赤い世界を変えるなら 作:創大
「ねえ、どうして?」
「え?」
僕が突然アスカにそう話しかけたがために、アスカは少しビクッとした。
僕は、アスカに聞きたいことが一つあった。それは、『何故アスカはLCLに還元されなかったのか』ということだ。確かに僕は、綾波と一緒にいるときに他人の存在を望んだ。だけれど、ここには僕とアスカの二人しかいない。他の人がいつかこの赤い海から還元される様子もない。
別にアスカと一緒にいるのが嫌なわけではない。僕がアスカを殺そうとした時には感じなかった何かを、今僕は感じているくらいだ。
でも、理由は知りたい。
ハハッ、僕って本当に自分勝手な奴だ。この前、アスカと一緒にいるのが怖くて殺そうとしたくせに。
「アスカは、何でLCLに還元されなかったんだろうね」
アスカはそんな僕の言葉を聞いて、顔をしかめてこう言った。
「ハァ……。アンタ、覚えてないのね。ホント呆れる」
アスカは僕に、その理由を言ったのか。でも僕にそんな記憶は無かった。
「ごめん……。でも、分からないよ。だって僕達以外の人はいないんだよ」
「あたしから言わせないでよ。ハァ、あんなことアンタに言ったのが悪かったわ……。アンタ鈍感だし、バカだから」
アスカは口ではそうやって強気で言っていたけれど、表情は少し悲しげだった。
「……ごめん、アスカ」
「別に。あたしの口からあんなこと、もう言いたくないから言わないけど。……アンタはさぁ」
そう言ってアスカは口ごもり、
「やっぱり何でもないわ」
と口にした。
「そっか……」
僕とアスカには、距離がある。どう頑張っても、どう仲良くしても、埋まらない距離が。
僕がアスカの事を好きなのかは分からない。でも、あの頃アスカと一緒にいて、正直本気で嫌だと思ったことはなかった。アスカは確かに嫌な奴で、自分勝手だったけれど、僕はそれが気に触ったことはなかったと思う。アスカと一緒にいると、自分の本音が出せた気がする。
でも、僕は、自分がいるだけで人を傷つけることを知った。自分の友達を壊して、アスカの思いも汲み取れず、アスカもおかしくなっていった。
今ここにいるアスカは、今何を思っているのだろう。僕のことを恨んでいるのかな。それとも、心地いいと思ってくれているのかな。
……そんなこと、あるわけないか。僕は何を考えているんだろう。
「ねえ、バカシンジ」
アスカはスッと立ち、僕のことを見下ろしながらこう言った。
「あたし達、これからどうなるのかしらね」
アスカは包帯で巻かれた腕で、目の前の赤い海を指す。
「こんな何もない世界でアンタと二人ぼっちなんて、いや。これなら死んだ方がましよ」
僕はアスカにそう言われて、少し悲しくなった。何でだろう。僕だってこんな世界、嫌なのに。なんなら死んでも良いってのに。
「うん……。僕も、こんな世界で生きていたくないよ」
僕がアスカの方を向いてそう言った瞬間、目の前が眩しい光に包まれた。
「な、何よ!?」
アスカは手で目を覆い、うずくまった。
「うっ……」
僕もあまりの明るさに目が眩む。この世界は、太陽が出なかったからなのか、目が光に慣れない。
僕が目をギュッと瞑ると、段々と光の強さが弱くなっていった。
「なんなんだよ……」
僕がそう呟き、ふと赤い海の方を見ると、遠くに人の影があった。目を凝らさないと見えないが、確かに誰かいる。
「ねえ!アスカ、あそこに人が見えるよ!」
僕はアスカの体を揺さぶり、赤い海の方を指しながらそう言う。アスカは驚いたように顔をあげ、僕が指し示した場所を目を凝らして見た。
しばらくすると、アスカはゆっくりと
「……ホントだ……」
と呟いた。
ここからでは、遠くてよく見えないけれど、確かにいるのだ。人が。
「誰かしらね……」
なかなか話が進まなくてすみません……。これからも頑張って投稿していきたいです!
ちなみにアスカがLCLに還元されなかったのは『アスカはシンジと一つになるのが嫌だった』からです。アスカの「アンタがあたしのものにならないなら、あたし何もいらない」という言葉から読み取れるように、アスカはシンジの事が好きだった。だけれど、一つになればシンジとアスカの境界線はなくなってしまいます。だからアスカはシンジと一つになりたくなかったのでしょう……。(他サイトの記事も参考にしつつ、私自身で勝手に想像しました……間違っていたらすみません)