お前のハーレムをぶっ壊す   作:バリ茶

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支援絵を頂いてしまいましっあぁぁああァあア!!?!?(消滅)

ネタバレするとかわいいリアのイラストです
一枚目を頂いて心臓が止まり、二枚目を貰って肉体が崩壊を迎えました 命が足りねぇ

活動報告の方に掲載させて頂いているので、お暇な方は作者のユーザーページからチラッと見てみてくださいな


俺はお兄ちゃんでお姉ちゃんだぞ

 

 時刻は早朝。記憶も良好。昨晩のことは脳に焼き付いているで候。記憶によれば海夜は早漏。

 

 現在はベッドの上で、眠っている海夜の隣で私服に着替えている。小春ちゃんに選んでもらった服なので、俺の体型に合ってて中々かわいい。

 

 海夜の部屋にある大きな鏡の前に立ち、身だしなみを整えた。そのあと、鏡に向かっていろんなポーズを取ってみる。

 

「……かわいい」

 

 (リア)ってかわいいな。さすが元々エロゲのヒロインとして考えられただけあって、顔の造形もビックリするぐらい整ってる。

 試しに変顔をしてみても、これまたどうして可愛い。どんな表情しても割とかわいいって、すげぇなこれ。

 

 

 

 ──あぁ、はい。現実逃避やめます。

 

「……んっ」

 

 声がした方に振り向くと、海夜がベッドで上半身を起こしていた。

 まだ寝惚け眼で、虚ろなままボーっとしている。

 

「海夜、おはよ」

 

「んん……?」

 

 俺がいつもの棒読みで声をかけると、海夜がゆっくりとこちらに首を向けた。

 そして待つこと、三十秒。

 

 程なくして、海夜はみるみる血の気が引いたような顔になっていった。

 

 

「……ぁ゛っ」

 

 予想通りの反応だ。今回発情したのは俺の方だし、ほぼ受け手一辺倒だった海夜は思い出すのも早かったのだろう。

 しかし、ここは先に記憶を取り戻した俺のターンだ。

 

「言いたいことは、わかる。その事はまた、夜に話そう」

 

「へ? ……ぁ、あぁ、わかった」

 

「放課後の待ち合わせ場所は、噴水広場。とりあえず、それだけ」

 

「噴水広場な、わかった。フィリスにもそう言っておくよ」

 

 苦笑いをしながら返事をする海夜の目は、チラチラと俺を見ては逸らしたりと、落ち着かない様子だ。

 

 まぁ『アレ』があった後の朝なら当然の反応なのだが、今の俺にはそんな事どうでもいい。とりあえず茶化して早く学校に向かわせよう。

 

「どうしたの。……また、おっぱい吸いたくなった?」

 

「──ヘァ!?」

 

 なんだウルトラマンみたいな声出しやがって。昨日の夜は子供みたいに甘えながら必死にしゃぶってたくせに。

 

「海夜、まるで赤ちゃんみたいだね。でも、このままだと学園に遅刻しちゃうから、少しの間くらいしか──」

 

「そそっそそんなことしないって!? いっ、行ってきます!!」

 

 慌てふためいた海夜はすぐさまベッドから抜け出し、制服と鞄を持って早々に部屋を飛び出た。 

 これまた予想通り。敢えて冗談めいた事を言えば、アイツは焦って出ていくと踏んでいた。

 

 バタバタと一階から物音が聞こえ、程なくして家全体が静かになった。

 海夜が家を出たことを確認し、俺は再びベッドに寝転がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ァ゛ァ゛ッ!!

 

 くそクソ糞くっそカスふざけんなバカ馬鹿ばぁ──かッ!! 

 何やってんの!? 何でまた発情してアイツと……あぁうわァッ!!(死亡)

 

「なんで何でどうして何があったらそうなるのおかしい」

 

 クリアしたオカマに淫紋付けられてたじゃん! なに『ゲームって楽しいな!』とかほざいてミッション終わった後も普通に部屋に滞在してんの!? バカじゃない!?

 

「残機……うぁぁ、残機がぁ……」

 

 せっかく手に入れた3つ目の残機が無くなったぁ……。

 あ、あれ、4ポイントも使って獲得したんだぞ!? クリアの前に安定を取ろうって、そう思ってスペシャルチャレンジのやつやったのに!

 

 残機の意味お分かり? ここ、能力バトルの世界なんですよ。それで俺は何の能力も持ってないんですよ。そうなったら戦闘中の保険として残機を温存しとくしかないんですよ?

 

 残機と言っても命なの! 全部なくなったら死んじゃうの!

 それをっ、こ、こんな一夜の為にぃ……!

 

 

「……んっ、な、なんだ?」

 

 虚空に向かって慟哭していると、ポケットの中にあるスマホから急に音楽が流れ始めた。

 こんな音声、今まで聞いたことが無い。

 

「なにごと……」

 

 焦ってスマホを取り出して、画面を確認した。

 

 そこには『着信』の文字が表示されている。

 

「え、これって電話……? スマホの番号なんて、誰にも教えてないはず……」

 

 しかし、事実いま着信している。

 とにかく確認する他に選択肢など無いので、すぐさま通話のボタンをタップして耳に近づけた。

 

 ──すると。

 

 

『ハァイ! 繋がったってことは生きてるのね! 安心したわ!』

 

 

「……そ、その声」(まさか、オカマ!?)

 

 驚くべきことに、このスマホに電話をかけてきたのは、先日このゲームをクリアしたあのオカマだった。

 相変わらずクソデカい声で、スマホの向こう側から語りかけてきている。

 

『ゲームが終わって目が覚めたら自宅にいてね。即行で有志を募ってハッキングしたわ!』

 

「は、ハッキング……?」(このオカマの人脈どうなってんだ!?)

 

 つまり彼はゲームから解放されたあと、外で仲間を集め、こちらにハッキングをして俺に電話を掛けてきたらしい。

 このオカマ、行動力の化身すぎる。

 

「で、でも、生放送されてるし、これヤバいんじゃ……」

 

『安心しなさい。一時的に仮想世界(ワールド)現実世界(こっち)の回線をダウンさせてるから、あと5分は運営にも視聴者にも見られないわ。多分あっちはちょっとした接続不良か何かだと思い込んでるはずよ』

 

「いやバレたら俺が死ぬって……!」

 

『どうあがいてもアンタにアクセスした痕跡は残らないから大丈夫よ! プロを信じなさい!』

 

 何のプロだよ……。お前何者なんじゃい!

 

「えと、じゃあ、助けに来てくれるってこと?」

 

『は? 違う違う。ゲーム会場が何処か分かんないから助けようがないし、そもそもクリアしないと意識が肉体に戻らないわ。安全に帰りたきゃアンタもしっかり15P貯めてゲームクリアしなさいよね』

 

「じゃあ何で電話したんですかぁ……!」

 

 なんだかリスクが高そうな橋を渡らされてる気がして、ちょっと怒った。でも手を貸そうとしてくれてることは分かってるから言わない。

 

 

『淫紋、アタシが残していっちゃったでしょ? アレ、セックスするとその相手に移っちゃうのよ。だからそれの警告に──』

 

 

「へっ? ま、マジで?」

 

 彼の言葉を遮って俺がリアクションすると、オカマは数秒黙ってしまった。

 

『……ちょっと待ちなさい。なんとなく察したわ』

 

 何だお前、エスパーか何かか?

 

『相手は主人公ね? ……まぁ、発情の初期段階は思考能力の低下だし、最悪そうなる可能性も考えてはいたけど……やっちゃったわね』

 

「や、やっぱりヤバい……?」

 

『移るって言ったじゃない。もし主人公が唐突に発情して他のヒロインを襲ったりして、そこから連鎖的な発情で淫紋のバトンリレーを始めだしたら、元のストーリーが破綻して手に負えなくなるわよ』

 

 ……は? なにそれヤバイ(語彙力)

 

 えっ、詰みじゃん! 他のヒロインに手を出されるだけでもルートが固定されて俺が終わるのに、淫紋の交換会なんて始まったらポイント入手どころじゃねぇぞ!?

 

「やばばばっばば」

 

『落ち着いて……といっても無理か。まぁ、淫紋の大元はアタシだし、全部任せるのは無責任ね』

 

 逆に何でそんな落ち着いてんの!? お前本当にあのドンキで売ってそうなボンデージ姿のまま街で暴れてたあのオカマかァ!?

 

『解決……というより、唯一の延命方法を教えるわ。そこから先はアンタが頑張って頂戴』

 

「ほ、方法って……?」

 

『あの淫紋って付与された人間の性欲に反応するの。つまり感染者の性欲が高ければ発情しやすくなるし……逆もまた然りね』

 

「えっと、つまりどうすればいいの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『主人公くんが発情しないよう、定期的にアンタが抜いてあげなさい♡』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はい?」

 

『聞こえなかったかしら? 主人公くんが発情しない為には、性欲を溜めてはいけないってこと。だから彼が少しでもムラッときたら、完全な発情……もとい、暴走状態にシフトする前に性欲をアンタが発散させてあげるってこと』

 

 冗談はよしてくれ(タメ口)

 

「残機が無くなって死にますが……宜しいのでしょうか?」

 

『よ、宜しいわけないでしょ! なにもセックスしろって話じゃないわよ!』

 

 じゃあどういうことですか!? ヤリました! ヤったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!(残機減少) アイツに襲われて、残機を取り返して、でもこうやってまた残機が無くなって! これ以上何をどうしろって言うんです!?(半ギレ) あと何回快楽堕ちしろって言うんですかァ!(絶望)

 

「くすん、くすん……うぅ、ばーかばーか」

 

『ちょ、マジで泣かないで……。アンタの残機消費の条件くらい把握してるわよ』

 

「うぇ……?」

 

 性行為で消費されるって知ってるなら、なんであんなこと言うの……?

 

『アンタの【性行為を行う事・もしくは男性の精液の摂取】って条件の【性行為】に含まれているのは、驚くことに本番(セックス)だけみたいなの』

 

「???」

 

 

 

『つまり手コキとか足コキとか太ももコキなら大丈夫ってこと! もちろん口淫も精液を飲まなければ──』

 

 

 

「ばかアホまぬけぇ……! 電話切るぅ……家出もするぅ゛……!」

 

『えっ? ちょ、まちなさ──』

 

 

 申し訳ないがこれ以上の情報量はNGだ(精神の自衛)

 

 

 

 

 

★  ★  ★  ★  ★

 

 

 

 

 

 あれから長い時間、街を彷徨って。

 

 気がつけば、友達みんなにハブられていた子を連れて、俺は海夜の家に戻っていた。……ほ、他に帰れる場所ないし。

 

 今は彼女をリビングに座らせ、俺は料理の最中だ。

 

「えっと……リア、さん?」

 

「堅苦しいのは、いらない。さっき話してた時みたいに……お姉ちゃんで、いいよ」

 

 未だに少し緊張している彼女を、柔らかい声音で宥めつつ、料理に戻った。

 

 

 自由ヶ丘陽菜──言わずもがな、ヒロイン候補の一人だ。なにも、忘れていたわけではない。

 道中で彼女から聞いた話を要約すると、つまり自由ヶ丘……いや陽菜は、能力者によって他者から認識されない状態にされてしまったらしい。

 

 まぁ、これもイベントの一つだろう。多分このまま放っておいても、何かしらあって海夜が陽菜を助ける形になるのだと思う。

 

 

 だが、ダメだ。陽菜は渡さん。この子は俺が助けるし、海夜には何もさせないぞ。

 

「はい、オムライス、完成。一緒に食べよ」

 

「……う、うん」

 

 俺が作ったオムライスを、彼女に振る舞ってみた。

 陽菜はおそるおそるスプーンで料理をすくい上げると、ゆっくり口の中へと運んでいった。 

 

 静かに料理を味わい、ほんの数秒。

 

「お、おいしい……」

 

「でしょ。昔から、これは得意」

 

 俺の作った料理に夢中になっている陽菜に、弟の面影を重ねた。

 年齢も性別も違うが、俺の料理を楽しんでくれているその姿は、とてもあの子に似ている。

 

 ふっふっふ、小さい頃から弟が好きでよく作ってたから、オムライスには自信があるんだぜ!

 

「ご飯食べたら、一緒にお風呂に入ろうね」

 

「っ! ぅ、うん、わかった!」

 

 嬉しそうな顔をする陽菜を見て、俺はしっかりと彼女を妹として扱うことに決めた。

 別に陽菜を我が愛しの弟に見立てて、現実逃避をしているわけではない。

 

 キャラ設定を見たときに、彼女が姉妹の妹だという事は知っていた。なればこそ、こういった心が弱ってる時に慰めてやるのが、お姉ちゃんの役目だろう。

 彼女の姉が陽菜を認識できない以上、俺がお姉さんの代わりに陽菜のお姉ちゃんをする。

 

 海夜に任せちゃ駄目だ。アイツは一回陽菜を泣かせたし、そもそも淫紋があるから彼女を近づけたくない。

 エロゲの主人公なんざそれっぽい雰囲気になれば青姦上等の常識知らずどもだ(偏見) 助けたついでに陽菜とえっちされたら堪ったもんじゃねぇ。

 

 

 

「さっぱり、した?」

 

「うん! お姉ちゃん髪洗うの上手だね!」

 

 数十分後、俺と陽菜はお風呂を終え、リビングのソファに座っていた。

 

 彼女は妹で、今の俺は女の子──そう考えたら、お風呂は普通に一緒に入れた。やましい気持ちが出てこなかったのが不思議なくらいだ。

 

「……あ、なんか……」

 

「眠くなってきちゃったか。……じゃあ、ハイ」

 

 何度も瞼をパチパチしながら舟をこいでいる陽菜の横で、両足を揃えた。

 よく弟にねだられていたから、膝枕は得意なんだ、任せてくれ。

 

「膝枕してあげる」

 

「あはは……やったぁ……」

 

 軽く太股をポンポンすると、程なくして陽菜が両膝の上に頭を置いた。

 乗せられた頭を優しく撫でながら、俺は落ち着いた声音で彼女に語りかける。

 

「今日は疲れた、でしょ。ゆっくり、休もうね」

 

 そう言いながら、割れ物を扱うかのように、そっと陽菜の髪を撫でる。

 

 すると、陽菜は先程とは違う、少し低い声を出した。

 

 

 

「いいのかな……私がいなくて、みんなに心配かけちゃってるのに……」

 

「たまには心配かけさせるくらいが、ちょうどいい」

 

 

「かい……じん、なんとか……し……」

 

「私がやっつける。今はゆっくり、休んでね」

 

 

「……すぅ……すぅ」

 

「おやすみ」

 

 膝の上で寝息を立てたということは、ようやく心が落ち着けたということだろう。

 規則正しい呼吸をしているので、どうやら寝かしつけは完了のようだ。

 

 よく考えれば、陽菜からすれば俺は見ず知らずの、自分よりも年下に見える少女だったわけだが。

 

 それでもこうして安心して眠れたということは、彼女のお姉さんが常日頃からきちんと陽菜を甘えさせていたから、というのが大きい。安心したくても、甘え方を知らなかったら甘えるのは難しいからな。お姉さんグッジョブ。

 

 

 ……まぁ、なんだ。怪人の事とか、淫紋のこととか、課題は山積みなんだけどさ。

 とりあえず、今俺が言いたいことは一つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 久しぶりにお姉ちゃん(お兄ちゃん)できて嬉しかった(;ω;)

 

 

 




現在の好感度数値とステータス

陽菜:?【変動中につき数値不明】 《安心とある程度の信頼》

リア:度重なる不幸で混乱してしまったものの、無条件で甘えてくれる陽菜のおかげで姉(兄)として振る舞うことができ、無事復帰

⬇︎ これは1話で涙をこらえておにぎりをモソモソ食べてた時のリアの支援絵

【挿絵表示】

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