ありがちなISオリ主もの(?) 作:チキンカツサンド
2019/8/17 箒ちゃんのあたりを加筆しました。
Side-織斑一夏
三つ後ろの一人を除いて全員が女子のこの教室。思った以上に視線がキツい…。
IS操縦者を育成する私立の
高校受験当日。俺は学費が安く就職率も高いことで知られる私立藍越学園の入学試験を受けるために会場に来ていたんだけど、会場内で迷ってしまった。
あてもなくさまよい歩いた先のとある部屋で見つけたのは、一機のISだった。
インフィニット・ストラトス。この世界を回す中心的存在と言ってもいいその代物は、当然俺だって知っている。
なにせ、あのIS界のビッグネーム、『ブリュンヒルデ』の織斑千冬は俺の姉だ。モンドグロッソ第一回大会で千冬姉が優勝したところだって実際に見た。
ただ、それが目の前にあるという状況は、どう考えても非日常なわけであって。そしてロボットやパワードスーツといえば、多くの男子は憧れるものであり、俺もその中の一人なわけで。気づけば俺は、その部屋の中に入り、汎用IS『打鉄』に向かって歩みを進めていた。
だがまあ、俺には入学試験があることを思い出して。後ろ髪を引かれつつも、引き返して会場を探そう、と思ったところで俺は転倒。慌てて打鉄に触れてしまったことが運の尽きだった。
突然頭の中に、膨大な量のデータが流れ込んでくるような感覚に襲われ、気がついたときには視界が変わっていた。
そう。なぜか、男である俺が、女にしか動かせないはずのISを起動してしまったのだ。
施設の職員と思しき女性にその姿が発見されてから数時間後。俺は黒服の男たちに拉致され、所在不明の建物で事情聴取を受けた。
なんでも、このままだと俺は全世界からその身柄を狙われ、捕まれば最後人体実験用のモルモットになってしまうのだとか。それを回避するために、俺のIS学園入学が急遽決定された。
結局藍越学園の試験を受けられなかった俺としてはありがたくもあったが、どう考えても特異な学園生活に不安は残る。親友の五反田弾は羨ましいなんて言いながら送り出してくれたが、果たしてどうなるだろう。
あとから男子の適性持ちがもう一人現れたと聞いたときは、そんな心境だったがゆえに安心感があった。ひとまずはそいつと仲良くなるのを目的に、今日この日を迎えた
しかし現実はこんなで。女子の視線が刺さる刺さる。こんな針のむしろみたいなところで生きていけるのか、既に心配だ。
つーか後ろのこいつはなんでこんな平然としてるんだ。こういう状況に慣れてるのか?ああもう…
…くん!織斑くん!織斑一夏くん!聞こえてますか!」
「うわぁ!?」
「ひっ!?」
突然名前を呼ばれ、思わず素っ頓狂な声を上げると、目の前で悲鳴が聞こえた。
目の前でおどおどとしている、小柄で童顔な、緑色の髪の女性。地毛なのかどうなのか。その小柄な見た目とは反対にやたら主張が激しい部分については気にしない。見てないったらみてないのだ。ってか、今呼ばれてたよな、とりあえず返事をしないと。
「あ、はい。聞こえてます。織斑一夏です。なんでしょう?」
「あ、あの、えーと、今、自己紹介をしてもらっててね?それで、『あ』から始まって、今『お』なんだよね。ええっと、自己紹介、してもらって、いいかな?」
どうやら俺が聞いてない間にいろいろとことが進んでいたらしい。席を立ち振り返って見ると、クラスメイトの視線は、さっきよりも一層強くこちらに向いている。
そうやって改めて教室を見渡して、気づく。少し離れたところに、見知った顔がいる。
長く離れていたけど案外わかるもんだな…って、目をそらされちゃったよ…。そりゃそうか、こんだけ長いこと会ってなきゃ忘れても仕方ないか…。
それよりも、自己紹介だっけか。なんか言わないと…。
「えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」
それだけ言って座ろうとすると、周囲からの視線が何か言ってくるようだ。「それだけじゃないよね?」と無言の圧力をかけてくるかのように。どうしようか。生憎、これ以上言うことなんてない。かくなる上は…。
「以上です!」
俺がそう宣言すると、女子たちが一斉にずっこける。同時に、ズバァン!って感じの激しい音とともに、後頭部を凄まじい衝撃が襲う。
「挨拶くらいもっとマシに出来んのかお前は!」
「ゲッ、千冬姉!?」
「学校では織斑先生と呼べ!」
再度、脳天に衝撃。何事かと思い前に向くと、そこには俺のよく見知った人物がいた。
織斑千冬。初代かつ唯一のブリュンヒルデにして、俺の姉だ。身内贔屓を抜きにしたって美人であり、その手に握られる出席簿からは白煙が上がっている。…ん?なんで…
「キャー!!千冬様よ!」
「あなたに会いたくてこの学園に来ました!」
「相変わらず素敵!」
突然周囲から、黄色い声が上がる。この人たち、ほんとにあの試験を乗り切って入学したエリートなんだよな?と不安になるほどにうるさい。
余談だけど、俺はこの学校に入るにあたって入試の問題を実際に解かされた。一般科目はまだしもISに関する知識なんてほとんどなく、割とひどい有様だった。まああくまで形式的に受けただけで、結果がどうであろうと入学は確定していたんだけど。
「静かにしろ!」
一喝。喧騒が止み、皆が目の前の「世界最強」を見る。
「はあ。毎年毎年、よくもこう集まるものだな。うちのクラスにだけこういうのを集めているのか…?」
悪態が聞こえる。こんなのばっかりじゃ、疲れるか。
「改めて、このクラスの担任を務める織斑千冬だ。私の仕事は半人前のお前たちを使えるレベルまで鍛えることだ。これから私の言うことには従ってもらう。わかったらハイと返事しろ。わからなくてもハイと返事しろ。いいな!」
ひええ、軍のスパルタ教育かなにかか、こりゃ。しかし周囲の連中からするとそうでもないようで、千冬姉に向かって返事をしている。何人か正気じゃなさそうな人がいるが、大丈夫だろうか。
「さて、時間が少なくなってしまったな。仕方がない。お前たちが気になっているであろうもう一人の男子に自己紹介をしてもらってこのホームルームを終わりとしよう。佐倉。」
そう言われ俺は、視線を後ろに向ける。この場にいるもう一人の男子。そこにクラス中の視線が集まった。
Side out
織斑教諭からの名指しを受け、周囲を見渡す。なんでこう、無駄にこちらを注目させるのか。はっきり言ってやめてほしい。女子の視線なんてものは、基本的には嫌悪の対象でしかないのだ。
とはいえいずれ自己紹介はしなければなるまい。適当にすませよう。席を立ち上がり、言い放つ。
「佐倉蒼夜。好きなものは特にないが、嫌いなものは女尊男卑とそれを謳う連中、それとISだ。人付き合いは苦手なんで、あまり関わらないで欲しい。以上だ。」
それだけ言って、腰を下ろす。周囲は静まり返っている。ま、こんな自己紹介のあとだ。そうなっても仕方あるまい。
「…ホームルームは以上とする。各自、授業の準備を始めるように。」
織斑教諭のその一言を皮切りに、ざわめきが戻ってくる。しかしどうやらこの学校、入学式に準ずるイベントがないようだ。しかも入学初日から授業。なかなかほかじゃ見られないんじゃなかろうか。
いや、俺が高校を知らないだけか。いずれにせよ、俺も準備を始めるとしよう。知識の叩き込み自体はある程度できているはずだが、使えるかと言われれば怪しいことこの上ない。せめて少しでも予習をしておこう。
机の上に出すのは、大きく「必読」と書かれたやたら分厚い教科書。入学が決定してから渡されたもので、ISに関する基礎知識がびっしりと書かれている。
周囲からの音を遮断する目的でイヤホンを装着。教科書のページをめくりつつ、覚えたことに違いがないか逐一確認を取る。
五分ほどしてイヤホンを外すと、ちょうど授業開始のチャイムがなる。なぜか悔しそうな顔で見てくる金髪ロールの女生徒をスルーし、授業を受ける体勢を整えた。
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