魔法少女リリカルなのはStrikerS 信念の刃 作:sufia
【はやてSIDE】
~機動六課・部隊長室~
「では、こちらが捜査資料になります」
「わざわざありがとうございます。言ってくださればこちらから取りに伺いますのに・・・」
「いえいえ、構いませんよ・・・八神部隊長?」
そう言って、はやてに資料を渡す地上部隊の茶色い制服を着て眼鏡をかけ、銀髪で前髪がわかめのようになっている男
「ところで、よろしければ今度ランチをご一緒させて頂きたいのですが・・・」
「ああ、すいません。何分、仕事が多くて・・・」
男の誘いも即答で返すはやて
「それは残念です。それでしたら、この隊舎を見学させていただいても?」
「ええ、構いませんよ? 『トビー・ゴードン』一尉。誰かに案内させますか?」
「結構ですよ。他の方の仕事の邪魔をしない程度に見学させていただきますので」
「そうですか・・・では、“例の件”もよろしくお願いします」
「はい。お待ちしております」
そのまま、入り口へと向かうトビーは一度振り返り
「それでは、失礼します」
「はい、お疲れ様です・・・」
はやてにもう一度頭を下げて部屋を出ていく
トビーの出て行った扉を見つめるはやて
「なんや、225隊にはあんな人もいてんねんな~・・・マーク部隊長や綾人君とはえらい違いや・・・」
そのまま考え込み
「あれで、一等陸尉で一分隊の隊長やもんな~・・・」
そう小さく呟いた
【トビーSIDE】
「ふむ、内装も綺麗で、清潔感にあふれていますね・・・」
隊舎内を見学しながら感想を言っているトビー
「おや? あれは・・・」
前方にいる2人に気付き、近付いていく
「失礼、お嬢さん方?」
「「はい?」」
「僕はトビー。トビー・ゴードンを言うものです。お名前は?」
「えっと・・・高町なのはですが・・・」
「フェイト・T・ハラオウン・・・です・・・」
戸惑いながら自己紹介をするなのはとフェイト
「やはり! いやぁ光栄です! 本局の若きエースのお2人にこんなところでお会いできるなんて!!」
「は、はぁ・・・」
「どうも・・・」
トビーのテンションに若干引いている
「ここでお会いしたのも運命! よろしければ一緒にお茶などいかがですか?」
「「は?」」
トビーの言葉に目を丸くする2人
<なのは・・・これって・・・>
<うん・・・ナンパだね・・・しかも古典的な・・・>
<ど、どうする?>
<まあ、お茶だけなら大丈夫じゃないかな?>
念話で会話していると
「・・・なにしてんですか?・・・トビー先輩?」
「ん?・・・おお、綾人君じゃないですか!!」
後ろから声が聞こえ、トビーが振り向くと呆れた顔をした綾人が立っていた
「久しぶりですね?」
「ええ、先輩もお元気そうで何よりで」
なのはとフェイトをそっちのけで会話を始める2人
「えっと・・・綾人、こちらの方とお知り合い?」
「・・・俺のいた225隊の先輩で分隊長ですよ」
「分・・・隊長・・・?」
綾人の言葉に首をかしげていると、トビーが再び前に一歩出る
「改めまして、陸士225隊第1分隊隊長・トビー・ゴードン一等陸尉です。以後、お見知りおきを」
「は・・・はい!!」
「よろしくお願いします!!」
慌てて敬礼を返す2人
「そんなにかしこまらなくても構いませんよ? 僕は堅苦しいのは苦手なので、もっとフランクに話してください?」
小さく笑いながらウィンクするトビー
「ところで先輩、なんでここに?」
「ああ、ウチの部隊で集めた捜査資料をこちらの部隊長に届けに来たんですよ。もう資料は渡しましたし・・・この隊舎を見学させてもらっていたんです」
「それで、早速ナンパですか・・・?」
ジト目でトビーを睨む綾人
「何を言っているんですか綾人君!! 美しい女性に声をかけないのは失礼ではないですか!!」
「いや、そんな事力説されても・・・」
トビーの持論に突っ込んでいると後ろの2人は
「う・・・美しい・・・」
「あぅ・・・」
顔を赤くしていた
「お2人とも、トビー先輩は女性であればすぐに声をかける人で、さっきのもこの人の口説き文句ですよ」
「失礼ですね? 僕は常に本心を言っているというのに・・・」
やれやれという表情で首を振るトビー
「ところでトビー先輩? 良かったら隊舎を案内しますけど・・・」
「それは嬉しいですが・・・仕事はいいんですか?」
「ええ。午後はオフシフトですし、時間もありますから」
「そうですか・・・では、お願いしますよ。綾人君?」
「了解です」
そう言って、なのは達と別れて歩き出す綾人とトビー
【綾人SIDE】
「いやぁ・・・この部隊には美しい女性が多くて驚きました」
「まあ、綺麗な人は多いですね・・・はやてさんとかなのはさんとかを筆頭に・・・」
「おぉ・・・ついに綾人君もわかるようになりましたか? いや~先輩としての手ほどきはもう必要なさそうですね?」
「いや、そんなもの受けた覚えは・・・あれ?」
トビーの言葉にツッコミを入れようと振り向くと、既にトビーの姿はなかった
「失礼・・・そこの橙色のツインテールのお嬢さん?」
「は・・・はい?」
突然声をかけられ、驚きながら振り向くティアナ
「お名前は?」
「えっと・・・ティアナ・ランスター・・・です・・・えっと」
「おっと、失礼・・・僕の名前はトビーと言います。ここでお会いしたのも何かの運命・・・一緒にお茶など・・・」
「おいこら。そこの分隊長」
お約束のナンパをしているトビーの後ろから、少しドスの聞いた声をかける綾人
「おやおや・・・見つかってしまいましたか・・・」
「バレないと思えるその感覚が理解できませんよ」
「あの・・・先輩・・・この人は?」
突然始まった2人の漫才を見ながら、ティアナが綾人に質問する
「あ? ああ・・・俺の前にいた225隊の分隊長・・・一応は」
「綾人君? 『一応』は余計ですよ?」
ため息を吐きながら紹介する綾人に律儀にツッコミを入れるトビー
「改めまして、トビー・ゴードン一等陸尉と申します。よろしくお願いしますね? ランスターさん?」
「は・・・はい! よろしくお願いします!!」
階級を聞いて慌てて姿勢を正して敬礼をするティアナ
「おやおや・・・ここの部隊の方は、結構硬いですね・・・」
「いや、これが普通なんでしょうけど・・・」
先ほどと同じ光景を目の当たりにしたトビーはため息を吐く
「ティアナ。とりあえず、なのはさん達と話す時みたいな感じで大丈夫だから」
「あ・・・はい・・・」
綾人に教えられて、少しだけ肩の力を抜くティアナ
「それで、その分隊長さんがどうして六課に?」
「仕事ですよ。時間が出来たので、この隊舎を見学させてもらっています」
「俺は、その案内兼見張り・・・」
「見張り?」
綾人の一言に首を傾げるティアナ
「ああ。さっきみたいに、女性を見かけてはナンパするからな・・・」
「ああ・・・なるほど・・・」
何となく納得してしまう
「それって、あんな風にですか?」
「は?」
ティアナが指を差す方向を見ると、トビーが再び声をかけていた
「可憐なお嬢さん。僕はトビーと言います。あなたのお名前は?」
「は・・・はぁ・・・えっと・・・キャ・・・キャロ・ル・ルシエ・・・です・・・」
びっくりしながらも自己紹介をするキャロ
「あの人は・・・それじゃあな!」
「あ・・・はい・・・」
ため息を吐きながらトビーのもとに向かう綾人
「キャロ?」
「あ・・・エリオ君」
「おや?」
キャロが見知らぬ男性と話しているのを見かけたエリオが声をかける
「この方は?」
「えっと・・・トビーさん・・・って言うんだって」
「トビー・ゴードンと言います・・・はじめまして、小さなナイト君?」
エリオにも自己紹介をするトビー
「キャロ!・・・ってエリオも一緒だったか・・・」
「あ・・・綾人さん」
かけてくる綾人を見つけて少しだけホッとしているキャロ
「悪いな・・・ウチの元分隊長が迷惑かけて・・・」
「何を言っているんですか? 僕は自己紹介していただけですよ?」
「エリオとキャロまで巻き込まないでください」
肩を竦めるトビーに注意する綾人
「あの・・・分隊長って?」
「ああ。俺の前にいた225隊の分隊長だよ」
「よろしくお願いします」
2人にお辞儀をするトビー
「「よ・・・よろしくお願いします!!」」
なのは達やティアナと全く同じ反応の2人
そして、2人にも同様の注意をする綾人
「そうですか・・・彼らも同じ部隊ですか・・・」
「ええ」
2人と別れ廊下を歩く綾人とトビー
その際に、2人について簡単に説明した(エリオの少し複雑な事情は流石に隠している)
「しかし・・・いくら本人達の意思とはいえ・・・歯痒いですね」
説明を聞いたあと、そうつぶやくトビー
「人手が足りないという理由で、あんなに小さな子供にまで戦わせなければならないなど・・・我々大人の責任です・・・」
「そうですね・・・」
綾人も頷く
「綾人君・・・あの2人のことをしっかりと守ってあげてください?」
「当然です・・・」
真剣な顔をして綾人に話しかけるトビーに、綾人もしっかり頷く
「む? 綾人ではないか・・・こんなところで何をしている?」
「あ・・・シグナム副隊長・・・」
不意に後ろから声がかけられ、振り向く綾人とトビー
「おお!!」
シグナムを見た途端、目を見開くトビー
「な、なんだ?」
トビーの反応に少し驚きながら首を傾げるシグナム
「ああ、これは失礼を・・・陸士225隊第1分隊隊長・トビー・ゴードン一等陸尉と申します」
「む。シグナム二等空尉です」
自分よりも上官であるとわかると、シグナムも敬礼をする
綾人に関しては
「またか・・・さっきはあんなに格好いいこと言ってたのに・・・」
と、ため息をついていた
「ここでお会いできたのも何かの運命・・・よろしければこれから一緒に食事など・・・」
「申し訳ないが、私にも仕事があるので・・・」
「そうですか・・・それは残念です」
少し落ち込むトビー
「・・・225隊と仰いましたね?」
「ええ」
「ならば、私と一度手合わせしていただきたい」
突拍子もなくそんなことを言ってくるシグナム
トビーも綾人も首をかしげている
「綾人と同じ部隊の方で、さらに分隊長であるなら相当な実力を持っているはずですが?」
「はぁ・・・まあ、自分で言うのもなんですが、それなりには自信はありますが・・・」
トビーの一言にシグナムの目が怪しく光る
「では、是非とも」
「構いませんが・・・一つ条件をだしてもよろしいですか?」
「なにか?」
「私が勝てば、食事をご一緒願えますか?」
「・・・構いません」
トビーの提案に頷くシグナム
「先輩、いいんですか?」
「ええ。断る理由はなくなりました」
にやりと笑って綾人に答えるトビー
「では、行きましょうか・・・」
「ええ」
シグナムに付いていくトビー
「・・・一応、なのはさんに言っておこう」
綾人はなのはに訓練場を使用することを伝えて自分も向かっていった
~仮想シュミレータ 地形設定:森~
「・・・で・・・なんでみんな居るんですか?」
振り向きながら聞いてくる綾人に苦笑いを返す面々
ちなみに来ているのは綾人の他にはスバル、ティアナ、エリオ、キャロ、なのは、フェイト、ヴィータと、なのはに付いてきたヴィヴィオと護衛のザフィーラ、デバイスのデータチェックも兼ねたシャーリーとリョウの11人
「まあ、225隊の話はあたしも聞いちゃいるが、実力はよくわかんねーからな。シグナムが興味を持つのも頷ける」
「あとは、みんなにも見学して勉強して欲しいしね?」
ヴィータとなのはがそう答える
「うーん・・・先輩の戦闘ってあんまり参考にはならないかもですよ?」
「そうなの?」
腕を組んで答える綾人にフェイトが首を傾げる
「ええ・・・と言うか、225隊の人の戦闘スタイルって独特ですから、人に教えられることって少ないんです。基本的な訓練はみんなでやりますけど、あとは個人練習が多いですね」
似たような戦闘スタイルなら、たまに模擬戦も行われる
多方面で任務を行なっている225隊では、チームとしての行動はそのチームの各リーダーの定めた最終目標があり、各自の判断で目標達成に行動するのだ
新人は、最初は先輩と行動を共にしながら仕事を覚え、半年位で独自の判断での行動を求められる
などの説明をする綾人
「ところで、トビー一尉って強いんですか?」
「ああ。かなり強い・・・」
エリオの質問に答える綾人
その言葉に、全員がトビーに注目する
【トビーSIDE】
「おやおや・・・随分とギャラリーが集まりましたね・・・しかも美人ばかり・・・」
「まあ、新人達にもいい勉強になると思いますが?」
「そうですか?・・・だといいですが」
シグナムの言葉にそう答えるトビー
「僕達の戦いで学ぶことは、かなり少ないと思いますよ?」
「どういう意味ですか?」
「・・・勝負は・・・“一瞬”で終わりますから」
首を傾げるシグナムにそう答えるトビー
その言葉を聞いて、シグナムに火がついた
「ほほう・・・ならば、証明していただこう・・・その実力を!」
そう言ってレヴァンティンを構えるシグナム
「ええ。では行きましょうか・・・『セルシウス』?」
{Set}
右手の腕に付けられたトビーのデバイス『セルシウス』がトビーの声に反応して起動する
白を基調にしたローブ状のバリアジャケットを羽織るトビー
手にはこれまた白を基調にした細剣(レイピア)が握られている
「いつでもどうぞ?」
下段に構え、シグナムにそういうトビー
対するシグナムはまっすぐに構える
(なんという気迫だ・・・隙を感じぬとは・・・)
トビーからあふれる気迫に、少しだけ押されているシグナム
悠々とした態度とは裏腹に、かなりの実力を感じさせるトビーの闘気
だが、ここで引いては騎士としての恥・・・
そう思ったシグナムは、一撃に全てを込めることにした
「はぁぁぁぁ!!」
刀身に炎を纏わせて一気に距離を詰めていくシグナム
しかし、トビーは微動だにしない
【綾人SIDE】
「動かない!?」
「あんなに近づかれているのに!?」
シグナムがほとんど眼前に迫っている状況でも動かないトビーに、なのはとティアナの2人も驚く
「カウンターにしても、もう遅いぞ!」
「いいえ・・・もう決まってます」
ヴィータの言葉に、そう答える綾人
「どういうことですか?」
キャロが綾人に振り向いて聞いてくる
「見てればわかるよ」
キャロはよくわからないままもう一度見ると
シグナムの足元から鎖が飛び出していた・・・
【トビーSIDE】
「はぁぁぁぁぁ!!」
トビーの眼前まで肉薄し、レヴァンティンを大きく振り上げるシグナム
それと同時に、トビーが指を鳴らす
「紫電・・・いっせ・・・!?」
降り下ろそうとした瞬間に身体が固まる
腕を見てみると、鎖が巻きついていた
「これは・・・設置型のバインド!? それに・・・これは・・・」
「気づきましたか?・・・僕の能力・・・」
鎖から感じるものに気づいたシグナムにそう聞くトビー
「これは・・・変換資質・・・?」
「正解です。僕の変換資質は・・・『氷結』です」
シグナムに巻きついている鎖から感じられたのは“冷気”
「それに・・・それだけではありませんよ?」
「なにを・・・なっ!?」
トビーに聞き返す前にシグナムの顔が変わる
鎖の冷気が広がり、巻かれていた腕がみるみるうちに氷に覆われていき、徐々に身体全体を包んでいく
「ただ拘束するだけでは意味がありませんからね・・・」
「くっ!!」
レヴァンティンの炎の威力を上げるシグナムだが
「その程度の炎では・・・溶けませんよ?」
トビーの氷は炎を纏うレヴァンティンさえも包んでしまい、とうとうシグナムの頭も覆い始めてきた
「“絶対零度(アブソリュート)”・・・」
そして、シグナムの全身が氷に覆われた・・・
それから、数分後・・・
「シグナム副隊長、大丈夫なんですか?」
「・・・ああ・・・大丈夫だ・・・」
訓練場の外に出て、フリードの炎で焚き火を起こし、身体を温めているシグナム
「今が8月でよかったですね?」
「ふっ・・・そうだな・・・」
綾人の言葉に小さく笑うシグナム
「しかし、トビー一尉って強いんですね?」
「普段は結構軽いんだけどな? 模擬戦とか戦いの時はあんな感じだ」
シグナムを介抱しながら話す綾人達
そこに、トビーが近づいてくる
「シグナム二尉? 大丈夫ですか?」
「ええ。ご心配なく」
「そうですか・・・では、例の約束・・・お待ちしています」
「・・・はい・・・」
約束の確認をして、頷き綾人達に振り返る
「それでは、綾人君、それに皆さん、僕はこれで失礼しますね?」
「あれ? もう帰るんですか?」
「ええ。そろそろ戻らないと、部隊長に怒られますので・・・それでは、また・・・」
それだけ言うと訓練場を出て六顆を後にするトビー
「不思議な人ですね?」
「キャロ? あれは“変”って言っていいんだぞ?」
キャロにそんなことを言う綾人
相変わらず、気心がしれた相手へは例え上官であっても容赦が無いのがこの男
【トビーSIDE】
「ふむ・・・なかなかいい部隊ですね・・・綾人君も充実しているようですし・・・」
敷地を出て、六課に振り返るトビー
「これは・・・明日が楽しみですね・・・」
そう呟き、225隊に向かって帰っていくトビーだった・・・
どうも
というわけで225隊の分隊長の登場です
トビーさんのイメージは『ファンタシースターポータブル2 インフィニティ』のヒューゴさんです
この小説では、『魔力変換資質』がそこそこ登場しますので、お楽しみに
では次回予告
時空管理局、地上本部・・・その一室に2人の人物がいた・・・
「ワシとて暇ではないのだが?」
「それは、俺もだ・・・」
その2人は、現管理局において重要な位置だが、互いに信頼し友と呼び合う存在でもある
「『ゼスト・グランガイツ』・・・という名を覚えているな? レジアス・・・」
「!!」
その名が、2人に緊張を伝える・・・
次回、『守護者と剣王』
背負う者は、人それぞれ・・・
次回もオリジナルです