Charlotte Bravely Again(st) 作:天然の未
[From Another Epilogue]
2020/6/11
そうして俺は、マツリがまだアイを名乗っていたときのことと、その間沙良が何をしていたかを知った。2人の記憶を秘密裏に読んで、話の前後も理解した。もっともマツリのことはずっと追いかけていたので、主に知ったことは沙良のことだった。沙良のしてきたこと、沙良が過去に飛んだ理由、何故Zhiendというバンドを作ったのか。
そして、沙良こそが巧の母の下半身不随を治した張本人なのだということも。
茜の父──友利一希さんの大脳を治したのがマツリであることも。
乙坂有宇が過酷な運命を乗り越えて日本に戻ってくると、マツリは間もなく彼の能力を全て奪った。彼女は何やかんやで優しすぎるのだ。他人を犠牲に自由になる可能性は考えつつ、今日までの幾度のチャンスの中で彼女はそれをしなかった。
この周期の『コピー』能力者と『不死』能力者の能力は、先にマツリが奪っていた。乙坂有宇が責務を全うすることを確信していたからだ。そうでないにしても、自分がやればいい。そんな風に彼女は考えていた。
それからしたことは何だっただろうか。
思えば、彗星が出来る瞬間にこの『略奪』の仕組みを作って以来、大きな出来事は1つとして起こっていない。マツリが不老不死になったときにせよ、知っていたから驚きはしなかった。
俺が驚いたのはせいぜい、隼翼さんの能力のせいで2042年までの時間が何百年長引いてしまったことぐらいだった。しかも同じ時間を繰り返すのだから笑えない。
しかしまあやっとのことでそれを抜け出し──残り22年。もう少しの辛抱だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
12/12 6:00 am
俺はまだ、このもやもやの正体に辿り着けずにいた。昨日の出来事のようには思えるのだが......一体、何だ?
心が空っぽのまま、何か大事なことを忘れてしまっている。
誰か、大切な人を忘れてしまっている──。
そんな気がするのだ。
こんこん、とノックの音がして、俺はその音のした方に視線を向けた。まだベッドの中だったが、のっそりと起き上がる。
すぐに入ってきたのは妹の春だった。昨日の記憶が錯誤しているせいで昨日果たして彼女に会ったのかも覚えていなかったが、春はかなり大人っぽくなっていた。
「......兄ちゃん」
「......春」
目を合わせる。
「......おはよう」
春はやや俯き加減で朝の挨拶をしてきた。それで何となく分かったのだが、俺はどうやら今ここで、初めて春と顔を合わせたようだ。実に2年ぶりと言ったところか。
「......あのさ、兄ちゃん」
「ん......何だ?」
高校2年生になった妹はそこにいて、俺をまじまじというかもじもじと見詰めていた。
「......学校送れちゃうから、ご飯食べよう?」
「......そ、そうだな......」
今一理解が追い付いていないのだが......確か、今日からもう学校に行く予定になっていたのだろうか。
春が部屋を退出し、俺はしかしまだしばらくぼーっとしていた。
大切な人を忘れているような気がして。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue]
2025/12/27
若い頃の母や父、幼い自分を見ようとすれば簡単だった。ただ何となく、俺はそれをしなかった。
どうしてかと言われれば──それは、反則なような気がしたから。そもそも時間を遡ること自体がルール違反であるというのに、今更母の姿をこの目で見たいとは思わなかった。そういう意味で俺はとっくに母の死を乗り越えていた。勿論、春も。
俺はまだマツリを追っていた。Zhiendを解散したその日、沙良──サラの元から姿を消したマツリを、その完全上位互換である俺は察知されずに追いかけ続けていた。
一体、どんな気持ちで今までを生きてきたのか。それが気になったからだった。
とは言え、そんなことは彼女を観察せずとも、心を読まずとも分かることだった。
今の俺が感じている気持ちこそが、彼女の気持ちなのだから。
隼翼さんのリープを合わせると、合計で1000年ぐらいだろうか──それだけの時間を1人で生きてきた俺は、マツリの気持ちがよく分かる。
残り17年。あと、少し。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
12/13 noon
今日、電話で父さんと話した。留学についてをいくつか聞かれたものの、俺は本当は留学などしていないので答えるのには結構戸惑った。
用件はそれだけではなかったようで、どうやら父さんがうちに引っ越してくることを俺に伝えるための電話だったようだ。俺はそれなりに驚いたが、やっぱり嬉しかった。もしかしたら俺が『略奪』を続けていた間にも、春と父さんは仲を深めていたのかも知れないな。そう思うと、不思議と嬉しくなっていたのだ。
ではその略奪はどうして始めたのかと言えば。
確か『略奪』能力をいつの間にかコピーしていて、世界が大変な状況にあったからだったような気がするが──。
もっと複雑な仕組みがあったような気がしてならない。俺は頭を抱える。
ふと、昨日の夕方のことが過った。
引っ越しの作業をしている途中。
俺は、茜に──。
「......ああもう!」
複雑な感情が多すぎる。そもそも俺は茜に抱きついて泣きまくっていたが、よくよく考えればその理由も分からない。どうして泣いていたのか、全く理解できないのだ。
分からないから泣いていた?
何が。
──この心に空いた大きな穴の正体が──分からなくて泣いていたと言うのか。
ならば俺はどうすれば良い?
......それも、分からない。
とても大切なことだったはずなのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue-[t]]
2038/9/7
俺は例によって相似世界──ではなく、マツリの言うt世界に巻き込まれた。マツリの言っていた通りt世界が『崩界』した後、tとsの分岐点──すなわち、沙良が2周目を始めた地点から始まるのだろう。俺が『コピー/略奪』能力者だから。
この経験は二度目なので、あまり驚きはしない。一度目はマツリが不老不死になったときの周期で、彗星を作った"彼"によって引き起こされた分岐だ。きっと今度も、あのときと同じくこちらの世界が崩れる瞬間を目の当たりにさせられるのだろう。そんな予感はしていた。
しかしその前に、沙良の姉の
この辺りの用意は周到で、マツリは隼翼さんと乙坂有宇の記憶を
ちなみに俺と沙良も
何とも上手く出来ている。
とまあそんなこんなでまた2042年が遠退いてしまったわけだが......今の俺は対してそんなことを気には留めなかった。ひょっとしたら時間感覚がおかしくなっているのかも知れない。
何にせよ、慣れてきたというところはある。
残り、数百年だろうか。
何年にしても、あと少しであることには変わりない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
3/15 10:20 am
俺と茜は2人でいつぞやのお好み焼き屋に来ていた。
「いらっしゃあい」
どこか気だるげな店長の声が届く。
「えっと......じゃあ僕は広島焼きで」
「はいよぉ」
「私はモダン焼きをお願いします」
「はいよぉ」
注文を一通り聞くとすぐに、店長は奥へと消えていった。
「......璃玖くん、元気してますかね」
ぽつりと茜は呟く。この店に来たせいで彼の存在が頭を過ったのだろう。俺はそれで思い出した。
「ああ、それなんだが......」
「?」
茜に視線を向ける。
「最後に日本の能力を奪っただろ? 実はそこで『幸運』能力も奪ってさ」
「え......それって」
「あいつの能力だよ。お姉さんと仲良くやってた」
「......!」
すると茜はびっくりしたように目を見開いた。とは言え勿論、今の俺が『幸運』能力を持っているわけではない。略奪を終えて帰ってきたその日に能力は消えていたのだから。そう考えると、かなりギリギリだったのだろう。間に合って良かった。
「良かった......」
茜は胸を撫で下ろす。我が子を想う母、という感じだ。ならば俺は父だろうか。いや待て、何を言ってるんだ俺は。小学生男子の妄想みたいなことを考えてしまっていた。
しばらくしてモダン焼きと広島焼きがやってきた。今回は焼いてもらうことにしたので、既に出来上がったものがこちらに届いた。
「いただきます......」
「いただきます」
だいぶ普段通りの生活に慣れてきた今日。どういうわけか高3までの学習内容がしっかりと頭に入ってしまっていたので、受験も何とか乗り越えられた。不思議だ。
「巧、受かってるといいな」
「え?」
もぐもぐとモダン焼きを食べながらこちらに目をやる茜。
「大学。......あいつが俺より勉強できるようになるなんて思ってなかったから驚いたよ」
「ああ......それはでも、夕輝くんはずっといなかったわけですから、むしろ星ノ海大に推薦とは言え合格できたのは凄いことですよ」
「......そうかもな」
茜はそう言って俺を讃えるが、何となく実感が湧かない。勉強した覚えのないことを知っていて、それで合格した......みたいな、そんな気持ちだったから。
「大学も夕輝くんと同じでよかったです。それから、雪も」
「......ああ、そうだな」
しかしそんな風に言われてしまうと、もやもやより照れが勝ってしまった。茜恐るべし。
「......で、その......夕輝くん」
と、そんなことを考えているとふと茜が何かもじもじしながら上目遣いをしてきた。これが何を表すか知っていながらも俺はドキドキしてしまう。心拍数がカンスト。
「広島焼き、一口下さい」
「......はぁ」
全く、茜はつくづく畏れ多い方だ。健全な男子のハートを上目遣いで射止めつつ食べ物をねだるとは。もうちょっと食い意地を抑えたってバチは当たらないぞ。
「相変わらず食いしん坊だな」
「......夕輝くんにしか頼みませんよ」
前言撤回。そのままでいて下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue-[s]]
2041/1/7
t世界は俺の目の前でやはり崩壊してしまった。辛いことではあるが、それは世界の仕組みであって、変えられないことだ。
俺は今、自分を見ていた。今日から略奪能力を使って世界中の能力を奪おうという自分を、である。
思えば色々なことがあった。茜の父さんのこともあったし、彗星が落ちたことも、世界線がおかしくなったこともあった。そして俺はとうとう旅立とうとしている。
まさかこの後、自分が2年では済まない長い時間を生き続けなければならないとは思ってもいない。実際に俺がそうだったんだから間違いない。
しかし、じゃあああして俺が旅立とうとしていたときも、俺は俺に見られていたということだろうか。そう思うとぞっとする。自分だから良いが。
マツリは最後に俺に忠告した。
私の能力を奪ったとき、あなたが略奪の責務を終えたことが神に伝わる。だから最後に奪え、と。
何ともひねくれた理論だが──俺は不思議に思った。
このときは、マツリはまだ俺に自分の能力を奪わせるつもりだったのだろうか。それとも迷っていたのだろうか。
ごく稀にマツリの心を読んだりはできるものの、気付かれてしまう可能性が高いので今は能力を使うことができない。
彼女は一体、何を考えているのだろうか。
俺には──彼女の寂しそうな背中しか見えなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
4/2 11:40 am
今日は皆でバーベキューをしようということで、雪の旧家......というか別荘に来ていた。物凄くでかい別荘で、庭がとにかく広い。何億とかしそうなレベル。ス○夫の家みたいな。
雪のお母さんは優しそうな人だった。ちょっと話してみたのだが、最近雪が生徒会の友達の話をしていて母親としては嬉しいとのことだった。今のはかなり噛み砕いたが、本当に嬉しそうに話していた。
今は準備中。バーベキューのための色々様々を用意し、俺と巧は木炭を割るという仕事をしていた。これがなかなか大変だ。
「......巧、ちょっとこの木炭と一緒に飛び下りて来てくれないか?」
「できるかっ! 俺はとっくに不死じゃないんだよ!」
「ああ、そうか」
「絶対分かってただろ!」
流石巧、今日もツッコミはキレッキレだ。
「......良かったな、大学受かってて」
「......おう。帰ってきたばっかのお前に追い越されないように必死で勉強した甲斐があったぜ」
と言って力こぶを作る動作をするが、恐らくそれだけではないのだろう。きっと、俺がいなかった間も熱心に勉強を続けた結果なのだと俺は思った。
ひょっとしたら、俺を驚かせようとしていたのかも知れない──それは考えすぎか。
「お、割れた」
必死に硬い地面に打ち付けていると、ようやく木炭は割れた。しかしまあこれでも大きいので更に割らなければならない。
「......よし、じゃあその辺のちっちゃくなったやつは持ってってくれ」
「おうよ!」
巧の清々しい声を鼓膜で感じ、俺はまた日常に戻ってきたのだと改めて深く実感する。
けれど。
──どうしても、この心に空いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue]
2042/the day
エントランスから俺が出てくる。
「......マツリ」
本当に、全部演技だったのか?
俺はそんなことを考えていた。そしてマツリはと言うと──そんな俺を見て、お人好しだ、なんて思っていた。
今思えばだが、お人好しはそっちの方だ。
俺はマツリを叱ってやりたくなった。
それから俺は俺に関わった人間の記憶を全て消したことなどを話す。
「......夕輝、本当に良かったのか......?」
なんてスライまるの言葉は、実は演技だ。例えばスライまるの体が紫色になっていることに気付いていれば、俺はこうはならなかっただろうか。
いや、そうだったとしても。
マツリが救われる方法を俺は取ろうとしたはずだ。
ちょうど、マツリが俺に対して同じようなことをしたように。
そして、そのときはとうとう訪れる。
「はぁ......音永夕輝、あなたは本当に馬鹿です。救いようのない真のお人好しですね」
来た。この言葉だ。
「......しかしまあ、私にそんなことを言う権利はありませんか」
「......え?」
あそこにいる俺は反射的に聞き返す。何とも間抜けな感じだ。マツリの真意にはこれっぽっちも気付いていなかった。
「つまりですね」
マツリは平静を装うように軽く言う。
今の俺には、彼女の心拍数まで分かると言うのに。
「......私も、あなたと同じ、ということです」
「ん? それってどういう──」
対して何も知らないこっちの音永夕輝は、そのまま──マツリに『略奪』能力で乗り移られる。
──かと思いきや。
思っていた通りのことが起きる。
そう──俺が消えたのだ。
そこにいたのは、いかにも非現実的なスライムであるスライまると、意識を失い倒れた1人のマツリだけ。
俺はこの場に──あるいはこの時代にはもういない。
──5秒。
「......何が」
マツリはすぐに意識を取り戻す。
彼女はすぐに異変に気付いた。
自分が乗り移ったはずなのに、自分が意識を失っていたのだから驚くだろう。
それより先に俺に乗り移られたのか、彼女はそう考えた。そうでなければ、自分が能力を失っていることに説明がつかないと思ったのだろう。
彼女は普通の人間に戻っていたのだ。
ちゃんと歳を重ねる、普通の16歳に。
けれど、顔を振り上げてようやく気付く。
「............え?」
俺がいない、ということに。
そろそろだろうか。俺は空中から地面に下りた。
「何で......?」
「お、おい......夕輝が消えたぞ......? マツリ!」
混乱のさなか、スライまるもそのことに驚愕していた。
「私は......確かに乗り移ったはずなのに......」
マツリの能力が消え、俺が消えた。
スライまるは消えない。
「......一体、何が」
とマツリが呟いた瞬間にも、既に俺は彼女の後ろで透明化を解除。
──ようやく。
ようやく、ネタばらしの時間がやってきた。
「って、え!?」
スライまるは突如その場に現れた俺に驚く。一体どこに行っていたんだ、とでも言いたげだった。
そして──俺はすぐに、戸惑ったままのマツリの肩を叩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
now, the time
日が射す正午の広い庭。この豪邸には桜まで立っているから恐ろしいが、そんな桜が風に吹かれて散っていくのを見ると、何だか切なく思えた。それらは巧たちが焼き肉をしている方へ向かう。
「......匂いに吸い寄せられたんですかね」
「......え?」
隣の茜の顔を覗き込んで数秒固まった後、盛大に吹き出した。
「ちょ、何で笑うんですか」
「いや......そんなこと考えるの......茜ぐらいだぞ」
「そうですか? 皆考えますよね?」
「考えないだろ」
「ええー?」
訝しそうに俺を睨み付ける茜。それから思い立ったように、
「じゃあ、雪たちに聞いてきますね」
「へ?」
「琴羽~! 雪~!」
駆け足でまたあちらに走っていってしまった。茜は茜らしいな、と思う。
間もなく、あちらから笑い声が聞こえた。
美味しい匂いがやってくる。
晴れ。
あそこには、茜が、皆がいる。
この幸せが、誰かがくれたものならば、俺はその幸せを十分享受しなければならないだろう。
きっともう、彼女には会えないけれど。
けれど俺は、彼女のくれた人生をちゃんと幸せに生きてみようと思う。
──彼女は、結局誰だったのだっけ。
「夕輝くん! お肉冷めちゃいますよ!」
茜が名を呼び、俺は歩き出した。
そして、いい匂いのする方へ進む。
1歩、2歩、3歩を踏み締めたところだっただろうか。
それは突然のことだった。
どうしても消えない胸の穴を埋めるように。
あるいは別のものを埋めんとする謎の力によってとうとう──
──
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue]
now, the time
俺が肩を叩くと、マツリは驚いたようにこちらを振り向いた。そして俺を見て絶句する。
「......音永......夕輝? 一体、何が」
信じられない、という風にマツリは口を開きっぱなしにして、俺を虚ろな目で見ていた。
「......マツリ......やっと会えた」
俺はようやく到達したこの瞬間に、どうしようもない程の歓喜を覚えた。長い間、マツリから身を隠し、ずっと堪え忍んでいた俺はとうとうここまで辿り着いたのだ。
安心して、マツリの目をじっと見詰める。この恐れるような、愕然としたように揺れる瞳を。
──
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今思えば──本当に、とんだ笑い話だと。
そう思える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[エピローグ より]
on the time
突如、頭を刺すような痛みが襲った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[From Another Epilogue]
on the time
突如、頭を刺すような痛みが襲った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[=????? =?????]
痛い。頭が痛い。
俺はずっと頭を押さえ、そして目を閉じていた。
がんがんと何かが脳を叩いているような痛み。
そしてその痛みは止まないまま数秒、数分、あるいは数時間、数日? 時間感覚が圧倒的におかしくなっていることは分かったが、やっとのことで目を開くと──
──俺は知らないどこかにいた。
そして流される。流されている。物凄い勢いの波に飲まれて流されている。
「何だっ......これ......っ!」
叫んだつもりが、声がない。
喉もない。
体もそこには存在しない。目を開いていたつもりが目もないし、痛いはずの頭もない。
一体、何が起きている?
俺はこの場所を知らない。概念を知らない。
違う、俺は何も知らない?
知らない。全てを知っている。
そして、その瞬間。
それらが混ざってしまった。
──
気付けば、その問いを解くのに俺は必死になっていた。
俺は誰か。
俺は誰か。
俺は誰か。
俺は──そうだ、略奪能力を終え、父さんと電話をし、茜とお好み焼き屋に行って、先程まで巧と共に木炭を割っていて、茜と桜を見ていた音永夕輝──嘘だ。
違う。
違う。
違う。
そんなことはあり得ない。俺は彗星が生まれるより前に遡り、『略奪』の仕組みを作り、マツリをずっと見守り、1000年もの時を1人で過ごし続けた最強能力者の音永夕輝で──。
ああ駄目だ違う。
俺は──そうだ。マツリの瞳を見詰めていたら、激しい頭痛に襲われたのだ。そして今ここにいる?
いや待て、マツリとは誰だ。そんな人間は知らない──俺はこの胸に空いた穴を──。
宇宙、みたいだった。
俺は今、真っ暗で真っ白な空間をただ高速で──光の速さで流されていた。
頭が痛い。痛い痛い痛い。
脳内に情報が流れ込んでくるのだ。まるで無限の真空に膨大な空気が流れ込むように、その奔流に俺は流されていた。
何も分からない。見えていて、見えていない。聴こえていて、聴こえていない。
先に光が見えた。小さな光だ。そしてその光は同時に見えていなかった。
混ざる。全てが混ざり、あるべき姿に形を変えていく。
ここはどこだ。
ここから早く抜け出さなければ。
あの光に向かって俺は流され続け、そして膨大な情報に脳を侵食されていた。
不老不死の略奪能力者、音永夕輝。
能力を持たない、元・略奪能力者、音永夕輝。
どっちだ。
マツリはどこへ行った。
スライまるは。
待て、マツリとは誰だ。
スライまるなんていない。あれはフィクションのキャラクターだ。
痛い。
俺はそれでも流され続け──光が徐々に近付いていく。
あそこは出口だ。ここから抜け出す道だ。
もうすぐ。あと1秒。あと1億年。
瞬間。無限。
その光の環を────俺は抜けた。
そして、俺はそのときようやく全てを理解してしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[Z-End]
目を開けると──そこは、白柳雪の旧家の庭だった。
「これは......?」
俺は目を見開く。目の前で桜が舞っているのだ。茜の言っていた通り、肉の匂いに吸い寄せられたように、そして川の清流に流されるように綺麗に進んでいく。
そんな中で、混乱しつつも俺の意識は──たった1人の人間にのみ、向いていた。
「────マツリ」
俺はマツリを
一度忘れたはずの彼女を。
「マツリ!」
叫んで、辺りを見回した。前、後ろ、左──
──右。右隣にマツリがいた。
「──音永夕輝......」
彼女は驚いたように目を見開いている。
「これは......一体......?」
「マツリ......マツリ!」
俺は、もう殆ど本能的に、反射的に、気付けばマツリを抱き締めていた。と言うよりは、抱き留めていたという方が正しい。
だって、彼女は一度俺のもとから消えたのだから。
すぐに自分のしでかしたことに気付く。何をしている俺は。マツリに突き放され、罵声を浴びせられる──とそう思っていると。
瞬間、へなへなとマツリはその場に崩れていった。
「マツリ............?」
「............」
このとき、俺はこの瞬間に知った、そして知らない、同時に元々知っていた2つの記憶を辿る。
──全く違う、2つの記憶のこと。
最強能力者だった、1000年を生きた音永夕輝の記憶と、自分を救ってくれた誰かを探していた音永夕輝の記憶。
そしてその誰かが──マツリであったということを思い出した。
「......!」
そしてその直後、すぐに俺は気付く。
能力が、ない。
能力が消え去っている。
元々なかった。何故ならマツリに奪われたからだ。けれど、確かに能力はあったのだ。
「まさか......」
「私の能力が......消えている......?」
ふとマツリか驚いたように溢した。
「え──」
その瞬間、俺は思考停止する。
今、彼女は何と言っただろうか。
明らかに矛盾したことを言いはしなかっただろうか。
マツリの能力まで消えている、と......。
どうして。
「能力は......確かにあって......けれど音永夕輝の能力を奪おうとしたときに消えて......2つの記憶......? あの奔流は一体......」
「まさか......」
俺の脳内を、ある考えが過る。
もしやマツリにも、今俺が体感していたのと同じことが起きていたのではないか?
「能力が消えてるって......マツリ、本当か......?」
「......あり得ません。......どうして、能力は消えるはずないのに......何故? 今の体験と関係して......」
マツリは依然、何も分かっていない様子だ。そして俺にも何も分からなかった。
途切れかけの思考をどうにか巡らす。今の体験は思ったよりも体に負荷をかけ、俺は結構やられていたがそれでも考えた。
能力が──消えている。
それは、俺とマツリの
マツリの言う通り、あり得ないことだった。何故なら略奪能力を使わずして能力を奪うことなど──奪う?
違う、消えているのだ。
マツリと俺の能力が両方消えている?
「マツリ......本当に、能力はない......のか?」
再度尋ねる。俺はこの真相に近付きつつある自分に気付いていた。
「本当です......!」
彼女はこれまでない程に大きな声で叫んだ。
「本当です......間違えるわけないじゃないですか......消えてるんです。能力の気配がないどころか......能力の気配を察知するしないが今の私にはできない......能力がない、から......」
「......!」
俺はそのとき──考えられないような大きな可能性に気付いた。まさか。
まさか、そんなわけはないよな。
いや、けれどそれ以外に何も、この状況を説明できるだけの仮説がないのだ。
俺とマツリの能力が消えている──ならば。
もしや、と思い俺はマツリの虚ろなままの目を見詰める。彼女は呆然としていた。まだ起こったことが信じられないみたいな顔をしていた。
「なあ......マツリ......!」
膝から崩れた彼女の両肩に手のひらを起き、俺は彼女に──1つの可能性を伝える。
それは、あり得るはずのない可能性。
けれど、そうでなければ説明のできない可能性。
「もしかして......」
大きく息を吸って、口にする。
「──呪いが終わった、とかじゃ......ないよな?」
「────」
マツリは再度、目を見開く。ただし、俺のことを見てはいない。ただ、空を見詰めているだけだった。
「......」
それもそうだろう。
それは、あり得ないはずのことだった。
「そんな、馬鹿なことが......あるわけ......」
「......」
今、俺とマツリには2つの記憶があった。
知っている記憶と知らない記憶。
知らない記憶と知っている記憶。
2つの未来の記憶。
そして、ここは──。
「夕輝くんー! マツリさんー! お肉冷めちゃいますよー!」
ふと、誰かが叫んだ。そしてその声の主に俺は心当たりがある。すぐにそちらを見ると──茜が大きく手を振っていた。
それだけではない。
巧に雪、松山、春、怜くんに──琴羽さんたち。
俺はその情報を整理する。
今はバーベキューの途中。
少なくともそいうことに
そして、その茜の言葉──まるで、マツリがいることが当然であるかのような言い種。
もしやこの世界は俺の、あるいはマツリの知るどちらの世界
と一瞬は考えて、すぐにこの記憶のことに気付く。
──それも違った。
そして俺は──記憶が混同というよりは、どちらもクリアに存在していることと──あの痛みと共に感じた流れる体感を通して、全く逆の結論に辿り着く。
記憶だけが混ざったんじゃない。
俺とマツリだけが、2つから1つになったわけじゃない。
この世界はもしや──どちらの世界でも、
「世界が混ざった......?」
マツリが横でそう呟く。それは俺の直感と全く同じものだった。そして更にマツリの言葉がそのことを俺に間違いないと思わせもした。マツリは続ける。
「私は......あの流れの中で、あなたの記憶を見ました。......私が何も知らないあなたを見ている間もずっと、あなたは私を見ていた......んですね......?」
「......! そうだ......! その通りだ!」
かなり慌てながらも、俺はマツリに何とか答える。
「あなたは略奪能力の仕組みを作り......そして、やがてあなたが消えたと同時に現れました......そのときの私は能力を......失っていました」
マツリは淡々と事実を、知っていることを連ねる。
「ですが......私は確かにあなたの能力を奪い、あなたが能力者でなくなった未来も知っていました......この場所で、友利茜たちとバーベキューをしていることを......知っていました。私は永遠に生き続けることになるはずだったのに......どうして?」
「......!」
俺は、マツリの言っていたことを思い出す。
俺たちの、人類の運命を決めてしまう存在である"神"。そして彗星がある理由のこと。
もしそれらが今に関係しているなら、考えられる可能性はただ1つ──。
──本当に、呪いが終わったのではないか──?
「マツリ......なあ、やっぱり......!」
「どうして......」
俺はそのことを伝えようとしたが──間もなくそれは遮られた。
俺がそれをする前に、彼女の瞳から一粒の感情が溢れ落ちたからだった。
「え............」
俺は言葉を失った。
それはその艶やかな頬を伝う。
見たことのない表情。
マツリの、涙。
「どうして......あり得ません......あり得ない......」
もう片方の瞳からも、同じものが零れる。
マツリが泣いている?
夕輝は一瞬遅れてそのことに気付いた。
マツリが、泣いているのだ。
まるで絶大な恐怖がその場から去った後に残る、恐怖の形と──それを埋めるような、途方もない安心感。
その、言ってしまえば異常な光景は──俺にそのことを教えてくれているようだった。
「どうして......」
ぽろぽろと、彼女の頬を涙が伝っていく。
本当に。
「どうして......そんなことが......あり得ません......」
それはまるで絶望したような表情なのに、俺にはその奥に潜む彼女の感情全てが手に取るように分かった。
戸惑い。
そして、やはり戸惑い。
どこまで言っても、そこに戸惑い以外の感情などないはずなのに、彼女が涙を流しているのは。
本当に。
「混ざるなんて......おかしいです......私はそんなこと知りません......」
彼女は無表情のまま、ぽろぽろとただ一直線に涙を流していく。
間違いない、と確信して思えた。
本当に──呪いが終わったのだ、と。
「どうして......ですか......?」
マツリは、誰にともなくそう尋ねた。それは少なくとも俺に尋ねているわけではなかった。
神に問いかけている、みたいな。
「私は......本当に、呪縛から解放されたんですか......?」
か弱く、小さな震える声。
とても、マツリとは思えない程。
「どうして......」
涙は止まらない。まるで今まで溜めていた分があふれてしまうように、マツリの目からは同じテンポで涙が流れ続けていた。
俺は今だけ神様とやらに変わって、マツリに答える。
「きっと......」
俺は、マツリが既に知っていることを、それは間違いではないんだと言うように、念押しするように言った。
「きっと......1つになったんだ」
「............」
俺はそのことを確信していた。間違いないと言い切る自信があった。理由は簡単だ。
マツリがその可能性を、疑うと同時に信じていたから。
「俺がマツリに救われた世界と、マツリが俺を救おうとして......能力を失った世界。2つの世界が──いま、ひとつになったんだ。お前だって見たんだろ? あの変な感覚を体験したんじゃないのか?」
「そんなの......おかしいじゃないですか......」
しかしながら彼女の声は震えていて、まるで俺の話を聞いている風ではなかった。
違うと気付いたのはすぐだった。
「どうして............」
そして、俺に言われて実感したように、マツリの涙はまた目尻の方から流れたのだ。
彼女は俺の話を聞いていないわけではなかった。
心の中で整理していたのだ。
そして。
「どうして......っ......」
その整理がついてしまったのか、とうとうその堤防は──決壊した。
「ううっ......」
そうなってしまえばもう止まらなかった。マツリの両目に溜まった涙は、目を閉じ、歯を食い縛り、強く胸を押さえていたマツリの頬をぽろぽろと零れ落ちていく。緑と桜色の背景に、澄んだ水色の空と白い雲が重なる。ちょうど雲が薄く太陽を遮り光は抑えられており、そこに小鳥がさえずる。
マツリの涙が、美しい色であふれていく。
どうして、どうしてと言いつつ、マツリはもうそのことを疑ってすらいなかったようだった。完全に理解していた。
だからこそ泣いているのだろう。
「......マツリ......ほんとによく、頑張った」
「うぅっ......うっ......」
「......怖かったよな」
「ううぅっ!」
マツリは小さく泣く。繊細に鮮明に、彼女の手のひらが彼女の顔を覆う様子が瞳を透過する。
まるで──綺麗な絵、みたいだ。
その姿は、
風が通る。涼しい風は庭の低い草を揺らし、彼女の涙を綿毛のように運んだ。
俺たち2人の髪も揺れる。麦わら帽子がリボンをなびかせて宙を舞う幻想が見えた。マツリは口をきつく結んで、俺の目の前で声なき嗚咽を続けた。
──彼女はとうとう涙を流したのだ。
俺の前で、弱さを見せたのだ。
それは彼女が普通の人間に戻ったという何よりの証拠だった。
「......良かった......」
そうして俺はしばらく、全てのことを忘れてただマツリの髪を撫で続けていた。
奇跡が起きたのだ。
起きるはずのない奇跡を、マツリと俺は起こしたのだ。
運命に、打ち勝ったのだ。
そのことと目の前で涙を流しているマツリのこととで頭が一杯だった俺は。
──間もなく奇襲攻撃を加えてきた悪の魔の手に気付けなかった。
「兄ちゃんの......浮気者──!」
驚く程唐突に、俺にタックルを浴びせてきた人物がいた。そして彼女は俺を存分に吹っ飛ばすと、ア◯パンマンの顔が入れ替わるように、俺のいた場所へと入れ替わる。
何を隠そう、うちのバカ妹、春である。ちなみにこれから高校3年生になろうというところである。
「マツリさんを汚す男は、例え兄ちゃんだったとしても許さない! マツリさん、大丈夫ですか?」
どうやら俺がマツリを撫でていたのを見て、たぶらかしているとか考えたようだ。ジーザス。
そして春はすぐに気付く。
「って、マツリさん! ちょっ、どうして泣いてるんですか......! 兄ちゃん、マツリさんを泣かせたな......!?」
「えっえっ!? ち、違う!」
「その......通りです」
春にあらぬ疑いをかけられ、何とか弁解しようとしているとマツリが横から震えた声を発した。いくら何でも濡れ衣が過ぎる。と、次の瞬間には俺は言えなくなってしまう。
「音永夕輝......最低ですね。友利茜という彼女がいながら私を抱き締めるなんて......」
「「だっ!?」」
俺と春は同時に驚く。と言うか春、そっちは見てなかったのか。
「兄ちゃんそれ、ほんとなの!?」
「ち、違うんだ、春! あれは不可抗力で......」
と、言ってからそのことを後悔しても遅かった。
「......兄ちゃん......」
ぶるぶると震えて春の声が小さくなる。これはかなり怒っている。とその瞬間。
「兄ちゃんの......変態! 茜さん! こんな兄ちゃんとは早く別れて下さい!」
「待ってくれ! これには訳が......! 茜!」
「言い訳無用!」
春は茜の方へ叫ぶと、俺に反論も全くさせずにぷんぷんと茜のもとへ走っていった。ちなみにその茜は何も知らずに肉を食べ続けている。
俺はマツリを睨む。
「......謀ったな」
「......事実ですので」
マツリは目尻に溜まった涙を人差し指で拭うと、悪戯っぽく笑った。
「それより、言い訳してこなくて良いんですか? このままでは最低の二股男に成り下がってしまいますよ」
「ぐっ......!」
マツリに文句を言おうとしたが、確かにそちらの方が最優先事項だ。俺はすぐに肉の匂いのする方へ走る。
そして、5歩程走ったところで少しずつ足を緩め、マツリを振り向いた。
一応、そうする必要があると思っただけで、別に何となくだ。深い意味はない。
「......」
マツリは俺の視線に気付くと、ちょっとだけ目を大きく開いた。
何をしようとしているのか、と訝しむような目で彼女を睨む。すると彼女は手を後ろに回して背筋を伸ばす。
そして、一瞬のうちに彼女は──
──不意を打つように、にひっ、と屈託のない笑みを作った。
「......!」
俺はそれを見ると、今更になってやっと安心してしまい、何だかもう言い訳などどうでもよくなってしまった。それぐらいに奇跡的なことだったのだ。
それは驚くべきことでもあった。
また、澄んだ風が吹く。
そしてそれが伝えてくれているような気がした。
──本当に、終わったんだ。
本当に、乗り越えたんだ、と。
それから何日経っても、何週間経っても何ヶ月経っても能力が再び発言したりはしなかった。マツリは隼翼さんの特別な許可で星ノ海大に通っていた。流石隼翼さん。実は何百年も生きていただけはある。
能力が失われたため消えた、かのように思われていたスライまるは──生きていた。
それと、茜はあれで嫉妬深いたちであるため、誤解を解くのに結構時間がかかった。抱き締めたのは事実だったから余計に、である。5ヶ月間ぐらいは引きずられた記憶がある。
とは言え。
これにて一件落着、ってところだろう。
つまり、これで星ノ海学園生徒会とその仲間たちによる物語はおしまいだ。
もう能力者を追いかけることも、おかしな世界に迷い込むことも、世界中を旅することも、不老不死になることもない。
──けれどこの物語は、これからもきっと続いていくのだろう。
皆が、茜や春や──マツリが、そこにいる限り。
「おとうさん、おかあさん、わたし、おおきくなったら......とうめいにんげんになれるかなあ!」
大切な存在が、そこにいる限り。
~Charlotte Zhiend~
最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。これにて本二次創作は完結です。
この後10時、ちょっとした解説を投稿したいと思います。