Fate/Select Advance “旧題:静謐が俺の鯖の件について”   作:ボロ刀(改)

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仕事に追われ、夏バテと貧血に振り回された為に更新が遅れたことをここで謝罪します


静謐が恐れている事の件について

 三日目。

 

 ドールの強化や礼装の内容を調べたり、強化に使ったことによるQP枯渇に嘆きそうになったりしながら、静謐とベッドで同衾(意味深はなかった)をしての翌日。

 

 俺と静謐は、持ち込んだチーズ味のカロリーメイトと水を口にしながら千葉の実家へ向かうことについての話をしていた。

 

 朝飯の前に親父と母さんの携帯に電話してみたが、混線が二日目の時から混線したまま全く繋がらないので連絡は出来なかった。

 

「まだ動くテレビからの情報だと、東京に集まる人達がいるみたいだな」

 

 スマホのテレビ機能で得た情報だと、政治家達が自衛隊の力に頼り東京で引きこもりを決め込んでいる。

 

 また、自衛隊が東京にいるなら安全だと判断しての人民大移動が起きて助けを求めるが、人民達からすればまさかの自衛隊が道を封鎖して東京に入れないようにしているという状況らしい。

 

「今はスケルトンだけですから閉じ籠るのは良いですが、その内に別の敵やらが出てくるかも知れません」

 

「そっか。スケルトン以外の敵がその内に来るのはありえるよな」

 

 敵の強さをストーリー基準で見たら、竜牙兵とゾンビとワイバーン辺りが出てくる。

 

 それか強さ関係なくランダムで選ばれるかも知れないし、もしかしたらシャドウサーヴァントが出てくる可能性だってある。

 

 もし、シャドウサーヴァントなんて出てこられたら自衛隊が全うに倒せるとは思えないし、仮に倒せても被害は目も当てられないことになりそうだ。

 

「この予想が当たっていたとしたら、人類ヤバイよな?」

 

「生き延びられても、人類の数は多大に減っていくのは確実。昨日の時点でも多大に減っているでしょうし、日を過ぎる事に生きていくのが厳しくなっても不思議ではありません」

 

「シャドウサーヴァントは命の危機的な意味で一番ヤバいし、俺達の前に出てきても可笑しくないのか?」

 

「実際どうなるかは、未来の私達にしか分からりません。なので、出てきたその時に対処を考えましょう」

 

 日を過ぎる事に、敵が強くなるか数や種類が増えるかも知れないなら急がないとならない。

 

 いざ実家へ帰ってみて両親が亡くなってましたのを知る可能性は充分あるし……考えるだけで鬱になりそう。

 

「マスターの自転車で移動する場合、順調に行けば五時間辺りで辿り着けるとの事ですが、それはあくまで順調に行けばの話です」

 

「ああ。スケルトンの邪魔や、崩れた建物とかで遠回りしなきゃならないことも含めると辿り着ける時間は二日も使うかな?」

 

「いいえ。敵に自転車が破壊される可能性もありますので、もっと掛かることになるかも知れません」

 

「うわぁ。考えるとキリがないな」

 

「はい。ですが、悪い予想を頭にあるのと無いのとでは、起きた後の動きは悪くならない筈です。だから、そう悪い事ばかりではありません」

 

 なるほど。前向きに見ればそういう見方があるのか。

 

 なら、これからの座右の銘は「悪い事が起きても前向きに」にした方が俺の今後は明るいかも知れないので、今日から心掛けてみるとしよう。

 

 そういった会話を終わらせた後、俺と静謐はラブホテルの従業員達にお世話になったと挨拶と言葉を交わしてから、近くに停めておいた自転車に跨がりペダルを漕ぎ出す。

 

 向かう先は千葉の実家で、距離は約50キロ以上。順調に行けば夕方辺りには着くだろう距離だが、何かしらの邪魔が入るだろうから予想で二日は掛かると見ているし、東京を避ける形で移動するのだからもっと掛かることになるだろう。

 

 自転車に乗る俺の右を並走する静謐は、時折に短刀を何処かへ投擲をしているのは近くに寄ってきたスケルトンを毒を塗った短刀で始末する為だ。

 

 静謐が近寄ろうとするスケルトンを軽く始末してくれるが、短刀の回収は必要な為に俺の左を並走するドール・エミヤはその間、走りながら弓矢を放つ頻度が増えていた。

 

 ここでドールに抱き抱えてもらいながらの移動の方が速いんじゃないか、と疑問を持つ方はいるだろうから説明する。

 

 その移動方法をしない理由は静謐の件で生きた心地がしなかったのが一番の理由だが、それ以前に相手が男だろうが女だろうがお姫様抱っこかおんぶでの移動は誰かに見られたら恥ずかしいからだ。

 

 

 

 ★ ★ ★

 

 

 

 暫く順調だったけど、やはり敵の種類が増えていた為に歩道橋の一部が瓦礫となり道を塞いでいたり、敵が予想した通りに種類が増えていて、増えていた敵はワイバーンだった。

 

 つまり、何日かすると段階を踏んで敵の強さや種類が増えていくという予想が的中していた。

 

 いや、単にランダムで選ばれてそうなっただけかも知れないので確信するのはまだ早いが、どちらにしろ敵が段々と厄介になっていくのは確実なのは判明した。

 

 今は軽く倒せても、その内にそういかなくなるの日が来ると思うとこの先を生き延びられるかの不安が高まってしまう。

 

「参ったな。こりゃ」

 

 やはり順調とは行かなかったから、夕方になる前に探して見つけることが出来たラブホテルに泊めてもらうことが出来て、三階の一室で俺は今、唸っていたりする。

 

 空を飛ぶワイバーンまで出てきたとなると、両親と別れた部長の事が心配になる。

 実はもう両親と再会するのは間に合わないのではと、悪い想像を何度かしてしまいながら俺はスマホのテレビ機能で何がどう変化したかを確かめてみる。

 

「……凄い人がいたもんだな」

 

 確かめてわかったことは要約するとニュースキャスターの男性が「FGOのアプリをダウンロードして生き延びて下さい」という内容を力強く訴えていたところを、様々な人達によりカメラの外に出されてしまった後に別の女性ニュースキャスターが「お騒がせして申し訳ありません」と謝罪するというもの。

 

 信じてくれない可能性が高いだろうけど、かなり貴重な情報を何の惜しげもなくぶちまけてくれる男性ニュースキャスターには強い勇気と優しさがあるのだと思えてくる。

 

 未来にはこれが真実だと分かってもらえるのは確実だろうけど、今それをニュースに流して信じてもらえるかと言えば答えは「NO」だ。

 

 なのに、あの男性ニュースキャスターの元に英霊がいるならば、こんな行動が出来る勇気があるからこそ可能とした内容に俺は感動していた。

 

 席札には「田村良一」と書かれていたので、それが男性ニュースキャスターの名前なんだろう。

 

「一部を除いた人達から、悪く言われるのを覚悟でしたんだとしたら凄い人だ」

 

「情報を広める仕事に携わる人ならではの、有効な情報提供ですね。信じてもらえるかは別としてですが」

 

 問題はそこだけど、田村さんは信じてくれる人達だけでも助けられたらとしたんだと思う。

 

 そうでなければ、良い意味で単純な人なんだろう。

 

「あの方にサーヴァントがいるとしたら、どんな方でしょう?」

 

「聖人とか? 田村さんを説得したとか背景にあるとしたのなら、そうなるけど」

 

「王を務めた経験のあるサーヴァントの可能性もあります。緊急性の高い情報を広めるべきと言うサーヴァントに心当たりがあります」

 

 王様な英霊か。騎士王か征服王、賢王辺りは必要なら田村さんにやらせるかも知れない。

 

 Yなローマ王とか……いや、その他の善属性の英霊の可能性だってある。

 

 現時点で的中率の高い予想では、田村さん菜には英霊が傍にいるということだけだな。

 

「どちらにしろ、田村さんはもうニュースキャスターをやれなくなったか。まあ、時間の問題だっただろうけど」

 

 世界中が可笑しくなっているんだから、職業を全うする以前の問題だし。

 

「田村という方がああまでするという事は、マスターの悪い予想も近い内に的中するのでしょうか?」

 

「否定は出来ない。田村さんも今日、ワイバーンを見たとかして俺と同じ予想とかした結果が、あのニュースなのかも知れないし」

 

 実は俺が予想した内容より、危険な事態になる可能性だってある。それにぶつかった時に俺は生きていられるかは未来の俺次第になる。

 

「私は、マスターにまだ生きていてほしいです……」

 

「安心してとは断言出来ないのが情けない気もするけど、まだ死ぬなんて嫌だから、ちゃんと足掻くつもりだよ」

 

 嘘を吐こうかと一瞬悩んだが、静謐を安心させるには言葉で足りるとは思えず嘘はやめて内心を語るしか出来なかった。

 

「マスター」

 

 すると、悩みながらの俺の内心を聞いた静謐は、急に俺の近くへ寄るなりベッドに座る俺を押し倒す。

 

 ちょ、待って、何する気だ? てか、両目に淀みが生まれ始めているような?

 

「マスターは、死なせません。触れ合えることの大切さ、暖かさ、尊さを知ってしまった私はあなたをまだ死なせたくない。あなたが寿命を終える時まで、触れ合いたい……」

 

 淀みが段々と濃くなり、濃密されていくと静謐の両目にあった筈の光が覆われ隠されてしまい、俺の視界に映る静謐はまるで……

 

「今夜は愛し合いましょう、マスター。あなたの口から死の可能性が出ることが無くなる程度に……」

 

 彼女の言葉通り、失うことを異常に恐れているように映る表情をしていた。


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