鬼滅の刃~短編集~   作:太郎

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 上弦の陸兄妹の妓夫太郎と堕姫(梅)が、原作の時間軸より少し前に生まれ、人間のままカナヲと同じく胡蝶姉妹に拾われたら、というIF物です。時系列的にはカナヲを引き取ってすぐです。
 既に捏造ですが、それでもいいという方のみお読みください。
 ※妓夫太郎と堕姫の苗字は鬼滅学園から取っています。


謝花兄妹

 遊郭の最下層である「羅生門河岸」で私たちは生まれた。美貌が全ての街で最下層に居る連中の見た目なんてお察しで、その子供もろくな容姿をしているはずがない。最下層が金に余裕なんてあるはずもなく、子供なんて居たらそれだけで飯代がかかる。生まれてくる前も生まれた後も邪魔でしかなく、何度も殺されそうになったと言うのはお兄ちゃんから何度も聞いていた。お兄ちゃん自身も凄く醜かったし、周りからも罵詈雑言の嵐で忌み嫌われてたらしい。

 でも、それは私が生まれてから変わった。

 どういうわけか私は世界で一番(ここ重要)美しく生まれ、お兄ちゃんは自分の醜さが誇りになっていったんだって。自分が喧嘩が強いって知ったし、これから私たちの人生がいい方向に向かっていくと思ったんだって。

 お兄ちゃんがそう言うんなら、そうなんだと思った。

 そしたら、本当にいい方向に向かっていった!

 ちょうちょの羽織を着た、私ほどじゃないけど美人な女が私たちの前に現れたの。

「初めまして」

 胡蝶カナエ。そう名乗った女は色々と私たちに聞き始めた。名前、家、親、働いている。全部お兄ちゃんが答えると、見たことのない顔をしてから店に案内しろって言うから案内した。店に着くと待っているように私達に告げた女が私が働いている店に入っていくのを見送り、私はお兄ちゃんにさっきの女の感想を告げる。

「お兄ちゃん。あの女の髪綺麗だったね。肌も綺麗だし、良い香りもしたし、それにあの羽織も綺麗だった」

「そうかあ」

「あの女、あのばばあに何の用だろうね」

「きっとお前の噂を聞いてきたんだろうなあ。お前は綺麗だからなあ。どっかの金持ちの使いなんだろうなぁ」

「?」

 その時はお兄ちゃんの言葉の意味が分からなかったけど、その意味はすぐに分かった。言い争う言葉が聞こえたと思ったら少ししたらあの女が出て来ると私に手を差し出してきた。

「これから私たちは家族だからね」

「は?」

「あまり良くないけど、身請けしてきたの」

 売り言葉買い言葉でね~、と女は言うと私の手を握る。お兄ちゃんも私の頭を撫でてくれる。その手つきが、何かおかしい。いつもよりしっかりと撫でるその手。

「良かったなあ、梅ぇ。お前は幸せになれよお」

 その言葉でさっきの言葉の意味が分かった。すぐに振り返ると、お兄ちゃんが背を向けていた。慌てて女の手を振りほどいて追いかけようとするが、女の力が強くて手を振りほどけない。嫌だ、お兄ちゃんが別れるなんて嫌だ。嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!

「お兄ちゃん!」

 お兄ちゃんが褒めてくれた私の手は小さくて、お兄ちゃんが綺麗だって言ってくれた腕は短くて、伸ばしてもお兄ちゃんの背中には届かなくて。もう一度大きな声で呼ばないとと思ったら。

「何処に行くの?」

 あの女がお兄ちゃんの手を掴んだ。

「「え?」」

「二人とも、もう私の家族なのよ?」

 その女の言葉に驚くお兄ちゃんに私は襲い掛かった。いきなりのことで倒れるお兄ちゃんに抱きつきながら怒鳴る。

「嫌だ!嫌だ!離れない!絶対離れないから!ずっと一緒に居るんだから!アタシを嫌わないで!一人にしないで!置いてったら許さないわよ!」

「梅……」

「わぁぁぁん!ずっと一緒に居るんだもん!ひどいひどい!約束したの覚えてないの!?忘れちゃったのォ!!」

『俺たち二人なら最強だ。寒いのも腹ペコなのも全然減っちゃら。約束する。ずっと一緒だ。絶対離れない。ほらもう何も怖くないだろ?』

 雪の日、寒くて、お腹が減ったって泣く私に。お兄ちゃんはそう言って約束してくれた。だから、絶対に離れない。離さない。

「……そうだったなあ。約束したよなぁ」

 私が泣き止むまで、お兄ちゃんが抱きしめて撫でてくれた。

「安心しろぉ。もう絶対に離さないからなあ」

 

「悪いなあ。梅をおぶらせちまってぇ」

「いいのよぉ」

 俺たちを買ったカナエ、さん。は不思議な奴だ。汚い俺の手を躊躇せず握って引くし、涙と鼻水と涎でべとべとな顔の梅を髪と羽織が汚れるのに嫌な顔せずに背負うし。俺らが会ったことのない奴だった。

「私が住んでる家は蝶屋敷って言ってね。あ、そうそう。私にも妹が居るの。しのぶって言ってね。私と違ってしっかりとした子でね~」

 蝶屋敷に行くまでの道中。カナエ、さん。の話は途切れることはなかった。そして俺はカナエ、さん。が楽しそうに話す顔を見て初めて。母親。その本当の意味を知った。

 

「姉さん……」

 遊郭に怪物が居るから調査をし、鬼だった場合は滅殺せよ。そういう指令が来たので、姉のカナエが遊郭へ調査をしに行った。ここまではいい。鬼殺隊の仕事は鬼を滅殺することなので、当たり前のことだ。だが、帰ってきた姉は大変なことをしでかして帰ってきた。頭を抱えるのも仕方ないことだ。

「ほらカナヲ。新しい家族よ~」

「……」

「何よコイツ。アタシが話しかけてやってるんだから返事をしなさいよ!」

「味が分かんねぇなあ」

 新しく二人の子供を拾って……いや、身請けしてきたのだ。しかも出たばかりの給料も含めた手持ちの全財産を使ってだ。今月の食費どうするつもりなのかしら。もしかして私持ちなのかしら。いつものことながら、もっと考えてから行動をして欲しいのになんで姉さんは……。と色々と頭の中で姉に対しての文句が出てくるが、それを口に出すことなどしない。あたしく来た子が遠慮をしてしまう……

「これ美味しいわね!」

「梅ぇ、俺の分もやるよおお」

「ありがとうお兄ちゃん! あ、アンタの分も寄越しなさい!」

「……」

 いや、しないな。少なくとも妹は絶対にしないわ。

 まだ屋敷に来て一刻も経ってない新しい家族の性格を掴み、ちゃんと教育をするべく私は奪われたカナヲの天ぷらを奪い返しに向かった。




 人物紹介
 胡蝶カナエ:遊郭に怪物が居るという話を聞いて鬼ではないかと調査に来た所、妓夫太郎と梅に遭遇。そのままお持ち帰りした人。優しい、綺麗、天然の三拍子が揃った人。本話では18歳(捏造)
 胡蝶しのぶ:胡蝶カナエの妹。しっかり者。姉の天然行動に頭を悩ませつつも、なんだかんだ言って許しちゃう苦労人。兄妹を拾ってきたことに頭を抱えつつも歓迎する。梅の扱いがすぐに上手くなった。本話では14歳(捏造)
 栗花落カナヲ:物静かで大人しいというより自分で何も決められない少女。本話では12歳(捏造)
 謝花妓夫太郎:怪物のような容姿と細すぎる腰が特徴の少年。結構喧嘩が強い。後に蟲の呼吸から派生した斬撃が飛んだりする意味不明な蟷螂の呼吸の使い手になる。日輪刀は二つの鎌。本話では15歳(捏造)
 謝花梅:絶世に美女になることが確定している超絶美少女。口が悪く、天上天下唯我独尊。綺麗なものが好きで、醜いものは嫌い。例外は兄の妓夫太郎のみ。後に花の呼吸から派生した梅の呼吸の使い手になる。日輪刀は鍔に梅をあしらった普通の刀。本話では12歳(捏造)
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