黒野博士の地下研究室へ向かった日の翌日。
肉体がレンになっているため休学中になっている俺は、偶然出会ったワールドクラッシャーことルクラと共に、恵地高校の校門付近でリアを待っていた。
今日は午前中で授業が終わって明日からは冬期休暇に入る恵地高校。現在時刻は正午ぴったりなのであと数十分すれば生徒たちが帰宅し始めるはずだ。
「そういえば……おい、海夜蓮斗」
「なに?」
ソワソワしながら校門付近をうろついていると、隣を歩いているルクラが話しかけてきた。
リアから聞いた境遇を考えれば彼女もいわば被害者なので、少なくとも俺はルクラを邪険に扱ったりはしないと決めている。さっきもジュースを奢って談笑していたら、いつの間にか打ち解けることができた。
「お前、いつになったら元の姿に戻るんだ?」
「あぁ……えっと、本当ならそろそろ戻れる筈だってのは、博士から聞いたんだけど」
昨日診察してもらった黒野博士によれば、俺はもう蓮斗に戻っていてもおかしくないらしい。海夜蓮斗の思い出や記録はあらかた回収し終えたし、蓮斗をよく知る人物たちとも触れ合って繋がりも明確化した。
それでも蓮斗に戻れないのは、俺が
「なんか足りないみたいなの。あとはわた──ぉっ、オレ自身の問題らしくてね」
能力を使った怪人たちとの戦いは紛れもなく海夜蓮斗を構成する一部だ。それを失くして海夜蓮斗を語ることはできない。この非力な身体でも、いずれ戦わなければいけない時がくる。
しかし主人公としての在り方という部分がいまいちピンと来ない。オレたち仮想世界の住人の元であるゲームに習うとすれば、ヒロインに該当する女の子の攻略などだろうか。よく分からない。
「……喋り方も変だぞ。お前男の主人公の筈だろう」
「あ、それは、その……」
体に引っ張られる──仮想世界で散々リアが言っていた事だったが、オレも身をもって体験したことでようやく理解できた。
黒野博士がこのアンドロイドの体に設定していた『親友』と呼ばれる人格データがあるのだが、今のオレはその親友とやらに少々引きずられている。特に口調などが顕著な変化だ。
博士は亡くなった親友にもう一度会いたいが為にこのアンドロイド制作を始めたらしいのだが、開発途中で『これは僕の親友ではない』と我に返り、人格データを完成させることなく放置した。
そのため中途半端に残った女子としての人格がオレを惑わせ──今に至る。
リアたちの様にもう一人の人格がある訳ではないが、確かに存在する女の子としての意識がどうしても邪魔をしてくるのだ。
「
「そうか。……まぁ、ゆっくり取り戻していけばよかろう」
オレの肩をポンポンと叩きながら優しく微笑むルクラ。見た目はリアや黒野博士と似ているが、口調や節々の特徴の違いのおかげで、彼女を他の三人と混同することはない。
元はといえば仮想世界を故障させて俺がこっちの世界にいる間に、ルクラが世界を融合させたせいでオレの肉体が消滅したのだが、もっと元を辿れば全てデスゲームを開催したあの
「──あっ」
彼女と話しながらふと昇降口に目を向けると、ガヤガヤとした話し声と共に生徒たちがチラホラ見え始めてきた。どうやら授業はもう終わったらしい。
そのまま二人でじっと待っていると、程なくして男の子の姿をしたリアが呉原永治と共に昇降口から出てきた。
数分ほど歩いて校庭を抜けると、リアのウォッチの中からアイリが出てきた。帰り道は分離した二人の状態で帰宅するらしい。
「あ! おーい、アイリー!」
アイリが見えた途端に大きな声を出して手を振るルクラ。彼女にならって手を振ると、リアたちはすぐに気がついて此方に駆け寄ってきてくれた。
「おぉ、珍しい組み合わせだな。二人ともわざわざ待っててくれたのか?」
「うん。今日は迎えに行こうと思ってたから」
手を後ろに組みながらオレはリアを見上げた。レンの体からすれば彼は頭ひとつオレより大きいため、会話するとなれば自然と見上げる形になる。
「え、今日って何かあったっけ?」
顎に手を添えて考えるリア。
彼は何かしらを思い出そうとしてくれているみたいだが、別段前から約束を取り付けていたわけではない。
「これからウチに、誘おうと思って」
オレとルクラが彼とアイリを迎えに来た理由は、単純に海夜家へ来てもらおうと思っていたからだ。
何故か? それは……ほ、ほら、あれだよ。ここ三日は呉原君が美咲家に泊まったりオレも博士の所へ行ったりで、あの………し、
それはルクラも同じらしかったから、どうせなら二人で誘おうと思ってきたんだ。
ルクラとリアの関係については、思うところがないわけじゃないけど……彼女はアイリの方が気に入ってるみたいだし、心配するくらいなら一緒に──って、『ちょっと待て』。
いや性欲が増えたことに関してはこの体になった影響もあるんだけど、それを差し引いても盛り過ぎな気が……!
「ルクラも一緒に、ね?」
「うむ、我も行くぞ」
だというのに、駄目な自覚はあるのにピンクな頭は止まらない。リアを欲してやまない。
ううぅぅ……よくない、よくない! ダメなのにぃ……!
───でも、きっとリアは受け入れてくれる。その安心感がオレたちの我慢を緩くさせる。
(え、えへへ、なんだかんだいって優しいリアなら。今回もいつもみたいに、しょうがいなぁって言いながら、きっと──)
「あー、悪い。今日はもう予定入っててな。呉原の家に泊まるんだ」
──んっ?
へ?
「えっ。……え?」
「ちょうど明日から冬休みだからさ。……あぁ、父さんにはもちろん言ってあるから、好きに
何だか急にたくさんの情報量でリアが殴ってきたので深呼吸をする。落ち着けオレ。
なに、三日の我慢が五日に伸びるだけだ。ぶっちゃけあれでも死にそうだったけど、経験済みの五日ならまだなんとかギリギリ耐えられるし、大丈夫だ。うん。
「あぁ、それから小春には言っておいたけど──しばらくえっちはお休みね」
「…………?????????????」
ちょっと待って。まってまってまって。
どういう流れ? なんで? 何がどうなってこうなってる?
「あ、あの」
「ん?」
「お休みの期間は……どの程度でしょうか……?」
滝の様な汗を流しながら震えた声で答えを求めるオレ。そりゃ焦る。なんせ煩悩に狂わされた脳は
しばらくお休みってどのくらいなんだ? いや、リアの為なら頑張れるとも。死ぬ気で頑張れば一週間は粘れる。この前の五日で脳が沸騰したので一週間もあったら脳みそが爆発するかもしれないが、なんとかギリギリ生命維持は可能だ。できる、できるさ。リアにだって事情があるのだから、俺だってそれを優先して我慢するくらい造作もないぜ。
「あー、三週間くらいかな」
「さ°っ゛」
三週間ッ!!?
「どっどどどっどどどういう」
「どうも何も、それくらいなら平気だろ? 淫紋だって消えたんだし、発情してないなら」
「「えぇぇっとですね!?」」
オレとルクラの声が重なった。構わず、ルクラはそのまま縋るようにアイリの手を握る。
「な、何で!? 長い! 長いよぉ! もしかして美咲がやらないってことはアイリも!?」
「うん。そうだよ」
「ミ゛ッ」
短い断末魔と共に青ざめるルクラ。多分オレも同じ顔してる。
「アイリぃぃぃ……わたし死んじゃうよぉォォ……!」
オレも叫びたい。っでも年長者のオレまで泣き崩れたら収集がつかなくなってしまう。今は我慢だ、我慢……言いたい事いっぱいあるけど我慢……! ううぅ~~っ!
「……私はルクラの我が儘、たくさん聞いてあげたよ」
「うぇっ」
「私の我が儘を、ルクラは聞いてくれない?」
「え、えとっ、あの」
口ごもるルクラ。なんといってもアイリの物悲しそうな表情がルクラを焦らせている。
「……そっか。ごめんね、ルクラ。私はルクラと対等なお友達になれたと思ってたけど……違ったんだね。ルクラにとって私は都合がいいだけの玩具。おもちゃが勝手なことを言うのはやっぱり駄目なんだ。反省するよ、もう勝手なことは言わない。ルクラがしたくなったらいつでもご奉仕する、文句を言わない使い勝手のいい性奴隷に私は──」
「ごごごごっご゛ご゛め゛ん゛な゛さ゛い゛ッ゛!!」
咄嗟に手を離して綺麗に腰を曲げて謝罪を叫ぶルクラ。
それを見てアイリは小さく首を傾げる。
「何を謝ることがあるの? 都合の良い玩具が生意気にも文句を言おうとしたのだから、謝るのは私の方じゃ」
「ち、違う! 違います! そうじゃなくて! 私っ、アイリとは友達でいたい! あの、えと、も、もうがっついて我が儘とか言わないから! ……お、お願いだから、奴隷だとか、おもちゃだなんて言わないで……!」
あくまでもアイリに対しては『友』でありたいルクラからすれば、彼女に自分を奴隷だ玩具だと自嘲して付き従うだけの存在にはなって欲しくない……のかもしれない。
「……いいの? 私、勝手な我が儘を言ってもいい?」
「当然! だって友達でしょ! 私の我が儘ばっかり言ってたら、そんなの友達じゃないよ!」
「……ふふっ、ありがとう、ルクラ」
微笑んだアイリはルクラに抱擁を交わした。その瞬間「ア°ッ」と小さな悲鳴を挙げるルクラ。
今アイリと
チラリとリアの方を見れば、彼はオレに向かって優しく微笑む。
「レン? どうかしたか?」
「……な、なんでもない、です」
振り返ってみれば確かに、オレたちは生活に支障が出るレベルでリアに相手をさせ過ぎてしまっていた。この前の小春との二人がかりでの行為だなんて、本来なら嫌われてもおかしくないくらいなのだから、それを拳骨一発で許してくれたリアに感謝するべきだ。
もっと言えば、オレなんか仮想世界では散々性欲処理をさせてきたマヌケだ。この世界でまでリアに負担を強いると俺は本当の屑になってしまう。このまま意見に抵抗すれば俺はリアを都合の良い性処理相手としか見ていないカス野郎だ。
それはダメだ、良くない。非常に良くない。俺は本来なら強姦の罪で牢屋の中にぶち込まれていてもおかしくない存在なのだ。今こうしてこの場にいられるだけでも幸せだと思わなければ。
「……レン、辛いならこっそり相手をしても」
「だっ、大丈夫だから! こっちこそ、いつも付き合わせちゃってごめんなさい! オレたちの事は気にしなくていいから、ね……!」
「……そっか。ありがとう、レン」
優しい笑みをしながら頭を撫でられてしまった。ここまで散々性欲をぶつけてきたオレに対してお礼を言ってしまうなんて、リアはどこまで優しいんだ。この優しさに甘えるだけでは本当のダメ人間になってしまう。
自意識をしっかり! 性欲抑制! 黙れ煩悩! くたばれピンク色の脳みそ! オレは三週間なんて余裕だぜこの野郎がッ!!
おっとこんなところにご協力済みアンケートが
そこに三つの選択肢があるじゃろ?
-
猫コス猫言葉で朝までニャンニャン
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犬コスで深夜散歩しつつワンワン
-
ブルブルする玩具付けてショッピング
-
だまれ 全部書け