俺は死にたくない。   作:爆焔特攻ドワーフ

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悪意の影

炎が舞う。

瓦礫が転がり、炎が生あるものを飲み込んでゆく。

灼熱の地獄があたりに広がる中、一人の少女が立ち尽くしている。

綺麗であったであろう顔を血で染め、目から夥しい血が流れる。

近くで彼女のたった一人の家族が少女を助けようと瓦礫の中でもがき続ける。

しかし、彼女と少女をふさぐように火の勢いは強まり彼女の視界を覆いつくした。

歌は途切れ、少女は炎の中に消え去った。

 

 

ネフィリム起動実験。

それは失敗に終わった。

起動には成功したものの、暴発したエネルギーの奔流は起動実験を行った施設を破壊し崩壊。シンフォギア装者であったセレナ・カデンツァヴナ・イヴの働きによって大部分の研究者と観測対象は救出されたが、マリア・カデンツァヴナ・イヴとナスターシャ教授の付近にいたと思われるセレナの姿はおろか、DNAさえ検出されなかったので暴走した熱によって全て焼却されたものとし捜索活動は打ち切られた。

 

「と、いうのが君がここに運ばれてきた5年前の出来事だ。君に利用価値があると僕は思って君をわざわざ聖遺物を埋め込んでまで延命させたのさ。」

その死んだはずのセレナ・カデンツァヴナ・イヴは生まれたままの姿で大型の水槽の中に浮かべられていた。

胸には怪しく煌めく破片が埋め込まれ、体中にコードが繋げられ何らかの物質を体内に送り込んでいる。

彼女を無機質な視線で見つめる男性が一人。

白衣の男性は、水槽から目を離すとあたりを見渡した。

あたり一帯にセレナがいる水槽が設置されており、そのほとんどが若い女性が入った状態で稼働しており皆胸に破片が埋め込まれている。

中にはつい最近葬儀が行われた大企業の令嬢も入っていた。

 

「さて、そろそろ天羽奏も目覚める頃だろうか?彼女からシンフォギアの適合資質は『焼き払って』おいた。あとは、シンフォギアから離された彼女を拾い上げて改造するだけだ。手ごまが多いことに越したことはない。僕が死なないために君たち検体には犠牲になってもらう。」

男性が指を鳴らすと男性は炎に包まれ、その場から消え去る。男性がいなくなった施設では機械の音が空間に響くのみ―――。

 

 

 

男性が炎に包まれながら現れた先は豪華な部屋だった。壁や棚に飾られた調度品は見るべきものが見れば卒倒するような価値の者ばかりで揃えられている。

部屋の中央にしつらえられたデスクに座ると、男性の雰囲気が変化する。

先ほどまで漂っていた厳かなようで不気味な雰囲気が消え、少し周囲におびえるような雰囲気にかわる。

「はぁ…。これからどうすればいいんだろうか?あのアマの思考を覗いて計画を邪魔するために色々手回しをしてきたが、結構手詰まりだなァ。あのライブ会場の事件は好都合だった。眷属も爆発的に増えたおかげで以前よりも俺が表に出なくていい。その点はあの二課様様だねぇ。もっとシンフォギア関連で犠牲者が出れば眷属増やせるんだけどなァ…。死にたくはないが、他人が死んでくれるなら好都合!はははは!」

30は超えているだろう男は狂ったような笑い声を上げながら煙草の先を発火させ煙を吸って、吐き出す。

吐き出した先から煙が燃え上がり、消えてゆく。

 

「さてさて、次は何が起こるかな?あのシンフォギアの破片を無理やり蒸着させた少女からシンフォギアが発芽するといいなー。天羽奏に嫉妬の炎を植え付けるには絶好の機会になってくれる!隣を取られてしまった哀れな元シンフォギア装者!その心に狂うような炎をくべて燃え上がらせるんだ。あぁ、その光景が早く見てみたいよ!少女たちが血を流して殺し合う饗宴!想像しただけでもゾクゾクしてくるよ!」

 

男以外誰もいない部屋に笑い声が満ちてゆく。狂気を孕んで、他人の不幸を糧とするような悪魔の嘲笑が―――。

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