Charlotte Bravely Again(st)   作:天然の未

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 サブタイトルというか何と言うかの通り、解説と後書きです。


解説と後書き

 まずは読者の皆様、ここまでCharlotte Bravely Again(st)をご愛読頂きありがとうございました。5年前のアニメの二次創作であったにも拘わらず、沢山の方々に読んで頂けて幸いです。

 

 

 さて、それではここからは物語の根底に触れる解説をしていくので、まだ読んでいない方にはガッツリネタバレになってしまいます。ご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、まず始めにタイトルについて。

 

 

 Charlotte Bravely Again(st) というタイトルは英語的には文法の滅茶苦茶なタイトルです。そもそもCharlotteは人名、Bravelyは副詞、Againは副詞でAgainstは前置詞です。では何故、ただでさえそういうのを気にしやすい性格の僕がこんなタイトルを自ら許したのかと言うと。

 

 

 それは、どうせだから略称をCBAにしたい、CはCharlotteだし、AはAgain(st)にしたいし(この後話します)、BはやっぱりBravely Youから取ってBravelyが良いかな、そもそもBravely Youもちょっと文法変な感じするし(勇敢に、君?)良いかな、という感じだったわけです。

 

 

 つまるところ、原作愛が行きすぎた作者の暴走。タイトル見て『あーこの作者頭悪そうだな』とか思われてしまったらそれはそれで仕方ないな、とか思いつつ。

 

 

 では、何故Again(st)にこだわったかと言うと。

 

 

 そうなんです、"Charlotte Bravely"まで来ていれば、動詞入れたりすれば勝ちなんです。Aから始まる動詞にsを付けるか過去形にするかすれば勝ちなんです。ですが僕は敢えてそれらのチャンスを押しきって、Again(st)にしました。では何故か。

 

 

 それには、本作の世界の仕組みが関係していました。

 

 

 要は、こうです。

 

 

    Again

 世界<      t

    Against<

          s

 

 

 Againstのtとsがそれぞれt世界とs世界を表しており、世界がマツリの周期の『略奪』少年によって分岐して出来たのがAgainとAginst、更にAgainが崩壊し、残ったAgainstが分岐して出来たのがsとtだったわけですね。この言葉遊びというかそういうものをしたかったがために、Again(st)にしたというわけです。Charlotte Done Edition(s)の(s)は、()の中からtが消えていることからt世界の消失(崩壊)を示していたんですね。

 

 

 

 

 

 プロローグの[t]とか[s]とか[Again]とかは、ここはその世界の話をしているよ、という印だったんです。

 

 

 そして時折出てきたこれ↓

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 こいつは世界線が入れ替わるよっていう合図でした。第五話に出てきたこいつはお察しの通り、t世界からs世界へ移行するためのサインでした。ちなみにsはsole(唯一の)、similar(似通った)、などの意味を持ちます。本編で語る程でもないな、と思ったためこちらに持ってきました。

 

 

 さて、では最後のお話"Charlotte Z-End"は何だったのか、という話になります。ですがこれも簡単なことで、要は2つのエピローグがくっついたわけですね。ただし、2つのエピローグ同士では──お気付きでしょうか、世界の仕組みごと、全く違いました。

 

 

 夕輝は一度サイコメトリーの能力でスライまるに残った記録を見たことがありました。スライまるは彗星を吸収したわけですから、それは同時に彗星の記録を見たことにもなります。

 

 

 そしてそこには2人の少年がいて、片方は夕輝自身だった。そしてもう片方はこの場合彗星を作った人物(以下"彼"とします)になります。

 

 

 [エピローグ]ではどうだったかというと、夕輝の能力を奪おうとしたマツリはそれに普通に成功しました。つまりサイコメトリーに出てきた2人は、彗星を作った"彼"と、『スライまるを作った』夕輝ということになります。そしてコピー能力者同士が交わったとき、奪われようとした方が能力を全て背負わされて過去に戻るなんて仕組みはありません。何より、彗星に人類を救うための『略奪』の仕組みがあったのは、紛れもなくマツリが言った通り"彼"に人を想う心が残っていたから、ということになります。

 

 

 対して[Another Epilogue]では、マツリは夕輝の能力を略奪できず、例によって夕輝は過去に飛んでしまいました。そしてそこで、彗星を"彼"が作っている現場を目撃します。このとき"彼"は完全に人を恨んでおり、だから夕輝は自らの使命──『略奪』の仕組みを作ること──をした、と。

 

 

 この場合、サイコメトリーで見た2人の人物は彗星を作った"彼"と、『彗星に別の仕組みを追加した』夕輝ということになってしまいます。要は何から何までまるで違う。

 

 

 ですが──これこそが、この作品の大きなポイントでした。

 

 

 つまりは、[エピローグ]の世界と[Another Epilogue]の世界という仕組みの違う全く別の2つの世界が融合しなければ、完全なハッピーエンドは迎えられなかったわけです。夕輝が助かった世界とマツリが助かった世界。その2つが合わさってこそ、ハッピーエンドが得られ──これは少し某Key作品っぽい部分を持ち合わせていますね。

 

 

 世界が出来上がった瞬間から、あるいはその前から、[Again]や[s]やなんていう小さな分岐の起こるずっと前から世界は[エピローグ]の世界と[Another Epilogue]の2つに分かれていたわけです。そして最後に融合し、1つになりました。

 

 

 この辺りは分からなくても本編に支障はないので説明するのも野暮なようにも思えますが、敢えてここで話させて頂きました。

 

 

 ご都合主義すぎないか、と思う方は、本編の中で時折出てきた説明のつかない存在"神"のことを、原作者である麻枝准様や僕に置き換えて考えてみて下さい。そうすれば、バタフライエフェクトがあるにも拘わらず巧のお父さんお母さんが事故に遭ってしまっていたことにも説明がつきます。やや強引ですが、彼は『不死』能力者にはならなければならなかった、ということを考えればギリギリセーフでしょう。そう信じたい。

 

 

 そしてなにより、麻枝准様が"神"であると考えれば、この二次創作の問題提起に対して答えることができます。つまり、何故彗星が存在するのか。

 

 

 ──『麻枝准が創ったから』。

 

 

 すべてはここに帰属します。存在の環だのなんだの以前に、彼が彗星、ひいてはCharlotteという作品を創ったからこそキャラクターたちは存在し得るし、物語は生まれ、物語となりました。僕は彼の足元にも及びませんが、二次創作では同じような役割を果たしたと言っても言いかも知れません。

 

 

 いや別に自分を神だと思ってるとか『だーまえが神! 全部だーまえが決める! そうしよう!』みたいなことではないのでその辺りは誤解しないで......ほしいなぁ......。

 

 

 さて、ではもう少し野暮ったい説明をしていきます。まずCDE最終幕のタイトルにあった~who=pix~ですが、このpixというのはスマホのローマ字打ちじゃない方のキーボードで"マツリ"と打ったものをそのままローマ字のキーボードで打つと出てくる語であって、分かりづらいのであれば"まつり"で変換してみて下さい。スマホのキーボードなら出てきます。ピクセルとか関係ないです。

 

 

 続いて歩未の能力について。

 

 

 大事です。滅茶苦茶大事です。

 

 

 実はCBA第六話で能力は欲望故にあると言いましたし、これはCharlotteファンの中でも結構能力発症原因の最有力候補となっていました。

 

 

 ですが、それではどうしても、歩未のことだけは説明できないと思いました。あんな健気で可愛い歩未が崩壊なんて望むとは思えなかったんです。

 

 

 ですから、今作品では飽くまで『略奪』能力に付随してどうしても生まれちゃうもの、にしたわけです。そうすれば唯一説明できなかった歩未の能力にも整合性がつきました。ちなみに歩未が小西さんにカッターでやられそうなときの表記は、原作ではなくコミカライズの『助けて! 「お兄ちゃん」!』を採用しました。

 

 

 それと、同じ能力の話をすると『時間跳躍(タイムリープ)』にしても、ちょっと問題がありました。何故ならこのお話の中では、時間を移動する能力は『時間跳躍(タイムリープ)』以外にない、と断言してしまっているのにも拘わらず、原作では大陸系マフィアの協力者が隼翼と『同じような』能力を持っている、ということになっていました。それではちょっと困ります。

 

 

 というわけでこうしました。

 

 

『同じような能力』とは、飽くまで過去を見る能力なんだと。そうすれば原作の話にもこの二次創作にも影響は出てきません。ちなみにこれは比較的どうでもいい話でしたね。

 

 

 CZの三章で店長のことを『ハイテンションすぎた』と説明して『杉田』とかけていたこともどうでもいいことです。はい。

 

 

 それとこれは気になったと思うんですが、僕はおととも(乙坂友利)は二次創作にも出しましたし、一応歩未も名前は出てきていますが、高城とゆさりんを出さなかったんですね。2人のキャラが僕は大好きで、あの微笑ましいやり取りというかまあ友利がいないとちょっと成り立たないところもある会話も大好きです。

 

 

 ですが、それ故に。

 

 

 2人は結構セットなところがあるので、高城を出したら柚咲を出さなければならないし、柚咲を出したら高城も一緒に出さなければならない、と考えていました。

 

 

 しかし、2人を出す以上、2人の関係についてもそこそこ綴らなければならないわけです。しかしファンの皆様の中にはいるでしょう。柚咲と高城には結婚していてほしいと思う方。逆に、あの2人が結婚とかありえないだろという方。僕は中立派です。とにかく、関係性を描くということはそれだけ可能性を壊すということになってしまい、胃が痛くなりそうだったのでやめることにしました。

 

 

 よって2人は作中に出てきていません。2人が好きな方、すみませんでした。きっと今も彼らは、程度こそ分かりませんが仲良くやっています。信じましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて。では最後にCharlotte Zhiendの、沙良やサラに関するお話をしたいと思います。まずはサブタイトルについて。

 

 

 実は当初、サブタイトルは第一章から順に『Starts』『Rest Arts』『Zhiend』にしようと考えていました。こっちの方がまとまりがあっていいな、と思ったからだったのですが......。

 

 

 所見さんが見たら間違いなく、沙良=サラになっちゃいますねこれ。Rest Artsが沙良のバンドで、Zhiendはサラのバンドなんですから。

 

 

 勿論、そもそも僕はそれを隠す気はありませんでした。あるなら名前ぐらい変えます。どちらかと言えば一話の時点で『沙良ってサラじゃね?』『じゃあどうして沙良はサラになったのかなー』って思ってほしかったわけですが、飽くまでそれだけであって、『沙良ってサラ()()()』とはなってほしくなかったんです。可能性は高いけど、もしかしたら......違うかも? みたいなギリギリが良かったんですが、前述のサブタイトルではただのネタバレです。

 

 

 なので、ウォーカー作品をちょっと変えたみたいなタイトルにしてみました。ウォーカー作品は飽くまで小道具ですが、どうせあるならサブタイトルにしちゃえ、と。

 

 

『下衆の扇動』は、ちょっとだけ作中で茜が喋ってくれた『モラトリアムの扇動』の内容に絡めて、クラスメイトたちの虐めを表したサブタイトル。『少女と蜂蜜酒』は同じく『白雪姫と蜂蜜酒』から取ったもので、『少女』は沙良、『蜂蜜酒』は略奪能力になります。沙良が素晴らしい道具に出会ってしまったこと、そしてそれを使って何をしたか、ということを描きました。

 

 

『隠者の日記帳』については作中でサラが語ってくれたため、省略することにします。

 

 

 そしてこれは仕方のないことだったのですが、沙良が虐めを受けた環境や夕輝の巻き込まれるt世界の都合上、沙良は16歳で引きこもっていることになりました。これは原作と最も違う点とも言っていいでしょう。ほのめかしだったが故に断行することができたのですが、原作では明らかに沙良の引きこもりは18歳程のことですし、しかもあれは絶対日本じゃありません。彼女は飲酒をしていましたし、その瓶やジャンクフードなどの文字も全部英語で書かれていました。ですから、僕は麻枝様や浅井大監督の意図とは違うことをしたということです。しかしそれでも舞台を2040年にしたのは、やはり目次でも述べたようにおとともには穏やかに暮らしてほしいと思ったからです。

 

 

 そして今話題に上げた友利なんですが、僕は彼女に謝らなければなりません。

 

 

 だって、彼女の夢は『チンケなカンニング魔なんかではなくZhiendのPVを撮ること』だったんですから。

 

 

 Zhiendは解散し、友利の夢はとうとう叶わなくなってしまいました。ですから僕は今、彼女に謝罪したいと思います。

 

 

 ごめんなさい。これからも誕生日は祝います。

 

 

 ──引くなっ! と、どこからか声が聴こえたような気がします(幻聴)。

 

 

 あとはキャラクターコメンタリーでサラが登場した際(まだ聴いていない方は、是非何かしらの方法で聴いてみて下さい、TSUTAYAとか)、彼女は『ループしている』とか『一度の人生で味わいきれない程エンジョイ』とか言っていましたが、むしろこれは隼翼の能力に巻き込まれたときのことを言っているという解釈で(飽くまで解釈ですが)進めてきました、というところですかね。

 

 

 あと普通に最近知ったのですが、Charlotteは舞台を2015年とするとちょっと曜日的におかしいことになるそうです。まあこの辺りはご愛敬、ということでお願いします。

 

 

 というわけで、この辺りで解説は終了です。

 

 

 意外と短かったですね。

 

 

 それでは最後に今一度、読者の皆様に精一杯の感謝の言葉を述べたいと思います。

 

 

 これまで僕の作品を読んで下さり、本当に、本当にありがとうございました。目標から少し遅れた完結となってしまいましたが、皆様の支えのおかげでこれまでやってくることができました。割合皆様を振り回してしまう作品になっていた気はしますが、果たして良い意味で振り回すことができたでしょうか。もしそうでしたら、嬉しい限りでございます。




 以下は出典、引用、参考文献、参考資料、参考CD、参考楽曲(敬語略)です。

 麻枝准、浅井義之、内山昂輝、佐倉綾音
 TVアニメ『Charlotte』(Key P.A.WORKS アニプレックス KADOKAWA アスキー・メディアワークス TOKYO MX)

 麻枝准、佐倉綾音、内山昂輝
 DVD・Blu-ray『Charlotte』よりキャラクターコメンタリー

 佐倉綾音、内山昂輝、麻倉もも、水島大宙、内田真礼、緑川光
 ラジオCD『Charlotteラジオ ~友利奈緒の生徒会活動日誌~』(ブシロードミュージック)

 麻枝准、池澤真、津留崎優
『Charlotte』(電撃コミックNEXT)

 麻枝准、こもわた遙華
『Charlotte The 4コマ せーしゅんを駆け抜けろ!』(電撃こミックスEX)

 麻枝准、Lia
『Charlotte』オープニング曲『Bravely You』(アニプレックス)

 麻枝准、多田葵
『Charlotte』エンディング曲『灼け落ちない翼』(Key Sounds Label)

 麻枝准、熊木杏里
『Charlotte』第十三話 挿入歌『君の文字』(Aniplex (music))

 麻枝准、光収容、marina
『ZHIEND』1stアルバム『ECHO』(Key Sounds Label)

 麻枝准、内田真礼
『How Low Hello』アルバム『Smells Like Tea,Espresso』(Key Sounds Label)

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