お前のハーレムをぶっ壊す   作:バリ茶

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パンツをください

 怒りに身を任せて海夜蓮斗の頬を50回ぐらいビンタしてから、約3時間後。

 

 あのケダモノがいる家に小春ちゃんを置いていくわけにもいかず、俺は彼女を連れて外に出ていた。

 

 

「……うぅ」 

 

「りっ、リアちゃん大丈夫? そこのベンチで休む……?」

 

 ついつい弱気な声を漏らしてしまい俺と手を繋いで歩いている小春ちゃんに心配されてしまった。

 

 行く宛などないのでとりあえず街中を歩いていたのだが何度も今朝のことを思い出して憂鬱になってしまう。

 度々落ち込んでしまう俺を見兼ねた小春ちゃんに引っ張られ、とりあえずベンチで休むことになった。

 

「あたし、なんか飲み物買ってくるね!」

 

 笑顔でそう告げた小春ちゃんが近くの自販機に向かって行くのを見送りながら、俺は小さく溜め息を吐いた。

 

 

 

 

 今朝ベッドから立ち上がった時は粘っこい白濁色の液体が股から太ももにかけて垂れていた。

 それを見た瞬間悲鳴を上げてしまった俺は絶対に悪くないと思う。

 

 鏡を見て分かったことだが綺麗な銀色の髪や小さい唇にもその『謎の液体』がくっ付いていた。

 

 

 それに加えて残機が減っているという事実を目の当たりにして、昨晩の記憶など思い出さないわけがなくて。

 

「あの、レイプ魔め……」

 

 若干涙目になりながら海夜に対しての怨嗟の声を漏らす。

 恨めしや、あぁ、恨めしや。

 

 

 ───マジで容赦なかったぞあの野郎!? 

 

 

 髪にも顔にも、口の中にも■内(なか)にも出しやがって……アイツ本当に人間かァ!?(全ギレ)

 

 

「くすん、くすん……」

 

「わっ、泣いてる!?」

 

 温かいお茶のペットボトルを両手に持って戻ってきた小春ちゃんの目に飛び込んで来たのは、おそらくポロポロ泣いているであろう俺の情けない姿だ。

 

 背中をさすりながら宥めてくれる彼女からお茶を受け取り、それを掌で転がしながら冷えた両手を温めていく。

 

「だいじょうぶっ! 私が付いてるからね……!」

 

「……うん」

 

 あったけぇ……お茶も小春ちゃんの心もあったけぇよぉ……。

 

 ちくしょう、なんか若干精神が体に引っ張られてるな。

 こんなんじゃ駄目だ。俺は男子高校生、俺は男、俺はお兄ちゃん。弟よ俺に力をくれ……!

 

 

 小春ちゃんには事情も話さず連れてきちゃったけど、流石に兄貴がレイプ魔だと知ったらショックで寝込む可能性も考えた。

 

 昨晩の抜きゲーみたいなレイプ事件を俺だけの秘密に留めているのはアイツじゃなくて小春ちゃんの為だ。

 

 

 アレはあの怪人に不意を突かれたケダモノが自分だけ気持ちよくなろうとした陰惨な出来事であり、決して俺は快感など感じてはいない。本当です。嫌な事件だったね……。

 

 

 

 

「か、怪人だぁーっ!!」

 

「みんな逃げてぇー!」

 

 

 

 ……登場、雑すぎない?(素朴な疑問)

 

 

 

 

★  ★  ★  ★  ★

 

 

 

 

 予想通り街中で暴れていたのは先日のオカマだった。まぁバトルモノの世界観だから頻繁に敵が出てくるのは不思議でもないか。

 

 小春ちゃんを連れていることだしここは逃げの一手でいいか──と考えていたのだが、意外な事が起きた。

 

 

「皆さん早くお逃げになって! ここは私が……!」

 

 

 弓道部のお嬢様兼一番おっぱいがデカいヒロイン候補こと高月ロイゼールが現場に駆けつけてきたのだ。

 敵の出現に際して現れたのかはたまた偶然通りかかったのかは知らないが。

 

「ロイゼさん、一人で戦う気なのかな……」

 

 縦ロールが風で靡いているお嬢様を心配そうな表情で見つめる小春ちゃん。どうやら既に二人は知り合いのようだ。

 

 

 

「むむっ、結構やりますわね……!」

 

 強力な光弾や太いレーザーを使って戦う高月と、同じくビームのようなものを扱うオカマとでは相性がいいとは思えない。

 現にお互いが相手にダメージを与えられないまま街への被害が広がっている。

 

「あらァん! アンタなかなか強いじゃない! 可愛い見た目に反してゴリゴリのパワー系なのね! 嫌いじゃないわ!!」

 

「貴方に好かれても別に嬉しくないです……!」

 

 双方とも離れた位置からのレーザー攻撃ばかりで戦況が膠着している。

 

 だが微妙にオカマの方が優勢に見えた。高月の放つレーザーよりも彼の謎ビームの方が若干威力が高く、単純な火力勝負では高月が負けている。

 

 

 それを危惧した途端、予想通りレーザー同士のぶつかり合いで高月が押し負けてしまい彼女は地面に倒れ伏してしまった。

 

「うぅっ!」

 

「アンタも中々やるようだけど、昨日のボウヤほどじゃないわね」

 

 額の汗を拭いながらオカマが息をついてそう呟いた。

 当の倒された高月はコンクリートの地面に尻餅をつきながら、悔しそうにオカマを睨みつけている。

 

「ロイゼさん!」

 

「あっ……」

 

 小春ちゃんが俺の手を離し傷ついた高月のもとへ駆け寄った。

 彼女を追いかけるようにして俺も高月の傍まで行ったものの、かといって何かができるわけでもない。

 

「小春さん……!? ダメですっ、早くお逃げなさい!」

 

「そ、そんな! 置いていけないですよ!」

 

 高月と小春ちゃんがお互いを心配するあまり口論になっている。

 傍らでそれを見つめていて分かったが、高月は膝を怪我していた。

 

 おそらくレーザーがかすったであろう右膝は黒いタイツが破けて少し出血している。

 小春ちゃんがそれに気がつき鞄に入っていたタオルをそこに巻いて応急処置をしているが、その間にもオカマはこちらに向かって進んできている。

 

 妙にクネクネした、モデル歩きで。

 

 

 

 ……やっべぇ、高月負けてるじゃん。どうしたらいいんだこれ。

 

 昨日の海夜との戦闘や目の前の高月との戦いを見て思ったが、このオカマ強すぎる。

 ふざけた態度とは裏腹に戦闘においては繊細。あと単純にビームの火力が高い。

 

 失策だ。高月を置いてでも小春ちゃんを連れて逃げるべきだった。

 主人公である海夜でも仕留めきれなかったコイツを高月なら倒せるという保証はどこにもなかったのに。

 

 

「……どうしよう」

 

「だから──あら?」

 

 弱々しく俺が呟くと口論していた高月が俺に気がついた。どうやらすぐに小春ちゃんに話しかけられたため、俺の存在に気がついていなかったようだ。

 

「あなた、小春さんのお友達……?」

 

「えっ。……ぅ、うん」

 

 嘘ですただの居候です。ヒモともいう。

 

 

「私が言っても聞きませんから引きずってでも小春さんを連れて逃げてくださいな! ここは私がなんとか──ぅっ……!」

 

 立ち上がろうとした瞬間、膝に痛みを感じてしまったのか高月はビクっと震えてまたお尻を地面につけてしまった。

 

「……くっ、後輩の前で情けない……っ!」

 

 悔しそうに歯噛みする高月と傍らで彼女を心配する小春ちゃん。 

 その双方を見つめながら不利な戦況を傍観するしかない俺。 

 

 

 昨日ポイント交換で得たレーザー銃のような物があれば、俺も戦えるんだけど……。

 

「ショップ……」

 

 ゆっくりと近づいてくるオカマを警戒しつつ、ポケットからスマホを取り出した。

 そしてポイントショップとミッションリストの画面を同時に開き何かないかと確認してみた。

 

 

「んっ……これは?」

 

 急いで画面をスクロールしまくる俺の目に留まったのは、一つのアイテムだった。

 

 

 

 

 

 

【交換ポイント3:マジでめっちゃ強い・レーザー・マシンガン

 

 武器説明:16000発の極太最強レーザーを自動追尾でターゲットに全てぶち込める 相手は死ぬ】

 

 

 

 

 

 ……つよそう(小並感) これ使えば勝てるのでは?(思考停止)

 

 

「ぁ、でも……」

 

 ポイントが圧倒的に足りない。昨日せっかく得た1ポイントもレーザー銃に使ってしまったために所持ポイントは未だゼロだ。

 

 そもそもこのデスゲームから抜け出すためにはポイントを貯めなきゃいけないのに、ポイントアイテム使わないと死ぬような場面にしか遭遇しないのは流石にハードモードすぎん? やめたくなりますよゲームぅ~。

 

 何か今すぐにポイントを貰えるミッションとかないかしら……と思いながらスマホを操作していると、唐突にスマホが震えた。

 

 

 ……お? 待てよ、これはもしかして。

 

 

【強制二択:今回のポイント配布は後払いになります】

 

 

 よっしゃ、予想通り! 後払いってのが気になるけどここで大き目のポイントが得られれば、さっきのマジでめっちゃ強いナントカが買える!

 

 ここまで来たら背に腹は変えられないしどんなミッションだろうがやってやるぜ……!

 

「内容は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【素直に降参する(ポイント+1)】

 

【高月ロイゼールのパンツを奪い取る(ポイント+3)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──背に腹は変えられない(2回目)

 

 

「きゃっ!?」

 

 突然俺に押し倒された高月はかわいらしい悲鳴を挙げた。

 構わずそのままパンツへ手を伸ばしていく。

 

「ななっ、なんですの急に!? あわわっ、おやめになってぇ……っ!!」

 

「ちょっとリアちゃん!?」

 

「……」

 

 無言でパンツに手をかける銀色髪の少女、顔を赤くしながら涙目でその手を押さえる金髪縦ロールお嬢様、状況が分からず狼狽する主人公の妹。

 

 

 端的に言って『カオス』な状況の現場に流石のオカマも困惑している様子だ。やるなら今しかない。

 

 

 

 ググっと手に力を込める。……おいコラっ、この体の俺は筋力クソザコなんだから抵抗すんな!

 

 

「ヒィィ!! やめてやめてぇ! どうしたんですか何なんですか!? 落ち着いてっ、一旦おちつきましょう! ねっ!?」

 

「……パンツをよこせ」

 

「何を言ってるのこの子!? 今はこんなことしてる場合じゃ──ぎゃあっ!? おっ、おやめになってェェェ!!」

 

 

 ごめんなさい!! パンツをください!! ちょっとだけ! ほんとにちょっとだけだから!!

 

 

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