こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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人さらいのアジトへ

「次はカンダタと二回目の戦いをして、さっさと船を得たいのだけれど」

「連戦ですか!?」

「1回目が考えていたより歯ごたえが無かったしね。まぁ、まずは収入を整理しましょう」

 

 モンスターから剥ぎ取った素材や青銅の盾を売って清算する。

 前回精算時の所持金は、

 

小悪魔:335G

パチュリー:35929G

 

「それでここまでの戦いで得た収入が1158ゴールドで、一人当たり579ゴールドの配当だけど」

 

小悪魔:914G

パチュリー:36508G

 

「あなほりについては私個人の収入という取り決めだったわね。シャンパーニの塔で得られたのは満月草が2つと毒消し草が3つ。共用の消耗品だから、売値の半額をあなたに払ってもらうことになるわ」

「あ……」

 

 買値の半額ではないだけ、小悪魔も得をしているのだが。

 満月草の売値の半額、11ゴールドを2個分、毒消し草売値の半額、3ゴールドを3個分、合計31ゴールドを小悪魔から受け取って、最終的な所持金は、

 

小悪魔:883G

パチュリー:36539G

 

 ということに。

 

「うう、でも借金が、借金が無いだけ……」

「こぁ、船が手に入ったらあなたにはまず、5800ゴールドの魔法の鎧を買ってもらわないといけないわ」

「うぐっ!?」

「兜はオルテガの兜がタダで手に入るにしても、サマンオサまで行ったら9800ゴールドのゾンビキラー、3500ゴールドのドラゴンシールドを買わないといけないし」

「あ…… ああ……」

「あと、現状、私の方が攻撃力が高くなっているからには、雷の杖はあなたに回すから、その売値の半額、937ゴールドを私に払う必要があるし、メタルスライムでレベル上げをする際に必要な使いきりのアイテム、毒蛾の粉の代金はもちろん半額を出してもらわないといけないし」

「うぐ……」

 

 がっくりと膝をつく小悪魔だった。

 

 

 

「さぁ、行くわよ」

 

 小悪魔のルーラでバハラタに跳び、そこから人さらいのアジト、バハラタ東の洞窟を目指す。

 途中、橋を越えたところでハンターフライとデスジャッカルが現れるが、

 

「邪魔!」

 

 無傷で蹴散らす。

 さらに森に入り、デスジャッカル4匹の群れに遭遇。

 

「長引くと面倒だから、マヌーサを封じて」

「はい!」

 

 小悪魔は魔封じの杖を振りかざした!

 あやしい霧が敵を包みこむ!

 

 これでデスジャッカル4匹の内、3匹の呪文が封じられた。

 しかし残った一体が豪快なハウリングで吠え掛かる。

 

「くっ」

 

 デスジャッカルの咆哮は、恐怖による幻覚を与える。

 こちらからの攻撃の半分を外すようにしてしまうマヌーサの効果を持つもの。

 これにパチュリーと小悪魔、二人とも影響を受けてしまう。

 

「運が悪かったわね……」

 

 小悪魔の行動が完全に無駄になってしまった。

 あとは、ひたすら殴り合い。

 こちらの攻撃の半分が外れるとは言え、グループ攻撃武器のチェーンクロス、鋼の鞭でしばき上げて行けば半分は当たるということ。

 デスジャッカルの攻撃はそれなりに強力だが、守備力を高めている二人なら、危険にならない範囲のダメージしか受けない。

 そして数ターン後に決着。

 

「私は治療するまでも無いとして、こぁ、あなたは無駄になってもいいから薬草でヒットポイントをフル回復させておいて」

「はい、私のマジックパワーはカンダタ戦に向けて温存ですね」

 

 そうして小悪魔の治療をした後に、バハラタ東の洞窟に到着。

 

「同じような小さな部屋がいっぱい繋がってますね。今どこに居るのか分からなくなりそうです」

「そうね。正方形の小部屋を東西南北に連結した碁盤の目のような造りだから、マッピングしていないと確実に迷うわね。まぁ、マッピング自体はしやすいのだけれど」

 

 二人は確実に地図を描きながら下層を目指す。

 

「宝箱です!」

「人食い箱が混ざっているから注意しなさい」

 

 人食い箱は宝箱の形をしたモンスターで、開けようとした者を攻撃力200を誇る打撃で襲って来る。

 しかも、

 

「痛恨の一撃まで使って来るんですか!?」

 

 というもの。

 

「そこは心配しなくてもいいわ、こぁ」

「パチュリー様……」

 

 パチュリーは微笑みかけながらこう言う。

 

「あなたのヒットポイントだと、普通の攻撃でも一撃で終わるから」

「そういう意味ですか!」

「開けちゃダメよ。絶対に開けちゃダメよ」

「開けちゃうやつじゃないですか、そのフリは!」

 

 そういう冗談はともかく。

 攻撃力200に痛恨の一撃。

 判断力は0、つまりバカなので勇者パーティの隊列を認識できず、平気で後列のヒットポイント、守備力が低いキャラを襲って来る。

 素早さも67と高く、先制するなら武闘家など、素早い職業の者に星降る腕輪を付けさせて素早さを倍にするなどといった対策を取らない限りこの時期では無理。

 しかもヒットポイントは120で守備力もこの辺で出現するモンスターとしては高く55。

 一人や二人、先制攻撃をしたところで倒しきれない。

 そして甘い息を吐いて眠らせてくることも有るという強敵である。

 

「魔法使いがLv18で習得するインパスなら開ける前に知ることができるのだけれど」

 

 魔法使いが居ないパーティでは使えないし、またレベルがそこまで上がっていなくとも遭遇する機会だってある。

 

「まぁ、出現位置は覚えているから無視すればいいわ」

 

 ということではあったが。

 

「ただしファミコン版とは配置が変わっているから、それを知らないとはまるけど」

 

 もちろんパチュリーは間違わずに人食い箱を避けて宝箱を開けて行く。

 小さなメダル、ゴールドの入った宝箱2つが見つかる。

 そうして、この洞窟で何年も迷っているという兵士と出合う。

 

「南に真っ直ぐ突き当たりの暗闇の壁の中に男が入って行くのを見た!  そして暗闇の向こうから鍵をかけるような音が聞こえたのだ」

 

 その話を聞いて、南下する二人。

 

「さっきの人、水や食料はどうしてるんでしょうね?」

 

 首をかしげる小悪魔に、パチュリーは足を止め、

 

「あら、あなた気付いてなかったの?」

「はい?」

「ただの人間が、こんな場所で外に出ず何年も生きていられるはずが…… いえ、何でも無いわ」

「最後まで言ってくださいよ! 変なところで話を止められると、余計怖いですっ!」

 

 騒ぐ小悪魔を無視して進むパチュリーだが……

 先ほどの兵士のセリフに「何年も迷っている」ということが追加されたのは、スーパーファミコン版以降のリメイク作になってからである。

 このようにリメイクされて情報が追加された結果、よく考えるとヤバいのだけれど、という話がそこかしこに増えたのがドラクエ3というゲームだったりする。

 

 そして到着した南の突きあたり、魔法の鍵を使って扉を開く。

 と同時に中から絶叫が響きわたる。

 

「「「俺を見てくれーっ!」」」

 

 扉の向こうから現れたのは、ぴっちりと張ったブーメランパンツと覆面マント、それ以外はグローブとブーツのみという脳筋(マッチョ)な男が三人だった。

 全員、覆面に空いた穴越しに見える瞳にうっすらと笑みを浮かべており、その筋肉を汗がしたたっていた。

 

「覆面パンツが増えました!?」

 

 叫ぶ、小悪魔。

 カンダタと同じ裸に覆面パンツの筋肉男。

 殺人鬼と呼ばれるモンスター、それが3体である。

 全身の毛を剃ったような無駄につるっつるな肌をした男たちが、ひねりの効いたキレッキレな動きで、いちいち筋肉を見せつけるポーズを取りながらこちらに迫って来るのだ。

 

 飛び散る汗!

 脈動する筋肉!

 

 あ…… 怪しいーっ!

 怪しさ大爆発だっ!

 来るんじゃなかったと後悔するが、後の祭りと言うものだった。

 

「なんでそんな格好をしてるんですか!」

「好きな服を着てるだけ、悪いことしてないよ」

 

 思わず叫ぶ小悪魔に、殺人鬼は当然といった風に答える。

 

「どこからツッコめば!」

 

 という話だったが、しかし、

 

「な……」

 

 小悪魔の叫びに驚き、片手を額に当てながら大げさにのけ反って見せる殺人鬼。

 まぁ、そうするとブーメランパンツにもっこりと盛り上がる股間が突き出されるわけだが……

 そうしてポーズを取り、こう叫ぶ。

 

「なんと卑猥な!」

 

 やめろ、それはマジでやばい!

 

「我らの肉体美を前に、どこから突っ込もうかなどと」

「なんと、いやらしき少女か……」

 

 違う違う、そうじゃ、そうじゃない。

 

「まぁ、この子がいやらしいと言うのには同意せざるを得ないけど」

「パチュリー様!?」

 

 真面目な顔をして味方を後ろから撃つようなことを言う主人に、もう小悪魔の精神は崩壊寸前だ。

 

「うぁーっ!」

 

 叫び、突進する。

 

「あ、壊れた」

 

 とため息をつくパチュリーは、

 

「一緒に居る笑い袋のことも忘れないであげて!」

 

 と殺人鬼たちの余りの濃さで忘れ去られていた、同時に出現していた笑い袋に対する注意を促す。

 無限のマジックパワーでボミオス、マホトーン、マヌーサを唱える他、ふしぎなおどりを使ってマジックパワーを吸い取る。

 先に倒そうにも素早いため先手を取りにくいし、借りに先手を取ってダメージを与えても、自分の攻撃手順が来た時点でヒットポイントが減っていれば優先行動でホイミを唱え回復する。

 その上、こちらの攻撃を回避することも有るといういやらしいモンスターである。

 しかし、

 

「こぁ、魔封じの杖よ!」

 

 小悪魔は魔封じの杖を振りかざした!

 あやしい霧が敵を包みこむ!

 

「呪文を封じました!」

 

 実はマホトーンへの耐性がゼロなので、種で素早さを上げ、星降る腕輪でその値を倍にした勇者に魔封じの杖を持たせている今のパチュリーたちなら問題なく倒せるものだったりする。

 そしてさらに、パチュリーの刃のブーメランが敵全体を薙ぎ払う!

 何の因果かマッチョの手先になっていた笑い袋を一撃で仕留め、さらには殺人鬼たちにダメージを与えて行く!

 そして殺人鬼たちの反撃!

 

「さすがに攻撃力は高いけれど」

 

 守備力を高めてある小悪魔でも二桁ダメージを受ける。

 受けるがそれだけだ。

 まぁ、痛恨の一撃があるので油断はできないが。

 次のターンで倒しきる。

 

 そして薬草で治療後、その先にあった宝箱でスタミナの種を手に入れる。

 ネコの着ぐるみのフード状になっている頭部を跳ね上げて品を確かめ喜ぶパチュリーだが、しかしそこに、フーフーと息を荒げながら抱き着いて来る小悪魔!

 

「ちょっと、こぁ?」

「パチュリー様成分を補給させてください!」

「ええ? 使い魔の魔力譲渡ならパスを通じてやってるでしょう?」

 

 この世界ではパチュリーは商人だが、だからと言って小悪魔との契約が失効するわけでは無いので、変わらずパスは結ばれ、必要な魔力は供給されている。

 

「そうだけどそうじゃなくて!」

 

 むさくるしい漢の筋肉祭りを目の前で繰り広げられたおかげで、小悪魔の精神がヤバい。

 癒しが、癒しが欲しいのだ。

 

「あ……」

 

 パチュリーの手からスタミナの種を奪い、自分の口に放り込み…… 何事か言いかけた主人の唇を自分の唇で塞ぐ小悪魔。

 口移しに渡される、スタミナの種を飲み込んでしまったパチュリーは、

 

「むぐっ!」

 

 襲って来る体力の能力値上昇に伴う筋肉痛を凝縮したような痛み!

 小悪魔の腕の中、その身体が絶頂したかのように跳ねる!

 そのわななきを身体で直接受け止める小悪魔は、

 

「女の子ってお砂糖にスパイスに、素敵なものぜんぶで出来てるって本当ですね」

 

 パチュリーの唾液に濡れた自分の唇をぺろりと舐め取り、

 

「唾液も」

 

 肉食獣が味見をするように、目の前のパチュリーの頬にぺろん、と舌を這わせて、

 

「汗も」

 

 そしてパチュリーの唇に再び口づけ、そこから漏れる苦鳴を吸い取る。

 

(……悲鳴でさえも)

 

 とにかく甘い。

 自分の腕の中、マッサージという名目で撫でさすられビクビクと震える、そんなパチュリーのすべてを貪るように感じ取り、微笑む小悪魔。

 

(ああ、食べてしまいたい…… パチュリー様の全部)

 

 そうして小悪魔は……

 

 

 

「あなたって、本当に最低の屑だわっ!」

 

 パチュリーに叱られることになる。

 しかしクズ呼ばわりされて頬が緩んでいる小悪魔。

 救いようがない……

 

 まぁ、いずれにせよパチュリーの体力が3ポイント上がったところで先を急ぐ。

 地下2階への階段を降りればそこは盗賊たちのアジトである。

 

「でも、ここであなほりをしたら何が出るのかしらね?」

 

 と思ってあなほりをしてみたが、

 

「何も出ない……」

 

 この階ではモンスターのエンカウントが無いため、あなほりでもドロップアイテムの収集はできない様子だった。

 しかし、

 

「それでも所持金の半額を掘り当てましたよね。19259ゴールド……」

 

 今、パチュリーの所持金はえらいことになっている。

 

 気を取り直して先に進むと賊の宝物庫らしきものがある。

 

「力の種に、素早さの種、賢さの種、命の木の実。取り放題ね」

「悪人のものだからって、遠慮がないですね」

 

 まぁ、

 

「賢さの種は私には不要だから、あなたに。素早さの種もヒットポイントの低いあなたに使って守備力を高めたいわね。星降る腕輪を付けているから効果も二倍だし」

「なら、力の種はパチュリー様ですね」

「そうね、でもこれは後でね」

「はい?」

「そろそろ力の能力値が成長上限値に引っかかりそうなの。性格も力が一番上がりやすい豪傑だし」

「ええっ、そんなに上がっているんですか!?」

「もちろん成長にはランダムの要素が入って来るから、レベルアップしてもそんなに上がらないで上限値との差が開くかもしれない。使うのはその時ね」

 

 というわけで、

 

「さぁ、素早さの種を使いなさい」

「もがっ!」

 

 パチュリーによって、その指ごと小悪魔の口の中に突っ込まれる素早さの種!

 思わず飲み込んでしまった小悪魔は、

 

「かっ、かはっ!?」

 

 能力値上昇に伴い身体を襲う筋肉痛を凝縮させたような痛みにのけ反り、床を転げまわる!

 

「さっきはよくもやってくれたわね」

 

 小悪魔へのお仕置きタイムの始まりである。

 

「ふふふふ」

 

 パチュリーは妖しく笑うと、ネコの着ぐるみにつつまれた腕、前足で小悪魔の身体をふみふみとマッサージしてやる。

 

「あ、あ、あ、そっ、そんなぁ、そんなあああああぁぁ!」

 

 感じられる、肉球による絶妙なタッチ。

 

(こんな、エッチな要素なんかまるで無いことで、こんなにまで気持ちよくされてしまうなんて信じられないっ!)

 

 ぶんぶんと首を振り、小悪魔はもだえる。

 

「ちなみにネコが柔らかいものを前脚で揉むのは、母ネコのお腹を揉むことで母乳を出やすくするため。仔ネコのころ母ネコと一緒に居る時間が短かったネコに見られる行動だと言われているわ」

「あ…… あひぃぃぃぃっ!?」

 

 新たな、未知の感覚に撃たれ、絶叫する小悪魔。

 こ、これが、可愛い者への保護欲?

 いえ、親愛の情!?

 

「こ、これ以上魅了させるようなこと言わないでくださいっ! 悪魔なのにっ、私、悪魔なのに温かい気持ちで満たされちゃうっ! 存在が、存在が浄化されちゃうぅぅぅっ!!」

 

 真っ赤になって悲鳴を上げ、もだえる小悪魔を見下ろし、パチュリーは片方の手、前足を口元に当て、

 

「前脚をくわえるのは、母ネコの母乳を飲む時に揉みながら飲むので、その時に付いた母乳を舐めていた名残だって」

「あ゙ーーーーーーーーーっ!?!?!?」

 

(はっ、弾けるっ! 意識が、心が弾けちゃう!)

 

 可愛らしい者に対する、見守りたい、側に居てあげたいというような、疚しさののかけらも無い純粋な気持ちがあふれてきて止まらないっ!

 

(ダメっ、こんなの知ったら悪魔としての私が終わっちゃう! 私の悪魔としての生にトドメ、刺されちゃうっ!)

 

「いいのよ、我慢しなくて。私があなたを許してあげる」

 

 パチュリーの甘いささやきが、熱い吐息とともに小悪魔の耳に吹き込まれた。

 鼓膜と一緒に、敏感な感覚器である頭の羽を震わせる!

 未知の世界へのいざないが耳を、羽を通じて脳に、いや、魂にしみ込んでいき……

 

「逝っちゃいなさい」

 

 はみっ、て。

 頭の羽、甘噛みされて。

 

 あーっ! あーっ! あーっ!




 ふみふみするネコってかわいいですよね。
 小悪魔が浄化されてしまいそうになるのも無理は無いと思います。

 次回はカンダタ戦2回目をお届けする予定です。
 まぁ、小悪魔にはいざとなれば奥の手、諸刃の剣がありますし(注:呪われる)
 何とかなるでしょう。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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