こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
「止めてー! パチュリー様ーっ!」
小悪魔は改造勇者である。
彼女を改造したのはパチュリーである。
世界平和を守るため、小悪魔は悪の魔王と戦うのだ!
という具合に危うくなりかけた小悪魔だったが、泣いて謝って何とか許してもらっていた。
「でも打撃力不足に陥った時に使うため、諸刃の剣は渡しておくわね」
「えぇー……」
「特に魔王バラモスは1ターンごとにヒットポイントが100自動回復するわ。つまりそれ以上のダメージを与え続けない限り、いつまで経っても倒せないのよ」
という話である。
「それでここまでの収入の整理だけれど」
あなほりで得た収入の精算だ。
前回精算時の所持金は、
小悪魔:447G
パチュリー:15149G
そしてカザーブの東の端で行ったあなほりで得られたものは、
諸刃の剣×7
消え去り草×6
力の種×5
命の石×1
所持金の半分のゴールド×2
力の種は昨晩すべて使用済み。
諸刃の剣はすべてプール。
あとは、
「一つだけ手に入った命の石はザキやザラキ、メガンテなど死の呪文を受けて即死しそうになった時、身代わりに砕けてくれることで1度だけ命を助けてくれるもの」
だから運が低く呪文の効果を受けやすいパチュリーが持つことにする。
「それから消え去り草だけど、これはイベントアイテムで1つあれば十分だから、残り5つを一つ225ゴールドで売って、1125ゴールドの収入ね」
これは問題ない。
「まぁ、残った一つはパーティ全体のために使う経費。つまり半額の112ゴールドをあなたに払ってもらうことになるんだけどね」
「ひぃ!」
「買値の半額ではないだけ、あなたも得をしているのよ。良心的よね」
それから所持金の半分のゴールドを2回拾っているので最終的には、
小悪魔:335G
パチュリー:35929G
ということになる。
「こ、この貧富の差は一体……」
絶句する小悪魔。
さらに言えば、二人のステータスは、
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:ごうけつ
性別:おんな
レベル:12
ちから:62
すばやさ:24
たいりょく:67
かしこさ:16
うんのよさ:11
最大HP:132
最大MP:31
こうげき力:115/104/101
しゅび力:82/72
ぶき:てつのオノ/チェーンクロス/やいばのブーメラン
よろい:ぬいぐるみ/マジカルスカート
たて:まほうのたて
かぶと:けがわのフード
そうしょくひん:ごうけつのうでわ
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル
性別:おんな
レベル:10
ちから:37
すばやさ:78
たいりょく:25
かしこさ:22
うんのよさ:16
最大HP:48
最大MP:44
こうげき力:77(152)
しゅび力:112/105
ぶき:はがねのむち(もろはのつるぎ)
よろい:はがねのよろい/マジカルスカート
たて:まほうのたて
かぶと:てつかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ
「な、何ですかこれ」
「あなほりで拾った力の種5個が効いているわね」
3×5=15ポイント。
これは豪傑の腕輪の攻撃力上昇と同じだけの効果を発揮する。
30分穴を掘っただけで豪傑の腕輪が拾える、と言っても良いものだ。
しかもこれは、それ以外の物を掘るついでに得られたものである。
また、中断の書によるカウントリセットを利用したものだから、街やダンジョンへの出入り、階段の昇り降りでリセットした場合ではもっと短期間で集められるはずでもあるし。
商人のあなほりは規格外。
道理でMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)の『ドラゴンクエストX オンライン』に商人もあなほりの特技も登場しないわけである。
「勇者なのに…… これじゃあ本当に諸刃の剣を使わないと立場が無いって話に……」
そういうことだった。
「それじゃあ、カンダタ1回目を倒しにシャンパーニの塔へ向かいましょう」
小悪魔のルーラでカザーブの村に跳んだら、西へと向かう。
「大丈夫、諸刃の剣ならカンダタ子分は1発で。カンダタも数発で沈むわ」
「全然大丈夫じゃありませんよ! そんなに私に諸刃の剣を使わせたいんですか!?」
恐怖に震える小悪魔だった。
「腐った犬さんです!」
途中、アニマルゾンビと遭遇する。
「call me queen!!(女王様とお呼びっ!!)」
小悪魔の鋼のムチが唸り、アニマルゾンビを打ち据える!
しかし、
「一匹も倒せない!? レベルアップで攻撃力も上がっているのに!」
「なら!」
同様にパチュリーがチェーンクロスを振るう。
「なっ!」
自分とは比べ物にならないほど強力なダメージに小悪魔は驚く。
「こっ、これが攻撃力3ケタの力!」
これによりアニマルゾンビが3匹まで倒される。
残った1匹が小悪魔を攻撃するが、ミス!
ダメージを与えられない!
次のターン、小悪魔の先制で最後の一匹も倒され、二人はまったくの無傷で戦闘を終えるのだった。
そして草原に出て橋を越え歩いて行くと、
「モンスターの群れです!」
軍隊ガニに人面蝶、キラービー、それぞれが一匹ずつという組み合わせ。
小悪魔は軍隊ガニを叩くが、
「ぐっ、固い!」
相手はカニ型モンスターとはいえ最下級。
だが、こちらは装備を整えているのだから一撃で、と意気込んだものの倒しきれず。
しかし、
「ならこれで!」
と放たれたパチュリーの刃のブーメランが、敵を全滅させる!
「……勇者なのに全然いいところがありません」
凹む小悪魔を連れ、シャンパーニの塔に無事到着。
試しにあなほりを5回だけやってみるパチュリーだったが、
「満月草を手に入れたわ!」
あっさりとマヒを治療する満月草を入手。
これはキラービーを倒すと入手できるドロップアイテムだが、入手確率が1/8と非常に高いため、あなほりでも手に入れやすいわけである。
「まぁ、マヒには気を付けましょうということね」
実際、塔の中を進んでいくと、キラービーの群れに遭遇する。
キラービー4匹にコウモリ男1体という構成。
「マヒしたくないからキラービーから攻撃して!」
「はい!」
と答える小悪魔だったが、
「やっ!」
と今回はパチュリーが刃のブーメランを繰り出す方が早かった。
あっという間にキラービー3体を倒し、残りにも大ダメージを与えて行く。
「なら止めです!」
小悪魔の鋼のムチが残ったキラービーに止めを刺す。
コウモリ男がパチュリーに反撃するが、
「2ポイントのダメージ? やっぱりあなほりでぬいぐるみを拾ったのが効いているのかしらね?」
次のターン、小悪魔が鋼のムチを振るいコウモリ男を倒して戦闘を終わらせる。
「とても簡単ですね?」
「公式ガイドブックの推奨する到達レベルは13。もちろん4人パーティでの話なのだけれど」
「私、レベル10ですよ。成長の早い商人のパチュリー様はレベル12ですけど……」
とはいえ、実際歯ごたえが無い。
「……まぁ、装備を整えたらこんなものなのかしらね?」
ということらしかった。
次いでキラービーと軍隊ガニ1匹ずつが現れるが、
「今度は倒せました!」
小悪魔は一撃で軍隊ガニを撃破。
そうしてパチュリーの刃のブーメランが残りのキラービーを倒し決着。
その先には、
「宝箱ね」
「お金が入ってました!」
宝箱から430ゴールドを入手。
あとは階段を目指すが、
「カニさんがいっぱいです!」
「今日の夕食はこれで決まりね」
小悪魔の鋼のムチが打ち据えるが、今度は一匹も倒しきれず。
軍隊ガニの反撃!
しかし、
「効きませんね?」
小悪魔もパチュリーも、攻撃を受けてもミスで終わるか当たっても1ポイントしかダメージを受けないという。
「これで終わりよ」
そしてパチュリーのチェーンクロスが薙ぎ払い、群れを全滅させる。
階段に着いたので、二階へと上がる。
「フロアが切り替わったからあなほりをしてみましょうか」
とパチュリーは穴を掘るが、
「また満月草?」
ドロップ確率1/8は伊達では無いらしく、5回掘っただけで出てくる。
そして2階を進むわけだが、
「ギズモさんです!」
バハラタへ向かう途中で出てきたヒートギズモの下位種、ただのギズモだ。
「メラの使い手なんだけれど、2匹なら呪文を封じるまでもなく倒した方が早いわね」
「はい、call me queen!!(女王様とお呼びっ!!)」
ということで小悪魔の鋼のムチが光って唸り、さくっと倒しきる。
「このギズモが呪文使いだから、後でヒートギズモに出会った時に魔封じの杖やマホトーンで呪文を封じようとして失敗する冒険者も多いという話よ」
ヒートギズモが使うのは火の息であって呪文ではないのだから無駄に終わるのだ。
そして階段に到着し3階へ。
あなほりをするが、
「さすがに今回は何も出なかったわね」
という結果に終わる。
さらに上への階段には直行せず、遠回りして宝箱を回収するが、
「青銅の盾ですね」
「まぁ、今なら売り払って終了ね」
換金アイテムにしかならない。
今のパチュリーなら、
「無視しても良いものだけれど……」
「お金、大事です」
「ああ、あなたには必要ね」
金欠の小悪魔のためには寄り道してでも回収せざるを得ない。
そして次の階への階段を目指し引き返す二人の前に現れたのは、
「お化けキノコと毒イモムシさんです!?」
「甘く見ないで。お化けキノコは甘い息でこちらを眠らせてくるわ。魔封じの杖で封じることができない分、これまで戦ってきた最上位種のマージマタンゴより厄介な相手よ」
毒イモムシは毒の息でパーティ全体に毒を負わせようとするモンスターだし、これはいやらしい組み合わせだ。
ゆえに、
「倒しました!」
星降る腕輪で素早さを倍にしてある小悪魔の先制攻撃でお化けキノコを倒す。
毒イモムシからは反撃を受けるが、物理攻撃なら今の二人には1ポイントのダメージで済む。
そしてパチュリーの刃のブーメランが毒イモムシを一撃で葬った。
倒したモンスターを解体するが、
「そう言えばキノコ型モンスターって何の役に立つんでしょうね? 魔法薬の素材?」
「焼くとパンのように食べられるって話よ」
「ええっ!?」
パンノキと呼ばれる植物があるが、それのキノコ版である。
「普通のキノコと同様、食べられる種類とそうでないものがあるから注意が必要なのだけれど」
食べられない種類は普通に毒なのだ。
さらに、
「今度はお化けキノコさんの群れです!」
お化けキノコが二匹で登場。
じゅるり……
垂れそうになるよだれをこらえる小悪魔。
食べられると分かったとたんにこれである。
鋼のムチで全滅させ、解体。
そしてこの階へと昇ってきた階段のところまで戻り、ついでに昇り降りしてエンカウントまでの歩数をリセットする。
また5回だけ、あなほりをするが、
「毒消し草が手に入ったわね」
これは毒イモムシが1/8の確率でドロップするアイテム。
さらには、
「スタミナの種も手に入ったわ」
たった5回のチャレンジで入手できるとは運が良かった。
これはギズモが1/128の確率でドロップするアイテムなのだ。
「それじゃあ、この場で使ってしまいましょうか」
「ええっ、ここでですか?」
「カンダタを倒したら確実にレベルアップするでしょうからその前にね」
というわけでパチュリーはスタミナの種を使用するが、
「くひぃっ!」
種の副作用による筋肉痛を凝縮させたような痛みと、その痛みを和らげるための小悪魔のマッサージにより鳴かされるパチュリー。
最高の3ポイント上昇を達成するまで続くセーブ&ロード。
繰り返される苦痛と、その裏返しの快楽。
使い魔である小悪魔に組み伏せられ、散々に嬌声を搾り取られるパチュリーだったが……
「こんな場所で自ら痴態をさらけ出すことを選ぶなんて、パチュリー様には屋外プレイへの願望があったんですね?」
「なっ……」
「分かります。真面目でプライドが高いパチュリー様だからこそ、日々の生活で蓄積していくストレス。それを開放する、本当の自分をさらけ出す行為で得られる、背徳感にまみれた快楽……」
小悪魔のとんでもない言いがかりに反論しようとするパチュリーだったが、
「ああああっ!?」
ぐりりと身体のツボにねじ込まれる指先に、言葉を封じられてしまう。
「ふふふ、いいお顔ですよ、パチュリー様」
痛みとない交ぜになった快楽。
舌を突き出して喘ぐパチュリーの顔を覗き込み、小悪魔は深く笑うのだった……
「いい加減にしないとチェンジするわよ。世界には『赤ちゃんはキャベツ畑で生まれて来る』とか『コウノトリが運んで来るもの』とか信じている純真な小悪魔も居るって話だし」
「お許しを、お許しを~」
ぷりぷりと怒りながらずんずんと先に進むパチュリーと、それに泣いてすがって許しを請う小悪魔。
そんな主従の前に立ちふさがったのは、
「四種混合モンスターパーティですか!?」
と小悪魔が叫んだとおり。
コウモリ男に毒イモムシ、ギズモにお化けキノコ、それぞれ1体ずつといういやらしいモンスターパーティだった。
「とにかく眠らせられないよう、お化けキノコを先に沈めて」
「はい」
小悪魔は即座にお化けキノコを潰す。
しかし次の瞬間、毒イモムシは毒の息を吐いた!
だが!
「くっ!」
パチュリーと小悪魔は毒を跳ね返した!
「何とか耐えきったわね」
パチュリーが放った刃のブーメランが残りのモンスターの群れをなぎ倒し、戦いは終了する。
そして階段を昇って、あなほり。
「また毒消し草ね」
何というか異様に高い拾得率である。
そして、
「コウモリ男とお化けキノコさんです!」
モンスターに遭遇。
一匹ずつだったのでサクっと倒し、次の階段へ到着。
それを上がると盗賊たちのアジト。
なお、試しに5回だけあなほりをしてみると、
「毒消し草が得られたわ」
「つまり?」
「このシャンパーニの塔3F~4Fの出現モンスターと同じリストが参照されているようね」
そういうことらしかった。
実際、この5階では歩き回ると普通にモンスターとエンカウントする。
ファミコン版では5、6階はエンカウント無しとされていたのだが…… スーパーファミコン版以降のリメイクでは、エンカウント無しは6階だけになっている模様。
そして盗賊たちのアジトへ踏み込む二人だったが、
「おいっ! 変な奴らがきたぞ!」
「モヒカンに言われたくないわね」
カンダタ子分たちの言いようにぼやくパチュリー。
しかし、
「いえ、猫の恰好をしたパチュリー様が居る時点で否定できないと思いますが……」
と小悪魔がツッコむように、彼女は自分がネコの着ぐるみを着ていることを忘れている……
「よしっ! お頭に知らせに行こう!」
階段を上がって行くモヒカンたちを、パチュリーは追う。
遅れてそれに続く小悪魔だったが、階段を上がったところで立ち尽くしている主に、どうしたのかと名を呼びかける途中で、
「パチュリー、ウッ!」
と絶句する……
そう、その場で待ち受けていたのは「俺を見てくれーっ!」とばかりに覆面マントに、ぴっちりと張ったビキニパンツだけを身に付けた筋肉男、カンダタだったのだ!
「変態だー!!!!」
である。
(変態!! 変態!! 変態!! 変態!!)
混乱する小悪魔は、
「なんで裸の男の人なんですか!? なんで!?」
とパチュリーに聞くが、そんなことパチュリーにだって分からない。
まぁ、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)には、下着同然のブラやミニスカート系の防具しか着れないアマゾネスは、そのセックスアピールが効く男性人型の敵に対してイニシアチブを取ることが、先に攻撃できるとしたルールを課しているものもあったが。
男女逆でもそういう効果が有り得るのだろうか……?
ともあれ、
「あれを相手にするんですかぁ、パチュリー様ぁ」
泣いて縋りつく小悪魔に、
「励みなさい、勇者なんだから」
と冷たく言い捨てるパチュリー。
そもそも勇者父も同じ覆面パンツ男だろうに……
「よくここまで来られたな。褒めてやるぜ! だが、俺様を捕まえることは誰にも出来ん。さらばだ! わっははは!」
胸を反らせて突き出し、笑いに合わせて鍛え上げられた大胸筋をぴくぴくと見せつけるように動かすカンダタ!
上下する筋肉!
そして乳首……
あまりの気持ち悪さに二人が固まってしまったところで、落とし穴で階下に落とされてしまう。
そうして嫌々ながらカンダタを追いかけると、
「しつこい奴らめ! やっつけてやる!」
「覆面パンツ男に、しつこい奴呼ばわりされました!」
顔を引きつらせ、ショックを受ける小悪魔。
「こっちも好きで変態マスクを追いかけてるわけじゃないんですよっ!!」
と叫ぶ。
そのやり取りにパチュリーは、
「カンダタが捕まらないのって、こうなるのが嫌で誰も追いかけたりしないからだったり?」
そう、つぶやくが。
ともあれ、カンダタとその子分三人との戦闘である。
面倒なのは子分たちが1グループではなく、散開戦術を取っていて一人一人別になっていること。
つまり、
「call me queen!!(女王様とお呼びっ!!)」
小悪魔の鋼のムチが唸りカンダタ子分を打ち据えるが、このような敵1グループを攻撃する手段を用いても、一度に一人にしか攻撃できないということだった。
一方、カンダタ子分がパチュリーに反撃するが、ミス、パチュリーにダメージを与えられない!
そして、
「これなら!」
例え敵が散開戦術を取って1体ずつバラバラに襲って来ようとも、敵全体を薙ぎ払うパチュリーの刃のブーメランなら問題ない。
これで小悪魔がダメージを与えていたカンダタ子分1体を倒しきる。
あとはカンダタたちの反撃だが、子分たちは数ポイントのダメージしか出せないし、カンダタの攻撃も守備力の低いパチュリーが受けても15ポイント以下のダメージ。
そして次のターンには子分たちが全滅する。
「簡単ですね?」
「油断しないで。カンダタは守備力無視の貫通攻撃、痛恨の一撃を放ってくるわ。私ならともかく、あなたが受けたら一撃で終わりよ」
小悪魔に注意しながら、パチュリーは武器を単体攻撃武器だが手持ちの中では一番攻撃力が高い鉄の斧に切り替えて攻撃。
一方カンダタは全身の筋肉を見せ付けるかのように手に持った斧をゆっくりと振り上げ、渾身の力を込めた痛恨攻撃をしてくる。
パンパンに張った、脈動する肉体!
カンダタの動きに合わせ、その筋肉をしたたる汗が、無駄に輝きながら辺りに飛び散る!
「いっやーっ!」
衝動のままに鋼のムチを振るう小悪魔。
しかし、彼女は気付いてしまった。
ムチでぶたれたカンダタの、覆面からのぞく目が恍惚に輝いていることを!
さらには、もっとだ、もっとぶって来い、とばかりに一人になったら意味が無い、無駄であるはずの防御、身を守るという行動で、自らの鍛え上げた肉体にあえて小悪魔のムチを受けて見せるカンダタ!
「ひぃっ!」
怯える小悪魔に、筋肉の壁が迫る!
……プツン!!
き…… 切れた。
小悪魔の頭の中で、何かが切れた……
決定的な何かが……!
「はぁ……」
プッツンしてカンダタとシバキ合う小悪魔に、ため息をつくパチュリー。
小悪魔は守備力を高めているので一桁しかダメージを受けないが、それでも何発も受けるとさすがにヒットポイントが削られていく……
しかしパチュリーは考えるのをやめた。
「治療はしなくていいわ。どうせこの子はフルに回復させても痛恨の一撃を受けたら終わりなんだし」
カンダタが何を策していようと……
どんな攻撃をしてこようと……
もらった『小悪魔が痛恨の一撃を受けて倒されるまで』という時間だけ、攻撃をブチかますだけなのだ。
ということで攻撃を続け、
「止め!」
無事カンダタを倒す。
二人で倒したため、それぞれ1220ポイントもの経験値が得られる。
当然、
「レベルアップしたわね、二人とも」
ということに。
二人のステータスは、
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:ごうけつ
性別:おんな
レベル:13
ちから:65
すばやさ:25
たいりょく:73
かしこさ:17
うんのよさ:13
最大HP:146
最大MP:34
こうげき力:118/107/104
しゅび力:82/72
ぶき:てつのオノ/チェーンクロス/やいばのブーメラン
よろい:ぬいぐるみ/マジカルスカート
たて:まほうのたて
かぶと:けがわのフード
そうしょくひん:ごうけつのうでわ
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル
性別:おんな
レベル:11
ちから:38
すばやさ:80
たいりょく:26
かしこさ:23
うんのよさ:17
最大HP:52
最大MP:46
こうげき力:78(153)
しゅび力:113/106
ぶき:はがねのむち(もろはのつるぎ)
よろい:はがねのよろい/マジカルスカート
たて:まほうのたて
かぶと:てつかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ
「ようやくヒットポイントが50を超えましたけど……」
と小悪魔。
しかしパチュリーのヒットポイントはそれ以上に上がっている。
「しかも能力値がすべて1ポイントしか増えないってどうなってるんですか!? 攻撃力も置いて行かれてますよ!! 私、本当に勇者なんですよね?」
ということだった。
一方、裸に覆面パンツ、あとはグローブとブーツのみという筋肉男……
全身に小悪魔によるムチの跡を刻まれ、激しい戦闘により汗まみれになり、力尽きてはぁはぁ喘いでいるカンダタが、
「まいった! 金の冠を返すから、許してくれよ。な! な!」
そう、命乞いをする。
まぁこれで「くっ、殺せ!」とか言われたら、思わず本当に殺してしまいそうになるくらいヒドイ絵面であり、これ以上関わり合いたくないとばかりに許してやると、
「ありがてえ! あんたのことはわすれないよ。じゃあな!」
と礼を言って去って行った。
「どこまで本気で言ってるのか分からないんですけど……」
「確かに。あれは、どう見ても懲りないようなタイプよね。……あなたと同じで」
じろりと小悪魔をにらむパチュリー。
「で、この冠って、何でしたっけ?」
と誤魔化す小悪魔にため息をついて説明する。
「ロマリアの王様から取り戻すよう頼まれていたでしょう」
小悪魔は瞬きをしてしばらく考え込んだ後、
「ああ、あれですか」
とようやく思い出す。
「まぁ、持ち逃げするという選択肢もあるのだけれど、ファミコン版と違って防具には困っていないしね」
とパチュリー。
金の冠の守備力は6で武闘家を除くすべての職業で装備できる。
ファミコン版ではモンスターのドロップでしか手に入らない不思議な帽子か、呪われている般若の面を除けば魔法使い最強の兜だったので、返さないプレイヤーも多かった。
だが、スーパーファミコン版以降のリメイク作では頭の防具も充実しているので返しても問題は無い。
「それじゃあ、こぁ」
「はい?」
パチュリーは小悪魔を塔から突き落とす。
「ひあぁぁぁぁぁっ!?」
不意を突かれた小悪魔は、
「デビルウィーング!」
慌てて背に悪魔の翼を広げ、
「楽ねぇ」
と自分にぶら下がるパチュリーを支えながら軟着陸。
「い、いくら私が飛べるからって、いきなりは止めてください。心臓に悪過ぎます」
そう抗議する小悪魔だったが、パチュリーは取り合わず、
「いいからルーラでロマリアに跳んで」
と命令。
「はぁ、もう」
小悪魔はため息をつきつつもルーラを使う。
そうして二人はロマリアへ。
カンダタ1回目撃破!
ちょっと強くなりすぎたのか、楽勝でしたが。
まぁ、それでもカンダタの痛恨食らったら小悪魔はヒットポイントフルでも即死しているところなんですけどね。
次回はロマリア国王の『王妃寝取らせプレイ』に巻き込まれる小悪魔をお届けする予定です。
ロマリア王、業が深すぎ……
ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。