やはり俺がトニカクカワイイ美少女と結婚するのはまちがっている。   作:スキート

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第4話

 ……寝れない。

 

 

 俺が結婚した日の夜。我がお嫁さんは俺の部屋で布団を引いてすやすやと寝ていた。

 

 

 どうやら緊張してるのは俺だけのようだった。……女子と寝るなんて経験したことないから緊張するよねそりゃあ。

 

 

 

「……ん」

 

「っ!」

 

 

 彼女の寝息一つでビクビクしてしまうくらいの緊張感していた。

 

 

 

 ……にしても、俺の結婚した人は相当な美人さんだ。

 

 何故、こんか美人が俺なんかと結婚したのだろうか。俺は彼女に何もしてないし、むしろ助けてもらった側だ。

 

 先程聞いた時は「嫌なら結婚しない」みたいなことを言っていたし、何かしら事情でもあるのだろうか。家の人は心配しないのかと聞いたら、「そもそももう家すらない」的な事を言っていた。

 

 ……うん。確実に訳ありだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局一睡も出来なかったのだが、俺は一つわかったことがある。

 

 

 ……それは、彼女の寝相は壊滅的に悪いということだ。

 

 

 寝る前に結んでいた髪はほどけてたし、布団もから外れていたり、いきなり立ち上がったりするし、俺の布団に倒れ込んだと思ったら布団ごと引っ張っていくしでドキドキしっぱなしだった。

 

 

 まぁ、夏休み中の今は学校はないわけで、寝れなかった分を取り返そうとも思ったが、それでも俺は高校3年生の受験生なので、勉強をしなければまずい。

 

 

 ……とも思ったのだが、お嫁さんが出来たからには彼女を養っていくほどの財力が必要になる。もともと俺は専業主夫志望なのだが、2歳年下の彼女に働いてくれなんて言えないし、消去法で俺が働くことになる……だろう。多分。

 

 

 そうなると大学を卒業するまであと4年半以上あるし、それまでこの家に依存なんてことは出来ない。親にも迷惑がかかるし、俺としてもとても申し訳ない。

 

 

 

 そんな事をぼちぼち考えていると小町が部屋に入ってくる。

 

 

「お兄ちゃん。お義姉ちゃん。朝だよー!」

 

 

 

 ……小町はいつからお義姉ちゃん呼びになったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう八幡くん」

 

「……うす」

 

 

「うすじゃないよお兄ちゃん! しっかりしてよ!」

 

 俺がぶっきら棒に返事をすると妹の小町がバシバシと俺の背中を叩く。……だって恥ずかしいんだもん。

 

 

「ほら、お兄ちゃん」

 

 

 

「……ぐっ。 ……お、おはよう」

 

 

「うん。おはよう」

 

 

 彼女は俺の返事をニコニコと聞いていた。

 

 

 

「……にしてもご両親は?」

 

「うちは共働きで2人とも朝からいないことが多いんです!」

 

「……あんな社畜になりたくないな」

 

 

 

「なーに言ってんのお兄ちゃん。お兄ちゃんも高校卒業したら働くんでしょ?」

 

 

「……そうなるわな」

 

 

 本当は働きたくなんかないんだけれどもっ! 働かざるを得ないから働くしかいんだよ! 

 

 

「……えーっと。つ、司は家がないんだったよな?」

 

「うん。そうだけど?」

 

 

「……このままずっとうちに泊まることになるのか?」

 

「そうさせて貰えるならそうさして貰いたいけど……ダメならカプセルホテルとかに泊まるし……」

 

「あ──。そういう事じゃなくてだな。泊まるのはいいんだが、ずっとここで暮らすのは親に迷惑が掛かると思ってだな……」

 

 

 

「結局お兄ちゃんは何が言いたいのさ?」

 

 

 小町は俺を怪訝そうに見つめ、つか……彼女は不思議そうにしていた。

 

 

 

 

「……俺と…………」

 

 

 

「「俺と?」」

 

 

 

「……ふ、2人暮らしをしないか?」

 

 

 俺は顔を真っ赤に染めて言っているのだろう。……とてつもなく恥ずかしいし、断られたら尚恥ずかしい。

 

 

「……いいよ」

 

 

 俺が彼女の方を見ると、彼女も頰を染めていた。

 

 

 小町が横でヒューヒュー言っているが、そんな事は気にしてはならない。

 

 

 だが、いきなり2人暮らしなんてできるお金は俺は持っていない。

 

 

「……てかお兄ちゃん。お金あるの?」

 

 小町がちょうど俺の考えていた事を口に出した。

 

「うちは2人とも共働きで社畜のように働いんでんだ。……多分金なら結構ある……と思う」

 

 

「……それこそご両親に迷惑をかけない?」

 

「……いや、もともと俺は大学行ったら親に一人暮らしさせるって言われてたわけだし。親的にはWIN-WINな気がする。断られたら土下座してまで頼み込む」

 

「……そういうもの?」

 

「……そういうもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで親父、お袋。俺にアパートを借りさせてくれ」

 

 

「いいぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アホみたいにするーっと交渉が終わり、俺と司は次の日からいいアパート探しを始め、ちょうど一週間後に見つけた家で、2人して「ここだ!」と同調した。

 

 

 

 

 そして、2学期が始まる9月。俺と司は色々な手続きを漸く終わらせ、2人暮らしが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ小町。こういう話ってこんな簡単に進むものだっけ?」

 

「……お父さんたちが思ったより乗り気だからじゃない?」

 

「……やっぱあのクソ親父俺に出てって貰いたかったんじゃね?」

 

「……あはは。流石にお父さんでも……」

 

 

「あるな」

 

「あるね」

 

 

 スムーズに進みすぎる話に俺は疑問を持つも、思い通りに事が進むことに不満がる人間はいないので、今のやり取りは心の中にしまっておく。

 

 

 

 

「八幡くん。行くよ」

 

 

「……ん、わかった」

 

 

 俺は司に呼ばれ、荷物を持ち玄関に向かう。

 

 

 ある程度の荷物はもうアパートに運ばれており、俺と司はアパートに向かうだけでいいのだ。

 

 

「んじゃ、小町。行ってくるわ」

 

「それじゃあ小町。行ってくるよ」

 

 

「うん! お兄ちゃんもお義姉ちゃんも元気で! 暇があったら遊びに行くねー!」

 

「おう。いつでも来い。俺と司も大歓迎だ」

 

 

 

「……じゃ、気をつけてねお兄ちゃん」

 

「来ようと思えば来れる距離だろ。そんな寂しそうな顔すんな」

 

 

 俺は小町の頭を撫でて玄関を開ける。

 

「そんじゃ、行ってくる」

 

「うん。行ってらっしゃい」

 

 

 司は小町に手を振り、俺も手をそっとあげた。

 

 

 

 約18年間暮らした家を出るというのも中々感慨深いもので、少々ジーンとこないこともない。

 

「どうしたの八幡くん?」

 

「いや、ちょっと寂しくてな」

 

 

「……兄妹っていいね」

 

 

「……そういうもんか?」

 

「私からしてみればね」

 

 

「そうか」

 

 

 

 

 

 

 そこから歩くこと1時間。意外にもアニメ好きだった司と会話を弾ませながらもアパートに着いた。

 

 本来なら電車を使った方が早いのだが、司が話しながら歩こうと言ったため歩いて向かった。

 

 出会った最初はキョドりまくっていたのだが、2人でいる機会が馬鹿みたいに多かったため会話にもそこそこ慣れ、彼女のことも色々と知る事が出来た。……訳ありな感じなとこはよくわからないのだが。

 

 

 

 

「ほら。ダンナ様。私たちの新しい家に入ろう?」

 

 

 ダンナ様と呼ばれ少しドキッとするも、俺は司のところに向かい家に入った。

 

 

「……ここが新しい家か」

 

「何回も見たでしょ?」

 

「それとは別の意味だよ」

 

 

 

 あっさりと始まった俺と司の同棲生活。将来の事も色々と考えなくてはならないが、今は目の前のことに集中しなければならない。

 

 

 

 

 ……こういうのって学校のやつに説明した方がいいのだろうか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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