プレゼントが飛び交ったり芸が披露されたりと、賑やかだった夜が更け、日が地平線から顔を出している。周りを見渡すと宴会後の様な散乱具合なものの、みんな幸せそうに寝ている。結局、あそこに居た大多数がうちに泊まっていった。帰ったのは妹が心配だからと言ったサキサキと居心地が悪いから帰る! と言った中二、猫の世話があるからねと言った葉山の三人である。
「ふぁぁ、……二度寝しよ」
起床からの二度寝は至福の時間である。なんなら一日中惰眠を貪っていたい。毛布最高!
そんな事を考えているうちに微睡みに落ちていった。
次に目を覚ました頃にはリビングは綺麗に片付けられた後だった。どうも雪ノ下がやってくれたらしい。嫁度高いよなぁと思いながらノビをする。…いっそ俺を養ってくれないだろうか。
「ひゃっはろー」
鶴の一声でみんな起きた。もしかしてはるのんの声って目覚ましの効果があるのん? というか鍵閉めたはずの玄関から入らないでくださいよ…。なにこれデジャヴ。
「おはようございます〜、陽乃さん」
そう言って出迎えたのは小町である。うん、寝ぼけてるところとか最高に可愛いぞ。飛び掛かってすりすりしたい衝動に駆られるが、残り少ない理性でなんとか自我を制御する。
「んー? なんだ寝坊助さんかー、可愛いなこのっ。うりうり」
「んにゃー」
今のは小町の声だ。決して俺は鳴いていない。くっそ、朝からゆるゆりしやがって。小町は嫁に出さんぞ! ……雪ノ下家は百合属性でもあるのん?
「で、陽乃さん、なんの用事ですか?」
「そうそう、今日はちゃんと用事があって来たんだよ?まぁ先ずはお誕生日おめでとう、だね」
…正直、陽乃さんが俺の誕生日を知っているとは思っていなかったので呆気にとられてしまった。その一瞬の隙を陽乃さんが逃さない訳も無く……
「お?お?もしかして私に惚れちゃった? でも出来れば雪乃ちゃんとくっついて欲しいかな〜?」
谷間でうりうりされていた。……何処とは言わんぞ、うん。此処は人の視線が多いので、下手に暴れると変態谷くんと不名誉な渾名が付けられてしまう。だから俺はすぐさま飛び降りるッ……!
「私がそんな簡単に逃すと思ったら大間違いだよん♪」
ですよねー。
「で、姉さんは何をしに来たのかしら? まさか祝いの言葉を告げに来ただけではないでしょう?」
「ふっふっふっ…、聞いて驚くなかれ、柄にもなくプレゼントを用意しちゃいました! 持ってくることが出来ないやつだからみんな着いておいで!」
脱線していた話をちゃんと本線に着地させるゆきのん最高。…しかし陽乃さんからのプレゼントとか不安要素しか無いんだよなぁ。
寝坊助さん達を引き連れて大きなバンに乗り込む。総勢七人と六匹である。因みに乗り込む際にラブリーマイエンジェル小町の膝上に退避した。隣席では鷲さんがカマクラを突っついて遊んでいるいつもの光景が見ることができる。平和っていいね!
「着いたよ!」
出発しておよそ一時間半程経っただろうか。一体何処に連れられて行くんだろう、と不安だったがどうやら海岸のようだ。ドナドナされる仔牛の気持ちが少しだけ分かった気がする。
「ここって九十九里浜だよね…。どんなプレゼントなんだろ?」
ラブリーマイエンジェル戸塚が可愛く首を傾げながらうんうん唸っている。可愛すぎて昇天しちゃうレベル。ずっと戸塚のそばに居たいでござる。
「ではでは、私からのプレゼントはこれでーす!」
じゃーんと言わんばかりに手を広げて見せる陽乃さん。その先には__ロッジがあった。……裏がありまくりな気がしてならないから受け取り拒否しようかな。
雪ノ下のみ怪訝な顔をしているが、他は皆歓声を上げている。流石、有名人が持ってそうな別荘感なだけある。
「実はこの家、海と繋がってるプールがあるんだよ! ね、カマクラちゃん♪」
「せやなぁ。そのためだけに建てたようなもんやからなぁ」
なんやて工藤。せやかて工藤。色々と疑問が多すぎて服部君になってしまった。ニンニン。
結論から言うと裏はなかった。寧ろ超優良物件だった。しかもたった半日で造り上げたとかなんとか。雪ノ下建設まじパネェ。
今はロッジの集会スペースにみんなで集まっている。小町、由比ヶ浜、雪ノ下、一色、戸塚、陽乃さん、平塚先生、鷲、亀さん、鼠、錦蛇、カマクラ、海豹、イルカに俺である。
「実はイルカちゃんも八幡ファミリーに入りたい言うててな、陽乃さんに頼んで建ててもろたんや」
「さっきから気になってたんだけどお前ら意思疎通できたの?初耳なんだけど」
「というわけで新規メンバーのイルカちゃんや!」
無視ですかそうですか…。
「此方太平洋日本近海担当のイルカです! よろしくお願いします!」
海と繋がっているプールから顔を出し、潮でイルカの絵を作り出している。器用過ぎて八幡お口あんぐり! アホクインテットはキャイキャイはしゃいで楽しそうである。因みに面子は小町とガハマと一色と鷲と鼠だ。
「お、おぉ…、よろしくな」
リア充並の勢いだったので少し
「これで設備も整ってきたし動物園の夢も叶いそうだね♪」
いや、まぁそうなんだが、誕生日プレゼントにしては規模が大き過ぎて今後の俺が心配になってくる。
「先程から思っていたのだけれど……。姉さん、熱でもあるの?その男に騙されたりしてないわよね」
「雪乃ちゃん酷いよぉ…。もしかして嫉妬しちゃった?」
「っな! そ、そんなことある訳ないでしょう!」
そこまで全否定されると傷つくんだが…。まぁ聞きたいことを聞いてくれたので手間が省けて良かった。ナイスだ雪ノ下。
「でもそうだねぇ、どうせ比企谷くんは施しはウンタラカンタラ〜って言いそうだからあげる条件だけつけとくよ」
そこで一旦切って5秒程度の間を置く陽乃さん。このあとどんな要求をされるのかドキドキしてきたゾ。因みに5秒以上間を開けると空気がダレるから気をつけようね! これ豆知識な。
「動物園できたら真っ先に呼んでね♪ お姉さんとの約束だぞ♪」
「え、そんなことでいいんすか。てか動物園開くと決まったわけでも無……
「比企谷くんなら成し遂げるって信じてるからね。ね、いいでしょ?」
「あ、はい」
有無を言わせぬ圧で思わず頷いてしまった。心臓に悪いので変な所で魔王の片鱗を見せないでください。あ、エスパーさんは笑顔で此方を睨まないでください。帰って、どうぞ。
「じゃ、私は帰るね。みんな戻るならついてきてねん♪」
俺の思いが通じたらしく、内心ほっとする。残りの人々も一緒に帰る様でバンに向かっていく。
「ヒッキーは帰らないの?」
「あぁ、ちょっとな。鷲タクシーあるし大丈夫だ」
鷲が後ろで喚いている気がするが問題ない。
「じゃ、またね、比企谷くん♪」
バンの運転席の窓を下ろして此方に話しかけてくる。……少しこの人の事を勘違いしていたかもしれない。
「……ありがとうございました」
少し驚いた顔をしてから微笑んで、バンは走り去って行った。……なんかめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!? あの微笑みは反則やでぇ…。
「爺さんや、あれはなんだい?」
「あれは捻デレというやつじゃよ」
……解説入れなくていいんだよ?
お久しぶりです。
ガハマちゃんの誕生日という事で止まっていた話を更新しました。まぁガハマちゃんの出番ほぼ無かったんけど……(´・ω・`)
ではまた次回に。
最後にガハマちゃん誕生日おめでとう!