次の第2章がある程度完成するまで投稿期間が大幅に開きます。何卒、ご容赦の程をお願いいたします。
吹雪「テスタさん・・・司令官・・・大丈夫かな・・・。」
指宿に程近いとある島の陰に、兄川とテスタの良き友人である吹雪の姿があった。目の前では深海凄艦と艦娘が砲撃を交し合っている。どちらも一目見ただけで、
指宿鎮守府には一人で姿を現したテスタであるが、道中、何時どんな敵が現われるか分からない上に、テスタにとっては日本・沖縄・台湾近海は勝手の知らない土地でもある。そのために、個人の問題だからといって連れてこなかったアヴェンタ達の代わりに、吹雪を護衛兼水先案内人を頼んだという訳だ。
そして今は、吹雪だけを誰にも見つかりにくい安全な場所に待機させ、何か非常事態が起きた時には、その救援に向かうという手筈になっていた。その吹雪の目の前に、3人の艦娘が現われた。近隣の錦江に所属する、古鷹、多摩、初春だ。どうやら彼女達は吹雪の存在には気付いていないらしい。深海凄艦の征伐が終わったのか、3人で何かを話している。
古鷹「ここまで下がれば、もう大丈夫だと思います。」
初春「にしても・・・、今回は久々に本土に敵艦隊が責めてきたとはいえ、たまたま近くを通っていた未完成の新型みさいる?で深海棲艦を潰そうなぞ、ちと大胆すぎじゃ。そこまで大本営は、追い詰められておるのか?そもそもじゃ、今度のはどんな兵器なのじゃ?」
多摩「多摩含めて皆詳しくは知らないにゃ。でも、目標に落ちたら、その周辺の海水を通じて雷並みの電気を通して感電させるらしいにゃ。」
初春「何と!爆発のエネルギーでなく雷で感電とな!」
多摩「それも着地点から半径数キロの深海凄艦はおろか、艦娘も黒こげらしいにゃ。だから、多摩や皆は時間になったらこうやって退避するしかないにゃ。」
古鷹「すごいですね・・・。でも黒こげになるって、ちょっと想像がつきませんね。」
初春「想像せんで良いと思うぞ。むしろ、そのような惨い姿になるのも見せられるのも、例え敵とは言え耐えられんのじゃ。」
ちょうど、その時だった。4人の頭上を緑色に黄色のラインの入った巨大なミサイルが轟音を上げて飛んでいったのは。しかも、飛んでいった方向と凡その予想落下地点は、何と指宿鎮守府ではないか!
吹雪「!」
多摩「今の・・・」
古鷹「・・・!?。ちょっと待ってください!まだ発射時刻になっていない上に、予告もなしにいきなり発射が早められるなんて!」
初春「落ち着くがよい、古鷹。考えたくはないが、あれとは別の兵器の可能性も捨て切れんのじゃ。」
多摩「でも、飛んでいった方角は確かに指宿鎮守府の方だったにゃ。ということはにゃ・・・。」
古鷹「現地の皆さんが危険です!今すぐ知らせないと!」
初春「無論じゃ。・・・おや?あれは吹雪ではないかの?」
初春がふと後を見たとき、どこの所属か分からぬ吹雪が指宿に向かって全速力で走っていくではないか。
初春「そこの吹雪よ!どこの者か存ぜぬが、そちらは大変危険なのじゃ!さっきのミサイルが落ちてくるのじゃ!早う戻らんか~!」
初春の制止も聞かず、ただ兄川とテスタを助けるために突っ走る。
吹雪「司令官!!テスタさん!!」
そして、運命の指宿鎮守府。誰の目にも分かる距離までミサイルが迫っている!予定よりも早く発射されてしまったミサイルを前に誰も彼も不安を隠せない。ただ一人だけ、裏から艦娘への連絡もなしに発射を早めた張本人の岸田を除いて。
大淀「新型ミサイル接近!距離3000!」
岸田「(いいぞ!そのままだろうが迎撃成功だろうが、どの道皆雷にやられて死ぬ!そのまま全て燃やし尽くしてしまえ!深海も艦娘も津和も!!)」
アセラ「首領。一体どうなさるおつもりで?」
富士「決まっている。ロクロクの主砲全砲発射で狙い打ってみせる!それより、ホワイトアローとレッド・デビルはどうした!?」
アセラ「ホワイトアローはヒートとフリコを回収して外洋に向けて避難中です。解放されたレッド・デビルも同様です。」
富士「全員に伝えろ!爆発が収まるまで全員海底でじっとしていろと!」
富士は深海凄艦全員が海底を泳げる事を生かし、メンバー全員を海底に待機させる事にした。
一方、艦娘は・・・。
祥鳳「そんな・・・。このままでは私達まで巻き添えに!」
長門「分かっている!避難は間に合わんが、電探、高角砲、対空機銃を持たない艦は直ちに地上の桟橋へ!出来る限り、建物の内部を目指せ!」
陽炎「私、対空機銃持ってる!」
島風「連装砲ちゃんの一人は高射装置付きの改造砲だから、残るよ!」
祥鳳「私も残ります!」
陸奥「どんな時だって私は長門と一緒よ。」
木曾「仕方ない。俺は避難するぞ。雪風、お前も対空兵器はなかったはずだ。」
雪風「分かってます。島風、長門さん。気をつけて!」
妙高「陽炎さん、祥鳳さん。お願いします!」
こうして8人中、5人の艦娘は迎撃の為に残った。
そうしている間になお迫ってくるミサイル。それを知らない兄川とテスタは鎮守府からここまで10キロもノンストップで走ってきた。もう追いかけてくる敵はいない筈。
テスタ「鎮守府がもうあんなに遠くに・・・。」
兄川「テスタ、色々とありがとう。」
テスタ「そんな・・・!・・・。結局は私のわがままだし・・・、それより、あなた自身の決着はついたの?」
兄川「いや、まだだ。でも君が助けに来てくれたおかげで、ひとまず負けずに済んだ。またもう一度やり直すさ。」
テスタ「そう・・・。(本当はもう二度としてほしくないのに・・・、しなければ彼の不幸は消えない。深海棲艦なら闇に捕らわれてもいいのに、何故か彼にはそうあってほしくない。彼が人間だから?それとも、また私の勝手な我が侭?)」
兄川「ん?テスタ!足元!?」
テスタ「え?キャァ!」
思いにふける暇を神は許さなかった。兄川がふと足元に目を向けた瞬間、待機していた海王会の潜水艦数隻が2人を引き摺り下ろして沈めようとしている!
兄川「何だ、お前達!?」
エスプリ「貴様の身体は富士首領のものだ。貴様を首領の下に送ってやる!」
テスタ「いや!放しなさい!でないとテスタ艦隊の皆が黙ってないわ!」
エスプリ「関係ない!・・・そろそろ送りが来る頃だ。」
兄川「どういう、ウオッ!」
エスプリが気味の悪いにやけ顔をした瞬間に、2人の身体は腕を噛まれる形で一気に鎮守府方向に引っ張られる。2人が潜水艦に気を取られている隙に静かに接近した一つ目の攻撃哨戒鷹が腕に組み付き、そのまま持ち上げて飛んでいるのだ。
兄川「は、離せ!」
攻撃哨戒鷹は鎮守府を目指して飛び続け、富士の姿を見つけたところで、腕を離して爆弾のように落下させる。2人は海に叩きつけられ、体が一時的に麻痺してしまう。
アセラ「あれは?兄川誠とテスタ!我が勇敢な戦士が連れ戻したのだ。」
富士「2人のことは後だ。とっととミサイルを始末するぞ!」
兄川・テスタ「「ミサイル・・・!?」」
兄川が目を開けた途端に目に映る暗い緑色の飛行物体。間違いなくミサイルの形をしていた。
テスタ「ダメ!熊猫部隊が間に合わない!?」
兄川「艦載機を仕舞え!テスタ!体を丸めるんだ!後、頭も押さえるんだ!」
テスタ「一体何をするのって、キャア!」
兄川は乱暴な手段だと知りながら、攻めてテスタだけでもミサイルの爆発から守りたいと
兄川「神様よ!彼女だけでも助けてくれ!オオオァァ!!」
テスタの身体を持ち上げ、大きく穴の開いている工廠の方に投げ飛ばした!地面や壁に叩きつけられるショックはあるものの、そのまま爆発に巻き込まれるよりは遥かにマシという彼の判断だった。
テスタ「あにか・・・わ・・・」ドン!ドン!ドン!
テスタの体が工廠に転がったのと同時に、長門と富士の声が重なった。
富士・長門「「目標捕捉!ってー!!」」
長門の艦隊の対空装備全門一斉射!同時に富士とアセラの大口径主砲も一斉に火を噴く!熟練を通り越した超人的技術はミサイルを水面に落とす前に確実に仕留める事が出来た。が、それこそ岸田が考えた最大にして最悪のストーリーだった!
大淀「ミサイル撃破、キャァァッ!!」
大淀は耳がつぶれかけた。同時に、司令部のありとあらゆる機械が火花を散らし始め、やがて停電した!
アセラ「キャアアア!!しゅりょー!!」
富士「グァァ!だが、何の・・・これ・・・しき・・・!!」
長門「撃破かん、グッアア!!」
祥鳳「アァアアアァァ!!」
島風「連装砲・・・ちゃーん!!」
連装砲ちゃん「キュキュキュキュキュー!!」
妙高「アアァ!何、電気!?」
木曾「伏せろ!!」
兄川「ヴァアアアアア!!!!」
ドゴ!ドゴン!ビリリビリ!ドガーン!ドドドド!!ビリイビリリビリビリリィ!!
ミサイルの爆破と同時に無差別に放たれた巨大な雷!海に落ちた雷は、艦娘、深海凄艦を問わず、触れた者全ての身体と艤装をビリビリに焼いてしまう。地上で建物に逃げ切れなかった妙高、木曾、雪風も、長門や富士同様にスタンして動けなくなる!木々はあちこちで巨大な炎を燃え上がらせ、避雷針を持つ鎮守府や付近の施設でさえ、避雷針の能力を超えた電気エネルギーのために爆発した!既に付近の港に泊まっていた客船からターミナルビル、灯台に至るまで全てが爆発で燃え上がっている。
TVクルー1「うわっ!!・・・な、機材が全部壊れた・・・だと!?」
TVクルー2「発電機を回せ!まだ予備の機材があったはずだ。TV用カメラがだめなら、私物のハンディでも構わん!」
TVクルー3「それ以前に、この中継車の放送機器そのものが壊れてしまってます!」
住民1「な・・・何がおきたんだ・・・!?」
住民2「始めて見た・・・。雷が建物を爆発させるなんて・・・。」
住民3「そんな・・・・・・建物の中に入れば、安全じゃなかったのか!?」
住民4「わしらの故郷が・・・燃えて行く・・・。」
住民5「爺さん・・・、あたしゃもうダメだよ・・・。」
避難所に指定されていた内陸の体育館や病院では、照明から医療器具に至るまで、全てが誤動作ないしショート!追い討ちの電磁パルスが無線を無効にしてしまった!
看護婦1「ロビーの電源が落ちて停電になっています!補助電源にも切り替わりません!」
看護婦2「3階の機械室で火災が!すぐに入院棟の患者に避難指示を!」
正に地獄絵図。指宿の街は火に包まれた!
深海棲艦の攻撃より凄まじくおぞましい稲妻の無差別破壊は鎮守府を粉々にし、長門も富士も兄川も誰も彼も、ビリビリと音を立てながら体を流れる電気に身体を犯され、エネルギーのもたらした血管や皮膚の破裂のせいで皆、全て血を流して目を見開いたまま微動だにせず立っているしかない。
アセラ「・・・ア・・・・・アァ・・・」
長門「・・・・・・む・・・つ・・・。」
島風「・・・はや・・・すぎるよぉ・・・」
富士「・・・ニンゲンメ!・・・・・・!!」
兄川「テスタ・・・、テスタ・・・!」
テスタ「兄川!!」
工廠で目覚めたテスタが兄川の変わり果てた姿を見て、真っ先に彼を包んだ。
テスタ「兄川!しっかりして!兄川!」
兄川「て・・・テスタ・・・。どうよ・・・!自分は・・・ぶじ・・・だ・・・」ビリビリッ!
テスタ「どこがよ!全身血だらけで、こんなに電気が流れてて・・・。待ってて、すぐに私の家に帰りましょう!」
兄川「・・・それなんだが・・・、自分のあしが・・・つかい・・・ものに・・・ならな・・・い・・・。」
テスタ「私があなたを抱えていくわ。絶対にあなたを助け出すから!絶対に死んじゃいやだから!」
長門は2人の姿を見つけて自分を取り戻した。
長門「ただの人間が・・・。奇跡か・・・それとも、愛の力か・・・。」
その近くを陸奥と島風、連装砲ちゃんが潮に流れてきた。幸いまだ土座衛門になってはいなかった。また僅かに電気を浴びてしまったものの、地上で体を伏せていた妙高、木曾、雪風も無事だった。
木曾「全員、無事か?」
雪風「はい。雪風は・・・沈みません。いえ、沈むわけにはいかないんです・・・!」
妙高「・・・助かったのですか?・・・は!」
妙高の目の前で兄川とテスタが抱き合っていた。しかも兄川はもう死に掛けている。
妙高「あいつ・・・・・・、ハザマ、イロスケ・・・!」
妙高の目が殺意に変わる!自らの意志ではない何かに引きずられるように、目を真っ赤にして、兄川に主砲を向ける。
雪風「妙高さん!何してるんですか!?」
妙高「あなた達は知らないでしょうけど・・・、あの男は、狭間色輔っていう外道提督なの・・・!私達の指宿鎮守府の艦娘をむりやり娼婦や成金やヤクザの奴隷にして金を手に入れて、そのままどこかへノウノウと逃げていった、最悪な男。それがあいつ!」
木曾「待て!今の指宿鎮守府の司令官は新米の兄川誠少佐だろ?狭間の噂は良く知ってるが、どう考えたら奴とあの男が一緒に見える!?」
雪風「とにかく止めてください!今の妙高さんは大量の電気のせいで頭が正常に機能していないんです!今は武器を下ろしてください!」
妙高「いえ・・・、私は冷静です・・・!何度も私達を助けてくれた、新島中佐と岸田准尉は・・・、極秘で私達に会ってまで伝えにきたんです・・・。今度来る兄川誠とは、狭間色輔の高度な変装であると。奴自身のほとぼりが冷めた今、艦娘を人間より格下に扱うのが常識と叫ぶ下劣な上官の手によって戻ってきた。だから油断するな。最初から殺す気で行け!と。」
木曾「そんな馬鹿なことがあるか!いくら変装だからって、50手前のデブ男が、20代の細身に変われる訳がないだろ・・・、ってまさか!?」
妙高「今回の一件、そしてあの深海海月姫の存在でハッキリしました・・・。奴は、深海棲艦をも自分の忠実な奴隷にして、私達への報復のためにここを襲わせたんだと。」
木曾「・・・いや、やっぱりありえない・・・。安全な所があるならどこまでも逃げる奴が、逆に危険な古巣に戻るようなことするかよ・・・。しかも、自分の身体を投げ捨ててでも・・・。直接身元を確認したんだろうな!?」
妙高「できる限り調べました・・・。奴は間違いなく狭間色輔本人です。仮に、万一改心したとしても・・・奴は今までの罪を清算していない。そんなもの都合よく現実から逃げたのと同じよ!何も変わってない!だから・・・、今、殺さないといけないんです・・・。これからの艦娘の未来の為に!」
妙高の狂気に駆られた声は次第に大きくなる。その声がテスタの耳に入った時、その砲口から殺意の塊が弾き出された!
テスタ「!!」
兄川「!」
弾はそれた。そして、それがテスタの怒りを爆発させた。
兄川「テスタ・・・なにを・・・?」
テスタ「あなたなの・・・?、自分の野心のために兄川をいじめて苦しめて、それに飽き足らず彼を殺そうとするのは・・・!」
テスタは拳に力と電気を込め、ゆっくりとだが妙高に近づく。楽には死なせまいとじわじわと首を絞めるつもりだ。
妙高「深海海月姫・・・。あなたがどんな男に惚れようと知った事ではありませんが・・・あの男は下劣の塊。その男の為に我々はどれだけ苦しい思いをしてきたか。未来ある艦娘がどれだけ地獄に落ちたか・・・」
テスタ「そんな筈はないわ!彼は外道なんかじゃない!今までずっと、あなたのような悪人と戦っていたのよ!たとえ自分自身の姿が人から外れたとしても!自分の悪事を正当化して、邪魔する者を悪と考えるのは止めなさい!」
妙高「知ったような口を利かないで!あなたは出鱈目を言われて騙されているのよ!」
テスタ「悪人に堕ちた艦娘の言葉など、信用できない!だからここで殺す!兄川の・・・私が唯一愛した人の平和を願って!」
ついにテスタの足が速くなる。妙高も我慢の限界だと引き金を引きかける。その時だった。
2人の横に広がる外洋から小さい連装砲の砲弾が2発飛んできた!1発はテスタの足元に、もう1発は妙高の主砲を飛ばした!
妙高、テスタ、そして兄川の振り向いた先に、兄川の、テスタの良き友人、吹雪がいた。
その吹雪の傍には、意識を失ったままの陽炎と祥鳳が浮いていた。遠くに流された2人を吹雪が途中で拾ってきたのだ。
吹雪「当たった!・・・じゃなくて・・・、止めてください!2人とも!私の知る限り!どっちも、そして司令官も悪い人じゃありません!」
妙高「あなた!吹雪ちゃん!それにそこの2人は・・・。」
テスタ「構わないで、吹雪さん!」
吹雪の叫びは続く。
吹雪「テスタさん!妙高さん達は悪い人じゃないです!私も一時だけ皆さんと生活をした事があるから分かります!皆さんは出来る限り艦娘や善人に愛を注ぎ悪を憎む、そういう人達なんです!テスタさんの考えているように、悪の道に堕ちたのではありません!ただ、何か勘違いがあって暴走してしまっただけなんです!そうですよね、妙高さん!」
テスタ「それって、どういうこと・・・?」
吹雪「妙高さん!私の司令官、兄川誠少佐は決して外道なんかじゃありません!」
妙高「騙されてはダメです!彼の本当の名は狭間色輔という外道で」
吹雪「一度もそんな話を聞いた事はありません!それに、本当に外道なら、心優しいテスタさんが一目惚れすると思いますか!?愛する人を守るために自らの危険を顧みずに死と隣合せで戦うと思いますか!?」
妙高「でも確かに私の信頼できる人から・・・・・・。」
長門「吹雪の・・・言うとおりだ!!」
更に長門まで足を引きずってこちらにやってきた。彼女もまた兄川は悪ではないと知っているのだ。
長門「私も・・・彼の戦いぶりを見せてもらったが・・・、あれは正真正銘の愛がなければ出来ることでは・・・ない!」
妙高「長門さん・・・。」
長門「妙高・・・。もう一度、あの男の事を正しく調べろ。自分の味方の振りをした人づてではなく列記とした正式な資料や第3者の話を通じてだ・・・。これは・・・命令だ!」
吹雪「これでよかったんですよね、司令官。」
兄川「・・・・・・。
吹雪「しれい・・・かん?」
兄川は
静かに意識もなく頭から倒れていた。
テスタ「兄川ああぁぁぁー!!」
テスタは泣いた!泣き叫んだ!絶望に!これから起きるかもしれない絶望が今押し寄せてきたかのように!
兄川は消え行く意識の中で、目を見開き、心の中に僅かに光る太陽を見つめながら、己の為すべき事を考えていた。
兄川「自分はかつて1度死に掛けたことがある。ちょうど、こんな風に誰かの殺意や狂気のために殺されかけたんだ。だが、自分は生き残った。自分の意志か神が仕向けた運命かは分からないが・・・、だが自分は奇跡なんて本当は信じていない。昔からそうだ。全てには因果関係がある。人から見れば理解不能で身勝手な理由でも、世界の道理から見れば至極自然な本能が必然となって、それが幾つにも重なったものが偶然を装ってきた。偶然とはそんな物なんだ・・・。神様の力や転生、蘇りなんて信じない。だから・・・今からでも、生き続けるための必然を、生きるためのプロセスを追っていくんだ。
そのために一度自分をリセットする。まず、目を閉じて雑念を捨てろ。捨てたら、上半身を海面に向けて両膝を抱え、意志のない胎児に戻れ。外の空気に触れたら、立ち上がり、思いっきり声を上げるんだ。言葉にならなくていい。ただ自分はこの世にいることを世界中の生きる者全てに教えてやるんだ。そして、自分の中の気持ちを素直に吐き出せ。吐き出せなくなったら整理して記憶へと変えろ。
自分の名は、津和昭雄。人ならざる力を持ち、兄川誠と名を変えてまで生き続け、死ぬまでにやり残したことを全てやり遂げる男。反転する運命を繰り返し、無終を驀進する男。」
第1章 無終と反転の兄川誠 完
次回、第2章 望和と選義の兄川誠。ご期待下さい!