ごーすとたうん   作:くにむらせいじ

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 「ごーすとたうん」の、おまけ文章(断片集)です。
 これは、本編を読んだ後に読むことを前提に書いており、ネタバレを含んでいます。

 内容は……
  ―― カットしたシーン・セリフ ――
  ―― NGシーン集 ――
  ―― メモ(雑記) ――
 です。

 前編~後編を少し修正しました。(2019/08/18)



ごーすとたうん おまけ

 

 

 

 

 

 

 ―――――――― カットしたシーン・セリフ ―――――――― 

 

 

 削りカスです。そんなもの投稿しちゃだめなんですが、結構気に入ってるものもあるので。

 

 

 

かばん  「うーん……そうだ、イエネコさん、スズメさんがいそうな場所ってわかりますか?」

イエネコ  「え? えと、あのその……」

メジロ   「わたし、知ってます!」

 

 

 

 かばんは、サーバルとイエネコを無表情で見ていた。

 それをフェネックがちらりと見た。

フェネック 「アライさんはのぼるの得意だよねぇ」

アライグマ 「どこだってのぼれるのだ!」

フェネック 「昔、むちゃしてすっごい高いところにのぼって、落ちたけどねー」

アライグマ 「うっ!」

 *1

 

 

 

イエネコ  「また、にげられちゃうわ……」

サーバル  「そのときは、次またがんばればいいじゃない!」

 

 

 

 少し日が傾いた頃。7人が道を歩いていた。

 

 イエネコとスズメはとなり合って、くっついて歩いていた。

イエネコ  「これは特別なのよ。ほんとはモデルはあたしだけなの。でもスズメならいい……」

 イエネコがハッとして、顔を赤くした。

イエネコ  「いや、あたしスズメのことそんなに好きじゃないわよ!」

スズメ   「わちもイエネコは好きじゃないぞ! はなせっ!」

 スズメがイエネコから離れようとしたが、逃げられなかった。

 イエネコは、スズメの右腕に自分の左腕をまわして押さえていた。

イエネコ  「逃がさないわよ!」

フェネック 「たいへんだねぇ」

メジロ   「うふふ……」

 *2

 

 

 

メジロ   「深い付き合いだったんですね……」

 

 

 

サーバル  「あはは! へんなかっこー!」

イエネコ  「それはむりやりやらされたの!」

サーバル  「イエネコって、かわいさときれいさとかっこよさ、ぜんぶ持ってるんだね! でも、しゃしんより本物のほうがずっとずっとかわいいよ! それに頭もよくて、狩りもうまい! すっごい動物だね!」

イエネコ  「もうやめて……やめてよぅ……」

 

 

 

イエネコ  「ほんものは、ここにいるのよ……ごしゅじん……」*3

 

イエネコ  「……ここに、いるもん……」

 写真を持つイエネコの手に力が入り、震え始めた。*4

 

 

 

フェネック 「きびしいとは、ちょっと違うんじゃないかなー?」

かばん   「……そうですね」

 

 

 

メジロ   「ある時から、この町には、ヒトがいなくなったんです」

イエネコ  「ごしゅじんはそのとき、“ちょっと出かけてくる”って言って、それから……みじかいあいだ、ずーっと会ってないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――― NGシーン集 ―――――――― 

 

 

 

ラッキー  「整備工場マデの時間は……ナビゲーションデータ、更新中……こう、こ、仔馬……うま、ま、マカセ、ママ、マカ、テマママ、マカセ、ママママ……」

かばん   「ラッキーさん! セリフが違いますよ!」

ラッキー  「……マママ、カセマ、ママママママママママママママママママママママママ……」

かばん   「ラッキーさん? どうしたんですか!? ラッキーさん!?」

ラッキー  「……ママママママママママママママママママママママママママママママママ……」

 

 

 

アライグマ 「おーい!」

 アライグマが、メジロの肩をたたいた。

 

メジロ   「ちーっ!!」

 メジロが驚いて、カウンターの外に瓶を投げ飛ばした。

 瓶は陳列棚に飛び、数本のワインの瓶が割れ、大量のワインが床に広がった。*5

メジロ   「……ちー……」

 

 

 

 ポン!!

アライグマ 「あう!」

 勢いよく飛んだコルク栓が、アライグマの額に当たった。

 ぶしゅー!!

サーバル  「うみゃー!!」

 サーバルは、噴き出したビールを顔に受けた。

 アライグマも、噴き出したスパークリングワインを顔に受けた。

サーバル  「うぎゃー! 鼻に入ったー!」

アライグマ 「目がー! めがぁー!」

 

 

 

サーバル  「うー」

 サーバルは、登った勢いを残しつつ、体を丸め……

サーバル  「みゃーーっ!!」

 ……体をバネのように伸ばして、同時に電柱のてっぺんを蹴って、大ジャンプした。反動で電柱が大きく揺れた。

 

 電柱が根元あたりでバキッと折れて、バキバキと音をたてながらゆっくりと倒れていった。

 

サーバル  「イエネコッ!!」

スズメ   「やばい!!」

 

イエネコ  「きゃああ!! ねーちゃ、たすけ……」

 電柱を登りきったイエネコは、電柱に抱き着いたまま地面に倒れた。

 

 ……かに見えたが、サーバルが、倒れた電柱を両手で受け止めていた。

サーバル  「ふー、あぶなかったー」

イエネコ  「やっぱサーバルねえちゃんかっこいいわぁ……」

スズメ   「いや、倒したのサーバルだから」

 *6

 

 

 

 スズメが、ジャパリまんのにおいをかいだ。

スズメ   「くんくん……くちゅん!」

 

フェネック 「あれって、くしゃみなのー?」

メジロ   「ぷぷぷぷ……」

 メジロが口をおさえて笑いをこらえようとしたが……

メジロ   「ぶふーー!!」

 吹いた。

かばん   「おおきい声……って笑いすぎですよ!」

メジロ   「あはは……ごめん、フェネックさんがおもしろくて、ふふふっ」

フェネック 「そんな笑わせるつもりはないんだけどなー」

 *7

 

 

 

スズメ   「たた、た、たべないでーー!!」

イエネコ  「たべるわよ!」

 

監 督   「カット! セリフが違う!」

イエネコ  「へ? どこが?」

監 督   「食べちゃだめだよ!」

イエネコ  「あ! 合ってるでしょ!? スズメの焼き鳥はおいしいのよ!」*8

監 督   「骨ばっかりであんまりうまくなぃ……」

 監督とスズメの目が合った。

スズメ   「……あうううぅ……」

 スズメは青ざめ、涙ぐんで震えた。

 

 

 

スズメ   「わちはねぐらに帰るぞー!」

 スズメが飛び立った。

イエネコ  「あ!」

 

スズメ   「ちちちちちちー!」

 スズメが、イエネコのすぐ上をかすめるように……

スズメ   「しまっ」

イエネコ  「ぃやあっ!!」

スズメ   「げふっ!!」

 スズメがイエネコに衝突した。顔同士だった。ふたりは、もつれあうようにして隣家の敷地に落ちて倒れた。

 

スズメ   「ぃたた……」

イエネコ  「あんた……いまっ……」

 イエネコは顔を赤くして、ふるえる指で自分の唇をなぞった。

イエネコ  「なんとか式あいさつしようとしたでしょ!」

スズメ   「してないぞっ!」*9

 スズメが飛んで逃げて行った。

イエネコ  「まちにゃさい!」

 

 

 

イエネコ  「……いなくなって、ないもんっ!」

 イエネコは、目をぎゅっと閉じて、涙をこぼした。

イエネコ  「……ちょっどっ、ぐす、出がけてるだけだもん! うっ、ぐす……うええぇ……」

 イエネコは、ぼろぼろと涙をこぼして泣き始めた。

 

監 督   「カット! 泣きすぎ……」

 

イエネコ  「……ぐしゅ、ううっ、えぐっ、えぐっ……ぐすっ……」

 イエネコは泣き止まなかった。涙がだらだらと流れた。

 

監 督   「……ちょっと休憩にしよう」

 

サーバル  「イエネコ、だいじょうぶ?」

イエネコ  「……う……ぐしゅ……ご、ごしゅじっ……がえっできでぇ……」

 イエネコは、涙をぬぐい、目をぐしぐしとこすった。

かばん   「役に入りすぎちゃったみたいだね……」

 

監 督   「俺はここにいるぞ、イエネコ」 *10

 

 監督は、イエネコにやさしく声をかけて、抱きしめた。そして背中をぽんぽんと叩いた。

イエネコ  「ごしゅじん? うぅ……」

イエネコは監督に抱き着き、身をあずけ、胸におでこと頬をこすりつけた。監督は、イエネコの頭をくしゃくしゃとなでた。

イエネコ  「んう、ごしゅじぃーん……ごろごろ、ごろごろ……」

 泣き顔が、幸せそうな顔に変わっていった。

 

メジロ   「うらやましいですね……」

アライグマ 「うう……よかった、ほんとによかったのだぁ……」

フェネック 「なんでアライさんまで泣いてるのさ」

 

スズメ   「見せつけんなよぅ……」

 スズメは、ため息をつくように言って、イエネコと監 督(ごしゅじん)から目をそらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――― メ モ ―――――――― 

 

 

・ 筆者は、本編よりもおまけ(NGシーン集)の方が好きです。本末転倒です。

 

・ メジロと「リカーショップつぐみ」の話は、丸々カットしても良かったかもしれません。ぶっちゃけ酒を入手させるために書いた部分なので。でもやっぱりもったいないから残しました。

 あと、削るなら、アラフェネを登場させないという手もありましたね……。

 

・ ごしゅじんの部屋にセルリウムが入ったら大変なことになるな、と書いてから思いました。それを言うなら、この町は危険なものだらけですが。

 

・ スズメとメジロ(スズメジロ)は身近にいる鳥なので、飼えないなら観察してみる(写真を撮る)のも面白いかもしれません。

 メジロは春になると梅の花に集まってきます。警戒心が薄いので写真は撮りやすいです。ただ、枝から枝へと飛び回るのでシャッターチャンスは短く、小さいので望遠レンズが必要です。ミカンをエサにして呼ぶこともできます。本物の「メジロ押し」を見てみたいです。

 スズメは警戒心が強く、ある距離(5m程度)以内に近づくと逃げますが、群れている写真は撮りやすいです。冬の、“ふくらすずめ”がかわいいです。

 

・ 「ごーすとたうん」では、スズメがホッピング(両足同時に跳ねる)をしています。メジロも同じ歩き方をするようです。ただ、筆者は“メジロは木の枝にいる”というイメージがあり、地上を跳ねて移動するイメージが無かったため、「ごーすとたうん」では、メジロはホッピングをしていません。

 

・ 地図・図面・漫画って「書く」と「描く」どっちを使うのが正しいんでしょう?

 字は「書く」、絵は「描く」が基本だと思いますが、地図や図面は「線と字の組み合わせ」なので、どっちかな? と思いました。「画く」が正しいのかもしれませんが、あまり使わない気が……。漫画も「絵と文の組み合わせ」なので、どっちを使うかで迷います。文字が無い、「サイレント漫画」もあるので、「描く」が正解でしょうか……。

 「絵と図は違う」という問題もありますね。

 「描く」は、「かく」と「えがく」の二つの読み方があり、読み方で意味が変わるので、さらにややこしいです。

 ひらがなでかくとよみにくくなるし……日本語って難しいです。

 私は、(正式な)図面は「引く」と言ってしまいます。

 

・ 小説情報のタグがやたら多いですが、「こんなタグいらないだろ」っていうタグは、あらすじに書いていない内容を匂わせるためのものです。あとこれは、作中の要素を拾って、タグの制限字数ギリギリに収める遊びみたいなものです。他の作品でも同じことをしています。

 

・ この作品の独自設定などを、ご自分の作品(SSに限らず)に使って頂いて構いません。需要は無いと思いますが……。もし、使って頂けたら、感想欄で教えて頂けると嬉しいです。これは、「アイデアノート ジャパリ・フラグメンツ」から派生した他の作品と同じです。

 

・ 「ごーすとたうん」のタイトルは当初「はいちょう」でした。廃町と拝聴と蝿帳の意味を重ねて……と考えたのですが、無理なのでやめました。

 

 

 

*1 この部分は、投稿時にはまだあったのですが、結局カットしました。アライグマが壁を登って落ちた話は実際にありましたね。

*2 このシーンは、カットするか残すかで非常に迷いました。

*3 不自然なうえに誤解を招きそうなので「プレゼント、もってきたわよ……ごしゅじん……」に差し替えました。でもこのセリフも好きです。

*4 上のセリフとセットで削除しました。

*5 メジロが落としたワインは、撮影用の偽物でしたが、棚に置いてあったのは本物でした。もったいなかったです。

*6 この後の電柱の修復は大変でしたが、良い感じに壊れたので、廃墟っぽい雰囲気が出ました。

*7 この後、メジロはハマってしまい、数テイクNGを出してしまいました。

*8 スズメの焼き鳥は本当にあります。筆者は食べたことないですが。

*9 スズメはこの後、「ちょっとコントロールを間違えただけだ」と言っていましたが、スタッフや出演者は「わざとやったんじゃないか」と疑いました。真相は不明です。

*10 “ごしゅじん”は、本業の他、映画監督もやっています。「ごーすとたうん」の監督・撮影は“ごしゅじん”で、脚本はくにむらせいじです。




 こんな所まで読んでいただいて、ありがとうございます。


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