こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
「それじゃあノアニールの村に行きましょうか」
カザーブの村を出て北上する二人だったが、
「カニさんです!」
軍隊ガニ4体の群れに遭遇する。
「今夜はカニ料理かしら? ロースト? いえワイン蒸しもいいわね」
ということで戦闘を開始。
まずは小悪魔がトゲのムチで先制するが、
「か、硬ぁい」
彼女の攻撃力では数ポイントしかダメージを与えられない。
しかも、
「くっ!」
「パチュリー様!?」
先頭に立つパチュリーに連続で入る攻撃はキャタピラー並み。
ヒットポイントが多いパチュリーだからこそ耐えているが、小悪魔なら四発当たったこの時点で死んでいる……
そしてパチュリーの反撃。
「買っておいてよかったわね、チェーンクロス」
分銅付き鎖でシバキ回るパチュリー。
このような硬いモンスターと戦うと、小悪魔より攻撃力が高いことが露骨な差となって現れるのだった。
そして次のターンだが、
「倒せ、ない」
硬い甲羅に苦戦する小悪魔に、
「カフッ、カハッ!」
とうとう軍隊ガニからの反撃が入ってしまう。
「次のターンで自分を回復させなさい」
「で、でも……」
回復をするということは攻撃できないということだが、
「今のあなたが与えられるダメージだと、1ターン攻撃を休んでもそんなに影響は出ないわ」
とパチュリーは冷静に分析する。
そんなわけで小悪魔は回復呪文ホイミで自分を治療。
そうして殴り合い、とうとう四匹とも倒すことに成功する。
このような格上との激戦故、
「レベルが上がったわ」
パチュリーがレベルアップ。
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:タフガイ
性別:おんな
レベル:8
ちから:19
すばやさ:18
たいりょく:48
かしこさ:13
うんのよさ:8
最大HP:96
最大MP:26
こうげき力:46
しゅび力:33
ぶき:チェーンクロス
よろい:かわのよろい
たて:かわのたて
かぶと:ターバン
そうしょくひん:なし
「ああ、パチュリー様との差がさらに開いていきます……」
「いいからホイミで治療して。これからはノアニール地方の敵が出るのだから、あなた自身もヒットポイントはフル回復させるのよ」
回復なしで戦闘に耐えきったパチュリーだったが、さすがにダメージは大きくフル回復にはホイミ2回を必要とした。
また小悪魔自身もホイミを使ってヒットポイントをフルまで上げておく。
しかし……
「どうしました、パチュリー様」
「この先、出没するカラス、デスフラッターだけれど最大4羽で現れて2回攻撃してくるのよね。しかも攻撃力は今戦った軍隊ガニ以上」
つまり受けるダメージも二倍以上?
今の戦いぶりから見て、そんなものに当たったらパチュリーはともかく小悪魔は、
「やめてください。死んでしまいます」
ということに。
「仕方ないわね、脱ぎなさい」
パチュリーは小悪魔の着込んでいる旅人の服を脱がせにかかる。
「ぱ、パチュリー様、こんな屋外でスルんですか?」
「いいからさっさと脱いで渡しなさい」
「そ、そんなぁ、突如としてサドに目覚めたパチュリー様に野外露出プレイで調教されてしまうなんて……」
嘆くような口ぶりだが、もちろんその表情はまったく正反対で、
(いい……)
蕩け切っていた。
パチュリーはというと、一人変な勘違いをしている小悪魔から旅人の服を剥いで着込むと、代わりに自分が着ていた革の鎧と盾を押し付ける。
「これで何とかなるかしら?」
小悪魔の守備力は42までアップ。
反対にパチュリーの守備力は17まで大幅に下がってしまったが。
「ああっ、パチュリー様の香りが移った革の鎧を着せられてしまうなんてっ!」
野外露出調教に胸を高鳴らせたものの空振りし、しかしパチュリーの匂いに包まれたおかげで恍惚状態の小悪魔は、
「行くわよ」
「はいぃぃ……」
死への恐怖も忘れてふらふらとパチュリーについて行くのだった。
そして現れたのは、恐れていたデスフラッター4羽にアニマルゾンビが二匹という大集団。
素早いデスフラッター4羽の連続攻撃が次々に二人を襲う!
「こ、これパチュリー様に防具を貸してもらっていなかったら、確実に死んでいましたよ……」
革の盾で必死に攻撃を受け流しながらトゲのムチを振るう小悪魔。
そしてパチュリーのチェーンクロスがデスフラッターの群れを薙ぎ払う!
「3羽まで倒せたわね」
これもパチュリーがチェーンクロスを買っておいたからの戦果。
一方で小悪魔のヒットポイントも次のターンで攻撃が集中するようなことがあったら耐えきれないところまですり減らされており、
「自分を回復させなさい。私は最後のデスフラッターに止めを刺すわ」
「は、はい」
小悪魔がホイミで自分を回復させ、パチュリーの攻撃がデスフラッターを仕留める。
あとは二匹のアニマルゾンビのみだが、
「来る!?」
アニマルゾンビの咆哮!
大音量のハウリングに射すくめられてしまう二人。
「素早さをゼロに下げられちゃいました!」
素早さを下げるボミオスの呪文効果だ。
「回復させた後で良かったです。そうでなければ間に合わずにやられていたかも」
背筋を震わせる小悪魔だったが、
「大丈夫よ。ボミオスで素早さが下がっても、そのターンの行動順序に影響は無いの。効果は次のターンから出るようになっているから」
とパチュリー。
「そうでなければ安全策を取って、あなたに防御をさせて私が薬草で回復させているところよ」
そうすれば戦闘が長引くことにはなるが安全に回復をさせることができるのだから。
その上で、
「アニマルゾンビはヒットポイントが高いから、素早さが下がってもそんなに大きな影響は出ないし」
次のターン、二人がかりで攻撃するが倒しきれない。
つまり先制してもしなくても反撃を受ける真っ向からの殴り合いなら、大して違いはないということでもあった。
一方小悪魔は、
「素早さがゼロ、これ以上下がらなくなったんですから、ボミオスを無駄撃ちしてくれればいいのに」
ムチを振りつつ、ぼやくが、
「アニマルゾンビって頭がいいからそういう行動はしないわ。こちらがピオリムで素早さを上げたりするとまた使って来るといった具合に、相手の状態を見て行動を変える賢さがあるの」
「腐っているのに!?」
アニマルゾンビの判断力は2、これはモンスターにおける最大値である。
「止め!」
その次のターンで、アニマルゾンビを倒すことに成功する。
「か、勝てたんですね……」
「ええ、もうノアニールも目の前だし、念のため回復をしたら駆け込みましょう」
小悪魔にホイミで治療をさせたらノアニールの村に足を踏み入れる。
しかし、
「みなさん立ったまま寝ていますね」
村人の様子がおかしい。
「試しに起こしてみましょうか?」
小悪魔は女性に近づくと、その耳元にしっとりと濡れた声でささやきかける。
「おきて、ください。ねぇ、もう、ゆめのじかんはおわりですよ……」
ぴくん、と寝ているはずの女性の身体が反応した、ような気がした。
「そろそろ起きないと…… 目を覚まさないとダメだと、思います」
くすりと笑って、
「起きないと…… 大変なことになって、しまう。かも?」
その手が女性の胸元へ伸び……
「止めなさい」
背後から伸びた鎖付き分銅、チェーンクロスに巻き付かれ、止められる。
「凄い腕前ですね、パチュリー様」
感心する小悪魔にパチュリーは、
「それはレーベからずっと鎖鎌を使い続けていれば、このチェーンクロスだって無理なく扱えるようになるわよ」
と肩をすくめる。
そうして小悪魔に、
「その手で何をするつもりだったか、言え!」
とばかりに詰問すると……
「睡眠姦ってドキドキしますよね」
「はぁ?」
「無防備になった女性の身体を好き放題に調教する。意識は無いのに確かに身体に刻まれていく加虐。そうして心は無垢のまま、身体は取り返しのつかないマゾメスに……」
「止めなさい」
聞くのではなかったと、嘆息するパチュリー。
一方小悪魔は辺りを見回すと、
「と言うかこの村、よくこんな無防備でいられますよね? 睡眠姦プレイできるスポットとして有名になりそうなものですけど」
「あなたの言動を聞いていると、その危険性が本当に実感できるわね」
「褒められちゃいました」
「褒めてない」
そんなわけで、
「村の様子を探ってみましょう」
村中を見て回るついでに、力の種、革の腰巻き、満月草を手に入れた。
そして村外れの一軒の家に向かうと、その玄関にはようやく起きている村人の姿が。
離れているこの家だけが助かったらしい。
「どうかエルフたちに夢見るルビーをかえしてやってくだされ! 夢見るルビーをさがしてエルフにかえさなければ、この村にかけられた呪いがとけませぬのじゃ。エルフのかくれ里は西の洞くつのそば。森の中にあるそうじゃ」
と頼み込まれるが、
「今の私たちの強さではね……」
という話である。
「それじゃあ、ロマリアに帰って精算してみましょうか」
パチュリーはそう言うと、キメラの翼を使ってロマリアへ戻ることにする。
「今夜はカニ料理にしてもらうことにして」
倒した軍隊ガニを宿屋に卸すなどして金策をし、使ってしまったキメラの翼も補充。
それから今晩の分の宿代を差し引いた上で、それぞれの所持金を計算する。
前回の精算時の計算が、
小悪魔:-50G
パチュリー:157G(+未払い分50G=207G)
「それでここまでに戦い等で得た収入が135ゴールドで、一人当たり67ゴールドの配当だけど」
小悪魔:17G
パチュリー:274G
「はっきり言うわね。次はアッサラームに向かうけど、今回以上に厳しい戦いになるのは目に見えているわ」
「はい?」
「だからあなたの守備力向上は必須。革の盾はそのまま使ってもらって、新たに手に入れた革の腰巻もあなたに使ってもらうわ。革の盾の売値は67ゴールド、革の腰巻の売値は600ゴールドで、こちらは二人に所有権があるから、半額の300ゴールドを私に払えば自分の物にできる。あ、そうそう、あなたが使っていた旅人の服を52ゴールドで売り払えばその分は差し引けるわね」
小悪魔:-298G
パチュリー:291G(+未払い分298G=589G)
「あ、ああ…… こんなに借金がぁ……」
またもや借金を負うことになりがっくりと肩を落とす小悪魔。
あまりに酷いその様子に、パチュリーは、仕方が無いと息をついて、
「あとはノアニールで手に入れた力の種だけど、これは売値が180ゴールド。あなたに半額の90ゴールドを払って、私が使わせてもらうわね」
小悪魔:-208G
パチュリー:291G(+未払い分208G=499G)
焼け石に水ではあるが、しかしパチュリーは未だ放心状態の小悪魔の耳元にこうささやく。
「マッサージ、してくれるんでしょう?」
「ハイヨロコンデー!!」
即座に復活する小悪魔だった。
お金が無くて装備が買えずに足を引っ張る勇者などといった展開があり得そう、と思っていたら本当にそんな具合に。
パチュリー様が緊急回避的に自分の装備と交換して窮地を脱しましたが、ノアニールの次はアッサラーム。
今回以上に危険場所なんですけど、大丈夫なんでしょうかね?
最悪、死亡した小悪魔を棺桶に入れてパチュリー様単独でたどり着くということになるかも?
みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。
あ、次回はロマリアの宿で毎度おなじみ小悪魔によるセクハラマッサージから始まる予定です。
「どうです、パチュリー様、気持ちいいでしょう?」
(ダメ、相部屋になった母子が見てる、見られてるっ……)
という具合に。
悪魔に情けなんてかけるから……