その瞳に映るもの 作:シルベスター
今、関東は台風の影響で停電中みたいで、自分千葉住みなのでちょっと大変
暇を潰すついでに書き進めました。
ここを見に来る方にも関東住みの方はいるんですかね?
海谷家の涼の部屋より。
ピピピッピピピッ
部屋に響く機械音。
毎朝聴いているその音は未だに俺の敵である。
朝を告げるその音が死ぬほど嫌いな今日この頃。
「う、うーん・・・ん?」
朝が嫌いな俺は、毎晩3つの目覚ましを掛けている。
1つ目は少し早めに、2つ目は目的の時間、3つ目は遅刻ギリギリの時間。
3段階のアラームによって起きる効率的な方法をとっている。
そして、俺は気がつく。
今なった音は、3つ目の目覚まし時計のアラーム音だと・・・。
「うわっ!ヤバい、遅刻だっ!」
布団を吹き飛ばさん勢いで起き上がり、昨日のうちにかーさんが用意してくれた服を掴み、これまたかーさんが用意してくれた教科書諸々ランドセルを持って、部屋を飛び出る。
ドタドタと足音を立てながら、急いでリビングに行き、荷物を置いて着替える。2階で着替えないのは、1階の方がかーさんの目が合って早く着替えられる気がするから。
「朝から忙しいな、涼」
そう言うとーさんに俺はつまりながら言った。
「だ、だって、学校に遅刻するから!」
「何言ってるんだ?涼」
とーさんは不思議そうな顔をして俺を見る。
「へっ?」
とーさんの言葉の意味がわからず、間抜けな声を上げる俺。
「今日は祝日だぞ?」
「あ・・・」
そう言えばそうでしたね。
間違えちった。テヘペロ。
◇◇◇
「あっはは!本当にそんなことしたの!?ひー、お腹痛いっ」
「ぷっ・・・」
休み明けの火曜日。登校中に憧とシズに昨日の事を話した。
憧は大声でゲラゲラと笑い、シズは静かに笑ってる。
「笑うんじゃねぇよ!こっちはマジで焦ったんだからな!」
「いや、祝日だったこと忘れるって・・・ぷっ」
「仕方ないだろ?そういうふうに思ってたんだから!」
未だ笑い続ける憧に言い訳を言いながら歩いていると、シズが言った。
「でもさぁ、スズ?」
ふと、呼ばれた名前に言葉をかえす。
「なんだ?」
「そろそろ祝日とその振替の日ぐらい覚えようよ」
言われたシズの言葉に俺は思った。
そう言えば、去年もやったなぁこれ、と。
そう、去年もやったのだ。
何故か俺は平日に振り替えられる祝日と、普通の平日にある祝日を覚えられないのだ。
ゴールデンウィークなど長期休暇は把握できるのだが、1日だけの祝日は全くと言っていいほど憶えられない。
去年は祝日のたびに今日と同じことをしたなぁ。
それを踏まえて言おう。
「それ多分無理」
代わり映えのない日常に、休みは関係ないのだ。
曜日の感覚がないのと同じように、日付の感覚が俺にはないのだ。
◇◇◇
「むむむ!」
4時間目の体育の授業で、先生が職員室に呼び出され、生徒だけで準備運動をしている時、ビビッとした。
「え?どうしたの?スズ」
隣で準備運動をしている憧がそう尋ねてくる。
「今、妹が出来た気がする!」
迷わず感じたことを言うと、憧が呆れ顔で俺を見つめる。
「なにバカ言ってんの?」
「本当にそんな気がするんだって!」
「はいはい、分かったから」
「本当に感じたんだよ!」
そんな話をしている時。
校舎から急ぎ足で走ってくる担任がいた。
体育の担当をしている厳つい男の先生だ。
名前は
先生は校庭に出ると、俺の方に向かってきた。
「海谷!」
「へっ?え?お?」
なんか名前呼ばれてテンパってよくわからん事呟いた気がする。
「お前のお母さんが倒れて、病院に運ばれたらしい!」
息を切らしながら告げられた言葉に頭が真っ白になった。
かーさんが倒れた?病院?
「っ!」
「おいっ!?待てっ!海谷!?」
走り出そうとした時に、先生に手を引かれ止められた。
「先生!?急がないとかーさんが!」
「落ち着け!俺が車でお前を病院まで送るから!」
「じゃあ、早く行こっ!!!」
そうして俺は先生の車の方へと向かった。
幸い先生の車は何度か見たことがある。
ランドセル?体操服のまま?そんなんどうでもいい。今一番大事なのはかーさんだ。
「待て!海谷って・・・あ、新子!今日は自習にする!みんなに伝えておいてくれ!」
「えっ!?分かりました!」
◇◇◇
「かーさんっ!」
先生の車が止まると同時に車のドアを乱暴に開け、飛び出す。
病院の中にダッシュで入るが、先生が居ないとかーさんの病室がわからないことに気がつく。
「先生っ!急いでっ!」
「わ、分かったから、落ち着きなさい」
先生の元まで戻り、急かすように背中を押す。
早く行かなければ、かーさんは無事なんだろうか?
◇◇◇
「かーさん!?グヘッ!」
やっとついた病室に飛び込むように入ったら、かーさんに拳骨を喰らわされた。
「静かにしなさい」
いつも通りのかーさんに、さっきまで張り詰めていた糸のようなものが切れた。
安心すると力が抜けるのは本当だった。
「良かった・・・」
「心配かけちゃったわね」
「うん、でも、大丈夫なの?」
「ええ、身体の方は平気だけど、ちょっとね・・・」
かーさんは少し照れたようにいう。
「・・・妊娠してたみたいなの」
「へっ?」
「涼に兄弟ができるわね」
「・・・」
「涼?」
「マジでぇぇぇぇぇ!?」
大喜びですよ。大喜び!
赤ちゃんだよ!赤ちゃん!
「はっ!妹だったら俺、憧に自慢しなきゃ!」
「賑やかになるわね。あの人にも言わないと・・・」
そんなことを話していると廊下から大きな足音が聞こえてくる。
ダッダッダッダッ!
バーンッ!
扉が勢いよく開けられ、中に入ってくるのはとーさんだった。
「涼子さん!?大丈グヘッ!!!!!」
大きな声を出しながら、かーさんに近づいていくとーさんはかーさんにげんこつを食らった。
「静かにしなさい!」
かーさんがとーさんに説教をする。
「すみません・・・でも良かった」
怒られてなおかーさんの心配をするとーさん。
この光景を見て思うことはただ一つ。
血は闘えねぇんだな。
スズ父
名前はまだない。
スズはどちらかと言うと父似。
なんとなく、流されやすく、女性に強く出られることに弱いヘタレ。そして、好きになったら一直線に突き進むタイプ。
こちらも元プロ雀士で、リーグ戦のときに、涼子と出会い一目惚れ、そこから普段は見せない頼りがいのある男の姿を見せ、結婚にいたった。
涼子との間にスズが生まれた時に、旅行会社を設立。小さいながらも自分達の城を築き上げる。
今は涼子の補佐をしながら平和な日々を送っている。
最近の悩みは息子がなんとなく自分に似てきたこと。
これから苦労するであろう息子に、若干不安を覚えている。
麻雀は能力持ちで、それを最大限に活かした早上がりに特化したプレイをする。
能力は引き寄せる力。
求めるのでは無く、寄ってくる能力。役に問わず、早く上がりに近づくための牌が手元に寄ってくる。手替えをしても、それに合う牌が寄ってくる。
早上がりに有効。
弱点としては、役を作るための力ではなく、上がるための力であるため、ゴミ手や点数の低い役を作る可能性が高く、他の全体効果系などの影響を受けるため、更に安手を作る可能性が高くなる。
完全に早上がり専門の能力。
だが、勘が鋭いことと変に頭が回るので振り込むことが極端に少ない。
このプレイスタイルに頼りきっていた時期がある。
涼子とは性格も、プレイスタイルも真逆で好みも全く違う。
◇◇◇
えーと、関東の方は現在停電中ですので、熱中症、脱水症状などなど、色々危険ですので気をつけてください。
自分は背中に保冷剤を敷いて寝るようにしてます!
結構気持ちいいんですよ?保冷剤をタオルで巻いて、背中に敷いて寝ると、背中にじんわり冷たさが広がるんです!