お前のハーレムをぶっ壊す   作:バリ茶

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感想で聞かれたのでお答えすると前回のレーザー怪人は2話のオカマのことですわよ



デートしようぜ!

 

 

 

「手……ベトベト……」

 

 仮想空間に訪れてから約一週間後の現在、俺は学園の体育倉庫付近にある水道で手を洗っていた。

 蛇口から勢いよく出てくる冷水に手を打たれながら、軽く溜め息も吐く。特別嫌な事があったわけではないが、これから先を考えると少し憂鬱だ。

 

 

 淫紋を発動させないために海夜の性処理を始めることになった日から、いつでも駆けつけられるよう常に学園内をほっつき歩く事に決めた。

 許可も取ってあるし、幸い露恵学園はほぼ学園都市と化しているから別段暇はしない。本屋もあればゲーセンもあるし、日中ここに留まること自体が苦になっているわけではない……のだけども。

 

 困ったことに、海夜の性欲が旺盛すぎる。エロゲの主人公という部分も加味して覚悟はしていたものの、まさか一日に四回以上求められるとは思わなかった。淫紋による性欲増幅の分もあるのだろうが、この調子では少々骨が折れる。

 

 最初こそ『アイツが自慰で勝手に処理してればいんじゃね?』とも考えていたのだが、あの調子じゃ多分駄目だ。

 

 恐らく海夜の『性欲をスッキリさせたい』気持ちと淫紋による『性欲発散』は別。今彼を悩ませているのは後者で、しかもそれは本能的に女の子の体を求めている節がある。俺に対して過度に甘えるあの姿を見れば丸わかりだ。

 

 つまり女の子との性的な接触と性欲の発散、これを同時にしなければ淫紋を抑えられない。そうなると自分一人で発散する自慰では無意味ということになってしまう。そして海夜が現在性的な接触ができる相手は俺だけ……。

 

 

 とは、いっても。

 

「海夜も、大変……かも」

 

 さすがに無神経ではないので、あいつが俺に対してかなりの罪悪感を持っていることは分かる。

 

 自分で言うのもなんだが……まぁ事実なので言わせてもらうと、家族を助けてくれた恩人に対して何度も性欲処理を頼むのは、俺の想像以上にとても恥ずかしいし悔しいのだと思う。俺が同じ立場なら恐らく耐えられない。

 

 それでも恥を忍んで俺に頼み込んできているのは、ひとえに淫紋の恐ろしさを知っているからだ。8時間以上も体の小さな女の子を犯し続けるほど発情したアイツだからこそ、誰よりも淫紋の暴走状態を恐れている。

 

 もう過ちは犯したくない──そんな意志があるからこそ、死にそうなくらいの恥ずかしさを我慢して、俺に性欲処理を頼みに来ているわけだ。

 

 

 行為中に甘えてくるのも、きっと淫紋の僅かな作用で自然とそうなってしまっているだけなのだろう。

 

 

「……うん、俺が、なんとかしないと」

 

 あいつの気持ちが理解できる俺だからこそ、力になってあげないと。

 同じお兄ちゃん仲間だし、えっち以外なら何でも手伝うぜ。

 

 ……ま、まぁ、流石に胸とか太ももとか、少し触りすぎだけどな? もうちょっと頑張って淫紋に抵抗しような? あと『リアの柔らかくて小さい手が……』とかいちいち喋るのはやめろォ!

 

 

 

「な、なぁアンタ!」

 

 

 手を洗い終えて蛇口を締めると、後ろから男性の声が聞こえてきた。

 

「……?」

 

 周辺に俺以外の人影は見受けられないので、声を掛けられたのはおそらく俺だ。

 何事かと思って振り返ってみると、そこには意外な人物がいた。

 

 ──田宮浩太。俺がこの世界に来て、一番最初に発見したメインキャラだ。

 

 確か海夜と昔からの友達だとか、そういう設定だった気がする。結局初日に見かけて以来、話したこともなかったから詳しくは分からないけど。

 

 何の用? そう聞こうとして口を開けると、先に彼が声を発した。

 

「あんたプレイヤーだろ!? 逃避行ルートのはずのリアが学園内に出没するなんて話、掲示板でも聞いたことないし……!」

 

 

「えっ」

 

 こいつ今、プレイヤーって言ったのか?

 リアって名前も知ってるし、ルートがどうとか……待て、もしかしてこの人、オカマが言っていた協力者か?

 

 

 ──いや、ちょっとおかしい。

 オカマの話通りなら相手から『剛』って合言葉を言ってくるはずだ。それを言ってこないってことは……多分、別のプレイヤーだ。

 

「……あなたも、プレイヤー?」

 

「そ、そうだ! 本当の名前は呉原(くれはら)っていうんだけど──」

 

 

 

「は?」

 

 

 呉原? いま呉原って言ったのか?

 えっと、あの、もしかして……なんだけど。

 

「地東高校、二年A組の呉原?」

 

「……え? お、俺の事知ってるのか!?」

 

 ちょっと待てや。こんな偶然ってあるのか。 

 

「剣道部所属で、男子からは……エロゲ博士って、呼ばれてる?」

 

「へっ……ど、どうしてそれを」

 

「友達を、高額バイトに誘った?」

 

 俺がその言葉を口にした瞬間、自分がプレイヤーだと名乗った田宮は、ハッとしたような表情に変わった。

 その変わりようが、俺の中の疑問を確信にさせた。

 

 うわぁ、間違いねぇぞ、これ。

 

 

「もしかしてお前……み、美咲か!?」

 

 

 クソデカい声で、俺の現実世界での名字を叫んだ田宮。こりゃもう間違いない。

 俺のことを名前で呼ばず、女性の名前っぽい名字で呼んでくる友達は一人しか知らねぇ。

 

 そいつは一週間くらい前に俺をバイトに誘って、デスゲーム会場に案内しやがったアホ野郎だ。この世界でもし会ったら、その時はどうしてやろうかっていつも考えてた。

 

 それがまさか……自分から会いにきやがるなんてなぁ!?

 

「……呉原」

 

「マジで美咲なのか!? てか、さっきのどういうことなんだ! お前、蓮斗にあんな──」

 

 

「そこから、一歩も動かないでね」

 

 

「へっ?」

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 

「でゅ、でゅびばぜんでじだ(すみませんでした)

 

「……ふんっ」

 

 数分後、ベンチに座る不機嫌な俺の隣には、両頬が真っ赤に腫れた田宮がいた。言わずもがな、怒りに身を任せて俺がぶっ叩いた。そりゃもう、めちゃくちゃ力を込めましたわ。

 

 てかこいつ、よく俺の前に姿を現せたな。話は聞かなきゃ駄目だと思ったから多少は手加減したけど、俺にひどいことされるって考えてなかったのか? 場合によってはマジでもっと怖いことしてたぞ!

 

 わざわざ俺をデスゲームに引きずり込んだくせに、プレイヤーになって会いに来るなんて何考えてんだこいつ……。

 

「お、怒ってる……よな」

 

「うん」

 

「だよな。……うぅ、その、マジでごめん。何て謝ったらいいか……」

 

 そう言って田宮が俯いた。

 

 

 ……自分で連れて来たくせに、何でそんなに落ち込んでんだ。

 ていうかそもそも、何でこいつまでゲームに参加している?

 大方俺をゲームに参加させることで金を貰う約束でもしてたんだろうけど……もしかして運営に裏切られたのかな。

 

 俺が横を向いてジッと見つめていると、田宮がぼそぼそと喋り始めた。

 

「やっぱりさ、悪い噂があるような先輩の話なんか……真に受けちゃ駄目だよな。お前まで巻き込んじゃって、ほんと……」

 

「ちょ、ちょっと待って」

 

 なにやら一人で話しを進めてる田宮を遮った。ちょっと話の様子がおかしいというか、何か違和感がある。

 

「どうした?」

 

「えっと……デスゲームだって知ってて、誘ったんでしょ?」

 

 首をかしげながらそう言うと、田宮が両手を前に振りながら慌てて返事をした。

 

「ち、ちげーって! 先輩に割のいいバイトあるからって紹介されて、だから金が足りないって言ってたお前を──」

 

 そこまで言いかけて、田宮は言葉を詰まらせた。先程までの勢いが無くなり「いや、その……」と口ごもってしまっている。

 

「……悪い。これ、言い訳だよな。美咲のこと巻き込んだのは事実だってのに……俺、卑怯者だ」

 

 再び俯いてしまう田宮。掛けていい言葉が分からずに俺が狼狽している間にも、彼は言葉を続けた。

 

「この世界に来た時、ほんと最初はめちゃくちゃ焦ってさ。もうワケ分かんなくなっちまって! ……でも」

 

「……?」

 

 ふと、田宮が顔を上げて俺に視線を移した。

 

「プレイヤーの中にお前がいるって気づいたら……安心して、落ち着くことができたんだ。美咲がいる、俺は一人じゃない……ってさ」

 

「呉原……」

 

「ほ、ほんと最低だよな! お前だって同じ状況だったのにさ! 俺だけ……おれ、だけ……っ」

 

 言葉の途中で、田宮──呉原は小さく嗚咽し始めてしまった。悔しそうに表情が歪んで、手がプルプルと震えている。

 

 

 

 え、えっ、ちょっと待って! 泣かないで……!?

 

 なんか俺が考えてたシナリオと全然違うんだが! 話を聞く限りこれ呉原も騙されてただけなのでは!?

 そうなると俺が呉原に八つ当たりしただけじゃん。こいつ何も悪くないじゃん。

 

 うっっわ恥ずかし、申し訳ねぇ……いやこれ、どう謝ればいいんだ!?

 

「っ、ごめん美咲……っ、ほんとごめん……っ!」

 

 めっちゃ泣いて謝ってんじゃんこの人。完全に呉原を追い詰めちゃったよ俺ぇ……!

 まずいまずいどうしようこれどうしよう。これ完全に俺が悪いよな? 早とちりして八つ当たりした俺が悪いよなこれぇ!

 

 

【抱きしめて励ましてあげて……(´;ω;` ) (P+1)】

 

【いいから早く上を選べ……(P-1)】

 

 

 元を辿ればテメーらのせいだろうが!? 白々しいぞチクショウこの野郎!!

 てかこれ二択どころか強制一択じゃねーか! いいから上選べじゃねぇんだよバーカ!!

 

 ……くっそ、久しぶりに選択肢出てきたと思ったらこれかよ。

 いやでも、どのみち呉原には謝らないと駄目だ。 

 

「く、呉原……」

 

 サッと選択肢を押したスマホをポケットに戻し、俺は隣に座っている彼に近づいた。

 お尻をせっせと動かして、二人の間にあった隙間を埋めていく。

 

 程なくして、俺たちは肩が密着するほどの距離になった。当然、呉原も困惑している。

 こんなことで許してもらえるとは思えないが、とにかく抱きしめないと始まらない。

 

 呉原の肩にそっと手を置き、彼がこちらを振り向いた瞬間、俺は泣いている同級生の頭を抱きしめて胸の間に埋めた。

 

「みさ、き……?」

 

「呉原は、何も悪くない」

 

 優しく言いながら、頭を撫でる。相手からすれば同級生の男友達に抱きしめられている感覚なので、おそらく相当気持ち悪いと思う。そこはマジで申し訳ない。

 デスゲーム考えたバカ共は後でぶちのめすから、どうかゆるして……。

 

「主催者が、全部わるい。呉原が気に病む必要、ぜんぜん無いから」

 

 ほんと全部あいつらが悪いから! ぁ、いや、叩いたのは俺が悪いけど! でもデスゲーム開催した奴らは全員ぶっ殺すから!

 

 

 そんな気持ちで必死に励ましていると、俺の腕から解放された呉原が軽く笑った。

 

「……ははっ。男友達に抱かれる日が来るなんてな……虫唾が走るわ」

 

「うそ。呉原、ニヤニヤしてる」

 

「お前体だけはエロゲのヒロインなんだからそれに抱きつかれたらそうなるわ! 好きになっちゃうから触るのやめろォ!」

 

 俺の指摘を笑って冗談まじりで返せるくらいには、気持ちも落ち着いたみたいだ。

 ……はぁ、ちょっと安心した。

 

「その、強く叩いて……ごめん」

 

「わっ、ほっぺ撫でなくていい! だいじょぶだって!」

 

 

 

 

 

★  ★  ★  ★  ★

 

 

 

 

 

 一日後。現在の居場所は、街の中にある噴水広場のベンチだ。

 

 

 落ち着いたあのあと、俺の話を詳しく呉原──いや、田宮に聞かせた。

 残機が減る条件のこと、ミッションのこと、それから淫紋のことも。

 

 今は回線が繋がっているので、流石にオカマや協力者のことは話せなかったが、それ以外の共有できる情報はすべて開示して、スマホの番号も交換しておいた。

 

 運営側のことは少し気がかりだが、ゲーム攻略中のプレイヤー同士が軽い交流をする程度なら、何も問題は無いだろう。寧ろ『協力するのも面白い』とか言いそうな連中だ。

 

 というわけで田宮と相談をした結果、ある程度の方針が決まった。

 

 

 まず、俺たちのクリア条件はポイントを貯めることなので、このゲームのシナリオ自体を攻略する必要は無い。

 つまり大量ポイントゲットの為に『海夜のヒロインになる』ことは変わらないが、今までのように状況に流されず、自分の都合が良くなるように行動した方がいい、というわけだ。

 

 しかし田宮の話によれば、このままだと藤堂文香と高月ロイゼール、その二人のイベントがどちらとも発生する可能性があるらしい。

 

 その二人のイベントはフィリスや陽菜の数倍攻略が難しいらしく、そもそも『他ヒロインのイベント』なので攻略できたとしても『リアが()()()ヒロインに近づく』要素が無いので、ヒロインを目指すプレイヤーの俺からすればただの遠回りだ。

 

 

 つまり?

 

 

 もっとヒロインっぽい行動をして、さっさとクリアしようぜって話だ。

 

 

 田宮によれば今のリアは原作とかけ離れた状態にあるとのことなので、シナリオに沿って海夜のヒロインになるのは難しい。

 

 なら自分から『海夜がリアを攻略するイベント』を作るしかない。

 

 

 というわけで、本日は海夜とデートをします。

 

 

 これだけで攻略されたら不自然なので、今回は海夜が(リア)からの好感度を上げるためのイベントとして。

 高月から洋服貰って着替えて来たし、準備万端だ。これは無感情に見えるけどおしゃれを気にする女の子っぽい部分もあるんだぞ~、っていうヒロインアピールな。

 

 さぁ、かかってこい海夜! 俺は告白されただけで堕ちるぞォォ!

 

 

「あっ! フィリスちゃん、あそこにいるよ! おーい! リアねえー!」

 

「……?」

 

 ベンチに座ったままふと顔を上げると、遠くから手を振りながらこちらに走ってくる二人の少女の姿が見えた。

 

 一人は陽菜、もう一人はフィリスだ。フィリスは遠目から見てもあの水色の髪ですぐ分るし、もう一人のお姉ちゃんってことで俺の事を『リア(ねえ)』と呼んでくれるのは陽菜だけだから分からない筈がない。

 

 

 ……俺が呼んだの、海夜だけだった筈なんだけどな。

 よく見れば二人の後ろに海夜がいるし、大方『私も行く!』とねだられたのだろう。

 

 陽菜から見て俺はもう一人のお姉ちゃんになって、フィリスから見ても一応怪人から助けてくれた恩人ということになっているので、付いてきても仕方がない。

 

 なにせフィリスとの約束は陽菜の件で有耶無耶になっちゃったし、陽菜とはまだまともに遊んだこともない。タイミングを考えれば、海夜に引っ付いてくるのは当然といえる。

 

 

 しかーし! 決してここで焦ったりはしないぜ!

 

 なぜなら今日の俺は『無表情ヒロインモード』に入ってるからな! 何事にも動じないし、いつもとは一味もふた味も違うぞ!

 

 

「リアねえー!」

 

 俺がゆっくりとベンチから立ち上がると、走ってきた陽菜がそのままの勢いで俺に抱きついてきた。

 それをしっかりと受け止めつつ、追いついたフィリスの頭も撫でてあげる。

 

 するとフィリスは撫でられた猫のように、気持ちよさそうに目を細めた。

 ふふん、気持ちいい頭の撫で方なら弟にしていたから熟知しているぜ。ていうかキミ、もう無表情だった頃の面影ないね……。

 

「リア、今日こそ一緒に、たぴおか……!」

 

「あ、あたしも! リアねえ、今日はいっぱい遊ぼうね!」

 

「……うん」

 

 好意的に返事をしたつもりだったが、相変わらず強制的に棒読みセリフになった。うん、いつも通りだな!

 さてさて、目的の人物も遅れて目の前に到着したわけですが。よーし、無表情全開で行くぜ。

 

 さぁ、海夜! 今日一日で俺の表情、動かしてみやがれ! 手加減はしてやるぞ!

 

「お、おはよう、リア。まさか先に家を出てたなんてな」

 

「……デートは、待ち合わせをするもの。……ちがうの」

 

「デッ……!? あ、いや、ちっ、違わないと思うぞ!」

 

 テンプレ通り焦りながら返事してくれたな。それでこそ主人公だ。

 

 そう俺が心の中でウンウンと頷いていると、陽菜が肘で海夜の横腹をつついた。「いてっ!?」と困惑している海夜に対して、陽菜もフィリスも厳しい視線を送っている。

 

 おうおう、そうだぞ。せっかくいい服着てきたんだから、何か言うことあるだろ少年。

 

「えぇっと、今日はいい天気だな!」

 

「……バカ先輩」

 

「いてぇっ!」

 

 まーた陽菜に脇腹小突かれてる。

 晴れてるのは俺も知っとるわ。いまは天気の話じゃねーだろ。

 

「そ、その服どうしたんだ?」

 

「……バカ蓮斗」

 

「あだっ! ちょ、フィリスまで!」

 

 違うそこじゃねーよ! いつもの格好じゃないんだから、まず褒めろって!

 主人公のくせに恋愛ADV下手くそかお前!? 俺じゃなかったら呆れてんぞオラァ!

 

 

「あの、似合ってるな! その服!」

 

「……そう」

 

「え、えっと……」

 

 相手は愛想笑いなんかしない無表情系ヒロインだぞ。

 攻略したきゃもっとアドリブを利かせて頑張れがんばれ♡

 

「いつもの服より……断然いい!」

 

「……うん」

 

「あ、あと! ……えっと、なんていうか」

 

 そこで言葉を詰まらせてしまうのか……(困惑) まぁ、俺も実際にこんな無反応な女の子相手にしたら、同じことになるかもしれないな。いきなりエスコートさせるのは酷だったか。

 

 しょうがない。ここは俺から──

 

 

 

「……あー、わるい。やっぱこういうの、俺のキャラじゃないよな」

 

「うん」

 

 後頭部をかいたあと、海夜が照れくさそうに微笑んできた。その行動に対しては、陽菜もフィリスも口出しをしていない。

 

 ……ぉ、おう、そうだな。エロゲの主人公だし、そもそも相手が無表情のヒロインなんだから、一般的な女性への接し方なんてしなくてもいいな。なんたってこの世界、エロゲだからな。

 

「いつも迷惑かけてばっかりだし、今日は沢山わがまま言ってくれ」

 

「……わかった」

 

「あー、あとさ」

 

 広場から歩き出そうとした海夜が、もう一度俺の方に振り返った。

 

 

 その顔は、なんというか……自然な笑顔だった。

 

 

「お世辞とかじゃなくてさ。本当にその服、似合ってるぞ」

 

「……かわいい?」

 

 そう言いながら、淑女の挨拶のように軽くスカートの裾を持ち上げてみた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 しかし海夜は、大して焦ることもなく。

 

「おう、結構かわいい」

 

「……ありがとう」

 

 あえて表情を崩さず、自然に海夜の手を握った。まるでそれが当たり前かのように、自然と。

 それに一瞬驚いた海夜だったが、すぐさま平静を取り戻した。そこは流石、主人公と言ったところか。

 

「いこうか」

 

「……うん」

 

 俺の手を引く海夜について行く形で、噴水広場から歩き出した。

 

 

 ──すると、後ろから来た二人の少女が、俺たち二人を挟む形で横に並んだ。

 

 

「ちょっと二人の世界に入りすぎですよ! リアねえはあたしのお姉ちゃんでもあるんですからね!」

 

「蓮斗、独り占めはだめ、だよ」

 

「な、なんだよ独り占めって。てかお前らが勝手についてきたんじゃ……」

 

「……賑やかで、いい」

 

 

 本当は二人きりの方が丁度よかったんだけどね、こればっかりはしょうがない。

 

 さーて、能力バトルの世界とはいえ、今日は日常回の予定だ。たっぷりデートして遊んで好感度上げてもらうんだし、邪魔が入るのは嫌だぞ。

 

 何事もありませんよーに!

 

 

 

 




視聴者:(ワクワク)

運営側:(指慣らし)


↓ 火矢威(かやい)さんより頂いたリア服装Ver.2の立ち絵

【挿絵表示】

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