なにはともあれ二話目、投稿出来て良かったです
今回はとても短いですが、この作品はだいたいこのくらいの短さで繋いでいこうと思います
多分その方が投稿頻度も……上がるといいなぁ
というわけで今回もよろしくお願いします
『突然の連絡失礼します。来週の水曜日から、小学生の林間学校に臨時ボランティアとして参加できませんか?』
そんなメールが連休の直前に届いたら、どう対応するのだろうか。大抵の場合は断るに違いない。僕でも普通の友人からの遊びのメールなら一瞬で蹴っていた。
『了解しました。何時に何処へ行けば良いですか?』
だが、それがとても親しい人からの頼みなら話は変わってくる。僕は即断してボランティアへの参加を決めていた。
雪ノ下陽乃の襲撃事件の翌朝、支度を終えた僕は千葉駅前のロータリーで人を待っていた。真夏なだけあって流石に暑い。
日陰で紙パックのミルクティーを飲みながら扇子で涼をとっていると目の前にマイクロバスが止まった。だが、中から出てきた女性に声をかけられるまでその人が今回の待ち人だとは思わなかった。
「久しぶりだな、白。先生達はお元気かな?」
スラリとした高い背丈に長く黒い髪を靡かせて1人の女性がマイクロバス降りてきた。ニヒルな笑みを浮かべながらタバコをくわえる姿はなんとも男らしい。本人に言ったら怒られるから言わないけど。
「………お久しぶりです、静姉。父と母は相変わらず元気ですよ。三ヶ月ほど顔を見ていないので本当にどうなのかまではわかりませんがね」
その言葉に笑みを苦笑に変えながらこちらの頭をポンポンと優しく撫でてくる。小さい頃からずっとされているので心地いい。。
「生徒の前でその呼び方はやめてくれよ。威厳が無くなる」
「わかってます。ボランティア中はちゃんと呼びわけますよ、静姉」
平塚 静。僕の父親の教え子であり今はどこかの進学校で教師をしているそうだ。今回僕が呼ばれたのはその高校の生徒が行うボランティアのサポートの為。三日ほど前に急にメッセージで頼まれたが、僕は二つ返事で引き受けた。
この人の思い付きが急なのはいつもの事だし、それに今回は逃げるのにお誂え向きだ。
「まさか本当に引き受けて貰えるとは思っていなかったが、友人付き合いは大丈夫なのか?」
依頼してきた本人が言うのか、と言いたい気もするが問題ないので素直にそう答えておく。
「たかだか数日くらい音信不通になっても別に問題ないですよ。彼らとの関係はその程度のものです」
「相変わらずだな、白は」
それは褒めているのか、くつくつと喉奥で笑いながら静姉はこちらを見ている。煙が気管に入らないのだろうか?
「まあそれに、逃げる口実にもなりますからね」
あの女の顔を思い出すだけで鳥肌が立つ。本当にああいうタイプの人間は苦手なのだ。どうやらボソリと零したそんな言葉を、静姉は聞き逃さなかったらしい。
「逃げる?誰かに追われているのか?」
「静さん──静先生は知っていますか?雪ノ下の所のご令嬢ですよ」
「ん?雪ノ下の──という事は陽乃か。確かお前とは同じ大学の……ああ、そういう事か」
僕の言わんとしている人物と合致したらしい。一瞬意味ありげに目線をバスのドアの方に向けてから完全に同情の目でこちらを見てくる。
「その──頑張れよ、白」
「頑張りたくないです、やめてください本当に。何で嫌われるように振舞ってるのに近寄ってくるんですかあの人」
「あら?それは勿論貴方が面白いからよ?」
「だから、それが迷惑なんですよ。大体あの女。いつも周りに男たくさん侍らせてるじゃないですか。人たらしなのはいいけどこちらに近寄らないでほしいです。半径5メートル以内に入らないでもらいたい」
「ふーん、そんなに嫌いなんだ〜」
「あんな猫を何重にも被った上に虎の毛皮で作った服を着て出歩いているような女を好きになれるわ、け……」
愚痴を零していると間に聞きなれた声が聞こえてくる。あれ?と思い目線をそちらに動かすと満面の笑みを浮かべる
もちろん笑みを浮かべているからと言って本当に彼女が愉快な気持ちであるとは限らない。今だって僕の背中からは滝のような冷や汗が流れているのだから。これはマズい、非常にマズい。
「ちょっと僕お手洗に行ってきま「先に少しお話しましょ?いいわよね、白クン??」──ハイ」
逃げようとした手段も会えなくご破算。どうしようもなくなった僕は首根っこを掴まれて連行されていくのだった。静さんはいつの間にかバスの中に戻って扉を閉めていた。
見捨てられたのか…………
「それで、僕をここまで連行してなんの用ですか?」
駅のロータリー近くのファストフードに連れ込まれた。互いにコーヒーを注文して適当な席に腰かける。
「べーつに?何にもないわよ。ただ面白そうだったからね」
にこにこと余所行きの笑みを貼り付ける雪ノ下陽乃。コーヒーを飲む姿も様になっている辺り、やはり容姿のレベルはとてつもなく高い。自分の魅力を引き出す術を熟知しているのだろう。
「あら、そんなにじっと見つめて、もしかして惚れちゃった?」
「なに馬鹿な事言ってんですか」
「つれないわねぇ」
わざとらしくポーズをとる雪ノ下さんにため息をつき睨みつける。が、やはり彼女は動じない。
「そんなに私が嫌い?」
「そうですね。僕は貴女が、できれば金輪際関わらないでほしい程度には嫌いです」
そうハッキリと言ったはずなのに雪ノ下さんはニヤリ、とまたあの笑顔をうかべた。
「ふふっ、そうこなくっちゃね」
今度はその笑みを浮かべる彼女の目を直視出来た。それは例えるなら『獲物を見つけた猛獣の目』だろうか。実際に猛獣は見た事がないわけだが、いたらこんな風なのではなかろうか。
「なんでそんなに嬉しそうなんですか………本当に僕は戻りますよ」
この人といてもこちらの心労が募るだけだ。さっさと切り上げるに限る。
「あ、最後に一つだけ。今回のボランティアに私の妹が参加しているんだけど、素直になれないだけのいい子だから宜しくね、白クン」
ニコッと笑いながら手をヒラヒラさせる雪ノ下さんを背後に、こんなにも厄介な人の妹がいるのか…………と若干頭を抑えながらその場を後にするのだった。
「……どうも、雪ノ下雪乃です」
雪ノ下陽乃の妹だからと身構えてはいたものの、そこまでの危険人物ではなかった。いや、寧ろ雪ノ下陽乃とは真逆の性格をしているようだ。
「初めまして、雪ノ下さん。月城 白です。よろしくね」
スっと手を出すと微妙な顔をされたのでおずおずとその手を下ろす。愉快そうな静姉が笑みを浮かべているのに若干イラッとした。
「はいはーい!比企谷小町でーす!よろしくです、白さん!」
と、隣から元気一杯の言葉が割り込んできた。
「あ、ああよろしく」
ずずいっ、という効果音がよく似合う活発な女子だ。満面の笑みを浮かべている少女──比企谷さんが差し出してきた手を握る。
「それにしても、白さん中々にイケメンですなー。彼女さんとかいらっしゃるんですか?」
「いきなり突っ込んでくるね、比企谷さん。残念ながら僕に恋人はいないよ。彼女いない歴=年齢さ」
「えー、モテそうなんだけどなー。あ、それと小町の事は小町って呼んでもらっていいですよ!兄と被りますから!」
「兄?」
「はい……ってお兄ちゃん、なんで木の影に隠れてるの?小町的にポイント低いんですけどー」
比企谷さん、もとい小町さんがキョロキョロと辺りを見渡して一点でピタリと止まる。その方向に目を向けると所在なさげにひっそりと立つ一人の男が立っていた。
無意識のうちにこちらを警戒させる彼の目つきと雰囲気に若干シンパシーを感じる。小町さんはベタベタなお世辞を言ってきたけど僕は残念ながら容姿が優れている訳では無い。髪も無造作だし片目も隠れている。そして何より目つきが悪い。
「……どうも」
「……はじめまして、月城 白です。大学一年。好きなように呼んでください」
「……比企谷八幡、高校二年です、よろしくお願いします」
互いに最低限の会話だけ済ませ僕はバスの方へと戻る。一番快適であろう座席──静姉の助手席を確保する為だ。
「ふう……静さん。僕は少し仮眠を取りますので、そのあとで今回のボランティアについて詳しい話をお願いします。きっかり一時間で起きますので」
「ふっ……一時間と言わず到着まで寝ていても構わないぞ?どうせ寝ていないのだろう?目元のクマが酷いぞ」
「別に問題ありませんよ。それではおやすみなさい」
堅物なのも相変わらずだな、と肩を竦める静さんを視界の端に入れつつも僕は安眠用の音楽とアラームをセットしイヤフォンとアイマスクを装着するのだった。
ヒッキーとの会話がうまくできないですねぇ……やはり原作を買うべきでしょうか
次回から千葉村編に入ります
ヒッキーとかゆきのん、小町ちゃんとの絡みだけでなく由比ヶ浜さんとか大天使トツカエルとか剣豪将軍なんかとも絡ませていきたい所存です。長い目で見てやってくだせえ
それと、お知らせです
この度私黒っぽい猫は、ガルパの合同企画に参加しております
Twitterの方で進捗なども呟いておりますので興味があります方は是非遊びにいらしてください
また投稿されましたらご報告に上がります
それでは次回にお会いしましょう
さよなら!!