2019年に間に合わなかったけどやっとこさ更新完了!
資格取得の勉強で忙しいことよ…………
㊟読めばわかりますが、この話におけるマァムの世界観は、某エロ同人サークルのそれに近いものです!
引き続き以下の注意事項があります。
①オリジナルキャラ多数追加
②キャラ崩壊
③設定ブレイカー
④パクリ要素
等といった可能性を大いに秘めています。それでも大丈夫という方のみ
ゆっくり読んでいってね~( -∀-)”ノ
「オッケー、無力化成功!カズマ君、後はよろしく」
「はい、喜んで!」
そう言って、カズマ君が思い切りショートソードを振るう…初心者殺しに向けて。
因みに彼の今の格好は以前の奇妙な緑色の服じゃなく、白と茶色を基調とした服装に黒マントよ。
私は最近、強力なモンスターを無力化してカズマ君に倒させるという方法で彼のレベルアップを促している。
彼の強化…は勿論のこと、パーティのバランスをとるためにも重要なことだと思う。
………思うんだけど、これもそろそろキリの良いところでやめた方が良いかもね。
ずっとこんなことを続けてたら、カズマ君が単なる死体回収専門主任(?)になっちゃうわ。
格下でもいいから、素でモンスターと対峙すべきね。
その日の昼、私はカズマ君にそのことを話した。
「まぁそうなりますよね。なんだかんだ言っても、マトモな討伐ってジャイアントトードぐらいっスから。俺もそろそろ、ちゃんと討伐してみたいな~と思い始めてたところなんで」
本人はやる気あるみたいでひと安心。
問題は……
「えぇ~何でよぉ、楽に倒せるんならそれでいいじゃない」
と気だるさ全開の彼女………え~と、アクアだったわね。
「私の話聞いてた?魔王を倒したいなら今のままじゃダメなのよ!私以外でまともに攻撃できるのはカズマ君だけ。大体、強くなりたいなら実戦で経験を積むしかないのよ!?」
「それならあんた1人でも十分じゃないの!」
「あのね、1人じゃやれることには限りがあるでしょうが!いくらなんでも私1人で4人を守り切るなんて無理な話。非戦闘員を除く全員が戦える状態じゃないと、いざって時に動けなくなるでしょうし」
全く…呆れてものも言えないわ。
以前カズマ君から「魔王を倒すという使命を帯びて来た」と聞かされたけど……本当なのかしら?
少なくとも、アクアちゃんの言動からは全く説得力が無いのよね。
もしカズマ君の方が正しいなら……尚更彼女の考えが読めない。
一体全体、どういうことなの?
「あ、あの~…こんにちは」
「あらこんにちは、ゆんゆん。背中の子、今日は何処で爆裂魔法を?」
「森の中にちょうどよさげ」
「おい、何故私に直接問わなかったのか聞こうじゃないか」
「ゆんゆんの方が話が分かるから、以上よ。じゃあゆんゆん、続けて」
「……ちょうどよさげな開けた場所があったので、そこに撃ち込んでました」
「なるほど、一応聞いておくけどさ…人的被害は出てないわよね?」
「勿論出てないですよ。近くに人が住んでないことは何度も確認しましたから!」
「そう…ならいっか」
ゆんゆんに背負われている少女、めぐみんは1日1回“爆裂魔法”を撃たないと気が済まない性分らしく、最近はゆんゆんに背負われてる姿しか見ていない気がする。
そもそも、爆裂魔法はどんなに腕のある魔法使いでも1日1発が限度。
仮に撃てたとしても、魔力と体力を極限まで消費するため、動くことすらままならなくなるんだとか。
まぁその代わり、純粋な破壊力だけは他を寄せ付けない……それが唯一の利点。
何故めぐみんがそのような魔法を使うことにこだわるのかは、未だに明かしてくれないのだけど、少なくともこの生き方を変えるつもりは無いらしいので、私個人としては正直言って扱いに困ってるのよ。
ギルドで雑談をしつつ、今後の方針を筋肉バカの私なりに考えていた、丁度その時
「ちょっとお訪ねしたいのだが」
そう言って現れたのは、青い目に長い金髪をポニーテールでまとめた女性騎士。
ポニーテールか…そういえば私、髪のまとめ方をポニーテールから元の団子頭(?)に戻したのって何時頃だったかしら?
まぁどうにしろ私個人としては、あの髪型そんなに好きじゃなかったしね。
激しく動くと、ポニーテールのせいで視界が遮られることが多々あったし……。
それはそうと、とりあえず応対しないとね。
「はいはい、何かしら?」
「このパーティメンバー募集の件は、まだ有効なのか?」
そう言って差し出したのは、以前アクアちゃんが張り出したもの。
カズマ君以外は何かを期待する目を向けてるけど、話をややこしくしてほしくなかったので、カズマ君と共に“無言の圧”で制止させた。
私は張り紙を確認した後、再度彼女に視線を戻す。
一見すると、性格的には私と同じく男勝りな感じでマトモそうだけど……経験則から言わせてもらえば、見た目は綺麗だけど中身は壊滅的…って感じの可能性が高いわね。
今はかろうじてマトモなメンバーの方が多いけど、もし彼女がそうじゃない場合…。
ともかく、確認は怠らないようにしなきゃ。
「ええ、一応ね。見た感じ上級職みたいだけど、職業は?」
「ああ、察しの通り私はクルセイダー、上級職だ」
「クルセイダー…確か前衛職だったわね」
私も元の世界じゃ前衛職だったから、ちょっとだけ親近感が湧くニュースだわ。
………っと、それでもやっぱり念押しはしないとね。
少なくともここでは…ね。
「え~と…一応聞いておきたいんだけど、私達のパーティに入ろうと思った理由は?」
「理由か?それは勿論、誰かの役に立ちたいからだ」
「いやそれはそうだけど…何故このパーティに?」
「それはだな…」
「ああ、こんなところにいた!ダクネス、勝手にいなくならないでよ!随分探したんだから」
そう言って突如割り込んできたのは、銀髪の少年。
そういえば金髪の彼女の名前を聞いてなかったわね…ダクネスというらしい。
一方銀髪の子は結構華奢な体つきだけど、大丈夫かしら?
「なるほど、あなたダクネスって名前なのね?」
「う、うむ…」
「おっと、こっちも名乗ってなかったわね。私はマァムっていうの。でもって、そっちの子は?」
「あたしはクリス。一応言っとくと、職業は『盗賊』だよ!」
「…盗賊ねぇ」
「ん?どうかした?」
「いや、私がいた世界の盗賊とどう違うのか気になってね…」
「『私がいた世界』?…ってことは、あなたが例の異世界から来たって言う冒険者なのかな?」
「ええ、そうよ。それにしても偶然ってあるもんなのね。こっちの世界にも同じ『盗賊』って職業があるなんて」
「偶然?あ、そういえばさっき、そんなこと言ってたね!」
そんな雑談をしつつ、何気なく見えていた「彼」の冒険者カードを見てみたら……
「…あら?意外と能力的には平凡なのね。敏捷性はちょっと高めみたいだけど…何か『測定不能』とか出てる運の良さでカバーしてる感じかしら?」
「…何かさらっと流したね。自分で言うのも変だけど、運の良さには触れないの?」
「その辺はもう『異世界だから』ってことで片付けることに決めてるの。元居た世界とは違いが多すぎるから」
「………まぁいいや。それで一応聞いときたいんだけど、君がいた世界の盗賊ってどんな感じなの?」
「そうね、簡単に言っちゃえば素早さと器用さが群を抜いてるわ。特性上、あまり好かれない職業だけどね」
「そ、そう……」
「ああ、一旦話は変わるけど、クリス“君”はダクネスとどんな関係なの?彼氏だったりする?」
「!!??」
「……あ~、断っておくがクリスはこう見えても女だ。間違えないでくれ」
「えっそうだったの!?……ごめんなさいね、全然気付かなくて…」
「…そんなに男っぽいかなぁ………」
そう言いながら、クリスちゃんはしきりに胸の辺りを手をやる。
「いや、そこだけじゃなくて全体的に男らしいのよ、あなたは」
「全体的ぃ!?」
「まずその服装…どう見ても女性のする格好じゃないし、髪型だって少なくとも女性だと判別できるものじゃないしね…」
「……………………」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私の意見が予想外だったのか、そのままテーブルに突っ伏してしまった。
その様子を見かねてか、ダクネスが口を開く。
「…初対面でこんなことは言いたくないのだが、もう少し言葉を選んだ方が良いと思うぞ。それと、あまりクリスをいじめないでくれ。私の友達なんだからな!」
「私は事実をありのまま言っただけであって、いじめに該当する要素なんて何1つ無いわよ?それに大体、もし私が指摘しなかったら、この子は一生恥をさらし続けるかもしれない…それが友達のすることなの、ダクネス?」
「んん…………!」
「そもそも、何時か言おうとは思ってたことだけど、彼女に限らず世の女性って大体、自分を良くしようなんて口では言うのに全然自分の欠点に向き合わないじゃない?大概は『乙女の秘密~♪』なんて言い訳して…。同じ女として、見ちゃいられないわ!本当に自分を変えたいなら、ちゃんと自分に向き合えって話よ、全く!!」
何だかんだで久しぶりに語りが熱くなった私。
ふと周りに目をやると、女性の冒険者達は皆一様に私から顔を背け、何やら物思いにふけってる様子。
一方の男性冒険者達は、私の発言に同調するかの如く女性冒険者を睨んだり、私に向けて『よく言ってくれた』的なジェスチャーをしてくる。
そして視線を戻せば、クリスはいつの間にか突っ伏すのを止めて、ダクネスと一緒になって複雑な顔をしてる。
流石にこれ以上続けるのは精神衛生上良くない…のかな?
「……まぁそれはともかく話を戻すけど、この世界の盗賊ってどんなスキルを持ってるのかしら?」
話の戻し方が強引だったけど、クリスはこれ幸いと話に乗っかってきた。
この世界の盗賊は、元の世界のそれと比べると割とバランスが取れてる印象を受ける感じなのよね。
敵の接近を感知したり、存在感を消して隠れたり、魔力が続く限り相手を縛り続けるとか……割と戦闘向けなスキルが多い。
対してこっちのは、オリジナルスキルが“お宝スキル”と呼ばれるほど、宝探し関係にバランスが寄ってるの。
「…なるほど。でも言うほど悪くないと思うな。特にその『お宝さがし』ってスキル、地図上に場所を表示できるのは便利だと思うし、ダンジョンや洞窟の入り口まで一発で戻ってこられる…『リレミト』だっけ?その魔法もこっちの世界の『逃走スキル』より有用そうじゃん」
「言われてみればそうかもね。おっと、そういえばまだ私達スキルの習得とかしてなかったわ」
てなわけで、せっかくの機会だから盗賊スキルを習得してみることに。
まぁ勿論、警戒は怠らないけどね。
どさくさに紛れて窃盗されたんじゃたまらないから。
事前にそのことは言っておいたし、多分大丈夫…よね?
兎にも角にも、私達は場所を移して盗賊スキルのレクチャーを受ける。
手始めは『スティール』、相手の装備品をランダムに盗むというもの。
彼女曰く、ランダムに盗むという特性上、持ち物が大量にある人からは上手く盗めなくなるとのこと。
習得までは問題なかったんだけど…ここで何故か調子に乗ったクリスが実戦も兼ねて勝負しようなんて言い出した。
…まさかとは思うけど、気が大きくなりすぎて私の言ったこと忘れてたりしないでしょうね?
ま、結論だけ言えば窃盗する気満々だったわ。
無言の圧で引き下がったから不問にしたけど…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「じ、じゃあ早速実践、やってみようか~…」
「う~す」
「………………………………」
「さっきも言ったけど、成功させるコツは“手に入れたいものを強く思い浮かべる”だよ。こんな感じに『スティール』!」
クリスの手には、割と見慣れたきんちゃく袋……カズマ君のお財布だ。
「あ、俺の財布!」
「とまぁこんな感じで、必ずとは言えないけど目当てのものを盗める可能性が高くなるんだ」
「……なるほどねぇ」
「さて、それじゃ実践してみよう。今と同じようにやれば、この財布を盗めるはずだよ」
「…よし!」
本番ということで、気合を入れ直すカズマ君。
そして、陰ながら私も準備する。
財布の持ち逃げを防ぐために、念を入れて…ね。
そして、私達は同時にスキルを発動した。
「「『スティール』!」」
………初スティールの感想は?と尋ねられたら…答えは1つ。
“思ってたのと違う”
だって感触が…絶対に財布じゃないもの。
嫌な予感がしながらも恐る恐る確認してみると………………予想以上にヤバいものだった。
私の手中に収まったのは……まさかのパンツ。
でもってカズマ君は………何かしらアレ?
肌色をした2枚の丸い布地。
………アレってまさか、俗に言う“パット”ってやつかしら?
クリスに視線を向けると…彼女は自分を強く抱きしめ、女座りで呆然としていた。
そして…私とカズマ君は偶然にも同じことを考えた。
“どうしてこうなった”と……………
「あ、帰ってきましたよ……って何ですかこの状況は?」
「窃盗未遂のお仕置きだから、気にしないでいいわよ」
「窃盗…未遂…だと!?マァム、すまないがその話詳しく聞かせてくれ」
私から事情を聞いたダクネスは、有無を言わさずクリスにアイアンクローのお仕置きを実行。
思ったより正義感が強いみたいね。
「うう……脳みそ飛び出すかと思った」
「まぁ、初犯ということでこれまでとする。但し、次はないと思え!」
「はい………」
「それで、具体的にどんなお仕置きをしたんだ、お前達は?」
「お仕置きというよりか、偶然そうなった感じなのよ」
「偶然?」
「ええ、何となくだけど…スキル云々には個人の相性……的なものがある気がするのよね」
「相性?一体何のことだ?」
「え~と…多分だけど、私とカズマ君が盗賊スキルの『スティール』を使うと…その~…盗む対象がね、女性に対して使った場合だと思うんだけど……下着に限定されちゃうっぽいのよ。因みに私はその子のパンツ、カズマ君が胸パット」
「「「「!!??」」」」
なるべく角が立たないようにと努力はしてみたけど……結局どストレートに言っちゃった…。
…もうこうなったら仕方ない。
「……ねぇカズマ君、すごく悪いんだけど念のため、この場でもう1回試さない?」
「ええ!?またですか!!?」
「大丈夫、私もやるから」
「何が大丈夫なのか分からないんですが……」
などと言いつつ、半ばヤケクソでスキルを発動したカズマ君。
結果はというと……………………今度は私か……。
「……姉さんの予想通りかよチクショウ…!」
「………な、なるほど。確かに相性最悪のようですね」
「とゆーか誰のよ、その可哀想なほど飾り気のないパンツは?」
「悪かったわね、飾り気なくて」
『!!!!????』
私の言葉にメンバー全員が冷や汗ダラダラで私の方へ一斉に振り返る。
特にカズマ君は、金属が軋むような音が聞こえてきそうな動きでゆっくりとこっちを見た。
それも、この世の終わりみたいな顔で。
「あ…………あの~」
「何?」
「……これがあなたのだとして…さっきから見えてる青いそれは…?」
「ん?今履いてるやつ?これもパンツよ。所謂“2重履き”ってやつかしら?」
『えええええ!!?』
「な、何故そんなことを?」
「そりゃ勿論、破れた時のためよ。……何を皆してそんな顔してるわけ?」
「…マァム…さん。今更ですが言わせてもらいますけど、何故にわざわざパンツを見せつけるような座り方を?」
「これが楽な座り方だからよ。というかめぐみん、あなたこそ今更何を言ってるの?たかがパンツぐらいで騒いじゃって。私に言わせれば、その程度のことで騒ぐのはド素人か“もぐり”だけよ?」
言った瞬間、ギルド中の時が止まったみたいに全員が固まった……何故?
そしていち早く回復したカズマ君が一言。
「………何故ですか?」
「そんなの、モンスターの立場で考えれば分かることじゃない。モンスターだってれっきとした生き物なんだから、例え1日でも2日でも長生きしたいと思うのは当然でしょ?想像してみて!もしあなたがモンスターの立場で、偶然にも仕掛けた攻撃が結果として女性冒険者の衣服を破ることになって、それにより女性冒険者が怯んだ。その隙に逃げおおせることができたとする。その後、あなたならどう考える?言っとくけど人としてではなく、あくまでモンスターの立場で考えて」
「……え~と………『同じようにしたらまた逃げられる』…とか?」
「そうよカズマ君!まさにその通り。力はないけどちょっと頭がいいモンスターなら大抵そう考えるわ。これが更に知恵をつけたモンスターなら、人間の性的な分野における知識ってのを持ってたりするからね」
「マジすか」
「えぇ、この世界じゃどうだか知らないけど、少なくとも私がいた世界では『人間の女性はモンスターのメスに比べて性的な刺激に対し非常に敏感』ってことが証明されてるのよ。だから頭のいい奴らからすれば女性冒険者は『“人間の性に関する知識がある”状態で“懐まで近づくのが割と簡単”な状況なら有利に戦いを進められる』と見られて当然なの!」
「ってことは、やっぱり変態プレイ的なことを…」
「そうね。上手くいけば、その冒険者を快楽漬けにして自分の味方にできるでしょう。そうなればモンスターは、今までより確実に自分の身を守れるわけ。どう?モンスター視点で考えれば、ここまで合理的な手段は無いと思わない?」
「た、確かに理にはかなってるな…うん」
ふと見渡せば、女性冒険者達は何とも言えない表情のまま目を泳がせ、対する男性陣は目から鱗が落ちたような真剣な顔………中にはメモを取ってる人も。
そしてカズマ君に続いて話に加わったのはダクネス。
こちらは他の女性と違う意味での複雑な顔をしてるのよね…あれは、どんな顔なのかしら?(※自分好みのエロいプレイができるダンジョンの有無をやんわり聞こうとして、真剣な顔とエロい顔が混ざってるだけ)
「と、ということはアレか、つまり……ダンジョンとかそういったモンスターの集まりそうな場所の中には……お前が言ったようなモンスターが集まってる場合も……」
「ああ、俗に言う“エロトラップダンジョン”的なヤツ?そりゃあるわよ。かくいう私もそれにぶち当たったことあるし」
「そ、それで…?」
「ま、ハッキリ言っちゃえば女性にとって一番嫌な地獄でしょうね、あの手のダンジョンは。ほとんどは地下に続くタイプのダンジョンでね、潜れば潜るほどに…要は“途中でリタイヤして一生ダンジョン生活確定”ってのに多く出くわすようになるわけよ。それもダンジョンの主の王道手段。あえて見せつけることで、挑戦者の精神不安定化を狙ってるわけ。私だって、何度心が折れそうになったか分からないわ。最下層に着く頃には冗談抜きでギリギリの状態だから、ハッキリ言ってどうやって脱出したかなんてマトモに覚えてないわ。理性を保つので精いっぱいだから」
とまぁ…こんな感じのことを結構ガチで演説(?)しちゃったもんだから、当然ながらギルドの空気は何とも言えないものになりました。
ここで私、ハッと気が付いたの。
「おっといけない、そういえばまだ試してなかったわね!」
「へ?」
「ほら、私はまだ『スティール』を試してないじゃない」
「…あ~、そういうのありましたね」
「それじゃ適当に…『スティール』!」
取り敢えず金目の物が手元に来れば……な~んて淡い希望は脆くも崩れ去る。
「……何よこれ?」
私の左手には……黒い大きな1枚布。
所謂“全身タイツ”とでもいうべき代物だった。
そもそも誰の衣服なのかしら?
今冒険者ギルドにいる人達の中に、全身タイツを身につけている人なんて………まさか?
私は気付いた、いや気付きたくなかった。
該当する人が1人いたことを…そう、ダクネス。
彼女の鎧の隙間からチラチラ見えていた黒いもの…………夢であってほしいと思ったけど、現実は非情。
いや、これはある意味“魔王との実力差”以上に非情なものだわ、間違いない。
今まさに、目をやったダクネスからは…今まで見えていた黒いものが無くなっている。
「嘘でしょう……何でよりにもよってこんなことに……!」
「………んなっ!?」
右手で顔を覆う私。
体の違和感から自分の身に起きたことを知り、赤面するダクネス。
残念なことに、この事態を収拾できる人は誰もいなかった。
加えてこの日を境に、ダクネスが事あるごとに私のことを「ご主人様」呼ばわりしようとするようになってしまった……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ある意味“激動の日”から一夜明けて、アクセルの街に警報が鳴り響いた。
そんなものがあるってことに驚きだったんだけど、内容を聞いて更に驚愕。
キャベツの群れを狩るのだという。
私がいた世界にも植物系のモンスターはいたけれど、食用になるモンスターは存在しない。
そしてカズマ君がいた世界では、そもそも野菜や果物が動くことはあり得ないとのこと。
他にも細かな説明があったけど、兎に角キャベツ狩りは結構なお金になるらしいので、私達も参加することに。
そして何故か、アクアちゃんが「狩ったキャベツの報酬は分配せず、各自で狩った分を換金し、それをそのまま各自の報酬にする」ことを提案してきた。
何を考えてるのか知らないけど、取り敢えず私とカズマ君を筆頭に満場一致。
時間も勿体ないしね!
「…思ってたより大規模ね」
それが一番の感想。
実際、私の予想以上に大きな群れ…それも空を覆いつくさんばかりにキャベツが飛んでるんだもの。
とは言え、少なくとも私にとっては好都合。
まずはっと………
「『爆裂拳』!」
素手スキル『爆裂拳』
敵を選ばず、疾風怒濤の4連続攻撃を決める
始めのうちはこれでも十分だったけど、次第に群れの密度が上がってきて流石に効率が悪いと思ったので、作戦変更。
……あんまり使いたくはなかったけど、アクアちゃんという名の浪費家の存在を考えると、やはりまとまったお金は持っておくに限る。
何とも言えない罪悪感を噛み締めつつ、私は小さく呟く。
「…………『ザラキーマ』」
『ザラキーマ』
邪教で生まれた【ザキ系】の最上位呪文
一瞬で体中の血液を凝固させて敵全体を即死させる
流石に全部ではなかったものの、群れを構成するキャベツの半分以上が突如として白目をむき、バッタバッタと落ちていく。
……一気に仕留めるったって、何もこんなえげつない方法が一番に浮かばなくてもいいじゃない!
私は心の中で自らを罵倒する。
カズマ君を含め、周りの冒険者達は何が起こったのか分からない様子。
キャベツ狩りが一段落つき、換金に向かったアクアを除くメンバー全員でキャベツのスープを飲みながらお喋りしていると、不意にカズマ君がさっきの“ちょっとした事件”について聞いてきた。
別に隠していたわけじゃないし、隠し通す気も無かったので、私は例の魔法について包み隠さず話したわ。
「そ、そんなにえげつない魔法だったんですか!?」
「えぇ、だからあんまり大っぴらには言わないで頂戴ね、ゆんゆん。あの魔法に出会ったのは、私にとって黒歴史以外の何物でもないから」
「言われなくても、そうします……」
「私も同感ですね。ていうか言った瞬間に口封じでキャベツの後を追う未来しか」
「やめて頂戴めぐみん!何で私が殺人鬼みたいな凶行に走らなきゃならないのよ!」
「それぐらい怖いってことです」
その後は無理矢理話題を切り替えたり、紅魔族の故郷で「スキルアップポーション」と呼ばれる…飲むだけでスキルポイントが増えるポーションが作られていることが判明したりと……兎に角色々あったわ。
でも……どれもこれも、大して印象に残らなかった。
なにせ………………突然、“アイツ”が現れたのだから…………………………………………………。
次回予告
カズマ一行の前に、突如姿を現した謎の人物
その正体は、かつてマァムがいた世界を引っ掻き回した“アイツ”
この世界に現れた目的は?
そして、マァムがこの世界に紛れ込んだ“真の理由”とは?
次回「明かされる(?)真実」