こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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紅魔館大図書館より~キャラメイクへ

「書かれている物語世界に読み手を引きずり込む魔導書?」

 

 紅魔館大図書館の管理者であり自身も『動かない大図書館』と呼ばれる七曜の魔女、パチュリー・ノーレッジは自分の使い魔、小悪魔の持ってきた本をジト目で見る。

 ついでに小悪魔自身のことも同じ目で見たり。

 

「いえ、そういう危ないのではなくて、娯楽用の仮想体験(VR)型ゲームブック、でしょうか。外の世界のゲームが体験できるようですよ」

 

 と、にこやかに笑う小悪魔が追加で本を積み上げる。

 こちらは普通の外の世界の本、ゲーム攻略本と言われるもの。

 

「ドラゴンクエスト3?」

 

 そういう名前のコンピューターを使ったロールプレイングゲームらしい。

 手に取ってパラパラとめくると、なかなかに練りこまれた世界と設定が目に飛び込んでくる。

 

「ふぅん? これは…… でもこうしたら……」

 

 本の虫の彼女にも興味深い内容らしい。

 実際、面白いのだろう。

 自分なりに情報を集め、整理し、攻略法を検討、構築していく作業は。

 だからこそ外の世界でもロールプレイングゲームは多くの人々に楽しまれているのだ。

 そしてそんな主人の様子を見て、小悪魔は内心クスクスと笑う。

 

(パチュリー様なら興味を持っていただけると思いました)

 

 だからこそ、この大図書館の司書権限を使って娯楽用魔導書を解析し、外の世界のゲームの内容を組み込んだのだ。

 そして……

 

「うーん」

 

 ちらりと件の魔導書を見るパチュリー。

 迷っているのが分かる。

 小悪魔が持ってきた魔導書。

 怪しいと理解してはいるものの、興味は尽きないのだろう。

 そして、

 

「検証が必要ね」

 

 と自分に言い訳するようにつぶやいて手に取る。

 

 小悪魔の用意した罠に薄々気づきながらも……

 パチュリーは主従契約があるからという安心感と、ちょっとした好奇心からその身を委ねてしまうのだった。

 

(この子…… 小悪魔も普段よく働いて仕えてくれているし、まぁ、たまには少しぐらい火遊びに付き合ってあげてもいいでしょう)

 

 そんな風に考えて。

 実際、パチュリーの実力からすればこんな無力な小悪魔など、本気になっても幼児にじゃれつかれているようなものだから。

 

 

 

 後にしてみれば、どうしてこの時、こうすることを選んでしまったのか、と彼女は思うことになるのだが。

 

「パチュリー様の心の奥底に、そういう願望があったからですよ? 私はそのお願いを忠実にかなえただけです」

 

 と小悪魔はあくまでも優しく答えるのだった。

 

 

 

 そして舞台は物語世界、ドラゴンクエスト3のスタート地点、アリアハンへ。

 

「それで、どうしてあなたが勇者で私が商人なのかしら?」

 

 冒険者が集うルイーダの酒場、呆れた様子でパチュリーは小悪魔に問う。

 

「ええっ? だって矢面に立って戦う肉体労働は私に任せるってパチュリー様、言ったじゃないですかー」

 

 まぁ確かにそうだから小悪魔が勇者なのはいいとして、問題はどうして自分が魔法使いでなく商人なのかということ。

 しかし小悪魔はこう説明する。

 

「そしてドラゴンクエスト3は勇者一人ではクリアーできないのはご存知ですよね」

 

 そう、縛りプレイで定番の『勇者一人旅』だが、正確にはドラクエ3は勇者一人だけではクリアーできない。

 街づくりイベントのための商人が必須なのだ。

 

 他に人を雇って、というのも考えられるが、パチュリーは人見知りの引きこもりだからそういうのも遠慮したい。

 そもそも魔導書が用意した怪しいキャラ、しかも人間など今一つ信用できないし。

 それにレベル1の商人を作って預けるなんて「それどう考えても人身売買だろ」な真似、VRというか実体験型のゲームでは抵抗がありすぎる。

 というわけでパチュリーは、

 

「……そうね。このパーティ構成で検証してみたいこともあるし」

 

 と自分を納得させてしまう。

「使えない」「あなほりwwwww」「商人とかお前の存在意義がわからんのだけど」「イエローオーブ引換券」などと言われる商人だが、実際にはそう悪くないとパチュリーには思える。

 勇者との二人旅は、勇者と単純に比較できるため検証するには都合が良かった。

 

 一方、小悪魔はというと、

 

(街の有力者にまで登りつめてクーデター起こされて牢獄ですよ。何も起きないはずもなく…… ああ、なんてかわいそうな私のパチュリー様)

 

 と、歪んだ主従逆転愛に悶えていた。

 この魔導書の管理者権限を密かに握っている小悪魔にとって、クーデターを起こすNPC(ノンプレーヤーキャラクター)も自分の分身のようなものなので……

 

 

 

「まぁ、ともかく冒険者登録ね」

 

 パチュリーを冒険に連れて歩けるよう登録を行うべく、二人はルイーダの酒場の二階に向かう。

 

「勇者様のお仲間には王様から特別に激励の品が贈られます。力の種、素早さの種等、五種類の種の内、いくつかを使う事ができます」

 

 勇者以外のキャラメイク担当の男性が説明してくれる。

 

「どの種にするかはパチェさんが決めてもいいし、私にお任せして下さっても結構です」

 

(パチェさんって……)

(このゲーム、キャラクターに付けられる名前は四文字までなんです)

 

 と、主人と使い魔間のパスを使った声なき会話を他所に、

 

「パチェさんが決める場合はもちろんお好きな種を使って頂きますが、私にお任せの場合は……」

「場合は?」

「とにかく、その時の私の気分でやらせてもらいます」

「気分って……」

 

 思わず突っ込んでしまうパチュリー。

 

「では、パチェさんへの種の使い方はどうしますか?」

「ああ、自分で選ぶわ」

 

 パチュリーは手を上げる。

 

「使えるのは五回までです。ではどうぞ」

 

 そして考え込むパチュリー。

 

「商人は力と体力の伸びが良い性格『タフガイ』との相性が良かったはず」

「パチュリー様がタフガイですか!?」

 

 小悪魔が驚くとおり、病弱で持病の喘息を持ち、魔力は膨大だが詠唱し切れないなど、身体能力は人間にも劣るパチュリーとは真逆の性格だったが、

 

「この世界では設定された能力値が反映されるようだし」

「それはそうですが……」

 

 ということだ。

 

「勇者と違って性格判断の質問は無くて、能力値を伸ばすタネの投入による能力値の変化量から決まるんですよね?」

「商人は体力を10以上伸ばせばてつじんかタフガイになれるはずよ」

 

 パチュリーはスタミナの種を手に取ろうとするのだが、それを小悪魔がひょいっと取り上げる。

 

「こあ……」

「それにしてもこれ、どういう理屈で体力が付くんでしょうね?」

 

 手のひらの上の種をしげしげと見つめながら言う小悪魔に、パチュリーは好奇心を刺激される。

 

「そうね『見せ』て」

「ああ、商人の鑑定能力ですね」

 

 忘れられがちだがドラゴンクエスト3の商人はアイテムの鑑定能力を持っている。

 

「それに私の知識をリンクさせてね」

 

 そうしてパチュリーが鑑定してみて分かったのは、魔術的に肉体強化を促進する力が宿っているということ。

 現実ではトレーニングをすると筋肉の一部が損傷して、次に超回復という現象でトレーニング前を上回る筋力、体力が付く。

 普通は超回復に二、三日かかるが、スタミナの種や力の種などの身体能力アップ系の種は筋肉の破壊から超回復を短期間に行うものになっているのだ。

 

「それって筋肉痛を濃縮した激しい痛みが襲うってことじゃ?」

「……まぁ、そうなるわね」

 

 ということだった。

 それでもパチュリーは恐れることなく口の中に放り込んで噛み砕くのだが、

 

「いたたたた!?」

「あー、普段運動しないから余計に……」

 

 小悪魔はそんなパチュリーをマッサージでなだめる。

 

「そ、そこダメっ!」

「まぁまぁ、私こういうの得意ですから。身体のツボ、パチュリー様の身体に眠ってる、とっても気持ちよくなるところを優しく掘り起こしてですね」

「ひっ!」

「だんだん気持ちよくなって来たでしょう?」

(こ、このっ!)

 

 エロ小悪魔、と叱ろうとしたパチュリーは、

 

「パチュリー様が今感じているのは運動した人間が味わえる悦びなんですよ」

 

 という言葉と、実は危ない所には一切触れずに奉仕していた小悪魔のマッサージに戸惑う。

 

「よろこ、び?」

「はい。運動すると気持ちいい、体を鍛えると気持ちいい、そういう悦びです」

「………」

 

 ソレは生粋の魔女、生まれた時から魔法使いであり、引きこもりでもある彼女には、今まで縁が無かったもの。

 未知の、初めての感覚だった。

 

「そう考えるとだんだん痛気持ち良くなってくるでしょう?」

 

 そう言って少し強めにツボを押す小悪魔。

 

「あ、あああ!」

 

 そうやってまるで楽器を奏でるかのようにパチュリーの身体を操り、その悲鳴を自在に引き出して見せる。

 そうして小悪魔は、

 

(ああ、いい! 私の仕掛けた罠に涙目になって悶えるパチュリー様。そのお身体をもみほぐして快楽に染めていく悦び! いつもなら許されないボディタッチもやりたい放題です!)

 

 と歓喜に打ち震えていた。

 普通なら主従契約の抑止力によって、主人であるパチュリーをいたぶるような真似などできないが、小悪魔はあらかじめスタミナの種が持つ副作用について警告していた。

 そしてパチュリーは自分の意思で種を口にしたのだから問題ない。

 また、主人が痛みに苦しまないように手助けするのも従者の役目。

 それがたとえ『痛み』を『気持ちいいこと』としてすり替え、身体と精神に覚え込ませるようなことであったとしても……

 

(ウソは言ってませんしねー。運動すると体に負担がかかって苦しいはずなのに気持ちがいいのは、苦しさを紛らわせるため脳内麻薬が分泌されるからですけど)

 

 俗に言うランナーズハイというやつだ。

 この辺の知識は本の虫であるパチュリーも知っているはずなのだが、周囲から「役に立たない知識人」「知識人はもう間に合っている、これ以上要らない」「使えない奴」呼ばわりされているように知識ばかりが先行して今一つ実体験に結び付けられずにいるのもまた彼女である。

 だから幻想郷でも上位に位置する強者のくせに、こんな風にろくな魔術も使えないような使い魔にいいようにされてしまうのだが。

 

(まぁ、ムチ打ちとか、スパンキングとか、痛みを与えることでも同様の現象を引き起こすことができて、今のパチュリー様がまさしくそんな状態なんですけどね)

 

 痛みに耐えるために多量の脳内麻薬が分泌され、ランナーズハイを遙かに上回る多幸状態を造り出してしまう。

 ムチ打ちに耽溺するマゾヒストができあがってしまうのは、そういった仕組みがあるからだ。

 

 脳内麻薬に常習性はないが、そもそも薬物への依存には『身体的依存』だけでなく『精神的依存』があり、『身体的依存』が無いから大丈夫というのは危険な考えだ。

 

(それにこれでパチュリー様が身体を虐める、つまり身体を鍛える悦びに目覚めてくれれば日ごろの運動不足も解消され健康的に! これは従者として頑張らなくちゃ(使命感)!)

 

 というわけで、無駄に熱心にご奉仕する小悪魔。

 

(本の中、ゲームの中のコトとタカをくくっているのでしょうけど、ここで身体を鍛える痛みに悦びを覚えるよう堕とされてしまえば、現実のパチュリー様も立派な筋トレマニアの健康狂いです!)

 

「かはっ!」

 

(そして同時に私のマッサージの虜になったパチュリー様は現実でも激しい運動でガタガタになった、生まれたての小鹿のようにプルプル震える無防備な身体を自ら望んで私に差し出すようになるんです!)

 

 小悪魔は陶然とした様子でパチュリーの身体を揉みこんで、

 

(こんな風に!)

 

「……っ!?」

 

(堕ちるんです、パチュリー様! 堕ちてしまうんです!)

 

 必死に耐えるパチュリーを悪魔の…… 捕食者の目で見下ろす小悪魔。

 

(……啼きなさい)

 

 ツボに添えた指を、パチュリーの柔らかな身体にぐりりとねじり込む。

 

「ああああああああ!」

 

「悪魔に身体を許すというのはこういうことです!」とばかりに全力でパチュリーを肉体調教、もとい健康に目覚めさせようと徹底的に快楽を刷り込む。

 まぁ、やっていることは筋肉痛に悩む患者へのまっとうなマッサージであるのだし、だからこそ主従契約の抑止力には引っかからないのだが。

 そうして息も絶え絶えになって倒れ込むパチュリーの耳元に小悪魔はささやきかける。

 

「さぁ、パチュリー様、スタミナの種はまだありますけど、いかがされますか?」

 

 慈愛に満ちた悪魔の微笑を浮かべ、種を差し出す小悪魔。

 

「う、ぁ……」

 

 パチュリーはぞくりと背筋を震わせながら口を開け……

 

 

 

To be continued




 小悪魔×パチュリーのカップリングが大好きなので書いてみた作品です。
 あくまでも主従関係は崩さず、でもパチュリー様にベタ惚れな小悪魔が一生懸命アタックするというお話になります。
 楽しんでいただけると良いのですが。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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