こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
ロマリアの宿でカニのワイン蒸しを満喫した後……
またセーブを利用して力の種で力の能力値が最大の3ポイント上がるまで筋力強化と、その痛みを和らげる小悪魔のマッサージを受けるパチュリー。
「どうですパチュリー様、気持ちいいでしょう?」
(ダメ、相部屋になった母子が見てる、見られてるっ……)
両手を口に当て、漏れ出そうになる嬌声を必死にこらえるパチュリー。
その背に覆いかぶさりマッサージを続ける小悪魔は、真っ赤になっているパチュリーの耳元にこうささやく。
「見られることに興奮していらっしゃるんですね?」
ズクン、とパチュリーの身体の芯に衝撃にも似た何かが走った。
背筋がゾクゾクと震え、そして、
「今、イッちゃいました?」
笑う、小悪魔。
「ほら、何とか言ってくださいパチュリー様!」
そう言いながら、指先をパチュリーの身体のツボにぐりりとねじり込み、
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ!」
その口から悲鳴を搾り取る。
そこに、
「あらっ?」
小悪魔を止める小さな手。
「勇者様、お姉ちゃんをいじめたらダメだよ」
と、相部屋になった子供。
彼を抱きしめて動きを止めていた母親は、パチュリーの痴態にあてられたのか放心状態で。
(こちらはこちらで見ているだけで、ですか。しかも幼い自分の息子を抱きしめながら、ですね)
背徳的に過ぎる淫らなシチュエーションに内心、にんまりと笑いながら、しかしそれをおくびにも出さず、小悪魔は優しいお姉さんの笑みを浮かべて男の子に説明する。
「いじめてなんかいないですよ、ほら」
小悪魔は先ほどから隠しているパチュリーの顔をぐいと上げさせ、
「あうっ!」
「こんなに気持ちよさそうにしているでしょう?」
そんなわけ無いでしょう、と反論しようとしたパチュリーは、
「う、うん……」
と分からないなりにオスの本能が感じているのか顔を真っ赤にした少年にそれを肯定され、羞恥の極みに落とされる。
「ふふふっ、パチュリー様、どうです? 思春期も迎えていない男の子にエッチな本性を暴かれ、見られてしまうというのは? 興奮しますよね? 気持ちいいですよね?」
「やめ、なさい……」
これ以上は悪ふざけが過ぎる、と主従契約に基づく強制力で小悪魔を拘束しようとするが、
「気付いていないんですか、パチュリー様。今回は力が1ポイントしか上がってませんよね?」
そう言われて気付く。
力の種による筋力アップが定着し終わっていることに。
「つまり、やり直すんですよね? リセットで全部無かったことにされるんですよね?」
(無かった、ことに……?)
パチュリーは脳内麻薬でハイになっている頭脳でぼんやりと考える。
背筋を走る悪寒、それに気付いてはいけないという警告を同時に感じながら。
そうして小悪魔は主人の耳へと致命的な媚毒を流し込む。
「どうせ無かったことになるのですから、ここは存分に楽しまれた方がいいですよね?」
「ぁ…… ぅ……」
「現実でのように体裁を気にすることなく、思いのまま貪って……
ほら、想像できるでしょう?
今、ここでならパチュリー様は望むまま、欲しいだけ、好きなだけ楽しめるんですよ」
そうしてパチュリーは震える声で……
悪魔に身体を預けるというのはこういうことです!
とばかりに弄ばれてしまったパチュリー。
「悪魔に情けなんてかけるんじゃなかったわ……」
げんなりしながら起床し、出発の準備をする。
そして、
「パチュリー様、この革の腰巻、本当に女性でも着られる防具なんですかぁ?」
と全裸に腰巻だけ、トップレスで現れる小悪魔に吹き出しそうになる。
「何て格好をしているの、普段着の上に巻くものよ、それ」
アマゾネスじゃないんだからという話。
元々ドラクエ5のパパスの一張羅だったそれをドラクエ3のリメイク作を作る際に取り入れたものだが、そのパパスだってズボン、胸当て、肩当てを身に着けた上から巻いているのだし。
そういうわけで勇者の普段着、つまり橙色の全身タイツの上に腰巻を巻く小悪魔。
ドラクエ3で全身タイツというと僧侶が思い浮かぶが、実は勇者も服の下に身に着けているのだった。
しかし、
「全身タイツに革の腰巻っていうのも……」
かなりちぐはぐな格好。
勇者のタイツは僧侶のものに似ているが、あれより色味が薄くより肌色に近いものだったりするので。
「なるほど、ドラクエ6では『かっこよさ』が20も下がってしまうもの。ハッサンのかっこよさの初期値が0である元凶だものね……」
などと感心するパチュリー。
とはいえ他のシリーズ作品と違って守備力が倍の24もあって、カザーブで買える鉄の鎧ともわずか1ポイント差しかない優秀な防具である。
小悪魔の命を守るには絶対に必要な装備だった。
そして二人は一路アッサラームへと。
途中、例によってアルミラージとキャタピラーに遭遇し蹴散らす。
「ああ、本当にパチュリー様が強くなってます」
小悪魔の攻撃ダメージが十数ポイントなら、パチュリーの攻撃は20ポイントを超える。
「昨晩、力の種も使ったし」
「そ、それもありました……」
セクハラに勤しんだおかげでそこを忘れている小悪魔だった。
そしてパチュリーは橋を渡る前にその辺りをウロウロしてモンスターとの遭遇を待つ。
「パチュリー様?」
「この橋の少し手前が、アッサラームのモンスターが出る境目なのよ。だからここでロマリア周辺に出るモンスターに遭遇しておけば」
「アッサラーム周辺の強力なモンスターと出合う回数を減らすことができる?」
「ええ、上手く行けば1回だけしか出合わずアッサラームにたどり着けるわ」
ということで現れたのは、
「キャタピラーと魔法使いです! 確かにここはまだロマリア周辺のモンスターが出る位置ですね」
これもまたサクっと倒し、
「ヒットポイントをフル回復させておいて」
「はい、ホイミですね」
ヒットポイントを満タンにした上で橋を渡る二人。
そうして南下していくとアッサラームの街が見えてくるが、
「バンパイアとキャットフライです!」
とうとうモンスターと遭遇。
「良かった、まだマシな方で」
幸い相手は一体ずつだし、何とかなる範疇だ。
まぁ、パチュリーも小悪魔もグループ攻撃武器なのだから、欲を言えば1種類、1グループのみで出てくれるのが理想なのだが贅沢は言えない。
「バンパイアのヒャドが怖いから、先に沈めるわよ」
「はい」
攻撃を仕掛ける二人だったが、二人がかりでも倒しきれず手痛い反撃を食らう。
「バンパイアが昼間から青空を飛び回って…… 不謹慎ですよっ、あなた!!」
と小悪魔が言うとおり、
「ファミコン版では夜しか出なかったんだけど、スーパーファミコン版以降のリメイク作だと昼間でも出るようになっているのよねぇ……」
特にスーパーファミコン版では青空をバックにギュンギュン飛び回るため、違和感が酷いものになっていた。
「こうなったらニフラムで光にな……」
「バンパイアは二フラムに完全耐性だから!」
邪悪な魂を聖なる力で光の彼方へと消し去る退魔の呪文、ニフラムを使おうとする小悪魔を止めるパチュリー。
「昼間から出るだけあって効かないのよ、こいつ。こんなのでも高位の吸血鬼なのかしらね?」
「こんなのがレミリアお嬢様と一緒ですか!?」
パチュリーたちが住んでいる紅魔館の主、レミリア・スカーレットは十字架など効かない高位の吸血鬼である。
そんなわけで真っ正面から殴り合うしかない。
幸いバンパイアの氷結呪文ヒャドの使用率は半分以下の3/8。
しかし、
「くっ、守備力を高めてもらっていなかったら死んでますよ、コレ!」
物理の攻撃力もさまようよろい以上。
一緒に出たキャットフライの攻撃力も似たようなものであり、ヒットポイントの低い小悪魔は、パチュリーに借金をして防具を揃えていなかったら確実に死んでいたところだった。
「次のターンで薬草を使って自分を回復させなさい!」
「は、はい!」
ホイミではなく、薬草。
何故パチュリーがそう指示したのかというと、
「マホトーン!?」
素早いキャットフライは先制して魔法を封じるマホトーンの呪文を唱えて来たのだ!
幸い二人とも効かずに済んだのだが、
「危ないところでした」
薬草で自分のヒットポイントを回復させながら冷や汗をかく小悪魔。
「回復にホイミを選んでいて、もしマホトーンで呪文を封じられていたら……」
そう、その可能性を考えてパチュリーは最初から薬草で回復するよう指示したのだ。
そして、
「これでとどめよ!」
パチュリーのチェーンクロスがバンパイアのヒットポイントを削り切る。
後はキャットフライだが、
「ぐっ!」
通常より多く羽ばたくと急降下爆撃のような渾身の攻撃、つまり痛恨の一撃を放ってくる。
幸い不発だったが、その場合でも受ける通常ダメージもまたシャレにならない強さだ。
「こっちは魔法に頼っていないんですから、マホトーンを唱えてくれればいいのに」
ぼやく小悪魔だったが、
「キャットフライはマジックパワーが低いから、マホトーンは一回しか唱えられないのよ」
一見、それは弱さにつながるように思えるがそうではない。
マホトーンを無駄撃ちせずに即座に物理攻撃に切り替えて来るというのは思い切りが良く脅威である。
キャットフライの行動パターンはマホトーン(200/256)、通常攻撃(26/256)、逃げる(14/256)、痛恨の一撃(12/256)、防御(4/256)。
かなりの高確率で、まずは素早さを生かした先制マホトーンで魔法を封じる手に出るが、問題はその後。
マホトーンを選べなくなった分、痛恨の一撃を選択する確率が一気に上がるのだ。
こちらが低レベルだと逃げるという行動を選ばないこともあり、痛恨の一撃を選ぶ確率は実に12/42、3割近くにもなる。
これはこの周辺で最も脅威とされるあばれざる以上であり、それどころか決められたローテーションで行動をするモンスターを除けば単独トップの数値である。
「私はともかく、あなたが守備力無視の痛恨攻撃を受けたら一撃死しかねないわ」
「ええええっ!?」
だからさっさと倒したいが、
「このモンスター、妙にしぶとくありませんか?」
「見かけによらず守備力が高くて、さまようよろい並みに硬いのよ!」
「ええっ!?」
「最大ヒットポイントもファミコン版の35ポイントから、40ポイントに地味に増えているしね」
もうここから先は、小悪魔が痛恨を食らうのが先か、キャットフライのヒットポイントを削り切るのが先かという勝負。
そして……
「か、勝ちました……」
ようやく倒しきる。
「ぬいぐるみはさすがに手に入らなかったわね」
キャットフライは1/256の確率でぬいぐるみを落とす。
これはネコの着ぐるみだが、鋼の鎧以上の守備力を持つ防具である上、全職業で装備可能という破格の代物である。
一方、
「レベルが上がりました!」
小悪魔はレベルアップ。
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル
性別:おんな
レベル:7
ちから:29
すばやさ:28
たいりょく:20
かしこさ:17
うんのよさ:14
最大HP:39
最大MP:33
こうげき力:47
しゅび力:55
ぶき:とげのむち
よろい:かわのこしまき
たて:かわのたて
かぶと:けがわのフード
そうしょくひん:ガーターベルト
「だいぶ攻撃力が上がりましたが、それでもパチュリー様に負けてます。それにヒットポイントが相変わらず低い……」
嘆く小悪魔だが、しかし彼女はヒットポイントが低いわけでは無い。
パチュリーと比べるからそう感じるのであって普通以上にあるし、通常なら逆に他のメンバーのヒットポイントの低さを気にしているような状況なのだが……
「とにかく、治療したらアッサラームに駆け込むわよ」
これ以上のエンカウントは無いとは思うが、念のため治療しヒットポイントを満タンにして、アッサラームの街へと向かうのだった。
相変わらずの小悪魔によるセクハラから始まるこのお話。
まぁ、マッサージなんですけどね!
そしてアッサラームへ。
この周辺で出るモンスターは恐ろしく強いんですよね。
低レベルで進む場合、薬草を大量に持って逃げては治療し、逃げては治療し、まぁ、一人や二人死んでも教会で生き返らせればいいや、という感じで駆け込むのが普通なんですけどね。
みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。