その瞳に映るもの   作:シルベスター

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今回は割と書くの楽しかったですねぇ。

そう言えば、今度近所で祭りやるんですよ。
4、5000発の花火を上げるとか。ケバブ買いに行こうかなぁ。

皆さんはこの夏祭りとか行きましたか?

と、話が長くなりそうですね。
では、お話をどうぞ。


人生山あり谷あり!?

 5月半ばの土曜日。

 

「スーズー!」

 

 家でゴロゴロしていると、外から名前を呼ぶ声が聞こえる。

 声の主は誰だか分かりきっているから、起き上がって窓を開け言った。

 

 ガラガラ

 

「なんだよー、シズー?」

 

 見下ろせば見慣れたジャージを着たシズがいる。

 

「遊びに行こーよー!」

 

「いーけどよー、憧はー?」

 

「これから呼ぶ!」

 

「ほいよー、すぐ行くわー」

 

 それだけ言うと窓を閉め、財布を持って外へ出る。

 

「お待たせー」

 

「早いなー!」

 

 ◇◇◇

 

 憧の家にて。

 

「あーこー」

 

「アーコーチャーン!アーソビーマsyグエッ!おい!空き缶はやめろよ!?」

 

「う、うっさいバカっ!外でそんな大きな声出すな!」

 

 憧のこと呼んだら、窓開けて空き缶投げてきた。解せぬ。

 

 

 結構痛いんだよなぁ、空き缶。ペットポトルもまーまー痛いけど。

 こいつ毎回、もの投げてくるからなぁ。

 それと、毎回顔真っ赤にしてくるな。

 

 この間は『愛してるぅっ!憧っ!』って言ったら、辞書投げてきたっけな。

 

 なんてことを考えてたら、さらに空き缶が飛んできた。すかさずそれを避け、憧に言った。

 

「あっぶなっ!だから、投げてくんなよ!」

 

「うっさい!また変な事考えてたでしょっ!」

 

「お前エスパーかっ!?」

 

「あはは・・・スズの考えてる事は私でもわかるかなぁ・・・」

 

 シズにまで言われた・・・ショックだ・・・。

 

「あんた考えてること全部顔に出てんのよ!」

 

「マジで!?」

 

 初撃の事実に、驚く俺・・・。

 

「って、そんな事よりも早く遊びに行くぞ!」

 

「分かってるって」

 

 ◇◇◇

 

「んで、どこ行くの?」

 

 憧の問いに、俺とシズは 悩む仕草をする。

 

「んー?」「えーっと」

 

「「コマ屋!」」

 

 結局出てきた言葉は駄菓子屋だった。

 

 ◇◇◇

 

「つっめたい!」

 

「アイスうまぁ!」

 

 シズはゴリゴリ君ソーダを食べ、憧はイチゴ味のかき氷アイスを食べていた。

 俺はと言うと、ゴリゴリ君大富豪の夏が暑いぜ!味を食べていた。詳しく言うとヨーグルト味のアイスにラムネが入っている。

 

「楽しそうだな・・・って!?当たったぞ!?」

 

 アイスのうまさと冷たさに感動する二人をよそに、1人アイスを静かに食べていると、食べかけのアイスの棒に『あ』の文字が見える。

 

 それを見て、大慌てで二人に言う。

 

「マジで!?」

 

「すっごい!?」

 

 二人も驚きの声をあげながら、まじまじとアイス棒を見る。

 

「アイスのあたりとか初めてだー!」

 

 俺はいつも以上のテンションではしゃいだ。正直、アイスの当たり棒とか幻のボケモンとか伝説のボケモンとかそんなレベルだとおもう。

 

「もぐもぐっ!バーちゃん!当たったー!」

 

 そのまま俺は残っているアイスを速攻で食い、駄菓子屋に当たり棒を持って行くのだった。

 

 ◇◇◇

 

「んで、アイス食っただけだけど、どうすんの?」

 

 そうアイスの二本目を頬張る俺と、いつ買ったのかチューイングガムを噛むシズに憧は聞く。

 

「んー?アイス食いたかっただけだからなー」

 

「何もないの?」

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 特にすることが思いつかないしなー。

 

「ないなー」

 

「じゃあどうすんの?」

 

 どうするかー?

 うーん。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 その前に・・・。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 こいつをどうにかしようか。

 

 憧もそう思ったのか、いまだガムを噛み続けるシズに目線を移す。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「もぐもぐ・・・」

 

「いい加減喋れっ!」

 

 憧の鉄拳制裁がシズにくだった。

 うわー、痛そー。

 

「いっ、痛いじゃん!憧!」

 

「痛くしたの!」

 

「なんでさ!? 」

 

「自分で考えなさいよ!」

 

 この後、10分ほどシズと憧はギャースカと騒いでいた。

 

 ◇◇◇

 

「えーっと、それでうちに来たの?」

 

「そーそーって、宥ねぇ!?頼むから落ち着いてくれ!?ぐえっ、締まってる!締まってる!」

 

 駄菓子屋でアイスを食べたあと、特にすることもなく、どうするか悩んだ結果、俺たちは松実館に押しかけた。

 

 そして今は俺達が突然押しかけたことに戸惑い、俺の腹を抱きつくことにより、締め付け胃を圧迫する宥ねぇを落ち着かせつつ、お茶出しをしてくれる玄に経緯を説明中だ。

 

「そうなんだ、それで静乃ちゃんはなんであんなに固まってるの?」

 

 そう言って玄が指す先には、ガシン!ガシン!とロボットのようにぎこちない動きをするシズだった。

 

「あー、アレは」

 

「初めて会った宥ねぇに緊張してるの」

 

 俺は憧の言葉に頷き、いまだ腹に抱きつく宥ねぇを見ながら言う。

 

「宥ねぇと同じでさ。シズは結構人見知りが激しいんだ」

 

「仲良くなるまでが長いタイプなんだよねー」

 

「あ、あー、そうなんだぁ・・・」

 

 俺と憧の言葉に玄は納得のご様子です。

 

「んと、じゃあ紹介だけ済ませるか。シズ、この俺の腹に抱きついている人が松実宥さん、玄の姉ちゃんで俺らの二個上な」

 

 俺が紹介すると宥ねぇは戸惑いながらも自己紹介をする。

 

「ま、松実宥です・・・よろしくね・・・」

 

 名前の後に一言だけ言うと、宥ねぇは俺の背に隠れた。

 

「んで、宥ねぇ。こっちのロボが高鴨穏乃。いつも話してる俺のクラスメイト兼友達な」

 

「た、高鴨穏乃です!よ、よろしく、お、おねがいします!」

 

 シズはシズで、宥ねぇ以上のキョドり具合だった。

 

「自己紹介も済んだ所でどーする?」

 

「それなら、物置にいいものがあったよ!」

 

「「「いいもの?」」」

 

 玄の言葉に、頭を傾げる俺、シズ、憧。

 

「玄ちゃん?いいものってあれのこと~?」

 

 宥ねぇは何だか知ってるらしい。

 

「うん!」

 

 それだけ言うと、玄は部屋を出てドタドタと廊下を走っていった。

 

 ◇◇◇

 

 玄は出て行ってから5分ほどで帰ってきた。

 

 その手に“異物“を抱えて。

 

「な、なぁ、玄?“それ“、何?」

 

「これはね、人生ゲームだよ!スズ君!」

 

「それは見たらわかるんだけど・・・」

 

「どうしたの?」

 

 首を傾げる玄に俺と憧は顔を見合わせ少し待った顔をする。

 

「いや、その・・・なぁ・・・」

 

「えーっと・・・うん・・・」

 

 人生ゲームなのだ。玄の持ってきた物は・・・。

 

 それだけならまだ良かった。

 

 それだけなら俺も憧もここまで渋ることは無かった。

 

 でも、玄のもつ人生ゲーム(それ)にはデカデカと書かれていた。

 

『ドキッ☆ドロッドロ!人生の奥深さ(やみ)♡』

 

 いや、もう・・・地雷臭が凄い。

 

 これは手を出してはいけないものだと思うんだよね。

 

「楽しそうですね!やりましょう!」

 

 まあ、ここには歴戦の勇者(アホの子)シズがいる訳で、渋る俺たちは勢いで参加させられました。

 

 ◇◇◇

 

「「「「・・・」」」」

 

 人生ゲームを初めて、10分。

 この場にいる1人を除いて、全員が理解していた。

 

「やった!10だ!・・・えーっと、『意地悪な上司に嫌がらせをされて、欝に3回休み』だって、残念だなー」

 

 このゲームのリアルさに・・・。

 

 ◇◇◇

 

 最初は玄も何も気づかずやっていた。

 俺と憧も地雷臭に戸惑いながらも、『中身は割と普通だろう』と思いながらやろうとしていた。

 実際に、ボードの大まかな括りは普通だった。

 幼少期、青年期・・・と言った具合に人生の大まかなステージをテーマとして作られていた。

 

 順番はシズ、俺、玄、憧、宥ねぇ。

 楽しい雰囲気を出しながら、俺たちは人生ゲームをしようとしていた。

 

 だが、1週目の1番手からとんでもなかった。

 

 1番手のシズはルーレットを回し『5』を出した。

 

 止まったマスにはこう書かれていた。

 

『極貧な家庭に誕生!-10000円』

 

 場の空気が二割増くらいでどんよりした。

 

 当の本人は内容を理解しておらず、マイナスになったなぁくらいの顔で俺にルーレットを渡して来た。

 

 渡されたルーレットを回すと『7』が出た。

 

『普通の家庭に誕生!+100円』

 

 少しだけ空気が綺麗になった気がした。

 

 俺はこの空気を保ってくれと願いながら玄にルーレットを渡した。

 

 玄は『10』を一気に出した。

 

『大富豪の跡継ぎとして誕生!+100000円』

 

 暖かな空気になった。

 

 その後も憧は俺と同じ普通の家庭生まれ、宥ねぇは12を出して、弟ができていた。

 

 2週目に入る時には空気は暖かでみんな笑顔でやっていた。

 

 シズがルーレットを回す。

 出たのは『8』だった。

 

『パチンカスだった父がついに就職!+10000』

 

 再び空気が冷え込んだ。

 

 その後も何故かシズは両親が離婚したり、DV彼氏に捕まったりと、地雷マスに止まりまくっていた。

 

 速いテンポで進めて7週に入る頃には、シズ以外の顔が下を向いたことは言うまでもないだろう。

 黙ってルーレットを回す作業だ。

 

 誰もが早く終われと願った。

 

 

 

 そんなこんなで、12週目。

 

 8週目に入ったところで、玄が『恋のライバル登場!?』と言う、恋愛ドロドロマスに止まり、ルーレットを回し『1から3』が一番近い人、『4から6』が2番目に近い人、『7から9』は2番目に遠い人、『10から12』は一番遠い人と言った具合のルールにそってライバルを決定した。

 

 相手は宥ねぇだった。

 

 そこからシズの地雷マスだけでなく、松実姉妹による恋愛ドロドロマスまで生まれた。

 

 そして、その間もシズはリストラ、借金、ホームレス化などなど、地雷マスにことごとく当たり、場の温度を低下させていった。

 

 俺と憧は平凡を地で行く平凡道を極めていた。

 

 ◇◇◇

 

「やった・・・!」

 

「やっと・・・!」

 

「終わったんだね・・・お姉ちゃん!」

 

「うん!玄ちゃん!」

 

「終わっちゃったなー!」

 

 俺たちの喜びの声、若干1人が名残惜しそうな声をあげているが無視。

 口々に上がるその声は、地獄絵図(人生ゲーム)の終わりを指していた。

 

 優勝者は宥ねぇ。

 

 みんな、心の底からの笑顔で拍手までしている。

 心なしか、ゲームを始めた当初よりも顔がやつれているように見えるのは気のせいだろう。

 

 色々あったなぁ・・・。

 

 借金、リストラ、DV、三角関係・・・その他色々。

 

 やって見れば意外と楽しかったのかもしれない・・・いや、ないな。

 

 そんな事を考えているとシズが言う。

 

「ねぇ!もう1回やろうよ!」

 

 シズの言葉に俺たちは笑顔で答えた。

 

「「「「絶対にやだ!!!!!」」」」

 

 こんなゲーム燃やしてしまえ!!!!

 

 楽しそうとか、他のものと一緒とか固定概念に囚われるのは良くない。

 そこにはとんでもない地雷があるのだから。

 

 

 




◇◇◇

今回はシズと宥ねぇの初顔合わせ回ですね。
その後の展開が思いつかず、ありきたりにゲームをさせてしまいました。

では、また次回。
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