こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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アリアハンへの帰還、そして放置プレイへ

 パチュリーから手渡されたおてんば辞典。

 小悪魔の震える指先が、読んだ者を洗脳調教してしまう危険な本を開かんとする、まさにその時、

 

「だからこあくまよ。そのような本を見つけたら気をつけて読むことじゃと」

 

 部屋の主である老人に邪魔される。

 

「はっ!?」

 

 我に返る小悪魔。

 

「あっぶなぁっ!」

 

 手の内にあるおてんば辞典に気付き、慌ててパチュリーに突き返す。

 そしてパチュリーは、ひくりと頬を動かし、

 

「今、舌打ちしそうにしました! しましたよね、パチュリー様!」

「なんのことかしら?」

 

 一瞬、歪みかけた表情を即座に取り繕ってみせる。

 しかしさすがに小悪魔も騙されない。

 

「だいたい『おてんば』って『セクシーギャル』の完全下位互換なんですから、攻略上、変更する意味がありませんから!」

 

 そう主張する。

 仕方なしにパチュリーは肩をすくめ、

 

「お店に持っていけば60ゴールドで売れるわね」

 

 と売却の算段をし、老人の部屋を後にする。

 

「それじゃあリレミトで塔を出て、キメラの翼を使ってアリアハンに帰りましょう」

「えっ? 私がダンジョン脱出呪文のリレミトを覚えるのはまだまだ先ですよ」

 

 勇者がリレミトを習得するのはレベル14以降だ。

 

「だから『飛び降リレミト』よ」

 

 そう言って、トン、と塔から小悪魔を突き落とすパチュリー。

 

「ひあああああーっ!」

 

 塔から飛び降りることで一気に外へ。

 ドラクエの冒険者たちは、ヒモ無しバンジーに耐えられる勇気と強靭な足腰の持ち主でないと勤まらないのだ。

 しかし、

 

「こあ、あなた飛べるでしょう?」

 

 一緒に落ちながらパチュリーは言う。

 

「そ、そうでした。デビルウィーング!」

 

 背から黒き翼を伸ばし……

 

「楽ねぇ」

「ちょっ、パチュリー様!?」

 

 その手をつかんだパチュリーをぶら下げながら懸命にパタパタと羽ばたく。

 

「重い重い―!」

「むっ、そんなに重くは無いわよ」

「そうじゃなくて、私の翼は貧弱なんです。ご自分で飛んでくださいよう!」

「ここではただの商人の私に何を言っているのかしら?」

 

 そんなやり取りをしながらも、なんとか着地。

 

「さぁ、キメラの翼を使いなさい」

「はいぃ……」

 

 小悪魔が帰還アイテムであるキメラの翼を宙に放り投げると、二人はアリアハンの街へ向けひとっ飛びに飛ばされる。

 まずは今まで手に入れたカエルのモモ肉、アリクイの毛皮などを換金して、おてんば事典を売り払うと、まとまった額の金が出来た。

 さらに今まで行けなかった場所を、盗賊の鍵を使って確かめる。

 城の学者の部屋に突入。

 タンスから小さなメダルが手に入った。

 

「あとは夜にしか入れない民家の二階ね」

 

 アリアハンの街から出てちょっと歩いて街に戻る、ということを繰り返しゲーム的に時刻を進める。

 

「キメラの翼やルーラを使うと強制的に朝になってしまうのが面倒ねぇ」

「あっ、大ガラスですよ!」

 

 少ししか歩いていないのに大ガラスに遭遇する。

 この世界は携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4・ニンテンドー3DS版の流れをくむものらしいが、スーパーファミコン版よりエンカウント率が上がっているように感じられる。

 街を出た直後や階段を昇り降りした直後の遭遇までの歩数も割と短い場合があるようだった。

 

 ともあれ、いまさら大ガラスに苦戦する二人ではなく難なく撃破。

 そして時刻は夜に。

 民家に忍び込み、タンスから小さなメダルをゲットする。

 

「これで小さなメダルが五枚集まったわね」

「でもコレ、どうするんですか?」

「それじゃあメダルの館にご案内、ってところね」

 

 パチュリーは小悪魔をアリアハンの街の端にある井戸に連れて行く。

 ロープを伝って降りて行った先には家が建っていて、

 

「よくぞ来た! わしは世界中の小さなメダルを集めているおじさんじゃ。もしメダルを見つけてきた者には、わしのなけなしのほうびをとらせよう!」

 

 中には小さなメダルを景品と交換してくれるっていうメダルおじさんが待っていた。

 今までに集めた小さなメダル五枚を渡すと、代わりにトゲの鞭をくれる。

 

「小悪魔からは現在五枚メダルを預かっておる。これが十枚になった時はガーターベルトを与えよう。がんばって集めるのじゃぞ!」

「ガーターベルト!?」

 

 ちょっとエッチな感じのする大人の装身具に、小悪魔は前のめりに。

 

「確か身に着けると性格を『セクシーギャル』に変えてくれる装備ですよね」

 

 パチュリーが身に着けている様子を思い浮かべたのか、だらしなく笑み崩れる。

 

「変なこと考えてないで、もう今日は休みましょう」

「ええっ、私のベッドでパチュリー様と!?」

 

 勇者の家にはタダで泊まることができるのだ。

 

「……宿に泊まるわね」

 

 二人は宿に向かうが、

 

「生憎満室で、他のお客様と相部屋になりますが」

 

 アリアハンの宿は満室、ベッドはすべて塞がっているという状況。

 レーベの村と違って部屋を取っているのはすべて大人の男性で、一番穏やかで問題なさそうな吟遊詩人風の男に話しかけるも、

 

「おや? あなたもここにお泊りなのですか?」

「はい」

「そ、そんな、いけませんよ」

 

 ポッと頬を染める男に、パチュリーは顔を引きつらせる。

 

「……仕方ないわね」

 

 ここは連れ込み宿か、という状況にパチュリーは渋々、宿に泊まるのをあきらめ勇者の実家へと向かう。

 その背後で、

 

(計画通り)

 

 と小悪魔は悪い顔をして笑っていたが。

 そう、ゲームでもアリアハンの宿は夜に訪れると満室であり。

 小悪魔はそれを忠実に再現することでパチュリーの行動を巧妙に誘導したのだッ!!

 

 

 

「まあ、遅かったのねっ。でも無事で本当に良かったわ!」

 

 勇者の実家では、夜遅くだというのに勇者の母が玄関で我が子の帰りを待っていた。

 

「さあ、早く家の中に入りましょう」

 

 そして二人は小悪魔の部屋で休むことに。

 

「パチュリー様、ベッドが一つしかないので……」

「拘束制御術式展開。悪魔罠(デーモントラップ)第3号、第2号、第1号発動」

 

 使い魔としてパチュリーと繋がっているパスを通じて、三重の封魔捕縛式が作動。

 指一本動かせない状態で床に転がされる小悪魔。

 まぁ、そうなるな、という展開だった。

 

「それじゃあ、お休みなさい」

 

 少しばかりの情けか、パチュリーは自分の旅人の服に付属のマント。

 雨風避けや野営の為のクロークを小悪魔に被せ、ベッドにもぐりこむ。

 しかし…… パチュリーはやはり忘れている。

 

 

パチュリーの着ていた服

 これを与えられた小悪魔は本能に従うまま魅惑の匂いに包み込まれ、濃厚なフェロモンを吸ってしまい魅了状態にされてしまう。

 さらに、すでに魅了状態の場合は恍惚・朦朧状態にまで堕とされてしまう。

 

 

 小悪魔は自分の身体にかけられたパチュリーのクロークに顔を埋めた瞬間、即座に恍惚・朦朧状態に堕とされてしまう。

 

(うあぁぁぁっ、これはぁ、これはぁ……)

 

 指一本動かせない状態で床に転がされ、みじめにパチュリーの身に着けていた衣類に顔をうずめ匂いを嗅がされ興奮する。

 

(だっ、ダメですパチュリー様、こんなことされたら私、わたしぃぃっ!)

 

 レーベの村の宿では寝取られ属性をこの身に刻まれた。

 そうして目覚めた被虐の血は、更なる淫靡な性癖を小悪魔に植え込もうとする。

 それは、

 

(こっ、これって放置プレイってやつじゃないですかっ!)

 

 懸命に欲情の火を鎮めようとする小悪魔だったが、鼻先に被せられたクロークの、パチュリーの匂いが彼女を捕らえて離さない。

 一呼吸ごとに身体が、心が、いや魂が絶対に達してはいけない頂に、淫らに吊し上げられていく。

 それが分かった。

 分かってしまった。

 

(だっ、ダメぇ。だって指一本動かせないようにされて放置されているだけなのに、それだけなのに達しちゃったら!)

 

 そうなればまた一段階、小悪魔の魂は堕ちて行ってしまう。

 もう堕ちたと思ったのにもっと下まで、堕ちてはいけないところまで堕とされてしまう。

 底なしの快楽の沼にどこまでも堕とされてしまう。

 最後に行きつくところはパチュリーになら何をされてもよだれを垂らして悦んでしまう雌犬。

 いや、意思など存在しない下僕人形にまで堕とされてしまうだろう。

 

 だから小悪魔はこらえた。

 

「どうしたらもっとパチュリー様によろこんで頂けるか、いつだって私はそう考えていますよ」

 

 そう言った言葉は嘘ではないのだ。

 命じられたことをするだけの、与えられるだけで満足する人形にはなりたくないのだ。

 パチュリーのために考えて、行動する。

 そして喜んでもらう。

 そういう存在になりたいのだ。

 

 だから小悪魔は耐えた。

 自らのパチュリーへの想いを守るために、いじらしいまでに必死でこらえ、そして、

 

(かはっ……!!)

 

 限界を超え、死んだように気を失うことでこの悪夢じみた状況から退避した。

 だが、ただの悪夢なら目を覚ませば終わるが、この状況は夢ではない。

 今、小悪魔の意識は逃避しているが、その身体はこの場に取り残されたままだ。

 そして呼吸する度に被せられたパチュリーのクロークから主人の香気を吸い続け、その匂いと心地よさをまったくの無防備となった身体に覚え込まされてしまうのだ。

 明けの明星が輝くまで……

 

 

To be continued




 おてんば辞典に洗脳され、荒木飛呂彦風(≒ジョジョ風)「キャンディ キャンディ」を歌い出す小悪魔、とかしようと思ったのですが。
 歌詞の語尾に「ッ!」や「YYYYYYYYYYーーーッ!」とか付けるのがハーメルンの歌詞使用のガイドラインにおける「歌詞を訳詞・替え歌など改変して掲載」に当たるか当たらないか分からず自粛しました。
 運営様にはお世話になってますからご迷惑はかけられない……
 なお荒木飛呂彦風「キャンディ キャンディ」はカラオケで歌うと、とても笑えるので興味のある方はお試しください。
(元々は雑誌「ファンロード」の読者コーナーに投稿されたネタでした)

 それはともかく、策をめぐらしパチュリーの行動を誘導する小悪魔でしたが、逆にギッチギチに拘束された上、放置プレイで新たな性癖をその身に埋め込まれてしまうのでした。
 そして次回は一転して、


「call me queen!!(女王様とお呼びっ!!)」

 小悪魔のトゲの鞭が唸り、打ち据える!
 ゾクゾクと背筋を走る嗜虐の快楽に、その瞳が愉悦にけぶる……


 というような小悪魔の新たな魅力にご期待ください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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