海夜兄妹を癒したい【小春編】
こんにちは、美咲夜です。
最終決戦から数ヵ月が経過して今は夏休み前、俺も既に高校三年生の18歳でございます。
アニメやゲームの主人公にありがちな『普通の高校生:17歳』という属性からは卒業してしまい、普通の女子高生が板についてきたような気がします。男口調からは変わりそうにありませんが。
それから、一つ下の後輩の男子に、ヒロイックな武装をして悪と戦う生徒が一人いるので、この街で起きる物語の主人公は、俺や蓮斗からその子に受け継がれたようです。彼にはがんばってほしいですね。
「夜、なにしてんの」
「っ!?」
書いていた日記を、即座に鍵付きの引き出しにしまい込んだ。あぶねぇ。
「ナニモシテナイヨ」
「何かしてたでしょ。……別に気にしないけど」
本当に気にしていないような、マジでどうでもよさそうな声音でそう言ったアイリールは、そのままベッドに倒れ込んだ。どうやらお昼寝をするらしい。
「夜も一緒に寝る?」
休みの日だしそれもありだが、今回は遠慮しておこう。
「そっか。……じゃ、おやすみ」
アイリールはすぐさま寝息を立て始めた。眠りに入るのが早すぎる。
まぁお昼寝が最近のマイブームらしいし、そっとしておこう。
俺が正真正銘のリアになってから、数ヵ月が経過して。
こうして痛い日記を書いたり、たまにアイリールとお昼寝したりと、それなりに平和な日常を過ごしている。
しかしながら、この街が完全に平和になったわけではない。
事の発端は一ヵ月前。どこからともなく現れた、新しい悪の組織が暴れ出したのだ。大して強くはないが、そこそこ数が多いので、未だ撲滅はできていない。
そして大事なのはここから。
対応に当たるデム隊に、一時的に蓮斗と小春が入隊してしまったのだ。
どうやら彼らの能力を見込んだ真岡の上司に、高額の報酬金を提示されたらしく、両親不在で懐事情が厳しい海夜兄妹は、二つ返事で協力の話に乗ってしまったらしい。本人たちはバイト感覚で。
だが、思った以上にデム隊の業務は忙しいらしく、最近の蓮斗と小春は家に帰らない日も多い。
また帰っても──
『あ……リアちゃん来てくれてたんだ……ごめんね、疲れちゃって、眠いから、もう寝る、ね。……うぅ』
といったありさまで、夕ご飯も食べずに寝てしまうこともしばしば。
黒野博士の発明のおかげで、朝陽とアクセスしなくても能力を50%だけ使えるようになったはいいものの、その分無理をしちゃってるようだ。
それに真岡と剛烈が別の支部へ駆り出されているので、デム隊から出される無茶な要求から庇ってくれる人も、今の海夜兄妹にはいない。
既に報酬金は貰っているようだが、人手不足などで情に訴えられたりして(本当は人員不足ではなく二人の能力を使いたいだけらしいけど)、二人は未だにデム隊から脱退できてないみたい。二人が頼まれたら断れない子なのは知ってるけども、人が良すぎるのも考え物だ。
だが、海夜兄妹を都合よく利用することは、この俺が許さん。
というわけで、真岡さんと剛烈さんに連絡を取って、上司に直談判してもらって二人を辞めさせた──のが昨日。
今日は俺が海夜家に赴いて、疲れ切ったあの二人を労う日なのだな。
★
「つ、つかれた……書類手続きは強敵だったよぉ……」
海夜家のリビングの掃除が終わったお昼過ぎ頃、そんなことを呟きながら小春が帰ってきた。どうやらデム隊やら学園やらの諸々で、昨日の夜からデム隊の宿舎で忙殺されていたらしい。
けど、話を聞くに無事に辞められたようだ。よかったよかった。
昼に帰ってきたのは小春だけで、蓮斗は学園の方で補習があるらしく、あいつの帰りは夜遅くになるみたい。多忙すぎて涙が出てきたな。
昼から夕方過ぎにかけては小春を、夜から寝るまでにかけては蓮斗を労い、癒すことにしようと思う。二人とも本当にお疲れさまだ。
「あ、リアちゃん。ただいまぁ……おっ、涼しい……」
ふふふ、寒くならない程度に部屋の冷房をかけておいたのさ。
荷物を預かり、とりあえず小春にはシャワーを浴びさせた。着替えも置いてあるので心配無用。まずは汗だくの体を綺麗にして、スッキリするといい。
シャワー浴び終わったら、お昼ごはんだ。アイスもある。
「ほい。お昼はミートボールナポリタン。食後のアイスはちょっと高いやつ買ってきたからな」
「う、うん、ありがとうリアちゃん……」(なんかリアちゃんがめちゃめちゃ優しい……?)
最初は怪訝な表情をしていた小春だったが、俺の作った昼飯を食べてるうちに、いつもの明るい顔に戻っていった。多分最近ずっと忙しかったから、他人に世話される感覚を忘れていたのだろう。
大変だったな……ゆっくり休んでね……。
「ごちそうさま! おいしかった!」
見事に全て完食してくれたようだ。小春の嬉しそうな顔を見ると、こっちまで元気になってくる。
食べ終えたあとの食器を片付けて洗っていると、小春がソファで横になったのが見えた。
相当疲れが溜まっていたんだろう。シャワーを浴びてご飯も食べ終えれば、体の力が抜けて眠くなってもおかしくはない。
食べてすぐ横になるのはあまりよくないが、一ヵ月間ずっと頑張ってこの街を怪人たちから守ってきた彼女に、そんなお小言を言う気にはなれない。
今日は彼女を労う日なのだ。何がなんでも甘やかすし、小春の気力回復に努めるのが、本日の俺のお仕事である。
「小春~」
冷えすぎないよう冷房の温度を少しだけ上げてから、ブランケットを小春にかけつつ、俺は彼女の懐に忍び込んだ。
リアになった俺は体が小さいため、小春の腕の中にすっぽり収まる。なにより海夜家のソファは大きいため、俺と小春が横になってもそこまで窮屈じゃないのが良い感じ。
「ふぇっ。り、リアちゃん?」
「リア抱きまくらです」
「い、いいの……?」
「どうぞ」
小春は以前から、リア状態の俺を抱き枕にして、昼夜かまわずよく眠っていた。
俺を抱き枕にしながら寝ることで気力が回復することが既に証明されているので、それを使わない手はない。
「……えへへ」
むぎゅっと縫いぐるみの如く俺を抱き寄せる小春。
どうやらこれで正解だったらしい。よかった。
「やさしい……かわいい、リアちゃんすき……」
小春は目を閉じながら、さらに強く俺を抱擁した。
スンスンと俺の髪の匂いを嗅ぎながら、えへえへ……と幸せそうに笑っている。
小春が喜んでくれてるならなによりだ。助けになれて俺も嬉しい。
「すぅー……ふぅ、ふう……ふへへ……」
「……んっ」
いつの間にか、俺の背中に回っている小春の手が、さりげなくお尻に触れている。
いや、嘘。触れているというか、揉んでいる。
本人的にはそっと触っている感覚なんだろうけど、全然さりげなくない。
鼻息も荒くなってるし……あとこっちのお腹に
いつの間に生やしたんだ。全然気がつかなかった。
「リアちゃんっ……♡」
「むぐっ」
そのまま腰に手を回されて、深く抱き寄せられる。
小柄な俺は彼女のなすがままだ。
抱きしめられたことで、ボリューミーな乳に顔が包まれる。まるで温かい水風船ような乳房に圧迫されて、少し苦しい。
「──ハッ」
何かに気がついた小春。
俺を抱き寄せる手が止まった。
「あ、ご、ごめん……」
「小春……?」
「ほんとにごめんねっ、私そういうつもりじゃ、なくて……」
どうしたのだろうか。
顔を上げると、小春はバツが悪そうな顔をしている。
「どした?」
「えっ……。だ、だって、せっかくリアちゃんが良くしてくれてるのに、私ったら前みたいに……その、興奮して……」
「別にダメなことじゃないだろ」
今度は此方から小春を抱き寄せ、小春に微笑んだ。
「したくなったら、すればいいよ」
「──っ!?」
驚くなよ。今更過ぎるでしょ。
お前いったい今まで、どれほど俺のこと
……あ、そういえば。俺が暴走した(らしい)あの日*1から、ルクラの件とか世界の破壊とかデム隊への入隊とか、いろいろあって夜のお勤めはしてなかったな。
これは失敗。今回ばかりは俺が悪い。どうやら必要以上に、小春に無理な我慢を強いてしまっていたらしい。
「小春が疲れてなければ、だけど」
「……ぁ°」
てっきり、疲れ切っているからそういう事をする気力はない、と思っていたけど違ったみたいだ。
予想以上に小春ちゃんは逞しかったようです。硬いナニかがお腹をグイグイ押してますね。
「……する?」
「すっ、する! するぅっ!」
俺の上目遣いでの質問を聞いた瞬間、小春がブランケットを剥いで、鼻息荒く覆いかぶさってきた。まるで迷いがなかった。それほど溜まってたらしい。
まぁ、俺も
小春の制服のスカート、その盛り上がった部分を、布越しに指で軽く触れてみれば、おっおっ!? と彼女は変な声をあげる。女の子なんだから、そんな汚い声上げないで……。
「はぁっはぁ、ハァーっ! リアちゃーんっ!」
「うわわっ」
元気の宜しい事で。
まぁ、そこからはなんやかんやあって。
テーブルに手をついて腰を突き出したり、ソファの上で馬乗りになったり、馬乗りになられたり、いろいろ。
結局五回くらい付き合って、性欲を発散したと同時にドッと疲れが出てきたのか、小春はベッドでお昼寝タイム。
俺は少々痛む腰をいたわりつつ、夜中になってから帰ってくるであろう蓮斗の為に、お風呂の準備や夕食の仕込みなどに取り掛かっていくのだった。
ま、まだ大丈夫。今日はこれまで頑張ってきた海夜兄妹を労ってやると決めたのだから、俺ももう少しがんばるぞ!
次回は蓮斗編です
後日談はこんな感じで短い話を不定期であげていくますです
こんなシチュ書け孕めオラァとかアイデアくださる方はお題箱に投げてくださると作者が泣いて喜びます
↓ お題箱
https://odaibako.net/u/naria_913