやって簡潔に、さらに詳しく説明していく
「とまぁこういうわけだけど、俺の報告に何か違があるやつはいるか?」
俺がそうやって後ろをみると首を振るクラスメイト。
シズのほうを見ると首をふる
「以上。報告終わりっと。」
「ありがとうございます。大久保様。それよりも……改めて、お帰りなさいませ、皆様。無事のご帰還、心から嬉しく思いますわ」
この人はきっと本心から言っているのであろう。
俺も結構話したことがあり、毎回反応が面白いのでからかったり、俺たちがいた世界について白崎とシズと一緒に話したりしているので一番異世界に来て信頼している人と言っていいだろう
「ありがとう、リリィ。君の笑顔で疲れも吹っ飛んだよ。俺も、また君に会えて嬉しいよ」
隣からため息が聞こえる。
「えっ、そ、そうですか? え、えっと」
リリアーナがオロオロし始めると
「えっと、とにかくお疲れ様でした。お食事の準備も、清めの準備もできておりますから、ゆっくりお寛ぎくださいませ。帝国からの使者様が来られるには未だ数日は掛かりますから、お気になさらず」
といい少し赤く染めた頰を隠しながら出ていった
……とりあえず俺ができることは
「愚痴どこで聞けばいい?」
幼馴染の八つ当たりをする場所を提供することだった
なお、日がずれこむまでシズの八つ当たりは続いたのだった