ありがちなISオリ主もの(?) 作:チキンカツサンド
女子。
女子、女子、女子、女子。
女子、女子、女子、女子、女子、女子、女子、女子、女子。
右を向こうが左を向こうが、振り返ろうが諦めて前を見ようが、視界に入るのは
ここはIS学園。数年前にとある天才、いや天災がこの世に産み落とした次世代型パワードスーツ『インフィニット・ストラトス』、通称ISの操縦者を育成するための学校だ。
製作者たる天災科学者、もとい天才科学者の
ISがその力を世界に知らしめたのが、後に「白騎士事件」としてニュースを席巻した出来事だ。世界中の日本を攻撃可能なミサイル、しめて2341発が一斉にハッキングされてその制御を失い、全てが日本に向かって飛来。そのとき、日本上空に突如現れた純白のIS『白騎士』が、その尽くを独力で撃墜しきった。その後も世界各国から送り出された戦闘機やら空母やら監視衛星やらを、日本からは一人の人的被害もなく退けた、と報道されていた。
ISの力が世界に認められ、規制のための法律などがまたたく間に制定された。たしかアラスカ条約だったはずだ。その条約でISの兵器としての利用は禁じられ、ISはもっぱらスポーツなんかの道具として扱われるようになった。
また、ISを動かすには一機につき一つの『コア』というものが必要だが、その作り方を知っているのは世界で篠ノ之束ただ一人であり、今のところ世界に出回っているコアの数は467個。本人はこれ以上コアを増やす気配なし。よって、これも世界各国で保有できる個数がそれぞれ定められた。
そんなISのとある一つの特徴が、世界のあり方を、いとも簡単に変えてしまった。
それは、この兵器が
ISを使えない男性の立場そのものが虐げられ、世界の風潮は女尊男卑へと変貌。世において力を持つのは、女性ばかりになった。
ここIS学園は先程も言った通り、そんなISの操縦者を育成する、世界で唯一の教育機関だ。篠ノ之束の故郷たる日本のすぐそばにある人工島の上に建つこの学園は、国際法により「世界のどの国にも属さない機関」として独立している。この手の教育機関を一国に所属させれば何が起きるかは明確であるため、この条件は必要不可欠であろう。
とはいえ立地の問題なのか、この学園の生徒は日本人が圧倒多数を占め、学園内の公用語も日本語で統一されている。世界各国からこの学校に送り込まれる少女たちは、まず日本語をある程度話せる必要があるのだ。一応は通訳も用意されているらしいが、細かいことはよく知らない。
この学園で日々鍛錬に励む生徒たちの目標の一つに『モンド・グロッソ』というISの世界大会がある。去年あったのが第二回であるこの大会は、アラスカ条約加入国からそれぞれ国家代表を出し、飛行や戦闘など様々な部門で多様な競技が行われる。各部門ごとの優勝者には『ヴァルキリー』の称号が与えられ、総合優勝者には『ブリュンヒルデ』の称号が与えられる。
で、いまのところその称号の保持者はただ一人。日本を代表する操縦者である
ちなみに第二回大会では彼女は決勝を棄権している。理由を知っている者はほとんどいないだろう。当然、部外者たる俺が知るはずもない。対戦相手だった操縦者は不戦勝となったが称号の受け取りを辞退したため、ブリュンヒルデは織斑千冬のみなのだ。
さて。そんな女性重視の価値観が蔓延るこの世界に激震が走ったのは数ヶ月前。とある
名前は
ブリュンヒルデこと織斑千冬。おそらく、というかほぼ間違いなく親戚筋だろう。
彼はその後、他国からの保護のためにIS学園への入学が決定し、ついで始まったのは全国の男性に対するIS適性検査。
ISには適性が存在し、EからSくらいまでの分類があったはずだ。男は全員が測定不可を意味するFであるのがかつて確認されていたのだが、織斑一夏の存在もあったということで、改めて全男性に適性検査が行われた。
その結果。織斑一夏と同い年の、もう一人のIS適性所持者の存在が明るみに出たのだ。
その名は
俺もそんなわけでIS学園に入学することになった。高校受験の結果が意味をなさなくなったのは正直悲しいところではあるが、いまさらそんなことを気にする意味はない。んで、今日はその登校初日というわけだ。
改めてこの事態の元凶こと織斑一夏の方を見る。男子はまとめておいた方が都合がいいのか、俺と織斑一夏は同じ一年一組に配属された。
あいつの席は教卓の目の前にある。ちなみに俺はその三つ後ろで、ほとんど教室の中央だ。
今は後ろ姿だけで顔は見えないが、教室に入ってきたときにちらりと見えた顔はかなりの好青年。多分学内でも結構モテるんじゃないだろうか。性格がクズでさえなければ。
どうでもいいが俺は女顔だそうだ。中性的、というのがいいのかもしれないらしいが。伝聞調なのはすべて同級生からの評価だからだ。
この学園での生活が俺に何をもたらすのか。少なくとも俺は女尊男卑もそれを謳う女も、この世界のあり方を変えたISそのものも大嫌いだから、生活に馴染むことは厳しいだろう。
ではなぜIS学園にいるのか。決まってる。命が惜しいからだ。この学園から出てしまえば、世界で二人だけの男性IS操縦者である俺は、どこかの機関に捕捉されて人体実験用のモルモットと化す可能性だったある。その点この学園はいかなる国家や機関にも属さない場所であるがゆえに、身の安全が保証される。だからこその苦渋の決断だ。
教師と思しき人物が、教室前方の扉から入ってくる。身長は低いが出席簿らしきものを持っているし制服を着ていないので、まあ間違いないだろう。
「このクラスの副担任を務めることになりました、山田真耶です。皆さん、よろしくお願いしますね。」
ホームルームが、始まった。
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