お前のハーレムをぶっ壊す   作:バリ茶

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今回は話の後半にR15色がそこそこ強い描写が含まれていますので苦手な方はここは俺に任せて先に行けええぇえぇ逃げろォおおぉぉ(ドコドコドコドコ)


この世界が男性向け成人指定の作品だと思い出す頃には朝チュンしてました

 

 

 時刻は夕方を過ぎた頃。

 いかにもセレブお嬢様が住んでそうな大豪邸の玄関前で、俺はレイノーラと高月に見送られていた。

 

 レイノーラを助けたあの後、現在一人暮らしをしている彼女を放っておくわけにはいかないとのことで、高月が彼女を自宅で保護することになった。

 

 警備やセキュリティも万全で、屋敷の人間も特殊能力や悪の組織の事を把握済み。これ以上ないほどうってつけな避難先だ。

 

「リアさん、もう帰ってしまうのですか?」

 

「やっぱり……だめ?」

 

「ごめん、ね。いろいろ……あって。帰らないと、いけないから」

 

 高月や……特にレイノーラからは『今日は泊まって欲しい』と頼まれたのだが、困ったことに先ほどP+1の強制選択で【夜は蓮斗の部屋でテトリスだ!】か【夜は蓮斗の部屋でぷよぷよだ!】を選ばされてしまったので、どちらにせよ帰らなければいけない。ちなみに俺はスマブラやりたい。

 

「も、もっとリアと、一緒にいたい……っ」

 

「あぇ? ……ぁ、その、えぇっと」

 

 そんな寂しそうな顔されると、お兄さん困っちゃうんですよね。

 

 確かに助けはしたけども、今まで面識も無かったし、出会い頭にタピオカぶっ叩いたような俺に対して、何でこんな好感度高いのん? バグか何か?

 

「えと、じゃあ、明日の放課後……とか」(タピオカ奢るって約束したし)

 

「っ! ……う、うんっ。明日、放課後ね……っ!」

 

 ぱぁっと明るい顔になるレイノーラ。きみそんなに表情豊かでしたっけ?

 ていうか、俺とレイノーラどっちもコミュ症キャラだから、二人だけだと会話のテンポおっっそいんだよな。どうにかならんのか、これ。

 

 

 ま、とりあえず今日は帰ろう。

 今の時期は冬だし、夕方を過ぎたらもう空も真っ暗だ。冷え込んでくる前に帰宅じゃ。

 

「じゃあ、また、明日」

 

「うん、またあした……っ!」

 

「執事に送らせますわ。大丈夫だとは思いますけど、帰りはお気をつけて!」

 

「あり、がと」

 

 二人に手を振りながら、玄関を後にした。

 

 

 

「お待ちしておりました。どうぞご乗車くださいませ」

 

 敷地の外へ出ると、スーツ姿の筋肉質で巨体な男性が高級車と一緒に待機していた。

 軽く会釈しつつ車内に乗り込むと、気品を感じる様な謎の香りが鼻腔を擽る。うわぁ、高級車の匂いだぁ……。

 

 シートベルトを締め、ちょこんと助手席に縮こまっていると、程なくして車は発進した。

 

 

 

「お嬢様の大切なご友人を……本当に、なんと御礼を申し上げたらよいか」

 

「い、いえ。その……なりゆき、ですので……」

 

「謙遜なさらず。貴方様の行動は全て事実なのですから」

 

 走行中、執事の男性が声をかけてきたことで、車内の沈黙が破られた。

 俺がぎこちない喋り方で応答しているにも拘らず、執事の男性は優しい笑みを浮かべている。

 

 

 そんな顔を、横からチラチラと観察していて、何故か既視感を覚えた。

 

 

「……」(なんか、見覚えがあるような……無いような……)

 

 彼の顔を、どこかで見たことがあっただろうか。

 いや、ある筈がない。彼とは今日が初対面だ。

 

「……あ、あの」

 

「はい?」

 

 つい、声をかけてしまった。

 脳の片隅で引っかかっている、謎の既視感の正体が知りたくて、つい。

 

 ……いや、ここまで来たら誤魔化すのも変か。

 さっさと聞いて、それで終わりにしよう。多分見間違いか何かだろう。

 

「えっと、おれ──わっ、私たちって……どこかで、会ったこと……無いです、よね」

 

「以前お会いした気がされる、ということでしょうか?」

 

「そ、そうなんです、けど……すみません、忘れてください」

 

 あまりにも「こいつ何言ってんだ?」みたいな反応をされて委縮しちゃった。うぅ、恥ずかしい。

 頭おかしいんじゃないかって思われてそうで怖いぞ、これなら聞かなきゃよかった。

 

 いや、下手すりゃベタな口説き文句みたいに思われてる可能性もあるぞ。

 友達の執事に粉かけるとか、とんでもない節操なしじゃ──

 

 

 

 

 

 

「……よく、気がついたわね。嫌いじゃないわ」

 

 

 

「──えっ?」

 

「戦った時は化粧もしてたから気づかれないと思ったけど……しっかり覚えてるあたり、記憶力いいのね~」

 

 なに、言ってんだ?

 

「なにアホ面してんのよ。あの時のオカマよ、オ・カ・マ!」

 

 

 ……え? 高月の執事が、あの時木端微塵にしたオカマ?

 

 いや、ちょっと待て。それはおかしくないか。

 

 オカマはあの時ポイントの武器で消し去った筈だ。アイツの肉体がレーザーで無くなるその瞬間も、しっかりこの目で確認した。

 

 なのに、なんで。

 

「ふ、不死身……?」

 

「バカ言わないで頂戴。しっかり殺されたわよ。そりゃもう跡形も無くね」

 

「じゃあ、どうして……? というか、高月が気づかないはず、ないのに」

 

 

「あの子が気づくはずないじゃない。変装したら正体はバレないっていう()()()()()()()

 

 

 

「は?」

 

 今、こいつ『設定』って言ったのか? 

 

「あぁん、もう! 察し悪いわねぇ! アタシもアンタと同じ『プレイヤー』なのよ!」

 

「……ま、マジで?」

 

「マジよ。残機が残ってなかったら、アンタに殺されてたところなんだから」

 

 

 ……うっそだろオイ。この世界に来て初めて出会った敵が、まさか俺と同じデスゲームのプレイヤーだったのか?

 

 ってことは、ちょっと待てよ。

 

 俺──他プレイヤーの残機を減らしちゃったってことか!?

 

「ごっゴご、ごごめめんなさ」

 

「落ち着きなさい。あの時は私も【倒されるまで暴れる】って選択肢に従ってたし、本来この世界の主人公がすることをアンタがやっただけの話。……そもそも、私だって主人公に淫紋つけて襲わせたし、どっこいどっこいでしょ」

 

「……は、はは。そう、だな」

 

 そう言いながら苦笑いすると、隣で運転してるオカマも小さく笑った。

 それに釣られて、俺も少しだけ笑い声を出した。

 

「まったく、強制選択とか本当に悪ふざけよねぇ」

 

「……だな。内容が毎回、頭わるいし」

 

「ほんとそれ。傍観者だからって無茶ぶりばっかり……! ぷんぷん!」

 

「か、かわいくないぞ、おっさん」

 

「オッサ──オッサン!? い、言ったわね!? あんたレディに対して最大の侮辱を!」

 

「そんなに、怒るなって。………はは」

 

 

 なんだろう、この気持ちは。

 なんというか、安心するっていうか、落ち着くっていうか。

 

 ……あぁ、そうか。この世界に来てから俺、初めて本当に『安心』してるんだ。

 

 同じ立場で、気持ちを共有できる人間と話をしたことで、蓄積されていた鬱憤が晴れてきてる。俺と同じ外の人間だから、しかもこんな状況だからこそ、同族意識が強くなっているのだろう。

 

 だからこそ、こんなにも安心できるのかもしれない。

 未知だらけのこの世界で、唯一俺の世界を知っている人間と出会えて、心が和らいでいる。 

 

「……ちなみにオカマって、キャラ?」

 

「ガワも中身もアンタの言うオカマよ。キャラも裏の顔がオカマだったから丁度よかったけどね」

 

 苦笑いをしているオカマと会話をしていると、車はいつの間にか海夜の家の前に到着していた。

 

 

 ……この人との会話も終わり、か。

 いやでも、デスゲームが始まってまだ一週間も経ってないし、そもそも高月の執事なんだからまた会える。

 

 貴重なプレイヤー仲間だ、大事にしないと。

 

「じゃあ、送ってくれて、ありがと」

 

「あっ、ちょっと待ちなさい」

 

 車から降りる為にドアに手をかけると、オカマが声をかけてきた。

 

 何事かと思って振り返ると、オカマは俺の肩を両手でガッシリと掴んできた。

 

「な、なに?」

 

「じっとしてなさい。動くんじゃないわよ」

 

「急にどうし──」

 

 

 

 言いかけた瞬間、オカマが俺の首の根元にキスをしてきた。

 

 

 

「──っ!?」

 

「はい、自動発動する淫紋の付与完了~♪ ポイントゲット!」

 

「な、なにして……!」

 

 狼狽して思い切り身を引くと、オカマが胸ポケットからスマホを取り出し、俺に画面を見せてきた。

 

 そこに表示されていたのは【P × 15】という英数字の文字列。

 それが意味する事実は、ただ一つ。

 

「まさか、選択で俺に、淫紋を──いや、それより……!」

 

「そっ! これでポイントが15……晴れてデスゲームクリアよ~!」

 

「……そん、な」

 

 先程まで緩みきっていた頭が一変、急激な焦燥感に駆られる。

 裏切られた──というより『先を越された』という認識が、頭の中に浮かんできてしまった。 

 

 

 まだ、始まって一週間も経ってないんだぞ。

 もし俺が今まで手に入れたポイントを、アイテムに使っていなかったとしても、その数は10にも満たない。

 

 だというのに、このオカマは……クリアに漕ぎ着けてしまった。まさかプレイヤー次第じゃ、こんな早期のクリアもできる仕様なのか?

 

「やば、すぎ」

 

「でしょ? 頑張ったもの」

 

 そう言ってウィンクをしてくるオカマを見て、呆気にとられてしまった。なんというか、コイツには敵わないって、頭が理解してしまっている。

 

 ……ちょっと待ってくれよ。俺、まだポイント1だよ? 夜に蓮斗とゲームする分の先払いで貰った、たった1Pだけよ……!

 

 お前ちょっとマジでやばくない? チートか何か使ったのん?

 

「……すごい、ね」

 

「ま、アンタもその気になればポイントぐらい貯まるでしょ。大事なのはいかにアイテムを使わずに攻略するか、ってこと」

 

「う゛っ」

 

 痛いところを突かれてしまった。

 

 そう、だよな。俺、アイテム使い過ぎだよな。ポイントがあるのをいい事に、目の前の出来事を解決する為にポイントを消費しすぎだ。

 

 そもそも選択肢からは『アイテムを使え』とは一度も言われてない。交換アイテムを使わないと解決できないって、先入観に囚われ過ぎていたんだ。

 

「うぅっ」

 

「……あー、まったく。メンタル強いんだか弱いんだか分からないわね。ちょっと耳貸しなさいよ」

 

「……?」

 

 言われるがまま、俺は右耳を彼の方へ近づけた。

 すると、オカマが耳に向かって、極めて小さな声で喋り始めた。

 

 

「これぐらいの小声なら、きっと“あっち”にも聞こえないわ」

 

「ぇ?」

 

「あっちに戻ったら、必ずなんらかの形で手助けする。だからそれまでしっかり生きてるか、さっさとクリアしちゃいなさい」

 

 

 それだけ告げると、オカマは俺の耳から顔を離した。

 すると、彼の手に握られていたスマホが、粒子となって消え始めた。

 

「あら? どうやらもう“アタシ”は()っちゃうみたいね。この体にも元々の人格が再インストールされるでしょ」

 

「元々って、それ怪人としての人格なんじゃ……」

 

「アンタにぶっ殺されたから足洗うわよ、たぶん。どうせロイゼちゃんの友達なんだし、そんなアンタが近くにいたら悪さもできないでしょ」

 

「そうかなぁ……」

 

「それでも危険だと思ったらもう一回ぶち殺しなさ~い! どうせその時はもうアタシじゃないしィ!」

 

 何故かテンションが上がっている彼のスマホは、完全に消え去ってしまった。

 もう、居なくなってしまうということだろう。

 

 

 ──だが、彼には励ましてもらえた。それだけで、俺の心は前向きになれている。

 

 俺もこの人のように、他のプレイヤーを元気づけられたらいいな、なんて考えてるうちに、彼の意識の転送は終わりを迎えようとしていた。

 

 

「じゃ、逝ってきまぁぁぁす!!」

 

 

 

 

 

★  ★  ★  ★  ★

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

 シャワーを浴び終えて、小春ちゃんに借りたパジャマに着替えた。

 

 髪をドライヤーで乾かしてから二階に上がり、海夜の部屋をノックする。

 程なくして、中から返事が聞こえた。そっと中へ入っていくと、テレビゲームの準備をしている海夜の姿が見えた。あらかじめゲームで遊ぶことは伝えておいたのだ。ちなみに選んだのはぷよぷよである。

 

 今日は小春が友達の家に泊まっているから、代わりに相手をしろ、という名目で彼にゲームを挑んだ。海夜がプレイヤーだという確証はどこにもないので、とりあえずは以前と同じくミッションのことは隠しておくことにしたからだ。

 

 ベッドに座りながらコントローラーを操作している海夜の横に腰を落とし、俺もコントローラーを手に取る。

 すると、海夜がゲームの設定をしながら声をかけてきた。

 

「リア、もう大丈夫なのか?」

 

「……なにが」

 

「なにがって、お前……怪人と戦ったんだろ? 怪我とかさ」

 

「だいじょうぶ。戦闘自体は、一瞬で終わった……から」

 

「そ、そうか。やっぱり強いな、リアは」

 

 苦笑いをしながら告げる海夜に、淡々と返事をしていく。

 今日は焦るような事ばかりだったが、本来俺のデフォはこの無表情キャラなのだ。なんか無愛想な返事でも許されるし、今はこっちの方が楽だ。

 

 

 程なくして、ゲームが始まった。画面内でぷよぷよしてるスライムみたいな連中を、重ねて、動かして、消して。

 

「うおっ、マジかよ。リア、ほんとにこれ初めてか?」

 

「……初心者に、負けてしまえ」

 

「くっそ、まだまだっ」

 

 さほど実力は離れておらず、意外にも俺と海夜の勝負は拮抗していた。一方的にゲームでいじめられる事にならなくて、一安心だ。

 

 そんな、割と穏やかな気持ちでゲームを続けていると、時間はあっという間に過ぎていくもので。

 

 気がつけば、もう一時間が経過していた。

 スマホを確認してみると、既にミッションコンプリートの画面が表示されている。

 

 となれば、これ以上ゲームを続ける理由はないのだが、思いのほか海夜が熱中しているので続行することにした。

 実を言えば、俺もけっこう楽しんでいる。やっぱゲームって楽しいな!(デスゲームは除く)

 

 

 

「……んー」

 

「っ? リア、どうかしたか?」

 

「ちょっと、暑い」

 

「ん。じゃあ暖房の温度下げるよ」

 

 部屋の暖房が少し高かったのか、少し暑くなってきた。少しだけ、首元に汗が浮かんできている。

 いけね、ちょっとゲームに熱くなりすぎたか。

 

 声や表情こそ抑えめだけど、男の頃なら大袈裟に声を挙げていてもおかしくはないくらい、ゲームに夢中になってしまっていた。だって負けたくないんだもの。

 

「……ふぅ」

 

 にしても、ほんとに暑いな。なんか少し汗が滲んできてるし、薄着になってもいいくらいだ。

 まぁ、隣に海夜がいるから脱がないけどな! もう淫紋が付いていないとはいえ、また襲われたらたまったもんじゃないぜ!

 

 これでも無自覚に男の子を誘惑しちゃいそうな仕草とか、そういうのは気をつけて行わないようにしてるんだ。そもそも俺が中身男だから、どんなことされたら気になっちゃうのか、とかそういうのは良く分かってる。

 

 鈍感じゃないんでね! 『あれ? 俺また何かやっちゃいました?』がこの世界では通じないのだし、自分の行動にはしっかり気を遣っておかないとっ。

 

 

「……はぁ、はぁ……んぅ」

 

 ちょっと、この部屋暑すぎない? ほんとに暖房の温度下げた?

 あー、もう。流石にこのままじゃ暑すぎる。とりあえずパーカーは脱いじゃおう。

 

 これの下はモコモコの長袖だし、これくらいなら大丈夫でしょ。

 

「り、リア? 顔赤いぞ、大丈夫か?」

 

「……暑い。あつい、から……暖房とめて」

 

「いや、暖房はさっき止めたんだけど……」

 

 何言ってんだ。冬なんだから暖房止めたら、すぐ涼しくなるはずだろ。

 なのにこんなに暑いのはおかしい。冗談言ってないで早く止めてくれ。

 

「はぁっ、ふぅっ……んっ、あつい……」

 

「ちょ、おいリア! 本当に大丈夫か!?」

 

 ……なんだ? 頭がぼーっとして、顔が熱い。何かちょっと、フラフラする。もしかして、この世界でも風邪って引くのかな。

 

 

 ───あ? 

 

 

 待て待て。俺、なんか大切なこと忘れてねぇか? なんだっけ。

 何か、大事な……覚えておかなきゃ駄目な事が、あったような。

 

 思い出せー、出てこーい。

 あー、なんだっけ、なんだっけ。

 

 

 

 

 

『はい、自動発動する淫紋の付与完了~♪』

 

 

 

 

 

 ──あ゛っ゛。

 

 

「はぁっはぁっ……んっ、ふあっ……」

 

 顔だけじゃない。耳も、胸も、下腹部も、なんだか妙に熱い。だんだんと呼吸が早くなってくるし、少し苦しい。

 いつもの無機質な棒読みは何処かへ消え去り、途切れ途切れに吐く切ない声が、自分自身の異常事態を否が応でも理解させてくる。

 

「ベッドで横になってろ!」

 

 コントローラーを投げ捨て、ベッドから立ち上がる海夜の表情は、焦燥の一言に尽きる。

 顔も赤く無く、汗もかいていない彼を見れば、暑がっていたのは自分だけなのだと分かってしまう。

 

「とりあえず一階から冷やせるもの持って──」

 

 

 やだ。待って。

 

 

「っ! り、リア?」

 

「……ぇ?」

 

 あれ、何してんだ、俺。

 なんで海夜の腕掴んで、引き止めてるんだ。

 

「どうしたっ、どこか痛むのか……?」(様子がかなり変だ……やっぱり怪我を?)

 

「ぁ、あぅ……」

 

 海夜の顔が近くて、何故か更に顔を熱くしてしまった。思わず焦ってしまったが、当の本人は気にしていない様子だ。

 俺の気も、知らないで。

 

 

 ……やばい。ヤバイヤバイまずいどうしようこれはとんでもなくヤバイ状況だ。

 

 視界がボヤけて仕方がないのに、何故か海夜の事だけは鮮明に見える。でもジッと彼の顔を見つめていると、さらに顔が熱くなってしまう。

 意味の分からない状況に狼狽していれば、いつの間にか彼の腕を握る手の力が、もっと強くなっていて。

 

 妙に下腹部が熱くて、得体の知れない感覚が体の中で渦巻いている。敢えて言葉を探すとすれば──()()、としか呼称できない。

 足りない、何かが足りない。何かを無性に欲していて、それが無いから落ち着かない。

 

「リア、もっとゆっくり呼吸するんだ。深呼吸だよ、ほら」

 

「ふぅっ、す、すぅぅ……ふっ、はぁっはぁ……! むり、むりぃ……」

 

「くっ……! やむを得ないか。待ってろ、すぐに救急車を呼ぶからな!」

 

 

「──ッ! だ、だめェっ!!」

 

 

「おわっ!?」

 

 海夜の腕を引っ張って、ベッドの上に押し倒した。そして近くにあった彼のスマホを遠くに放り投げ、両手で彼の両手首を押さえて、体の上に跨って身動きを封じた。

 

 両手を押さえられ、俺に乗られていることで抵抗ができない海夜は、とても焦ったような顔をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───あっ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その表情を見た瞬間、自分の下腹部の疼きが強くなった。

 それと同時に、頭の中を鈍器で思いきり殴られたかのような感覚が襲った。

 

 すると、不思議なくらいあっさり、豆腐を握りつぶすよりも簡単に、俺の『理性』という最後の砦が決壊した。

 

「……ぁ、は♡」

 

「おいっ、リア? 急になんだ! どうしたんだよ、おい!」

 

 とても奇妙な感覚だ。

 押さえが利かなくなった体は勝手に動くし、脳も変な感情に突き動かされているのに、頭の片隅の──それこそ砂粒程度になった意味の無い理性が、自分の行動を冷静にただ傍観している。

 

 咎めるわけでも、背中を押すでもなく、ただ外側から何も言わずに静観しているのだ。

 

 

「えっ……えへへっ♡ ごめんね蓮斗っ♡」

 

「り、リア……?」

 

 この状況に巻き込んでしまって、申し訳ない気持ちは少なからずある。

 

「でも、あの、ね……おれ、わるくないよ、しょうがないことだから……だから──」

 

 俺の頭はもう、色欲に支配されてるのだ。

 

 

 

「えっち……しよっ♡」

 

 

 

「ななっ、ななななに言って」

 

「れんとのが欲しいっ♡ ねっ、ね? どうせ初めてじゃないし、いいでしょ?」

 

 彼の顔に迫りながら、上半身を落として蓮斗の体と密着させる。すると、ひかえめながら存在を主張する胸部の丘が、彼の胸に重なり合い、蓮斗の激しい鼓動を直に感じ取れた。

 

 焦り、だろうか。だがきっと、それだけではない。そう信じて、もう一度上半身を上げ、じっと彼の瞳を見つめた。

 逸らすことなく、羞恥を捨て、ただ真っ直ぐ蓮斗だけを見つめる。

 

 そのあまりにも強烈な視線を無視できないのか、蓮斗も目を逸らせずにいる。これは僥倖と思い、更に顔を近づけた。

 

「れんとだって……あの時は好きにしたし♡ 不公平、ふこーへーだ♡」

 

「待てって……! どう考えても今のお前は正気じゃない!」

 

「うるさ~い♡」

 

 彼の言葉を遮るようにして、自分の頭を彼の顔にこすり付けた。シャワーを浴びた後なので、どう足掻いても良い匂いしかしない筈だ。

 柑橘系のシャンプーの香りで、彼の鼻腔を擽ってやろう。

 

「う、うわっ……」(鼻の奥に、良い匂いが充満して……頭が刺激される!)

 

「ぐりぐり~♡ ほら、我慢してないでもっと嗅いでいいんだよ? 女の子の匂い、すきでしょ♡」

 

「そんな、ことは……!」(なんでこんな急に!? 絶対能力か何かで操られてるって!)

 

 何やら蓮斗から思考の雰囲気を感じた。恐らく予想通りの事を考えているのだろうが、此方としてはどうでもいい。

 それより早く、数日前のあの時のように、ケダモノになって欲しい。性処理用の玩具が生易しく思えるぐらい、雑に自分を使()()()()()()

 

 いや、理性があるなら、優しく()()くれてもいい。何でもいいから、そろそろ欲望に正直になって欲しい。

 

 

「ま、待った! ほら、避妊具とかないからさ! 買いに行ってくるから待っててくれ!」(とりあえず家の外に逃げないと……このままじゃマジでやばい!)

 

「……んー」

 

 汗をかきながら提案する蓮斗には、とって付けたような笑顔が張り付いている。

 そんな人間の言葉は信用できないし、第一逃がすつもりもない。

 

「やだ♡」

 

「っ!?」

 

 何故って? だって、ゴムとか邪魔なだけだし。

 

 

「ねっ♡ ねっ♡ そんなのいらないから、早くえっち……生えっち、しよっ♡♡ 生でいいからっ♡ すきにおれを使っていいからっ♡ ねっ、いっしょに赤ちゃんつくろっ♡♡」

 

 

「さ、流石にマズイって、正気にもどって……!」

 

「……むぅ。じゃあ、はい、そろそろ言い訳やめようね──」

 

「むぐっ……!?」

 

 奥手な蓮斗をフォローするつもりで、彼の唇に自分の小さくて柔らかい唇を落とした。

 

「んっ……♡」

 

 粘膜と粘膜が重なりあい、自分の小さな声が漏れてしまった。

 唇を重ね合わせた瞬間、体中に多幸感が瞬時に行き渡り、脳をビリビリと痺れさせる。

 

 それは受け手から攻撃的な姿勢へのスイッチとなり、強情な彼を堕とす為に『キス』を『口内の凌辱』へとシフトさせた。

 

「んちゅっ……♡ はぷっ、にゅるっ、れろぉ……っ♡」

 

「んむぐっ……! ~っ!!」

 

 舌を伸ばして、彼の口内へと侵入していく。そして見つけたピンク色の柔らかい肉を、飴玉のように舌で転がしてみた。

 

「ちゅぱっ、じゅるる……っ♡ はぷっ、れぅろ、れろ、ちゅっ、じゅるるぅ……♡」

 

「ぐむっ……んっ──っぷは! はぁっ、はぁ!」

 

 犯していた舌を一度停止させ、唇を解放させた。そして少し顔を離して、蓮斗の表情をしっかりと確認する。

 

 

 

「……あ、ぅ……♡」

 

 

 

 ──うん、堕ちた。間違いない。

 ディープキスをしている時も、何度か彼が自分から舌を動かしていたし、あっちも流されたくなったのだろう。

 

 好都合、よし好都合。

 ま、しばらくは放心状態か、もしくは形だけの抵抗を少し続けるだろうし、最初はこのまま逆レイプでいいか。

 疼きと火照りがとどまる所を知らないんだ。もう我慢する必要などない。途中で彼が自ら欲してくれれば僥倖だ。

 

 

 そんなこんなで下半身の衣服を脱いだころに、一つの思考が湧いて出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──俺、明日の朝、悲鳴をあげるんだろうな。

 

 

 




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えっちなシーンを抽出したR18版の投稿について

  • 書け そうすれば楽にあの世へ送ってやる…
  • 書かなくていい 命が惜しくないならなァ!
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