その瞳に映るもの   作:シルベスター

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久しぶりの投稿です。


おひとりでおやすみ

「あつい・・・」

 

 ミンミンと、窓の外でうるさいくらいに鳴く蝉の声を聞きながら俺は思った。

 今日はかあさんもとーさんも仕事で、麻雀教室も休みな上に、憧や宥ねぇ、玄も家の手伝いで遊ぶ暇がない・・・シズは多分、山を駆けてると思う。

 

「漫画読んじゃったし・・・どうすっかなー」

 

 暇だー、と呟きながらベッドの上を転がる。

 最近は色々と忙しくて、静かな日が少なかったような気がする・・・いや、気のせいか。

 まあ、でも珍しくやることがないと言えばそうなんだよなぁ。

 

「外行くかー」

 

 少し気怠げに窓の外を見て、俺はそう呟いた。

 

 

 

 動くのには30分くらい必要だった。

 

 

 ◇◇◇

 

「出てきたけど、どうしよっかなぁ」

 

 外に出ても結局何も浮かばず、俺はただ道を歩いていた。

 暇を潰すすべなど特になく、いつも近所で遊んでいる友達も何故か今日はいない。

 近所のじーちゃん、ばーちゃんにあったりもしたけど、よく分からないことを言われた。

 なんだか、今日の夕方からイベントがあるらしい。

 

 俺は聞いたことがないから、子供が行くようなイベントじゃないんだと思う。

 

 そんなこんなで、俺はコマ屋に来ていた。

 

「へぇー、夏祭りかー」

 

 買ったアイスを頬張りながら、コマ屋の壁にはられたポスターを眺める。

 前に、憧達と話してたなぁ。

 この町で・・・と言うよりも、ここら辺の地域だと結構有名なお祭りらしく、外から結構人が来る大きな祭りである・・・らしい。憧の家である神社が主催?でやってるから、俺も毎年参加してる。

 神楽舞とかを踊ったり、屋台なんかもたくさん出ててこの日だけは昼間から子供がソワソワして、家の中で夕方まで待ってるっていうのが毎年恒例で、去年は俺もやってたなぁ。

 

 今月の第二土曜にやるらしくて、俺も憧達と行く約束してたなぁ。

 

「そういえば、第二土曜っていつだろ?と言うより、今日は何回目の土曜だ?」

 

 1回目?うーん、先週くらいに7月が始まったようなぁ・・・あれ?それより、今日ってホントに土曜だっけ?

 

「まーいっか!土曜でも日曜でも!休みは休みだ!」

 

 あーでもないこーでもないと、考えるも結局よくわからず、家に帰ってぐーたらすることにした。

 

 ◇◇◇

 

「やっぱり暇だぁー!」

 

 部屋の床で転がりながら、俺はそう叫んだ。

 

 まあ、暇だぁー!って言って外出たんだから、家に帰ってきたところで暇なのは変わらないよな。

 

「暇だ暇だ暇だー!」

 

 暇すぎて、ゴロゴロと床を激しく転がると、近くに積み上げていた本の山に頭をぶつけた。

 

「っ!」

 

 割と勢いよくぶつけたせいで、声にならない悲鳴をあげ、のたうち回ってまた頭をぶつけたのはいい思い出。

 

 ◇◇◇

 

「やっぱり、本は積み上げちゃダメだなぁ。痛い・・・」

 

 そんなことを言いながら、崩れた山を元に戻す。

 

「ん?これって・・・」

 

 本の山の中からアルバムを見つける。

 随分前に、かーさんが撮ってくれた写真を貼ろうと押し入れから引っ張り出して、そのままにしていたやつだ。

 

 表紙にまーじゃんと、汚い字で書いてある。まあ、俺が書いたんだけどね。一回漢字で書こうとして、間違えて、結局ひらがなで書いたっけな・・・。

 

「暇だし、これ貼ろう・・・」

 

 厚めのページをめくる。

 最初に出てきたのは麻雀教室が出来た頃に教室のみんなで撮った写真だった。

 この頃はまだ、俺と春さんと、憧とかーさんだけだったっけ。

 

「初めて会った時の晴さんはすっげぇー死んでたなぁ」

 

 写真に写る晴さんのなんとも言えない無表情に、当時のことを思い出した。

 

「っと、思い出に浸ってると、またやらなくなりそうだから急がないと・・・」

 

 あぶないあぶない・・・と、言いながら俺はアルバムに写真を貼っていくのだった。

 

 ◇◇◇

 

 ──スズ!スズ!起きなさい!スズ!

 

 俺の名前を呼びながら、激しく体を揺する憧に俺は起こされた。

 

「・・・んぁ?」

 

 体を起こしてみれば、床にはやりかけのアルバムと写真がころがっていた。

 そういえば、あの後も写真を見ながら思い出に何度か浸って、そのまま寝たんだっけか?

 

 すっかり空は赤くなり、なにやら外は騒がしい・・・。

 外の騒がしさも気になるけど、まずは俺の横にいる花柄の浴衣着た憧についてだよなぁ。

 

「・・・なんで憧が居んの?」

 

「反応遅っ!っていうか、祭りよ祭り!夏祭り!この間誘ったでしょ!?」

 

 祀り?フェスティバル?オーマツリー!

 昼間見たポスターのやつだな。俺も知ってるぞ。

 

「何言ってんだよ、憧。夏祭りは第二土曜だってポスターに書いてあったぞ?」

 

 やれやれ、日付を間違えるだなんて、馬鹿なヤツだ・・・。

 

「だっからっ!今日が!その第二土曜なのよ!」

 

「そんなわけないだろ。カレンダー見てみろって・・・」

 

 と言いながら、俺は部屋の壁にかけてある日めくりカレンダーに目をやる。ちゃんと毎日めくってるから日付は正確なはずだ。

 

「・・・あ、ほんとだ。赤ででっかく丸してんじゃん」

 

 むしろ、線がはみ出てるから丸ですらないんだが・・・。

 しかも、花火・・・って違う。花大って書いてある・・・花大とは?

 

「だから、言ったでしょ!?」

 

「今日が祭りだったのかー!初めて知った!」

 

「あんた、カレンダー毎日めくってんのになんで知らないのよ!?あと、字間違えてるし!」

 

 余程ご立腹なのか。憧はぷりぷり怒っていた。

 

「ごめんごめん。んで、なんで憧がここにいんの?」

 

「あたしだけじゃない。玄もシズも宥ねぇもしたにいるよ」

 

「え?まじで?」

 

「あんたって日付の感覚とか皆無だから、宥ねぇが心配して見に来たの!」

 

「あー・・・ありがとうございます?」

 

「とにかく!お祭り行くんだから準備!あたし、下でシズ達と待ってるから」

 

「りょーかい。すぐ行く!」

 

 俺の返事を聞くと、憧は部屋を出ていった。

俺は急いで準備をして、部屋を出た。

 

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