さぁやってきました九十九里浜! あの後なんだかんだ盛り上がってしまって結局寝ずに探しに来ちゃったZE☆ 因みに八幡は既に寝ていたから置いてきちゃったけど大丈夫だよね?亀さんいるし。
「そんな訳で、
「誰に説明してるんや…」
時刻は夜が明ける前の午前三時頃。まだ辺りは暗くてあまり見えないけど海豹もきっと油断しているだろうから今がチャンスだと思うの。……誘拐じゃないわよ?勧誘だからねっ!
海豹を探して三千里……も歩きはしないでごんすが捜索を始めてから大体二時間くらい経ったでごんす。手分けして探そうということになり、浜の北三分の一が担当な訳でごんす。鼠にはちと労働が過ぎると抗議したもののあっさり却下されたので悲しみに暮れているでごんす。……ごんすごんす煩いって? すまないでごんす。
「ねぇ、そこの鼠さん」
「……Who are you?」
「ご、ごめんです。英語わからないです」
そう言うが早く、逃げられた。何か悪いことしたかなぁ……でごんす。
__此方九十九里浜中央担当カマクラですどうぞ。
__此方太平洋日本近海担当ナマハゲですどうぞ。
「ファッ?!」
____間違えました、イルカですどうぞ。
「どう間違えたらそうなるねん」
一瞬リアルにナマハゲが海から出てきた時は自分の目を疑ったがどうやら見間違いらしい。
「あ、それこうやって水を噴射してナマハゲの像を作ってるんだよ」
「器用やなおい」
イルカはテレパシーが使えると聞いた事はあったがこれ程だとは思ってへんかった。
「そういえばカマクラさんは何でこんな所に? まさか海水浴しに来た訳じゃないですよね?」
「ちゃうちゃう。海豹探しに来てるんや」
「海豹、ですか……」
むむむ、と唸って考え込むイルカさん。考える仕草にドキッとしたのは気のせいに違いないと思っておく。
「海豹さんたちは大体朝の七時頃に房総半島の南の方に来る予定らしいですよ」
「情報ありがとうやで。ほなまたな」
「頑張ってくださいねー」
空から探索するのって楽なのよねぇ。下を眺めているだけで仕事が終わるんだもの。これ以上に楽なものはないわね。そんな風に考えていたからバチが当たったのか、上から何かが降ってきて頭にクリーンヒットした。
「ぐえっ」
そのまま制御不能状態に陥り、浜に墜落してしまった。
「ああ、すまんすまん。怪我はないかい? 驚かせちまって悪いね」
そういう声と共に視界が開ける。何事? と振り返ると其処には錦蛇が。
「ピギャッ?!」
夜に見る蛇の眼光の鋭さと言ったらとんでもなかった。思わず飛び上がってしまった。ガクブルものだしなんなら夢に出てきそうで怖い。
「ありゃ? 怖がらせちまったかな。確かに目付きが悪いとはよく言われるが、そう露骨に反応されるとこっちも辛いんだぜ?」
「あっ、はい、すいません」
「そこまで畏まらなくてもいいんだがなぁ……」
なんかもう雰囲気が明らかにボス感半端ないんですけどぉ! 私只の母鷲だし、こんなプレッシャー感じた事ないし、でもなんか紳士的でかっこいいし、どうしようあばばばば……。
「……? おーい、鷲さんよ。おーい。……駄目だこりゃ。意識が飛んでってやがる」
場面戻りまして鼠サイドでごんす。どうもさっき取り逃がしたのが海豹な気がして堪らなくなってきたでごんす。今更感が半端ないでごんすし、相手の姿すら把握できていない時点で役割が果たせていないでごんす。
海豹にしては逃げ足が早かった様な気もするでごんすが気にしてる暇はないでごんす。さぁ、捜索開始でごんす!
「あのイルカさん可愛かったなぁ……」
お茶目で活発で可愛くて。これが恋と言うものなんやろか。海豹の捜索なんて止めてしまってずっとイルカさんと話してたいけど、ああ言った手前やっぱり止めましたなんて言おうものならわいの名が廃る。せやからさっさと海豹見つけてイルカさんにアタックするんや! ほんであわよくば連れ帰るんや!
なんて事を脳内で無限ループする事一時間。ふっとわいに細長い影が差した。
「ん? なんや?」
「おっ、其処の猫さんや、この鷲さんの連れかい?」
「へあっ?! 蛇やて?!」
「驚かせてすまんな、俺は錦蛇だ。少し訳あって鷲さんと衝突事故を起こしてな…。未だに鷲さんが伸びているので起こしてやって欲しいんだ」
「なんやようわからんけど起こしたらええんやろ? 任しとき!」
地面に横たわっている鷲さんの耳に向かって小声で呟く。
「いつまで伸びとるんや。準備でけへんで?」
キュピーン!
そんな効果音と共に鷲さんが立ち上がる。その勢いのまま飛び上がってきりもみ三回転した後、わいの肩に着地した。どこでそんな技習得したんや……かっこいいやんけ!
「さっきはすまんな。別の鳥に咥えられてた所を飛行中に落とされたんでね。悪気は無いんだ」
「ああ、いえ、私の頭上不注意ですので……」
「寧ろ地面に落ちるまでにワンクッション入って助かったから、お礼しなければ失礼にあたるな。感謝する」
「イケメン……」
鷲さんがボソっと呟いたのが聞こえた。……わいの肩の上でイヤンイヤンするのは止めてくれんか?
見つけた、でごんす! あの
「Excu……すいませーん、でごんす」
「何です?」
一瞬、英語が喉から出かけたでごんすが、何とか踏み留まって日本語で話しかける事が出来たでごんす。お陰で逃げ出されずに済んだでごんす。
振り返って返事をした動物は、ずんぐりとした図体でいでくりんとした目は可愛らしい、ずばり海豹でごんす。しかし、返事の辿々しさを見るにまだ子どもの海豹だと推測できる。……幼児誘拐の罪に問われたりしないでごんすよね?因みに性別は雄らしいので最悪の称号は免れたでごんす。
しかし、勧誘すると言っても相手からしたら此方は只の不審者でごんす。ある程度相手の警戒度を下げてからじゃないと話にならないでごんすから、ここは友達作戦で行くでごんす。
「さっきはすまなかったでごんす。ちゃんと日本語を喋れるでごんすから、少しお喋りしないかでごんす」
「おーけーです。お喋りするです!」
掴みはバッチリでごんす。さぁ、これからが勝負でごんす……!
鷲さんが
「なぁ、鷲さんや。わいの肩から降りて欲しいんやが……」
「いつもは捕まえて運ぶ側なんだから偶にはいいじゃない!」
「そう言われると言い返せへんな……」
「仲良いですね! ちょっと羨ましいです!」
「だなぁ。俺はそういった仲間がいた事ないからな…」
二匹とも仲間に入りたそうに此方を見ている……!
仲間にしますか?
はい◀ いいえ
一瞬、そんなコマンドが見えた気がした。
「あ、それじゃあ二匹ともうちのグループに入らない?」
「グループ、ですか?」
「他にどんな奴が居るんだ?」
「ここに居る鷲さんとわいは勿論として、今日も一緒に来ている小太りの鼠、家でお留守番の長老の亀さん、そして我らが大将、猫の八幡や」
「因みに八幡は人間から猫になった珍しい子だよ!」
「へぇ…! そんな事起こり得るんですね」
どうやらイルカさんは興味があるらしく、此方をちらちら見ている。かわええな、こいつ!
因みに蛇さんと仲良くなった後になんとなく「イルカさんも来てくれた嬉しいんやけどなぁ」と呟いたら、次の瞬間にはイルカさんが来ていた。……どういった方法でテレポートしてきたんやろか。
「よっしゃ、俺は乗った。こんな面白そうなグループ、他には無さそうだからな」
「わ、私も入りたいです! いいですかね…?」
「勿論や。けど一個問題があってな…、うちのグループの拠点が八幡の家なんや。要するにイルカさんが泳げるスペースがないんよ」
「そうでしたか…」
そう言うとイルカさんは目に見えて落ち込んだ。わいは慌てて言葉を繋ぐ。
「けど策がない訳でもあらへん」
「あるんですか?!」
おおう、食いつきが凄いな。その策を伝えた後に月光によって伸びてきた影の持ち主に目を向ける。相手は驚いたような顔をしてたけど了解、と口パクでわいに伝えてから何処かへと消え去った。
「悠久の時を経て現れし我が眷属、此処に参られん! です!」
この海豹、どうやら中二病を患っているらしいでごんす。しかし、言葉の端々に見受けられる丁寧語が外見の愛くるしさと相まって、総合的に “可愛い” に落ち着いているでごんす。
……難しい言葉わからないでごんすよぉ! 誰か! 誰か翻訳 please!
「突然の乱入痛み入る。其方の援軍はどの刻に参られようか」
何かいきなりコートを羽織って指抜きグローブを嵌めた暑苦しい人間がやってきたでごんすー! しかも会話通じてるぅ!
「未の刻なり。です!」
「刻限まで二時間と言った所か。して、そこの鼠は何者なのだ?」
「我が好敵手なり! です!」
素直に友達って言えよぉ! でごんすぅ!
「これはしたり。八幡の手下か……。うむ、我も其方達の手助けをしてやろう」
「協力感謝する、です!」
二人のキャラが濃すぎて全然目立たないでごんす…。な、ならば僕も中二病になるでごんす!
「わ、我も感謝する!」
「下手だな」「下手、です!」
真顔で返答されたでごんす。しかも綺麗にハモって。くそぅ、今に見てろー、でごんす!
「ふぁぁ、よく寝た……」
どうやら色々考えている間に寝落ちしてしまったらしい。時計の短針はもう直ぐ七を指そうかという時間だ。しかし、今日はやけに静かだな。あいつら起きてないのか?
そんな疑念を抱きながら一階に降りると既視感を覚えた。大体二週間振りかな?
「おはよう、比企谷。今日は私を癒してくれたまえ。因みに小町君は出掛けていったよ」
おのれ小町、帰ってきたらずっと頭の上に乗っかってやる。
一ヶ月半も遅くなり大変申し訳ございませんでした。こいついつも謝ってんな……。失踪した訳ではないのであしからず。
では、また次回に。