マジカル・ジョーカー   作:まみむ衛門

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 2月15日。バレンタインデーの翌日は、またいつもの代わり映えしないスクールライフ……とはならなかった。

 

 それは、一高である事件が起きていたのもそうであるが、文也個人の事情もある。

 

「死ぬ……死ぬ……」

 

 朝から、文也は絶望的に体調が悪かった。熱があるわけではないし、咳も出ていないし、鼻水が出ているわけでもなければ、頭痛や関節痛がするわけではないし、吐き気も全くない。食事自体はすんなり喉を通る。だから、ここ数日は恒例となった三人での登校――文也の警護と遅刻防止だ――も、途中途中足止めをさせながらも果たした。

 

 そして学校についてから文也はすぐにここに駆け込み、辛い時間を送っていた。

 

 そこはトイレ。文也は今朝から、絶望的な下痢に見舞われていたのである。

 

「くそ、あの悪魔女二人め……」

 

 原因は二つ考えられる。まず絶対に原因であろうものが、昨日ゲーム研究部の女子から貰った激辛チョコレートだ。とんでもなく辛い物を食べた翌日に便の調子が悪くなるのは当たり前のことだ。

 

 そしてもう一つが、真由美から貰った激苦チョコレート。苦いを通り越して苦しいの領域にまで踏み込んだそれは、一応食べられるものだけで出来てはいるが、得体のしれない相乗効果を生み出して、この世に生まれてはいけないナニカと化した。先の激辛チョコレートの後にこれも食べてしまった文也がこうしてトイレに籠る羽目になるのは、もはや必然だった。ちなみにゲーム研究部の何人かは休んでいるし、範蔵も今トイレで格闘中である。

 

 携帯端末には、あずさから何件も着信が来ているし、電話も来ている。しかし文也はそれを無視することにした。応対するだけの余裕がない。今は、この苦痛との戦いしか考えることができないのだ。

 

 体中の毒物ができってようやく回復したのは、それから三十分も後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あずさに呼ばれた文也は、下を通して体中から排出された水分を補うべくスポーツドリンクを飲みながら、大遅刻して指示された通りメンテナンスルームに向かった。

 

 あずさからのメール曰く、人型美少女ロボットが何かとおかしいらしい。

 

 強制停止命令を受け付けず、何やら強いサイオン波を放って動き続けている。なにやらちょっと笑顔を浮かべる。

 

「吸血鬼の次は付喪神か。まあ今の俺にとっちゃその程度なんも怖くないがね」

 

 文也は飲み干したスポーツドリンクのボトルを通りすがりのゴミ箱に乱暴に投げ捨て――入らなくて床に転がったので拾いに行くというどうしょもない動作を挟みつつ――独り言を呟く。

 

 今の彼にとって一番怖いのは、USNA軍、次に真由美と女子部員のチョコレートだ。ちなみにその次は深雪である。それらに比べれば、付喪神なんて屁でもない。

 

(なんだか騒がしいな)

 

 メンテナンスルームだというのに、女の子の大声が聞こえ、ドタバタと何やら騒いでいる。雰囲気からして戦闘と言うわけではなさそうだ。

 

 文也はその騒いでいる女の子の声が誰のものなのか、少し考えて思い出す。それは、光井ほのかの声だ。

 

(あいつが騒ぐなんて珍しいな。まさか本当にお化けか?)

 

 文也はそんなことを考えながら、メンテナンスルームのドアを開ける。

 

「では、」

 

「ういーっす。どうしたなんか騒いで」

 

 達也が何かを話そうとしたところで、文也は意図せず遮る形で入る。その瞬間、部屋の中の全員の視線が、やや顔がげっそりしている文也に集中した。

 

 その視線には――人型ロボット・ピクシーのものも含まれている。

 

「で、何やってんだ?」

 

 突然の登場に全員が少し唖然とする中、文也は問いかける。

 

 そんな文也に対して返ってきたのは――顔面に勢いよくめり込む、冷たくてかたい拳だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前が見えねぇ」

 

「ふ、ふみくん、大丈夫?」

 

『いきなりの非礼を失礼しました。クソガ……井瀬さん』

 

「オーケイオーケイ、スクラップの時間だ」

 

「二人ともおち……二人…………二人? …………二人とも落ち着け!」

 

 一瞬で剣呑なムードになった文也とピクシーの間に、達也が割り込む。ずいぶんと迷いがあるのは、彼にしては珍しいだろう。

 

 出会い頭に文也の顔面に拳を叩き込んだのは、自律して動くようになったピクシーだった。曰く、先日校内に侵入したパラサイトの欠片のようなものが憑りついて、自我を獲得したらしい。そしてその自我は、ほのかの達也に対する想いがベースになっているとのことだ。

 

「それで、なんで俺は殴られたわけ? 光井、お前そんなにあの引っ掛けを恨みに思ってたのか?」

 

「そ、そんなんじゃないです!」

 

 文也は痛む顔面をさすりながらほのかを睨むが、それに対してムキになった反論が返ってくる。ほのかとしても思うところがないわけでもないが、さすがに他の思念体に影響を及ぼすほどではない。そこまで器は小さくない……と自分を信じたいのである。

 

『私の自我のベースは、光井ほのかであることには変わりありません。ただ、この校内に数日潜伏している間に、クソガ……失礼、チビ……失礼、ジャリ……井瀬文也に対する怒りのような感情を吸収していました』

 

「ふみくん落ち着いて!」

 

 挟まれる怒涛の悪口に、文也はスクラップを決行しようとするが、あずさに腕を押さえられて仕方なく矛を収める。

 

「あははは、井瀬君は悪い噂しか聞かないし、司波君と司波さんに比べても噂に上がりやすいからね。そういう感情の波みたいなのが蔓延してても不思議じゃないかもね」

 

「つまり普段の行いが悪いってことよ、クソチ……失礼、井瀬君?」

 

 意外と毒舌な五十里の解釈に、文也のことを嫌っているエリカが面白がって乗っかる。文也はそれに怒ってエリカに攻撃しようとするが、顔面に特殊警棒を叩きつけられてダウンした。

 

「くそう、俺がなにしたって言うんだ……」

 

『「「「「「「「「「色々だよ(です)!!!!」」」」」」」」」』

 

 そんな文也の不満のつぶやきに、この場にいる全員が同調して突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、今日は不幸な日になりそうだな」

 

「半分ぐらい自業自得だろ……」

 

 昼休み、事のいきさつを駿に説明すると、案の定、こちらからの反応も鈍い。チョコレートの件には同情しないでもないが、ピクシーの件に関しては、自分で蒔いた種である。

 

「それよりもふみくん、お腹壊してたのにそんなの食べて大丈夫なの?」

 

「へーきへーき。あの劇物を全部出せばオーケーだ。むしろエネルギー消費したからこれぐらいは食わないとな」

 

 間食が多い文也は、普段の食事は小食だ。しかしながら今日は珍しく、がっつりとカツ丼を頼んでいる。朝、下痢に悩まされていたのはあずさも知っているので心配はしたが、原因がウイルスでもアレルギーでもない以上、原因となったもの――腐ってもいないし毒でもないのにそれ単独で下痢を起こす食い物があってたまるかと言う話はさておき――を出してしまえば、いたって健康だ。

 

 文也はそのカツ丼を、行儀の悪いことに携帯端末をいじりながら食べ進めていく。二人とも最初は注意していたのだが、とっくの昔にこれを正すことは諦めている。

 

 確認しているのは、今日の夜に行われるゲーム研究部の会合についての連絡だ。会合と言っても、要はどこかに集まってゲームをやりながらバカ騒ぎするだけである。しかし、バカ騒ぎしながらも、ゲームの研究自体は真面目に行い、各々本格的なレポートの提出も義務付けられる。大会だけでなく、普段から定期的に集まって学外でも積極的に活動していることを示さなければ、この部の存続が許されないのだ。

 

「で、今日の夜は俺らが迎えに行かなくて大丈夫なのか?」

 

「あー、なんか今日は不幸な日になりそうな気がするからな……いや、でもなあ……」

 

 駿の問いかけもまた、それに関することだった。文也はすっかり油断してUSNAが自分を狙っていないものだと思い込もうとして、今回の会合にも当初不参加としていたものの、参加を決めた。帰宅は暗くなってきたころになるので駿たちとしては不安で、送り迎えを提案していたが、実際、この部の会合に現生徒会長やゲーム研究部担当風紀委員が送り迎えするというのは、ゲーム研究部サイドはそこまで気にしないが、駿とあずさとしては気が引ける――主に学外でまであんな奴らに関わりたくないからという意味でだ――ので、文也も察して一人で帰ってくることにしていた。

 

 文也が心配しているのは、送り迎えをしてもらうことそのものではなく、迎えの道中に、駿が一人になることだ。あずさもついてくるという案もあるが、横浜事変以来練習してはいるものの、まだ魔法戦闘は不得手だ。それよりかは、二人とも自宅待機してもらう方が、二人の安全になる。文雄がいない今、『マジカル・トイ・コーポレーション』の裏仕事部門が護衛している井瀬家よりも、中条家や森崎家のほうが安全だ。なにせ森崎家はボディーガードのプロが集まっていて、中条家は娘が一高の次席であることからわかる通り両親も魔法の名手である。『マジカル・トイ・コーポレーション』の護衛が弱いとは言わないしむしろ強い方だが、集めすぎると怪しまれるので少数しかおらず、やはり一流の家系が公然と抱える戦力にはやや劣るのだ。

 

 結局、相談の結果、駿とあずさは自宅待機、文也は裏仕事担当たちから離れて警護を受けながら会合に参加することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「油断と言うのは恐ろしいものだな」

 

 部下から報告を受けたバランス大佐は、口角を上げて嗤う。所詮は高校生、多少察しは良いようだが、脇が甘すぎる。

 

 USNA軍は文也と達也の同時襲撃作戦を実行するにあたり、ずっと監視をつけていた。暗くなって人眼が少なくなる時間に二人とも同時に一人になるという好都合なタイミングは、ここしかない。予定変更などがないか心配だったが、予定通り、二人とも単独行動を始めた。

 

 達也は深雪を習い事に送ってから近場のレストランで一人でのんびりとしはじめ、文也は放課後一人でのこのこ部活の会合に向かった。そして今は、達也はお高いドリンクを頼んでまだぼんやりし、文也は会合終わりの帰りである。

 

「さて、では始めるとす――っ!?」

 

 バランス大佐は作戦実行を命令をしようとした。その瞬間――達也が急に勘定をしはじめて、文也のほうに向かったスターダストたちは何者かと交戦を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジで不幸な一日かよ」

 

 護衛から報告を受けた瞬間、文也は走り出しながらポケットに入れた端末を操作する。

 

 報告の内容は、文也に敵意があるとみられる外国人の武装集団が傍にいたから、奇襲を仕掛けたというもの。バカな企業の手勢の癖に冷静に仕事をこなす彼らが自ら動いたということは、かなり敵意がある集団だったのだろう。

 

 文也は一刻も早く家に帰るべく、魔法で加速して走る。

 

 そんな文也の目の前に――突然、魔法の気配が現れた。

 

「――おっと、お出ましか」

 

 文也は急ブレーキしてそれに接触しないようにする。見た目は何も変わっていないが、ちょうど文也の進行方向に、接触した移動物の速度をゼロにする障壁魔法が展開されていた。

 

 そして文也の後ろから、障壁魔法と挟むように、いくつもの雷光が迫りくる。それを察知した文也がかかとで地面を踏んで魔法を行使すると、雷光は街路樹に吸われて消えていった。

 

『なるほど、データ通り、少しはやるようだ』

 

「ワッツユアネーム? アイムイッパンジン。ヒトチガイネ」

 

 背後から現れたのは、黒いバトルスーツに身を包んだ、肌が浅黒い長身の男。その顔は無表情で、何やら英語らしきことをしゃべっている。学業の英語の成績が良くてもそれはあくまでオベンキョウ、実際の英会話なんて全くできない文也は、何を言ってるのか分からないので、ひとまず小ばかにする。

 

『お前に名乗る名前などない。これを見ろ』

 

 ワッツユアネームだけ辛うじて聞き取れたように見えるその男は、未だ表情を変えずに文也に対してくしゃくしゃに丸めた紙を投げる。それを文也は、魔法で風を起こして、男の元へ戻した。

 

 男はそれに一瞬虚を突かれたように目を見開いたが、すぐに呆れるようにため息を吐き、懐から携帯端末を取り出す。

 

「プリーズ、リッスン」

 

 そして文也でも聞き取りやすいよう、付け焼刃で練習した簡単なカタカナ英語で指示をし、音声を再生し始める。

 

『こんばんは、井瀬文也さん』

 

 端末から再生されたのは、わざとらしい合成ボイスだ。恐らく、事前に作成して録音しておいたのだろう。

 

『私たちは、事情があって名乗ることができませんが、とある国家の魔法組織です。この度は、貴方の魔法の腕と知識、開発力を見込んで、スカウトに参りました。この国を密出国し、我々に力を貸してくれるならば、一生の安全と富を約束したします』

 

「オーウ、イッツアーウサンクサーイ」

 

 そのボイスの切れ目で、文也はまたもバカにした茶々を挟むが、何を言われたのか分かっていないらしい男は、無表情で端末を突き出したままだ。

 

『もしここで貴方が素直にうなずいてくれなければ、私たちは強硬手段にでるしかありません。貴方を強制的に拉致・監禁して無理やり協力させるか、はたまたもっとひどい目に遭ってもらうことになります。我々はそれを望みません』

 

「典型的な悪役だな。清々しすぎるぜ」

 

 ペッ、とつばを吐き、文也は苦笑する。言い回しこそ丁寧だが、事実上の強制だ。「もっとひどい目」とは、死か、それよりも惨い何かだろう。

 

「あーあ、やっぱ不幸な日だったってわけだ。アイシンクザット、ユーアーアメリカンソルジャー!」

 

『自覚はしていたわけだな』

 

 カタカナ英語で言葉を叩きつけると、男は少し口角を上げて、英語で何かを呟いた。そして直後、男の殺気が膨れ上がる。

 

『『分子ディバイダー』を奪った罪は重いぞ、井瀬文也。その命を以て、罪を償え』

 

 そう言って男が取り出したのは、赤い羽根飾りがついた、嘴のようにとがった杖だった。

 

 瞬間、文也の後ろから、先ほどと同じ雷光が襲い掛かってきた。

 

「同じ手を使っても無駄だ!」

 

 すでに魔法の準備に入っていた文也は、同じく近場の尖ったものの誘電率を高める魔法で雷光をそらしながら、反撃を放つ。服の裏に仕込んでいた小型ナイフを模した玩具型CADを振るい、分子を分解して切り裂く刃『分子ディバイダー』を男に向ける。

 

『格の違いが分かっていないみたいだな』

 

 しかし、刃と化した仮想領域は、男に触れると同時にエラーを起こして消える。文也の干渉力が、男を上回っていないのだ。

 

 男は嘲笑いながら接近して杖で顔面を叩こうとするが、文也は加速系魔法で大きく飛び退いて距離を取り、男の着地地点に得意の滑りやすくする魔法を発動し、バランスを崩したところを狙うべく大量の『エア・ブリット』で囲む。

 

 しかし、男はそれを見越していたのか、着地点を少しずらしてスリップを回避すると、自らの周りに障壁魔法を展開して大量の見えない弾丸を防ぎ、さらにお返しと言わんばかりに、空気を薄く固めて放つ不可視の刃を急所を狙っていくつも放つ。男と同じように文也はそれを障壁魔法で防ぎ、さらにポケットから取り出したボトルから液体をばらまいて、それを魔法で気化させて男に吸わせようとする。

 

『毒霧か、無駄だ』

 

 しかし男も見事に反応し、突風を起こしてその害成すだろう気体を無効化させる。実際は持ち歩くにはリスクが高すぎる毒物ではなく、嗅いだら即吐き気を催すほどの悪臭ガスなのだが、どちらにせよ意味がなかった。

 

「こっからは手加減なしだ!」

 

 失敗したことを悟った文也はそう叫ぶと、両手で反対の両腕を握りこむ。長袖の中に隠された多数の腕輪型CADが一斉に作動して、それぞれが全く違う魔法を、一気に発動させた。

 

 液化させた悪臭ガスのどさくさに紛れてばらまいた小石が高速で襲い掛かる『ストーン・シャワー』、直接鳩尾に衝撃をめり込ませる『不可視の弾丸』、電撃で麻痺させる『スパーク』、サイオン波で酩酊状態にさせる無属性魔法、背後のゴミ捨て場に放置されている針金がレイピアとなって襲い掛かる移動系魔法、身に着けているベルトを高速振動させて相手の骨を砕く振動系魔法、相手の顔面の前の酸素を奪って呼吸困難にさせる吸収系魔法、足首関節周辺の骨密度を直接操作して骨折させる収束系魔法、対象物の光透過率をゼロにすることでなかったことにする『流れ星』、その他もろもろ、全ての系統の攻撃魔法が、男に一斉に襲い掛かる。

 

 普通の魔法師ならば、これらをすべて防ぐことはできない。『ファランクス』のように全ての系統に対応した対抗魔法でない限り、まず不可能だ。

 

『甘い!』

 

 しかし男は、どういう原理なのか不明だが、たった一つの魔法で、外からくる攻撃魔法をすべて跳ねのけ、身体に直接かけられた魔法は『情報強化』で退けた。

 

「まだまだあ!」

 

 文也は即座に両手の指につけた玩具の指輪を模したCADを握りこんで、将輝に協力してもらって本格的に改良した『爆裂』と、真紅郎から習った『不可視の散弾』を同時に行使する。しかしこれも、干渉力で上回られて退けられた。

 

「しかたねえな!」

 

 文也はすかさずイデアに深くアクセスし、情報世界を『視る』。そして男にかけられた『情報強化』を『視て』その魔法式を『術式解散(グラム・ディスパーション)』しようとしたところで――

 

「……そういうことかい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その魔法式が、『視え』ないことに気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネイサン・カストルは、生まれながらにして才能あふれた魔法師だった。もともと、優秀な魔法師が多く生まれてきた家系であり、その中でも彼は、十世代に一人の天才であった。しかしながら彼の人生は、みじめなものだった。

 

 カストルは、USNA軍が誇る最強の魔法師部隊・スターズに入隊し、そこから実力で上り詰めた二等星級という地位でつけられた名前で、本来は別の名前だ。しかしながら彼は、この自分の生まれを、これ以上ないほど憎み、そして誇りにも思っていた。

 

 ネイサンの先祖は、アメリカ大陸の先住民族だ。辛うじて文化侵略から逃れ切ったプライドの高い一族で、これまでずっと、白人を筆頭とした他の人種と交わらず、先住民族同士だけで婚姻を結んで「純血」を守ってきた。

 

 そんな家系であるがゆえに、ネイサンの一族は、常に社会から迫害されて生きてきた。

 

 住居は都市とも市街とも、自然の中を通る雄大な道路すらからも大きく離れた、未開発の森の中の、ボロボロのあばら家だ。学校にも通わず、近代機構に組み込まれた労働もせず、すべて内部で完結させていた。それでも時折人が現れ、悪意を持って傷つけてきた。

 

 国民を守るはずの警官は、にやにやと下種な笑みを浮かべながら、留守にしていた間に「不法占拠者」と言いがかりをつけて、徹底的に住居を破壊しつくした。

 

 不良少年たちがやってきて、拳銃で住居をハチの巣にされた。

 

 行政職員が税金の徴収にやってきて、収入を隠し持っていると難癖をつけ、胸ぐらをつかんで投げ飛ばしてきて、顔面につばを吐きかけられた。

 

 ネイサンも、親も、祖父母も、その先祖たちも、その屈辱に対して抵抗できなかった。抵抗してしまえば最後、たとえ正当防衛であろうとも、彼らが悪いことになり、牢獄に捕らえられ、一族の血を絶やすことになる。

 

 移民と近代がこの大陸にやってきて、先住民族たちのものだった無名の大陸に「アメリカ」と名前を付けられ、先住民族たちの居場所も、誇りも、命も、この大陸から消え去った。現代に残る名もなき先住民族の血が濃い家系は、ネイサンの家系だけだ。彼らは最後の先住民族にして、最低の扱いを受ける被差別民族だった。

 

 そんな彼らに差し伸べられる手はない。故に、第三次世界大戦を巻き起こすほどの寒冷化と食糧難で一族のほとんどが死亡する事態になっても、補助も支援も保護も一切受けられなかった。そのあおりを受け、現在一族の中で存命なのは、ネイサンだけだ。

 

 ネイサンの一族は――誇り高き先住民族の、シャーマンの家系だった。現代で言うところの魔法師の家系であり、その始祖の嫡流でもある。

 

 ネイサンはその最後の一人にして、最高のシャーマン――古式魔法師だ。彼に伝えられた一族の秘術たちが、彼の力の源泉である。

 

 その一つ一つの魔法に、名前はついていない。彼らの一族は言葉ではなく、歌と舞と音楽でつながっていた。名前を付ける必要がなかったのだ。

 

(『精霊の瞬き』)

 

 ネイサンは一族に伝わる呪具の杖を振るい、何かやろうとしたものの失敗して隙を晒した文也に電撃魔法を使う。

 

 先祖たちは、自然霊の存在を信じ、自然とともにあろうとした。科学を知らなかった彼らは、時折空に轟音とともに輝く光を、精霊が放つ光と捉えた。そしてそれを操る術を身に着けた。

 

(『精霊の涙』、『水飲み』)

 

 突然現れる水は、精霊が流した涙。水が少しずつ消えていくのは、精霊が飲んだから。結露と蒸発を彼らはそう解釈し、それを操る術を手に入れた。

 

 現代魔法においては、発散系魔法で空気中の気化した水分を凝縮させて敵の衣服にしみこませ、それから逆の発散系魔法で気化させ、気化熱で敵の体温を奪う戦術が確立されている。それは豪雪地帯に集落を構えていた先祖たちが編み出した外敵を無力化する技で、この真冬の日本でも、筋肉量が少ない小柄な少年には厳しい魔法だ。

 

「意外とセコい真似してくれんじゃねーか!」

 

 文也はそれに対し、自らの体に『ツボ押し』を施して血流を促し、体温を上昇させる。体温の低下はほんの少しでも動きを鈍らせるためバカにはできない。そもそも身体能力でも体格でも劣る文也にとっては、これは死活問題だ。

 

 そしてそれと同時に、『爆裂』と『ミーティア・ライン』を同時に使用し、攻撃のために防御が緩んだネイサンを仕留めようとする。

 

(『魂守り』!)

 

 それをネイサンは、即座に一族に伝わる古式の『情報強化』で退けて無効化する。他の一族と戦争を繰り返してきた集団では、敵対部族のシャーマンの呪いが恐れられる。自己に直接降りかかる呪いを跳ねのけるのが、この魔法の本来の役割だった。

 

 これらの魔法はすべて、本来は名前を持たない。しかしネイサンは、軍属になると決めたとき、その全てに名前を付けた。

 

 彼は、名づけと言う近代を受け入れた。軍隊と言う近代に属することを決めたのと同時に、近代の在り方を受け入れることにしたのだ。

 

 一族が守ってきた誇りを胸に、その誇りから離れることを決めた。全ては、自分を救ってくれた「あのお方」のために――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 文也は舌打ちをする。当たり前と言えば当たり前だが、USNA軍には、文也の弱点が筒抜けだったのだ。

 

 文也は学生離れした干渉力を持ち、二流や一流半程度のプロ魔法師に並ぶほどの数値が出ている。しかしながら、本物の一流の足元には及ばず、その程度の干渉力から繰り出される攻撃は、一流の障壁魔法に防がれ、一流の『情報強化』『領域干渉』には退けられる。

 

 故に文也はその対策として、「一ノ瀬」のころからずっと研究してきた『情報強化』が『視える』ことを利用して、それそのものを『分解』してしまうという荒業を身に着けた。

 

 しかしながら、「一ノ瀬」が研究してきたのは、現代魔法の『情報強化』でしかない。その応用や古式魔法などの別の式で編まれた『情報強化』は、『分解』することができない。それゆえに苦しめられたのが、横浜であずさを失いそうになった、『蓋』との戦いだ。

 

 この戦いの顛末は、一高の一般生徒ですら知っていることであり、当然USNA軍は知っている。

 

 だから、古式魔法師を差し向けたのだ。

 

(これだから古式魔法師ってのは嫌いなんだ!)

 

 文也はまた多種多系統の攻撃魔法を同時に使用し、四方八方からの魔法攻撃を仕掛ける。しかし、またもその全てがたった一つの魔法で防がれた。見たところ障壁魔法と同じく、ネイサンの体を中心として半球状に展開されている。現代魔法の常識では、それぞれの現象・系統に則った反対魔法を使う必要があるが、たった一つの魔法で、男は軽々と防いで見せた。

 

 文也には知る由もないが、これはネイサンが『身守り』と名付けた、一族の秘術の中でも最高難度に位置する魔法だ。

 

 現代魔法と違って、古式魔法は定義があいまいでも通用する。彼の先祖は、移民たちとの大陸の誇りをかけた戦争という極限の中で、「外部から自分に害を成す現象」を対象として退ける、究極の魔法を生み出していた。その強大さゆえに、先祖の中でも使えたシャーマンは一握りだ。彼が十世代に一人の天才と言われたのは、この魔法が使えたからだ。

 

 全ての直接干渉魔法を退ける『魂守り』と、全ての攻撃魔法を退ける『身守り』。文也の戦略が全て潰される相手に、苦戦をするのは必然だった。

 

「三十六計!」

 

 苦手な相手ならば即退散。人目のつくところに逃げればさすがに撤退するだろうと考え、文也は高速で閃光を瞬かせて催眠状態にする『邪視』で目をくらませながら、加速系魔法で逃走を図る。

 

『逃がすか!』

 

 しかし文也の脚は急に粘度が増して分厚いスライムのようになった空気に引っかかり、高速化していたせいで勢いよく無様にコンクリートにたたきつけられる。

 

「畜生!」

 

 防寒用の分厚い服がコンクリートに擦れて破れ、その下の肌も酷い出血をしてる。それでも痛がって止まったりせず、転がって背後から迫る刻印付きのナイフを避ける。しかしそのナイフもまた魔法の影響下にあり、避けたはずの文也を追いかけ、その眼球と太ももを刺し貫こうとした。

 

 かろうじてとっさに体表を覆う形で行使できた障壁魔法によって防ぐことができたが、すぐに後ろから火の玉と帯電した蒸気の塊、そしてプシオンを揺るがして気絶させるプシオン波が迫ってくる。

 

 プシオン波は、干渉力がゼロである文也には防ぐことはできない。立ち上がろうとしていたがまた倒れこむように転がってそれだけは回避し、蒸気の塊と火の玉はそれぞれ放出系魔法と振動系魔法の障壁魔法で退ける。

 

『なおも抵抗するなら、ここで死ね!』

 

 そしてその隙に走って接近してきたネイサンは、嘴のように鋭くとがった杖を文也にたたきつける。古式の加重系魔法が施されたそれは、鋼鉄の杭のごとき殺傷力を持つ。厳しい環境で自然とともに生まれ育ち、従軍してからさらに鍛えられたネイサンの筋力から振るわれるそれは文也の骨を砕くほどの威力を持つ。

 

「男に掘られる趣味はねえよ!」

 

 文也はそれを『減速領域』で威力を弱めたうえで、硬化魔法で固めた長袖で覆った腕をクロスさせて防ぐ。さらいその接触によって生まれた移動エネルギーを魔法で増幅させてわざと吹き飛ばされることで、再び距離を話すことに成功する。

 

「い、つつつ」

 

 怪我こそしていないものの、腕に伝わる衝撃は耐えがたいものだったし、吹き飛ばされた後の受け身も失敗して顔面を擦りむいた。厳しい寒さと蓄積されるダメージ、そして自分の戦法がことごとく無効化される状況は、文也の精神を、着実にむしばんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(少し時間をかけすぎたか?)

 

 無様に転びながら逃走する文也、それを追いかけながら、ネイサンは内心で焦りを覚える。

 

 自分は文也を相手にするならこの上なく相性が良い。データをもとに詳しい説明を受けた彼は、上層部と同じくそう判断した。中々成績は優れているようだが、所詮は高校生。すぐに生け捕りできると踏んでいた。

 

 しかし今、こちらの攻撃は徐々にダメージを蓄積させているものの、依然文也は動けるし、命にも別状はない。予定ではもうとっくに生け捕りが住んでいるはずなのに、予定時間を大幅オーバーしてしまっている。

 

 リアルタイムで入ってくる仲間の連絡も、内容は芳しくない。いきなり襲い掛かってきた文也の仲間と思われる魔法師と戦闘になり、深手を負わせて撤退させたが、こちらもまた戦闘不能のダメージを負っている。こちらの増援は期待できないのに対して、文也の増援は未知数。思ったよりも、時間に余裕がない。

 

(それにしても、油断していたように見えて、思ったよりも周到だったようだ)

 

 USNAが掴んでいる文也の家に関する情報は意外と少ない。優秀な魔法師が生まれる、代々素行に問題がある、以外の部分を除けば、普通の魔法師の家族だ。スターダストとはいえプロの戦闘魔法師と相打ちに持ち込むほどの手練れの手勢がいるのは予想外だった。

 

 日本魔法師界を牛耳る十師族、その中でも「戦争」における戦闘力では随一と目されている一条家の長男と仲が良いという情報がある。今思えば、文也が襲われているのを多少なりとも警戒するなら、そのコネクションで一条家の手勢を護衛につけていてもおかしくはない。奇襲してきた護衛たちは、それだろう。

 

 ネイサンは内心で勘違いを元に反省しながら、拉致を諦めて、「抹殺」することにした。

 

 使う魔法は『分子ディバイダー』。懐からナイフ形の武装一体型デバイスを取り出す。彼は古式魔法師でありながら、一方で現代魔法も一流のレベルで使いこなすレベルの高い魔法師だ。

 

 この魔法で、文也は殺される。ネイサンは、立ち上がれないのか、うつ伏せになってもなお這って逃げようとする文也を見据えて、そこに皮肉を覚える。どのようなルートで抜き出したのかは定かではないが、この少年は何かしらの方法でこの魔法の初期段階の起動式を手に入れ、あまつさえたかが親善競技のために公衆の面前で使ってしまった。それが理由で、完全体のこの魔法で殺されるのだ。

 

 殺害方法に隠密性は必要ない。死体はこの後、USNA軍が回収し、血なども跡形もなく消し去って、すべての証拠隠滅をしてくれる。文也はここで死に、社会的には永遠に「行方不明」扱いとなるのだ。

 

『来世ではもっとまともに生きるんだな』

 

 反撃に備えて『身守り』を展開してから、ナイフの柄のスイッチを押し、サイオンを流し込んで起動式を読みこみながら振りかぶる。そして対象を斬り裂く不可視の刃が展開されたのを確認すると、それを振り下ろ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そうとしたところで、ネイサンの手からそのナイフは滑り落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、がああああああああ!!!」

 

 ネイサンは思わず両手で急激に痛み出した太ももを押さえる。そこからは、大量の血が流れ出ていた。

 

「同じ手にひっかかるかよ、バーカ」

 

 ネイサンは反射的に『身守り』を展開しなおしながら、痛む脚に無理やり力を入れて立ち上がり、左右に揺れながら逃走を図る。

 

 それに対して文也は、玩具のようなピストルを構え、しっかり狙いをつけて、数回引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「文也! 大丈夫だったか!?」

 

「死ぬかと思った」

 

 制限速度を思い切り無視して車で駆け付けた駿は、服がボロボロになって血だらけの文也と、血だらけで全裸に剥かれた浅黒い肌の男を見て、親友の勝利を確信しながらも、その怪我が気になった。

 

「化け物ピストル、開発しといてよかったぜ」

 

 駿を乗せて運転してくれた『マジカル・トイ・コーポレーション』の手勢の一人が全裸のネイサンを車に積んでいるのを横目に、文也は自慢げに玩具のようなロングバレルのピストルを見せる。

 

 文也の魔法は、それ単体では干渉力の高い守りに勝てない。分厚い鋼鉄や『ファランクス』、ネイサンの『身守り』のような全系統を退ける防御手段と『領域干渉』『情報強化』を併用されたら、文也の干渉力では勝ち目がないのだ。それを、文也はあの横浜での出来事で強く実感した。

 

 その対策となったのがあの貫通力特化の魔法ライフルだ。今も森崎家管理のもと、いつでもドローンで届けられるようにセットしてある。

 

 しかし、あれは持ち運ぶのに不便な上、人目に付きやすい。しかも銃弾は一発しか入らないため、外してしまえばお終いだ。

 

 そこで文也が新たに開発したのが、このロングバレルのピストルだ。

 

 仕組みとしては魔法ライフルと変わらず、移動系魔法と加速系魔法を併用して爆発的なスピードで炭化チタンの銃弾を放つというものだ。ロングバレルは、なるべく長い距離の分魔法の効果を付与したいからだ。銃口部分には自動的に通過した物体に『情報強化』を施せるようにもなっている。弾倉もついていてセミオート機構もついており、連射も可能だ。火薬を使っていないので、文也の小さな体でも十分に扱える。魔法ライフルを進化させ、携帯性と連射性を高めた、文也の新たな切り札である。

 

 ただし劣化した部分もある。まず小型化したことによって出せる最大弾速は音速の三倍程度だ。また、高難度魔法である『疑似瞬間移動』のチューブを展開することができず、空気抵抗による減速が大きい。物体が速ければ速いほど空気抵抗は強くなって減速幅も大きくなってしまうので、空気抵抗を防げないのはかなり痛い。二重の理由で魔法ライフルに比べたら威力が大きく劣るのだ。分厚い鋼鉄は貫くことができないため、これを『蓋』に放っても無力である。

 

 しかしそれでも十分威力は高く、対魔法師用ハイパワーライフルの威力は大きく上回っており、克人クラスの魔法師でもない限りこれを防ぐことはできない。『蓋』のような重兵器はもともと想定して作っておらず、今回のネイサンのような文也の魔法が通用しない人間への対策で開発されたのだ。

 

 この銃弾はネイサンの『身守り』を貫き、彼に致命傷を負わせることに成功した。最後は、プロらしく破れかぶれの突貫をしてこなくて冷静に逃走を選んでくれたため、追撃で気絶させることにも成功した。

 

「あれは……死んだのか?」

 

「いや、生きてるよ。貫通特化だから体内に銃弾は残らないし、お前らが来るまでに応急処置もしといたから」

 

 文也は駿に支えられながら車に乗り、一息つく。そのタイミングでの駿の質問に、文也はそう言いながら、自慢げにニヤニヤと笑いつつ手に持っていた袋を見せる。

 

「で、その処置のついでにこんなお土産まで頂いたぜ」

 

 その袋の中身は、ネイサンが来ていた魔法戦闘用装備一式だ。USNA軍が誇る最新のバトルスーツの現物は非常に貴重である。

 

「……とんでもないものまであるな」

 

 しかし駿は、バトルスーツには目もくれない。駿が見ているのは、ネイサンが魔法を使うために使用した呪具一式と、CADだ。

 

 CADを敵に奪われるということはつまり、起動式を奪われるということである。ほぼ全ての情報を丸裸にされ、しかも相手が自由に使える状態になるということで、魔法師は命に代えてでもCADを奪われないように気を付けている。

 

 そして、駿の見立てでは、この男はUSNA軍の中でも相当に高いランクの魔法師だ。使っているCADもUSNAの粋を集めた一級品だし、そこに入っている魔法の起動式も、USNA軍が秘匿したい強力な魔法が多く入っているだろう。

 

「生け捕りにもできたから、たっっっっっっっっっぷり『お話』も聞かせてくれるだろうし、とんで火にいる夏の虫ってとこだな。今は冬だけど」

 

 消毒液やガーゼや魔法を使って傷の手当てをしながら、道の先に姿を現した、文雄所有の隠れ家的な建物を見て、文也は口角を吊り上げて嗤った。




次の話では、おそらく皆様が忘れているであろうあのキャラが久しぶりに登場しますので、ここで振り返りの意味もこめて、過去のお話をもう一度見るのも良いかと思います(露骨なアクセス稼ぎ)
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