挑み続ける大英雄   作:星の空

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プロローグ

「………………は?」

 

俺は今物凄く困惑している。何故なら、小説を自室で読んでいた時に瞬きをした瞬間に場所が変わった挙句目の前のちっこい子から俺が死んだと言われたからである。

 

「あれれ?自覚ないんですか?心不全のように胸が急に苦しくなったとか頭に植木鉢が落ちてきたとか。」

「………………は?そんなのひとつもなかったんだが?」

「いえいえそんなはずありませんよ!人間誰しも死に際に苦痛や気怠さがあるんです!」

 

有る無いの押し問答を始めてから1時間が経ったが何方も妥協をしないため、なかなか話が進まなかった。

そんな中、突如としてちっこい子の背後に天使の姿をした女性があるものを振りかぶって立っていた。

そして、それを振り降ろした。

 

スパンッ!!!!

 

子気味良い音を響かせたそれはハリセン。思い切り叩かれたちっこい子は頭を抑えてのたうちまわっている。

ちっこい子を放ったらかしにして女性が話をかけてきた。

 

「申し訳ございません。あの子が迷惑を掛けて。」

「いや、話が通じねぇから辟易していたところだ。んで、どうなってんだ?」

「正直に告げるとあの子の暴走です。神々が人類の死後を選定しているのですが、あの子が悪戯をして死ぬ筈のなかった貴方に死を定めたのです。」

 

どうやら、あのちっこい子に殺されたらしい。

人生の書という人物の一生を綴るものがあり、事故に遭ったらそれを綴るものらしい。が、書きかけであった俺の分にちっこい子が死んだと書いたせいで死んだそうだ。

 

「はぁ、そっち側の不手際かよ………それで、俺はどうなるんだ?」

「………………自分が死んだというのにかなり冷静ですね。」

「死んだ方がマシな人生だったからな。孤児院に入るまでよく死なずに耐えたと思う程だ。」

「…………………これから貴方がどうなるのか、それは基本的には貴方のいた所とは異なる並行世界に転生させる。それがセオリーなんですが、最近は異世界に地球人が攫われるケースが多いんです。なので我々も決めかねているのです。」

 

地球人が異世界に攫われると聞いて異世界転移があることに内心喜んだ。なんせ地球上では楽しめないことも楽しめるのだ。娯楽がないのがネックだけど。

 

「ちなみに特典は何かあるのか?」

「特典ですか?それは寿命以外で死ぬ事の無い幸運と常に健康体の肉体だけですね。」

「アニメや漫画の世界に転生させるってことはないのか?」

「………………え?なんですそれ?」

「知らねぇのか?アニメや漫画の世界って大体が地球を中心にしてるだろ?その時点で並行世界の内に入るんじゃねぇか?そうだとしたらさっき言ってた異世界に攫われるケースってのはそのアニメや漫画が中心の並行世界なんだろ。」

「………………………………少々お待ち下さい。」

 

この話を聞いて天使?は上に確認を取るためか退室した。あのちっこい子も連れて行っていた。

どうやら天使?はアニメや漫画の世界をひとつの世界と捉えていなかったらしい。でも、アニメや漫画の世界だって有り得たかもしれない(・・・・・・・・・・)if系統の世界なのだ。並行世界そのものだろう。

約5分後に天使?は戻って来た。

 

「貴方の言う通り、アニメや漫画の世界も並行世界のひとつとして該当しておりました。」

「…………そうか。それなら異世界に攫われることが確定されているがまだ攫われてない世界に転生させてくれ。」

「えぇ?いいんですか?」

「いいも何も、正直地球には娯楽以外が楽しめねぇんだよ。それなら湧き上がる闘争が出来る異世界に行った方がマシだ。地球には帰る場所(住む家)さえあればいい。」

 

そう、正直地球には飽きていた。そして、未知に飢えてさえいる。だから異世界に行ける世界に転生して貰うようにお願いしたのだ。

 

「分かりました。それでは──────」

「あぁ待て待て。まだ特典について話してない。」

「?特典は先程申しましたが?」

「いや、異世界に行くんだから因果が捻れて機能しなくなるだろう。それくらいなら物や才能を手に入れた方がマシだ。」

「……………………はぁ、何がご所望なんですか?」

「Fateシリーズのヘラクレス(・・・・・)アルケイデス(・・・・・・)ヒッポリュテ(・・・・・・)の身体スペックと宝具、真エーテル(・・・・・)の魔力だ。」

「…………分かりました。それにしてもかなり欲深いですね。」

「それが人間って奴だ。お前さんも生きている自覚があるなら多少は持っててもいいんだがな。」

 

特典に難癖を付けられたと思ったのか急に態度が変わる天使?。それを無視しなが、死ぬ前に読んでいた小説の登場人物の力を欲した。

天使?にやや非難されているように感じるが、無視だ。

手続きが済んだら天使?は挨拶もさせずに俺を転生させた。

さて、俺が何処まで到れるか楽しみだ。

 


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