リリカルな聖王少女の御話   作:ざる蕎麦

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二個目

まさか、本当に待ち構えていたとは、吃驚でした。

お陰で今まで何処に言ってたんだ?見たいな事を散々訊かれ、色々誤魔化した結果、最終的にはお許しを貰いましたが10分以上詰問されていたので、もうくたくたのヘロヘロです。

 

今は自分の部屋のベットに寝そべっているのですが、久々の魔法は体に堪えたのと説教との相乗効果で今にも寝てしまいそうです。

 

「ふぁあ……」

 

思わず欠伸が出ました。

 

 

やはりユーノ君は肉体的にも精神的にもかなり消耗していたらしく、傷の手当をした後、魔法に関してある程度話してくれた所で、すぐに眠ってしまいました。彼には他にも色々訊いた事があったんですけど、まあいいでしょう。休める時に休むというのは大事なことです。ジュエルシードの詳細は明日学校から帰ってきた時にでも話しましょうか。幸いお父さんからユーノ君を家に置いて良いという許可も出ましたし、ゆっくり休んでいて貰いましょう。

 

 

「それにしても『ミッド式』ですか…。随分と魔法は進化したものですね」

 

『はい。マスターがお亡くなりになってから今に至るまでは数百年の歳月の過ぎていますから』

 

…数百年と来ましたか、そりゃあ新しい魔法が生まれる訳ですね。ベルカ式はいろんな意味で偏った魔法だったのに対して、ミッド式はベルカ式の魔法に比べて攻撃力は一段階ほど劣りますが、その代わり凡庸性と万能性に優れた魔法らしいです。

そして、ミッド式の魔法には『非殺傷モード』というのがあるそうなのです。文字通り、相手を殺さないで制す為のものらしく、ベルカの時代に製作されなかった事を悔やみます。これがあれば、死人は確実に減っていたでしょうから。

 

しかしミッド式の魔法の事以上に、数十年後の別世界だろうなあ程度に思っていただけに、衝撃が大きいです。

 

―――――我儘を言うのならクラウスの孫くらいは見たかったですね…。

 

 

途轍もない事実にテンションが急降下なのを紛らわせるように話題を変える。

 

「それよりも、レイジングハート。私の魔力色についてどう思いますか?」

 

ジュエルシードの化け物と戦った際に使用したディバインバスターの砲撃の色はピンク濃い目の虹色でした。虹色はオリヴィエの魔力色でしたが、ピンクは高町なのはとしての魔力色でしょうけど、今の私はオリヴィエのリンカーコアは持っていませんし、どういうことでしょうかね。

 

『…分かりません。ですが、この事実がこの先の我々の助けになるかもしれません』

 

「助け、ですか…」

 

だとしたら、考えられる可能性は聖王の鎧の関連、またはそれ以外の歴代聖王に関することでしょう。一番可能性が高いのは聖王の鎧関連でしょうね。初代聖王からオリヴィエ(わたし)の代まで、虹色の魔力色だったのは『聖王の鎧』を持つ聖王家の者だけでしたから。

 

「まあ虹色の魔力に関しては、必要な時に分かるでしょう」

 

『それもそうですね。一応私の方で調べておきます』

 

「有難う御座います。 しかし、そろそろ寝ないと―――――ふぁあ…」

 

体が子供なのと魔法使用の疲労ゆえにまだ零時を過ぎていないのに、眠いです…。

まだまだ、話したいことはあるのですが、明日も学校がありますし、もう寝ましょう…。

 

「…お休みなさい…」

 

『お休みなさい、マスター』

 

 

私の意識は闇に落ちていった。

 

 

◇◇◇◇

 

朝。

 

「では、学校に行って来ますね。話し合いは帰ってからしましょうか。あ、レイジングハートは持って行きますね」

 

「ええと、魔法を知っているのなら『念話』で会話する事も出来るんだけど…」

 

「却下です」

 

確かに念話を遣えばすぐに話し合いができますが、大切なことですし、面と向かって話し合うべきだと私は思うのですよ。それに学校に行っている間は学生としての生活を楽しみたいのですよ。学校に魔法関係者が強盗しに来るか緊急事態でもない限り、学校で念話を含めた魔法を使用するつもりはありません。

 

ユーノ君は私が魔法を知っているとはいえ、巻き込んだ事に負い目を感じているのか、私に対して強く出れないようですね。私が言ってどうにかなるものではないと思うので、置いておきましょう。

 

「そう、かい。じゃあ帰ってきたら色々話し合おうか。いってらっしゃい、なのは」

 

「いってきます、ユーノ君」

 

 

 

 

「ねえ、なのは昨夜の事訊いた?」

 

学校に着くなり、アリサちゃんが話しかけてきました。

 

「訊いたとは何の事でしょうか?」

 

訊き返しといてアレなんですけど、まあ心当たりがあります。

 

「あのね、なのはの家から少し離れた道路や家の壁が壊されてたんだって」

 

「それでね、壊され方が普通じゃなかったから、警察も動いてるんだって。恐いよねえ…」

 

やはりその事でしたか。

出来れば処理して置きたかったのですけど、私では無理でしたし、ユーノ君の怪我の具合もあって放置して帰りましたが、警察沙汰にまでなってしまいましたか。

 

次からジュエルシード集めで夜で歩くときはユーノ君に結界を張ってもらいながら探しましょうかね。捕まりはしないでしょうが、子供が夜で歩いているのが見つかったら、親に連絡が行くでしょうからね。そうなっては後々面倒です。

具体的には夜にこっそりと抜け出す事ができなくなると思います。お父さんとお兄ちゃんの二人が集中して居れば気配が読める側の人間でして、家から出たら速攻でばれますね。

 

「まあ確かに恐いですけど、でもきっと大丈夫ですよ」

 

私が日常を守りますからね。

 

「そうだと良いなあ」

「そうだと良いけどねえ」

 

「あ、でも一応気にして置くくらいはしておきましょうね」

 

普段からある程度注意を払っているのと、呆けているのとでは日常の危険度は違いますからね。

魔法使用時は結界張ってますけど。

 

『はーいっ!』

 

朝早くから元気ですね……。

 

 

 

 

 

 

 

「バイバイ、なのは」

「また明日ね、なのはちゃん」

 

「では、また明日」

 

学校も終わり、下校の時間になりました。

 

アリサちゃんとすずかちゃんはこのあと稽古があるらしいので、校門前でお別れです。私的には稽古と言われると武術系の稽古に聞こえるのですが、そういう物ではないらしく、華道や茶道の類の『お』稽古らしいです。稽古とお稽古の一文字あるかないかで武人が稽古するのかお嬢様がお稽古に行くのか、とだいぶ雰囲気が違ったように思えるのは日本語の面白いところですね。

 

 

 

「さて、さっさと家に帰ってユーノ君と話し合いをしましょうか…――――――っ!」

 

急に辺りの雰囲気が変わりました。

魔法を知らないものは気が付かないでしょうが、十中八九ジュエルシードの気配です。

 

『マスター!』

『なのは!』

 

ユーノ君とレイジングハートも気付いたようですね。

 

「ええ…、その様ですね。ユーノ君はそのまま家で待機しながら居場所の探索をお願いします」

 

ユーノ君の傷は昨日の今日で治りきってないですから。

 

『…分かった。気を付けてね』

 

「行きますよ、レイジングハート」

 

『Yes,My Master』

 

 

雰囲気的には山の神社の辺りでしょうかね。

 

 

グルルルル…

 

 

目の前では昨日と同じくジュエルシードの化け物が獣のように唸ってます。

 

「何と言いますか、昨日よりは生き物って感じがしますね」

 

『そうですね。今回は生き物を取り込んだみたいです』

 

大まかな見た目としては、取り込んだ生き物は犬でしょうか。狼っぽくもありますが。

ただまあ、目とか牙の生え方が普通の生き物のそれではないです。何ですかそれ。横から生えてる牙とか、胸から生えてるそれとか何に使うんですかね?正直要らないと思います。邪魔でしょうよ、それ。

 

「とりあえずレジングハート、セットアップ」

 

『Stand by ready. set up』

 

レイジングハートから昨日と同じバリアジャケットが展開され、杖状のレイジングハートを構える。

 

 

「さて、昨日みたいに攻撃を受ける前に終わらせましょうか。―――――ディバインシューター」

 

『Divine Shooter』

 

神社を壊すわけにはいかないので、昨日のディバインバスターに比べて威力控えめ、操作性高めの砲撃です。相手の行動を予測しながら、誘導しながら操作する必要がありますが、それでも戦闘と魔法の経験、魔法のコツを知っている私には容易いものです。

 

結果、ディバインシューターは周囲のものを壊すことなく敵だけに無事に当たり、相手は地面に倒れている。戦闘中、直接襲い掛かっても来ましたが特に負傷もなく、完全勝利、と言ったところでしょう。

 

「ふう、終わりましたね。ではレイジングハート、封印をお願いします」

 

『Sealing』

 

封印完了です。

 

 

「さて、無事封印できた事ですし、日が暮れる前に帰りましょうか」

 

『はい、マスター』

 

 

今の所は順調に問題なく進んでますけど、ジュエルシードという物が物なだけに、そろそろ別勢力が出てきそうな感じがします。もしかしたら、出会ってないだけかもしれませんし、取り敢えず用心するに越した事はないと思いますね。

 

 

携帯が鳴る。

 

む、メールのようですね。

内容は『晩御飯は唐揚げだから早く帰ってきなさい』ですか…。

 

これは急いで帰った方がいいですね。唐揚げがなくなってしまいます。そんな事はあってはいけないのです。唐揚げは大好物なのです!

 

「さ、走って帰りますよ!」

 

『気を付けて下さいね、マスター』

 

 

 

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