ソードアート・オンライン 〜ユイの願いごと〜   作:ロックン

3 / 14
「 決戦と異変」

わたしの考え不足でした。少しこの層のことを調べればすぐに予測できたことなのに、わたしの情報不足ゆえみなさんを危機にさらすことに……。

いえ、いまはそんなこと考えている場合じゃありません!

わたしの責任ならばわたしができることをしなくては!

わたしはすぐさま自分のAIをサポートのみに向けました。

 

「みなさんすぐにわたしはドラゴンの行動パターンの分析に入ります。みなさんはそれまでヒットアンドアウェイでお願いします!」

 

「了解」「わかったわ!」

短く答えるといっせいにみなさん走りだしました。

そう、いくらパパとリズベットさんが1回このドラゴンを攻略したといえどこの[新アインクラッド]ではどのモンスターもいままでの強さとは比べものにならないほど戦闘力が上がっています。

ましてやボスモンスターとあればそれはもう別次元の強さといっていいでしょう。

 

ドラゴンは急降下した後、再び急上昇すると大きく上を向きました。

 

これは……ブレス攻撃?いくらなんでも速すぎます!?

 

「キリノ字こいつはまさか…。」

 

「パパ!!気をつけてください!ブレスがきます!」

 

「わかってる!だがあまりにもくるのがはやすぎないか?」

わたしもそう思いました。旧アインクラッドではブレス攻撃は大抵ボスモンスターのHPゲージが1本と半分程度減少した後放ってきていたのですが、このドラゴンのHPはまだ1ドットもへっていないのです。

でもモンスターの戦闘能力が格段に上がったこの[新アインクラッド]なら予測できないことではありません。

 

「みなさん左に全速力でステップしてください!あの光はおそらく麻痺属性だと思われます。あたるとスタンでうごけなくなってしまいます。」

 

回避運動の直後にドラゴンの口から電気を纏った光の矢のごとき光線がはなたれ、先程パパがいた場所に存在してはずの氷はあとかたもなく消えていました。

 

「ユイ!まだか!?」

もうすこしあとすこし時間があれば…。

 

「もうすこし…。パパあとすこしです!」

 

ブレスをはなったせいかドラゴンは一瞬ですが動きが硬直しました。パパがそれを見逃すはずがありません。

 

「チャンスだ!全員ソードスキルを!」

わたしが気づかない間に剣を二刀装備していたパパは二刀流突撃技《ダブルサーキュラー》をはなちました。

青く輝きながら目にも止まらぬ速さで突進する姿はまるで流れ星のようです。

あとのみなさんがパパに続いてこれもまた目にも止まらぬ速さの突進技はまるでドラゴンが自らあたっているかのようにあたっていきます。

すると大きな悲鳴とともにドラゴンは高度を落としました。

 

「痛い…。やめて…。」

 

突然の声が響くと同時にわずかな頭痛がわたしをおそいました。その声は幼い男の子の声のように思えました。わたしはあたりを見回しましたが人影はわたしたち以外にはみあたりません。痛みが引くのを待ち再び戦いに全神経を集中させました。

 

ドラゴンが高度を落としたと同時にわたしの分析も完了したのでグッドタイミングです!!

 

「パパ!おわりました!ブレス攻撃のあとは約2秒間のインターバルが存在します。 どうやらあのドラゴンは部位破壊が可能で、羽を破壊することによって戦闘能力が大きく減少、攻撃パターンもブレス攻撃と鉤爪による攻撃のみになるはずです。またドラゴンの巣に落ちてしまうと自力での脱出は不可能と思われます。気をつけてください!」

 

「よし!みんなユイの情報どうりならブレス攻撃のあとがチャンスだ!すべての攻撃を右翼に集中するんだ!

ユイ、ブレスのタイミングはユイにまかせる。」

 

「了解です!」

わたしは頼りにされている。ちゃんと役割を果たさなければ…。

先程の流れだとドラゴンはまた急降下と急上昇を時折おこなうはず。

 

「キャッ!?」

考えていた直後、シリカさんの短い悲鳴が響きました。

一回目の急上昇はシリカさんを狙った尻尾を180度振り回しながらの上昇でした。

まともにくらったシリカさんはレッドまではいかなかったもののHPバーが大きく減少しています。

 

シリカさんのビースト、ピナさんが回復行動をとっているようですが間に合うはずもなく、再びシリカさんを狙い急降下して突進してくるドラゴンをキュィーンという効果音とともに駆け寄ってきたパパとクラインおじさん、ママの三人がかりと受け止められドラゴンは大きく仰け反りました。

すると3人ともこれを予測していたのか

 

「スイッチ!!」と叫び隙間を開けてステップすると隙間から入れ替わるようにリーファさん、リズベットさん、シノンさんがジェット機のような勢いとともに三人ともソードスキルをドラゴンの顔面に直撃させました。

これによりすでにドラゴンのHPは残る2本となりたまらず急上昇しました。

わたしは来た!と確信しました。

 

「みなさん!ドラゴンが上空に上がりきったところでブレス攻撃がくる確立が非常に高いです。」

 

「よし!みんな各自でブレス攻撃を回避、直後に最上位スキルでドラゴンにダメージを与えるんだ!」

 

幸いなことにドラゴンががむしゃらに暴れてくれたおかげで最初は狭かったつうろも今では広場並にひろがっています。これならSAO、ALO 、GGOの中でもトップクラスのプレイヤーのみなさんがよけれないはずはありません!

 

わたしの分析どうりドラゴンはブレスのモーションに入りはじめました。

 

わたしは目を見開きながらドラゴンの動きを凝視しました。

4…3…2…1…

「パパ!ブレス攻撃、きます!!」

わたしが声を張り上げたのと同時にドラゴンの口から鮮やかな白銀のブレスがはなたれました。

みなさんは先程と同じように見事に回避しました。

そして一番最初にドラゴンに向かって行ったのはママです!!

「はあぁぁ」

あれはママの最上位細剣技の一つ、《フラッシング・ペネトレイター》です。

凄まじいほどの衝撃音とともに彗星のようなライトエフェクトを纏った剣先はドラゴンの右翼に貫通しました。

 

「次、シリカちゃん!」

「はい!」

先程まで回復に専念していたシリカさんが復帰し短剣最上位スキル、《エターナル・サイクロン》まるで吹き荒れる周りの風をすべて見方につけたかのような鋭い斬撃が同じように命中すると、クラインおじさん、シノンさん、リーファさんと続けて最上位スキルをヒットさせ、部位破壊が完了したのかドラゴンは地上に叩きつけられたかのように大きな音ともに墜落しました。

そこに待ち構えていたかのようにパパが最後の攻撃を加えようとしています。

「これで終わりだぁぁぁ」

 

パパの最強剣術、二刀流最上位スキル《ジ・イクリプス》驚異の27連撃

 

「もっと、もっともっと速く…!!!」

 

太陽のコロナのように放たれる斬撃はすべてドラゴンの顔面にはいりその技の速さと長さはまるで50連撃はかるく越しているのではないかと思わせるほどです。

左右交互にライトエフェクトを纏った剣を振るい右切り下げ、左切り上げ、右水平切り、左右での突き…これを目にも止まらぬ速さでうちだしているのです。

これはもうスキルを知っているパパ、ママ、わたししかどのような動きをしているのかわからないでしょう。

 

最後の斬撃をなす術もなくただ受けていたドラゴンは最後のかん高い断末魔とともに死散しポリゴンの欠片を撒き散らしました。

 

「嫌だ。まだ消えたくない…。」

 

その瞬間わたしは再び幼い男の子の声が聞こえました。

 

「っ…。あなたは一体!?」

 

わたしの頭に再び違和感を感じます。

しかし、今度の頭痛は先程よりも強く重いものでした。

わたしの頭の中にパパがドラゴンを斬っている姿がうつしだされたことからそれがドラゴンの[こころ]だと気づきました。

 

「パパ、ママ…。」

わたしはなんとかパパとママのところへ歩いていくことに成功しました。

「っ…。こころの叫びが…。ぁぁぁ。」

しかしわたしはそこで再び意識を強大な力によって黒いデータの海に引きずられていきました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私はキリトが二刀流最上位スキル《ジ・イクリプス》をドラゴンにうち終え死散させた瞬間をみて、張り詰めていた緊張がほどけたのを感じへろへろと冷たい氷雪地帯にも関わらず座り込ました。

 

スキル発動後の硬直を解かれ近づいてくるキリトが

「おつかれ!アスナ!」

と声をかけてくるや否やすぐに返事を返す。

「キリト君もおつかれさま!」

などと将利の言葉を交わしているうちに二つの異変は突然に起きた。

 

一つ目はドラゴンが死散した場所から地面が張り裂ける音とともにマンホール程度の大きさの階段が出現したこと。

 

二つ目の異変はユイの様子にあった。

「パパ、ママ…。」

なぜか子供の姿に戻ったユイがおぼつかない様子でこちらに歩みよってくるのでどうしたのか?と尋ねようとすると…。

 

「っ…。こころの叫びが…。ぁぁぁ。」

 

まわりにいた誰もが一斉に声の主を振り返るとそこには子供の姿で立ち膝になっている私と彼の愛娘がいた。

するとあろうことか突然私の目の前で愛娘の姿が崩れ落ちるように倒れたのだ。

 

「ユイちゃん!?」

 

すぐさまキリトと私が駆け寄りユイを抱きとめる。

まわりにいたリズベットやシノンたちは何事かと私とキリト君に説明を求めているが私やキリト君にも状況がまったく飲み込めていないのは言うまでもないだろう…。

 

「アスナ…この状況は…。」

私の最愛の彼が愛娘の崩れ落ちる姿を見て私に目で問いかけてくる。

「うん。そうだね。似てるね……。あの時、旧アインクラッドでの[はじまりの街]でのユイちゃんの様子と…。」

 

そういったとたんにクライン、シリカ、リズベットといった旧アインクラッドを生きた人々は状況を理解したようだった。

彼らはユイに直接会ったことはなかったが私とキリトがユイのはなしを聞かせたことは一度や二度のことではない。

 

一方リーファやシノンは何が何だかさっぱりわからないといった様子でこちらをみてくるが、キリトと相談した後、あとで説明するといいはってお抑えてもらうことにした。

 

私はただひたすら苦しそうな愛娘の顔を見つめた。

 

ユイは…私たちの娘はいまでもまだ苦しんでいるのだろうか?

しかしなにを?

思考を張り巡らせるが答えにたどり着くことはなかった…。




どうも暇人のロックンです。

しばらくはユイ視点とかいっときながら今回最後のほうからアスナへと視点が変更されましたことお詫び申し上げます。
バトルのシーンに関してはド下手だとは思うのですがお許しねがいます笑
今回はボス戦に大量に文字数を使ったためそこまではなしがすすまなかったことも申し訳ありませんでした。
なんだかあやまってばかりですが…笑

次回はユイのその後のはなしや、クエストの方も進展させて行きたいとおもっております
ご感想頂けたら幸いでございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。