破壊と集結の兄川誠   作:松代眼鏡

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 微グロ描写?に注意!


第1章 無終と反転の兄川誠 その9

兄川「もう一度言うぞ!提督代理を語る悪の手先共!お前達が探していた死に損ないの「津和昭雄」が帰ってきたぞ!!今度はお前らが正体を白状する時だ!!」

 

 妙高「この声はやはり、あの男・・・。」

 陽炎「何で態々、自殺行為なんてするのよ?」

 天龍「それより、奴の言ってる津和昭雄って何の事だ?」

 

 兄川の行動の真意が読み取れない艦娘達はただ頭を捻らせるしかなかった。

 

 新島「妙高さん、それに他の皆さんも考えるのは後回しです。今は奴を捕獲して、奴から事情聴取するのが先決です。奴の真意はそこでハッキリするでしょう。」

 妙高「・・・分かりました!」

 

 

 兄川は特に抵抗することなく、提督代理艦たちに捕らえられ、両手両足を椅子に縛られたまま、本館地下の営倉に放り込まれた。なお、事情を知らない他の艦娘には、不審人物による不法侵入と知らされた。

 

 それから2日後・・・

 

 兄川「(やはり、ここにぶち込まれたか・・・。だが、このまま当局に身柄を引き渡そうとするのは連中のやり方じゃない。必ず、自分個人の事を無理やりにでも聞きだそうとするはずだ。そのための布石も打った。後は・・・)」

 

 暗い檻の中でギラギラした目で少しでも筋肉を動かそうとする兄川のもとに、妙高、陽炎、天龍の3人と正規の制服を着た2人の男が現われた。兄川は知らないが新島中佐と岸田准尉である。無論、3人の艦娘も一見しただけでは誰なのか分からないように変装している。

 

 天龍「お前・・・。自分から捕まりに来たのに、すぐ脱走の準備か?」

 兄川「少しでも運動したほうが健康に良いからな・・・。それより、見かけない男がいるみたいだが、貴官らは誰だ?」

 新島「黙れ!海軍の面汚し!・・・まあいい、どうせ覚えても無駄だろうが、僕は新島中佐、隣にいるのが岸田准尉だ!直接的な取調べは彼女達が行う。」

 兄川「ククク・・・余計な事言わなきゃ、偽名だってバレなかったのに。」

 妙高「戯言もそこまでにしなさい!」

 

 妙高は兄川を叩いた。中々思いビンタだった。が、連中の性格を考えたらこんな軽い暴力など大したことじゃない。が、それでも男2人の顔がわずかに反応したのは見逃さなかった。

 

 妙高「・・・兄川誠少佐・・・でしたよね?あなたの事は顔も見たく無いほど嫌いですが、いくつか質問に答えていただきます。」

 兄川「いいぞ、さっさと始めてくれ。」

 

 兄川の目が以前とまるで違う。状況が分からなくて困惑していた人間の目ではなかった。今の彼が武器を持っていたら、すぐにでも殺しに掛ってきそうな獣の目。以前のこいつは、どんな時も一度もそんな目をしていたことは無かった。今の地位に戻るために、ゴマすりではなく命を張ってきたというのか。そんな事、天地がひっくり返ってもありえなさそうだが・・・。

 

 妙高「まず、脱走した理由を話してもらいましょうか。」

 兄川「簡単な事さ。君達、いや貴様らの正体がバレるのを待っていたら、たまたま娑婆の空気を吸えるチャンスにめぐり合えただけの事だ。」

 陽炎「一緒に逃げた吹雪はどうしたの?」

 兄川「安全な所に避難している。貴様らには絶対に見つからない。自分だって見つけたのは本当に偶然だからな。」

 天龍「お前みたいな男の用意した場所が、本当に安全とは思えないけどな。・・・もし本当は、あの子を殺して海に沈めたっていうなら、ただじゃ置かないぜ。」

 兄川「生きているさ!ただし、探したいなら勝手に探せ!貴様らに居場所を教えるほど、俺は甘くないぞ。」

 陽炎「じゃあさ、あの子とあんたはどういう関係?」

 兄川「本来なら、一人の指揮官と、その配下の艦娘の一人。ただそれだけの筈だったんだ・・・。着任直後に貴様らがあんな事をしなかったらな・・・!」

 陽炎「私達があんたと吹雪を引き剥がした事?あれはあの子を守るための当然の処置よ。それとも何?私達が何をしても、

 

 

 あの子はアンタに忠実な娼婦だっていうの?」

 

 兄川「・・・娼婦だと?まだ碌に人生経験をした事が無い彼女が?」

 

 陽炎「そうよ。あの日の脱走の実行犯は間違いなくアンタに従順で忠実だった吹雪に決まってる。実際、アンタは私達以外と接触できなかったのに、彼女は脚部艤装の調達からガスタンクの爆破まで、全部自分の意志で出来るはずないもの。最初から痛い目に合わされることを想定済みで、逃げ出した先で手篭めにした吹雪を鎮守府に紛れこませたの?」

 

 兄川「手篭めだと?・・・さっきの娼婦発言といい、貴様ら俺や吹雪を何だと思ってる?彼女に罪を着せるのは心苦しいが、脱走を考え出したのは、おそらく彼女だ。自分はただそれに乗っただけだ。だがな、貴様らの正体に何となくでも気付いていたら、行動力のあるまともな人間や艦娘だったら、貴様らから逃げて助けを求める筈だぜ?誰だって外道の逆恨みや無関係な事件に巻き込まれて殺されたくないからな・・・!」

 天龍「テメェ!」バンッ!

 兄川「クッ・・・!」

 

 兄川の発言に腹を立てた天龍はチンピラの如く、持っていた刀の刃ではない方で何度も何度もぶっ叩きつづけた。

 

 天龍「自分の犯した罪を棚に上げて!!反省するどころか、俺ら被害者を悪人呼ばわりだと!?どこまで、性根が腐ってやがる!そのセリフを言う資格はテメェになんか無いんだよ!!この強姦魔!能無し!ゴマすりと土下座しか脳の無いクズが!」

 

 天龍の怒りに任せた強打のために、兄川の皮膚やズボンは暗い血の色に染まり、頭も正常に考えられなくなっていた。脳の一時的な麻痺と連中の現実を見ようとしない都合の良い身勝手な考えに対する怒りによってもたらされた思考停止である。

 

 天龍「どうだよ!図星だろ!何から何まで他人の振りしてようが、俺らはお前の醜い正体を知ってんだよ!だから、俺らの質問に素直に正直に話せ!」

 

 兄川「・・・・・・」

 

 陽炎「・・・こいつ、気絶してない?」

 岸田「それでしたら、発電機と工廠にあったプラグを使って電気ショックでも」

  

 兄川「そんな・・・ことした・・・ら・・・」

 陽炎「あ、生きてた。」

 兄川「いろいろ・・・聞き出す前に・・・、自分は死んでしまう。」

 天龍「あ?何人もの艦娘を地獄に追いやって、自分は死にたくないってか?」

 兄川「もっとも、貴様らの望みは・・・、自分への復讐なんだろ・・・?貴様らの下らないメンツの為に、邪魔な人間を殺して・・・自分を悪人に仕立てて、密かに殺したかったのに・・・、貴様らの雇い主の・・・ボスだったあいつが、逆に刑務所行きじゃ、なあ?」

 

 妙高「ボス・・・、それは、私達の先代提督の事?」

 兄川「・・・先代提督?」

 妙高「ご存知ないとは言わせませんよ?あなたのせいで、嘘の詐欺罪を、冤罪を被せられた田中中佐のことです。」

 

 今度は妙高の目が鋭く細まった。そこにはいよいよ情を挟む余地は無かった。田中中佐なんて人は全く知らないが、それにしても中々演技が上手い艦娘だ。まるで本当に彼女が不幸な目にあってきたと思い込んでしまう。が、レベルの高い詐欺師のような連中なら、こんな芝居などたやすいだろう。

 しかも、今のご時勢、艦娘は人を騙すような悪事はしないという偏見がある。そいつを利用して、上手い事、人を騙せば自然に人々は艦娘の味方になってくれる、という訳だ。そう考えたら、ますます人を騙して罠に嵌めようとする捻くれた根性を持つあの連中みたいに見えてきた。

 

 兄川「・・・ハァ。・・・いよいよ分からなくなってきたな・・・。本当に他人の振りをしてるのが、どっちなのか。」

 妙高「っ!!」

 

 妙高の怒りの拳が兄川の顔をえぐり、椅子ごと身体を倒される。武道の受け身など取れる筈も無く、頭からぶつてしまった。

 兄川「っつー・・・。」

 妙高「やはり、生かしておけない!こういう男を・・・煽るしか出来る事の無い奴が、私達の提督だなんて!」

 

 妙高は今度は20.3cm連装砲の引き金を引こうとして怒りに燃えている。このまま殺されかねないと思っていた所を、止めたのは新島だった。

 

 新島「落ち着くんだ、妙高さん!君達の怒りは良く分かる。だが、何のためにこうして尋問しているか、改めてよく考えるんだ。ここで怒りに任せれば全てがパーだ。」

 妙高「新島中佐・・・。」

 新島「ここからは、僕と岸田が代わってやろう。君達は奥の椅子で話を聞いててくれ。」

 

 そういって、艦娘を奥に移動させ、今度は新島と岸田が兄川の前に現われた。早速、2人で兄川の身体を起こし、尋問を再開する。しかも、岸田の手によりいつの間にか準備された脳波測定用のセンサーを貼り付けられた。嘘発見器のつもりか。

 

 新島「頭は正常か?」

 兄川「・・・貴様らに心配される程、弱くは無い!」

 新島「ほう。意外といえば意外だが、元の貴様を考えればおかしくは無いかもしれんな。・・・まあいい。これ以上、ある事無い事言われて煙に巻かれるのも癪なのでな、早速だが、今我々が一番知りたい事を聞かせてもらう。」

 兄川「・・・なんだよ?」

 

 新島「貴様は誰に頭を下げて、匿ってもらった?」

 兄川「匿う?」

 新島「そうだ。君自身は上手くごまかしてきたつもりかもしれんが、裏では相当の悪人として噂になるほど有名だったんだよ。そこにいる優秀な艦娘達が現場を盗聴したり、秘密の帳簿を見つけたりしてくれたおかげでね。」

 兄川「だろうな・・・。自分の偽者が、自分の名を使って散々罪の無い女を地獄においやったからな。ご丁寧に、当時の自分の服装まで真似てさ。それなら偽装工作もたやすいだろう。正直言って反吐が出そうだがな。」

 天龍「そうやって、また別の誰かに罪を擦り付けるのか?第一、テメェの欲望を満たすのに、何故、偽者がいるんだよ。テメェの第一の目的は人身売買じゃねぇよな?あ?」

 

 後から天龍が絡んでくる。隣の妙高や祥鳳も何かを言いたげな顔でこっちを睨んでいる。

 

 新島「岸田。嘘発見器に異常は?」

 岸田「残念ながら反応はありません。ですが、常に興奮気味なのは確かなようで、わざと自分自身のテンションを高める事で、嘘をついた時の脳波の乱れを見えにくくしている可能性もあります。」

 祥鳳「嘘発見器にまで嘘をつくとは、本当に大した悪党ですね。」

 

 兄川「そんな事はどうでもいいだろ。それより匿ってもらったっていうのは、どういう意味だ?自分の背後に貴様らにとって邪魔な奴がバックにいるとでも?」

 新島「その通り。我々にとっては、貴様のような悪徳提督を擁護したりする連中は、海軍にとっては強大な敵以上に邪魔な存在なのでな。貴様があれほどの罪を犯したにも関らず、記録では殆どお咎め無しで見逃してもらっていた上に、この指宿に噂を捜査しに来た憲兵が来る直前に密かにどこかに転属し、ほとぼりが冷めた今の時期になって、あえて貴様を敵視しているこの場所に戻ってきた。貴様自身のデータも大きく改竄してな。貴様より偉い誰かが貴様の犯罪を擁護しているとかしか考えられないんだよ。ビジネスとしてか娯楽の提供者としてかは知らないがね。」

 兄川「だから、自分の裏にいる貴様らの敵の名を聞きだして排除しようって訳だ。本当に連中のやり方に似てるよ。」

 新島「・・・その連中とは何の事だ?」

 兄川「自分の胸に聞いてみるんだな。とにかく、貴様は海軍士官より、正直にヤクザでやっていた方が良かったんじゃないのか、悪徳軍人共よ~?」

 

 新島が兄川の胸倉を掴んだ。さっきの発言が相当彼の自制心を乱したらしい。

 

 新島「ええい!貴様の口ぶりには、この僕でさえ苛立って仕方ない!さっさと自分の罪を白状して、裏にいる奴の名を言え!」

 兄川「そっちこそ、自分達の正体を吐け・・・!言っておくが、自分はあの頃より強くなってる・・・。今度はこっちが貴様らを尋問する・・・、絶対にだ・・・!」

 

 兄川の目が黄色く光る。だが、その光は彼らにはわからなかったらしく、鼻で笑われた後、新島は岸田にあるものを用意させる。

 

 新島「・・・ここまでだ。これ以上口で問い詰めても無駄だと分かったよ。だから、これから貴様にとって一番辛い罰を与えるとしよう。」

 兄川「これ以上、何を奪おうってんだ?」

 妙高「これは、私達で事前に決めていた事ですが、提督にとって一番辛いこといったら、やはり」

 兄川「これ以上、俺の大事な人たちに手を掛けるって?ハハハ!!残念だったな!もう父さんらは貴様らの状況を逐一見ている!他の人たちだって、あの時みたいに簡単にやられはしないさ!」

 祥鳳「また訳の分からないことを言ってますね・・・。そもそも、提督の父上は既に他界したとお聞きしましたが?」

 兄川「ハハハハハッ!どれだけ都合の良いものしか見ようとしないんだ!そんな事だから、一生に一度の大もうけもフイになるのさ!」

 

 何がおかしかったのか、兄川は新島たち相手に大きく笑い出した。いや、これは彼らを逆上させるための挑発だ。だが、新島たちがしようとしていることは兄川にとっては予想外だった。

 

 新島「貴様の男性器を麻酔も無しに去勢するといってもかね?」

 兄川「・・・は?」

 天龍「やっぱりさ、今のテメェの命より大事な物って言ったら、それしかないだろ?現に今まで、テメェの股間のそれで多くの艦娘が地獄に落ちてる訳だし。」

 祥鳳「ついでに目球も取ってしまいましょう。意識がある中で、自分にとって全てといえる物を奪われ二度と戻らない気持ちがどんなものか味わうべきです。」

 兄川「・・・ふっ、あてが外れてやがる!それも全く別方向にだ。本気で自分らに勝ちたいと思ってるならな、半端な事して遊んでんじゃない。今ここで自分を殺すしか手は無いぞ!だが、そんな事をしたら貴様らは二度と娑婆の空気を吸うことなく、最後は電気椅子に座る事になる。貴様らの仲間全員、絶対にだ!」

 

 5人10個の目と1人2つの目。互いに自分が正しいと信じて疑わぬ者同士のにらみ合い。どちらもここで引いてはダメだと相手の目の中心を覗く。が、岸田の発言で全員、兄川から目をそらし,黙々と兄川の去勢の準備をする。

 

 岸田「中佐。早急に除去手術を始めましょう。この男は直接人体を傷つけられる痛さが分からないんです。でなければ、艦娘を強姦する事などしたくても出来ません。」

 新島「所詮、倫理観のずれた男など、皆こんなものさ。説得など無意味なのだ。」

 兄川「その言葉、そっくりそのまま返すぜ。

 妙高「提督から誠心誠意の反省の言葉をきかせてくれたなら、全てが丸く収まるものだったのですが、仕方ありませんね。」

 

 その発言にあわせて、岸田が握ったメスが鈍く光る。

 

 兄川「何度も言わせるな。俺は貴様らのような外道共にひれ伏す気は少しも無い。」

 妙高「始めてください。」

 岸田「それでは皆さん、席を外してください。ここからは一人で作業をしますので。」

 

 岸田はメスで兄川のズボンと下着をばっさりとカットする。現われた男の象徴を、無残にもメスで切ろうとする。

 

 

 

 その時だった!鎮守府全体に深海棲艦の襲撃を知らせる警報が発令されたのは。

 




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