頭文字T Toraha Stage   作:タカノ

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そう言えば、バトルギア4ってまだ稼働しているゲーセンあるんですかねぇ?
最近はカーレースゲームも、湾岸、ジャイロ、頭文字くらいしか見なくなったので……。


第五話 インターミッション

 

  「……こんなものか」

 

  俺は手の中にあるメモを片手に一人呟いた。

 

  車を買ってからは、家で必要な物の買出しは俺が行くようにしている。

 

  やはり車なら物も多く積めるし、なにより、俺がこの車に少しでも乗っていたいから……だからだ。

 

  「さて帰るか……ん?」

 

  鍵を開けてドアに手をかけた時、それが視界に入った。

 

  「ちょっと、やめてよ!」

 

  「へへ……そう、ヤガるなって、いいから遊ぼうぜ?」

 

  駐車場の隅で一人の女性と三人の男性が組み合っていた。

 

  お世辞にも良い雰囲気には見えない。

 

  男性の方はどこにでもいるチーマーのようだ。腕が立つ様にも見えない。

 

  おそらくは素人だろう。

 

  女性の方は小柄で可愛らしい人だ。

 

  年は……まだ20にいくかいかない位だろう。

 

  肩口まで切った髪が活動的なイメージに見える。

 

  ……冷静に観察してる場合じゃないな……。

 

  俺は、その四人に近づいた。

 

  「あん? なんだテメエは?」

 

  俺に気がついた一人が、声色を変えて脅しをかけてくる。

 

  「……その人嫌がってるみたいですし、放してあげたらどうですか?」

 

  とたんに三人組が笑い出す。

 

  感じの悪い、人を馬鹿にした笑いだ。

 

  「ハハハ……できるモンなら……やってみやがれよ!」

 

  突然、男の右拳が近づいて来る。

 

  俺は難なくそれをかわすと、軽く徹を込めて相手の腹を打つ。

 

  「ガハッ!」

 

  その一撃で男は地面と口付けする事になった。

 

  「てめぇ……」

 

  今度は二人がかりで攻撃してくるつもりのようだ。

 

 

 

  結果は最初と同じだったのだが……。

 

 

  「大丈夫ですか?」

 

  男三人を警備員に引き渡した後、俺は彼女に声をかけた。

 

  「あ……はい、ありがとうございました」

 

  ぴょこん……といった擬音が似合いそうな勢いで頭を下げる彼女。

 

  「いいえ、当たり前の事をしただけですから」

 

  「そんな、凄い助かりましたよ!」

 

  そう言って再び頭を下げる彼女。

 

  「よかったら近くまで送りましょうか? 俺も今帰る所ですし」

 

  「え……いいんですか?」

 

  「はい、そちらがよければ……えっと……」

 

  俺がなんと呼ぼうか逡巡していると、彼女は「クスッ」と笑い。

 

  「茂木です、茂木なつき。あなたは?」

 

  「あ……高町恭也です」

 

  「じゃあ、高町さんお願いしますね」

 

  「ええ、じゃあ、車で来てるのでこっちへ」

 

  と、俺は彼女……茂木さんを案内する。

 

  「この車です」

 

  「この車……」

 

  ん、どうしたのだろう? なにか思いつめた顔をしてるみたいだが……。

 

  「私、そんなに車って詳しく無いんですけど……もしかして、山とか行って走ったりするんですか?」

 

  「ええ?」

 

  なんだろう? 質問と表情の意味が解らないが……。

 

  「いえ、なんでもないです。ただ、昔の……友達が走り屋だったんで気になっただけです」

 

  そう言った茂木さんの顔は沈んでいた。

 

 

 

  「ただいま……ん?」

 

  茂木さんを近くまで送って(強引にアドレス交換までなぜかされたが)家に帰るとなにやら騒がしい。

 

  どうやら誰か来てるみたいだな。

 

  「あ、おししょーお帰りです♪」

 

  家の中に入る途中で、庭で洗濯物を干していたレンに声をかけられる。

 

  「ああ、レン今誰か来てるのか?」

 

  「あ、はい、忍さんとノエルさんが来てます」

 

  「月村達か……どこに?」

 

  「リビングでみんなでゲームしてはりますよ」

 

  「そうか……解った」

 

  レンにそう言うと、俺は荷物を持ってリビングへ向かった。

 

  リビングでは月村、ノエルさん、晶、美由希、なのはが仲良くゲームをしてるようだった。

 

  「だぁぁぁぁ、また負けたぁぁ!」

 

  晶がコントローラーをほっぽり投げて叫んでいる。

 

  「えへへへ、勝ち♪」

 

  対する美由希が横でVサインをしている。

 

  「あ、高町君、お帰り」

 

  「……おじゃましています」

 

  「お帰り、お兄ちゃん」

 

  ゲームを観戦していた三人がこっちに気付いて声をかけてきた。

 

  「ああ……なにをやってるんだ?」

 

  目の前の画面では、勝者側が画面に写ったままである。

 

  ……そう、一台の車が写っていた。

 

  「ちょっと古いゲームなんだけどバトルギア4って言うゲームで、なんでも実車データを全部計測して、そのデータを使って作られたゲームなんだって……面白そうじゃない?」

 

  月村が俺の疑問に答えてくれる。

 

  「これなら高町君でもみんなとできるでしょ?」

 

  満面の笑みの月村。

 

  ……確かに、これならある程度はできるかもしれないな……。

 

  「これって、駅前ゲーセンにもまだありましたよね? どうせならゲーセンでやりません? ゲーム筐体でやれば負けませんよ」

 

  晶が月村にそう反論している。

 

  ……よっぽど負けが込んでいたみたいだな……。

 

  「いいよ、ゲーセンなら四人対戦もできるしね♪ 高町君も行くでしょ?」

 

  「……まあ、断る理由はないな」

 

  正直、ゲームのコントローラーでやるよりは筐体でやったほうがやりやすいのは事実だ。

 

  「じゃ、みんなでしゅっぱ~つ!」

 

  ……どうでもいいが、なんでそんなにテンションが高いんだ月村?

 

 

 

  と……言うわけで今俺達は駅前のゲーセンにいる。

 

  騒がしい店内を皆で進み、目的のゲームを発見する。

 

  「どう? これならいけそうでしょ?」

 

  月村が筐体を指差し俺に問い掛けてくる。

 

  「サイドブレーキまであるのか……クラッチが無いだけで後はそのままだな」

 

  「でしょ?」

 

  「でも忍さん、今六人いますけどどう分けます?」

 

  「う~ん……ノエルと高町君を抜いた四人でやって、上位二名が対戦でどう?」

 

  晶の問いに答える月村。

 

  「いいですよ! ゲーセンなら忍さんにだって負けないですから!」

 

  「あははは……おてやわらかに……」

 

  「えへへへ、がんばろ!」

 

  「ふふふ……忍ちゃんは手強いわよ~♪」

 

  それぞれが一言言って台に座っていった。

 

  ……美由希が選んだ車は……。

  

  「インテグラDC5。高町様と同じ車種ですが、最新型です。2リッタークラスのエンジンに、全体的に強化されているので、かなりの戦闘力を秘めてます」

 

  「……良く知ってますね……?」

 

  「学習しましたので」

 

  む……忍の車が決まったみたいだな。

 

  「180SX。シルヴィアS13の兄弟車です。ニリッター、ターボ車なので、パワーもまずまずあります。FR車なので、コーナーでどこまで使いこなせるかが決めてになると思います」

 

  「ふむ」

 

  次は……晶か。

 

  「スカイラインGT-R、R34。サーキット最強のマシンで有名です。パワー、トラクションの安定性、など……全てにおいて非のうちどころが無いくらい、凄い車です」

 

  「ちょ……ちょっと晶! 対戦でAランク車は卑怯じゃない!?」

 

  「だって、ランクの話なんてしてないじゃないですか? へへへ、今回は勝たせてもらいますよ!」

 

  晶の発言に、明らかに不満そうな月村。

 

  「決まったよー」

 

  そんな中、雰囲気を変える一言がなのはから発せられる。

 

  ……いいタイミングだ、なのは。

 

  ……って、この車は……?

 

  「……フィットですね……」

 

  さすがにノエルさんも動揺しているようだ。

 

  「えへへへ……かわいいでしょ?」

 

  大丈夫なのか、その車で……。

 

  まあ、本人がいいならそれでいいのだろうが……。

 

  そんな顔をして、画面を見ていると……。

 

  「おにいちゃん、これはゲームなんだから楽しんでやらないとね♪」

 

  ……そうか……そうだな。

 

  俺はなのはの頭をクシャッ、と撫でた。

 

  「はにゃ!?」

 

  「……がんばれよ、なのは」

 

  「うん!」

 

  明るく微笑み返すなのは。

  

  戦いとは言え、これは命をかけた……銃弾が飛び交い、刃が迫る戦場ではない。

 

  楽しむと言う戦い。

 

  それは剣術での実力に迫る同士の試合に似ているのかも知れない。

 

  俺はもう一度なのはの笑顔を見て思う。

 

  この笑顔を守る為に、俺は戦って来たんだな、と。

 

  そんな想いにふけっていた中、レースはスタートを迎えていた。

 

 

 

 

  「やったー! 勝ったよー!」

 

  跳ねるような勢いで喜ぶなのは。

 

  「がーん! ……最後のコーナーで抜かれた……」

 

  「ううう……残念」

 

  「じ……GTRでビリって……」

 

  結果としては、なのは、月村、美由希、晶だった訳だが……。

 

  最初は晶がトップだったが、スピードをコントロールしきれず、何度も壁にぶつかってあっさり月村と美由希に抜かれていた。

 

  途中の複合コーナーで美由希がミスをして月村が前に出たのだが……。

 

  「まさか、あそこでなのはが来るとはな……」

 

  「えへへへ……」

 

  しかし、いつの間にあんなに距離を詰めていたんだ?

 

  俺が考えていると、なのはが。

 

  「簡単だよ、お兄ちゃん」

 

  「ん?」

 

  「パワーがあるから速い! ……て、事はないんだよ?」

 

  「?」

 

  どうゆうことだ?

 

  「えっと……つまりね……」

 

  俺の顔を見て、なのはは少し思案しつつ。

 

  「今やった、低速コーナーが大量にあるコースだと、車によってはパワーバンドに入らないいんだよ?」

 

  「ふむ」

 

  「でも、パワーの無い車だとそれがピッタリはまる事があるの」

 

  「つまり……」

 

  「うん、狙ってこの子を選んだんだよ!」

 

  なるほど……奥が深いな……。

 

  ……待てよ……。

 

  「月村、頼みがある」

 

  「ん……なに」

 

  俺は、まだ隅でのの字を書いている月村に声をかけた。

 

  「セッティングを直して欲しいんだ、頼めるか?」

 

  「う~ん……いいよ。じゃあ、車で家まで帰ろ?」

 

  「解った」

 

  Dのメンバーが来るまで後三日……今まで以上に己を高めなくては……。

 

  この試合……勝つ!

 




なのはの身長で筐体でゲームができるのかは謎です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
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