こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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オリビアvs幽霊船「化け物には化け物をぶつけんだよ」 そしてサマンオサへ

 旅の扉のほこらにある3つの旅の扉の内、中央の一つをくぐると、その先は、

 

「オリビアの岬のほこらね」

 

 ノルドの洞窟のバハラタ側の出口から北上すれば到達できるので、一応、船入手前でも来ることはできるのだが、最後の鍵が無ければ利用できるのは宿屋だけで、旅の扉は使えない。

 床に落ちていた小さなメダルを拾い、そして宿屋の北の鉄格子を最後の鍵で開けば、そこには一人の吟遊詩人の姿があって、

 

「ここはオリビアの岬。嵐で死んだ恋人を思いオリビアは身を投げました。しかし死に切れぬのか通りゆく船を呼び戻すそうです」

 

 と、この地にあった悲劇を語ってくれる。

 しかしそれを聞いた小悪魔は、

 

「なるほど、アンデッドに、GHOSTLY SHE-HAG(幽霊ババア)になってしまったというわけですね」

「言い方ァ!!」

 

 ……まぁ、女の妄執と言えばそのとおりなのだが。

 

「もし恋人エリックとの思い出の品でも捧げれば…… オリビアの魂も天に召されましょうに」

 

 そして、

 

「噂ではエリックの乗った船もまた幽霊船として海をさまよっているそうな」

 

 ということであった。

 

「つまり、その幽霊船をこの岬に突っ込ませて二大アンデッド大決戦をやらかせばいいんですね!」

「その発想は無かったわ…… じゃなくて「恋人エリックとの思い出の品」って言ってるでしょう!」

 

 とんでもないことを言い出す小悪魔にツッコむパチュリーだったが、

 

「そもそもそういうB級ホラーとか、怪獣映画じみた話じゃなくて」

 

 ため息をつきつつ説明する。

 

「幽霊船、そして愛のため海に身投げするヒロインと、その恋人のエリック…… これ、ワーグナー作曲のオペラ『さまよえるオランダ人(フライング・ダッチマン)』の翻案でしょう?」

 

 幽霊船の船長、さまよえるオランダ人は永遠にさまよう運命にあるが、7年に一度上陸でき、そのとき船長を愛す女性に出会えれば、呪いから解放される。

 ヒロインは船長を救おうとするが、それを恋人のエリックが引き止める。

 その姿を見た船長は失望して去ろうとするが、ヒロインは貞節を証明するために海に身を投げる。

 ヒロインの純愛を得た幽霊船は呪いを解かれ、死を得て沈没する。

 そしてオランダ人とヒロインは浄化され昇天していく。

 

 というもの。

 

「配役と言うか、お話の筋がだいぶ変わっていますね」

「だから翻案、それも頭に『大胆な』という枕詞が付くものなんでしょう」

 

 ということ。

 

 そしてここにあったもう一つの旅の扉をくぐれば、そこはサマンオサの東にある旅人の教会。

 神父に話を聞けば、

 

「うわさではサマンオサの王が人変わりしたらしい。勇者サイモンが右の旅の扉より追放されたのも王の命令と聞く」

 

 つまり、そのサイモンはオリビアの岬の方へ行ったということだが。

 そして、

 

「サマンオサはこのほこらの西。山沿いをぐるりと西に進まれるがよかろう」

 

 ということだった。

 

「この時点でサマンオサへ行くのは無謀かしらね?」

「はい? 行く気なんですか!?」

「サマンオサへ行く途中には、守備力200の甲羅でこちらの攻撃を阻みつつも甘い息で眠らせてくるガメゴン、素早さ85で先手を取りつつベギラマ、バシルーラを放ってくる魔法おばば、攻撃力140で殴殺してくるグリズリー、守備力150とやっぱり硬いキラーアーマーは痛恨攻撃をしてこないのが救いだけど……」

「けど?」

「ルカナンでこちらの守備力を下げてくるから、結果的に守備力無視の痛恨攻撃に近い話に…… いえ、痛恨よりこちらの方が確率的には受けやすいから」

「やめてください。しんでしまいます」

 

 しかしパチュリーは状態異常対策にあなほりで得た二つのラックの種を口にして運の良さを上げつつ、こう説明する。

 

「大丈夫よ。サマンオサまでの道は4つのモンスターエリアにまたがっていて、最初と3番目のエリアについては、今挙げたモンスターは出てこないの」

「それは……」

 

 旅人の教会からサマンオサまでは反時計回りにぐるりと回って行くことになる。

 最初のモンスターエリアは、サマンオサ縁辺、海賊の家地方などと呼ばれているもの。

 ここで出るのは、

 

「頭に足が生えた変な鳥さん? と緑のゴリラさんです!」

 

 アカイライとコング、各一匹が不意を突き襲って来る!

 

 アカイライはパチュリーに2回連続攻撃!

 アカイライはランダムで1~2回行動を取ることができるのだ。

 しかし、

 

「一桁ダメージじゃあね……」

 

 小悪魔に比べ守備力が低いパチュリーでも、特に効いていない。

 コングはというと、

 

「仲間を呼んだ!? やめてくださーい!!」

 

 最下位種でもあれだけ強かった、あばれザルの恐怖が身体に染みついている小悪魔は叫ぶが、

 

「鳥さん?」

 

 呼ばれて飛び出たモンスターに首をひねる。

 

「極楽鳥よ。素早さ60、2回行動でベホマラーを使って仲間1グループのヒットポイントをベホイミ並みの回復量で治して即逃げて行くの」

 

 1ターン遅れで発動するグループ回復魔法みたいなものだ。

 さて、どうするかだが。

 小悪魔の素早さは星降る腕輪の効果で倍化され、96ポイントまで上がっている。

 先制できるかも知れないし、できないかもしれない。

 ここは、

 

「先制で無駄行動してくれることを祈って殴りましょう」

 

 ということで、パチュリーは装飾品を幸せの靴から豪傑の腕輪に切り替え、刃のブーメランを握る。

 そして、その狙い通り極楽鳥は先制でベホマラーを唱えると逃げ出した!

 もちろんモンスターたちはまだ傷を負っていなかったのでこれは完全な無駄行動になる。

 続いてコングが小悪魔に殴りかかるが、

 

「くっ、この程度!」

 

 15ダメージ。

 コングの攻撃力は105と強力だが、小悪魔の守備力もまた高まっているのだ。

 

「反撃、ですっ!」

 

 小悪魔は諸刃の剣でコングに斬りかかり57ダメージ。

 

「くっ」

 

 諸刃の剣の自傷ダメージで15ポイントの傷を負うが。

 

「これでどう!?」

 

 パチュリーの放った刃のブーメランがモンスターたちを薙ぎ払うが、倒すまでには至らない。

 残ったアカイライは、

 

「バギを唱えてきました!?」

 

 僧侶のグループ攻撃呪文、バギで攻撃してくるが、しかし、

 

「魔法の盾の耐性でダメージは軽減できるわ!」

 

 ということ。

 鎧もマジカルスカートに切り替えれば更なる軽減が可能だが、半面守備力が落ちて物理攻撃が効くようになってしまうので、こちらはそのままだったが。

 アカイライはさらに小悪魔をくちばしでつついて来るが、これは軽傷で終わる。

 そして次のターンだが、

 

「こぁ、あなたホイミ…… いいえ、薬草で回復しなさい」

 

 安全策で小悪魔を回復させることにする。

 また、回復量はホイミより薬草の方が上なので、薬草を使わせることにした。

 

「はい!」

 

 素早い小悪魔は先制で治療を行い回復。

 

 アカイライのバギ、そして物理攻撃。

 またコングの攻撃がパチュリーに炸裂するが、

 

「そこまでよ!」

 

 パチュリーの放った刃のブーメランがモンスターたちを薙ぎ払い、止めを刺す。

 

「緑のゴリラさんが出てきたときにはどうなるかと思いましたが、割とあっさり倒せましたね?」

 

 首をひねる小悪魔だったが、

 

「そうね。コングは、あばれザルの系統の最上位モンスターなのだけれど、痛恨の一撃は出さなくなっているし、仲間を呼ぶ対象が同種ではなく回復役の極楽鳥になっているしで、ただ攻撃力が高くしぶといだけ、怖くないモンスターに成り下がってるの」

 

 一応、ファミコン版の攻撃力85(下位種のキラーエイプから10増えただけ)ではあんまりと考えられたのか、スーパーファミコン版以降のリメイク作では105まで強化されたが、焼け石に水といった様子。

 一方、

 

「アカイライもこの系統では最上位種なのだけれど、使うのがバギ、しかも使用頻度が3/8だと、せっかくの2回攻撃も生かせない。集団で現れたら鬱陶しいってだけのモンスターね」

 

 だから1匹で現れた程度では問題にもならないのだ。

 そして、小悪魔はふと思い出した様子で、

 

「……そう言えば、アカイライは賢者への転職を可能とする悟りの書を落とすとか落とさないとか聞きますけど……」

 

 とパチュリーに聞くが、

 

「最初のファミコン版では、1/2048という低確率で落とすと言われていたわね。あんまり低確率過ぎて、狩っている内にクリアレベルを超えるとか、先に転職で僧侶と魔法使い両方の呪文をすべて覚えたキャラが作れてしまうとかしかねないものよ」

 

 素直に遊び人を育てて賢者に転職させた方が遥かに早いというものだった。

 

「そしてスーパーファミコン版以降のリメイク作では、アカイライのような1/2048という低確率でアイテムドロップするモンスターは一律で何も落とさないようにされたの。まぁ、この確率が設定されているのはボスモンスターばかりで、それ以外の雑魚敵としてはアカイライが唯一のドロップアイテム無しのモンスターとなっているのだけれど」

「それ、知らないでファミコン版で落とすからってチャレンジすると……」

「気が狂いかねないほど繰り返して挫折することになるわね」

 

 恐ろしい話である。

 

「まぁ、それはともかく、ここ、サマンオサ縁辺、海賊の家地方などと呼ばれているモンスターエリアでは、こんな風にそれほど手強いモンスターは出ないわけ。だから次のモンスターエリアとの境界線でこうして戦闘をしておけば……」

 

 ガメゴン、魔法おばば、グリズリーなどが出る2番目のエリアを素通りすることができるのだ。

 そして3番目のエリアはまたサマンオサ縁辺、海賊の家地方などと呼ばれているものなので、日も傾き暗くなってきたところで、

 

「変な仮面の人たちがいっぱい出て来ましたよ!?」

「シャーマンね」

 

 シャーマン4体と遭遇。

 ニューギニアのマサライ、盾のような仮面状の精霊像がモチーフなのか。

 

「面倒な相手なのよねぇ……」

 

 サポートタイプで攻撃力こそ低いものの、地味にヒットポイントが高く、腐った死体を呼んだりベホイミを唱えたりする。

 判断力が最高の2で優先行動にベホイミが指定されているため、自分に行動順が回って来た時点でヒットポイントが半分を切った仲間が居ると治療してしまう。

 マジックパワーが18なので3回しか唱えられないとはいえ、4体なら12回。

 しかも判断力が高いということは無駄撃ちしないということなのでマジックパワー切れを狙うのも手間。

 

 逃げることもあるが、先頭キャラのレベルとモンスターレベルを比較し、その差が6以上でないと逃げることは無い。

 現在、パチュリーがレベル15、シャーマンのモンスターレベルが22なので、逃走はしない。

 

「逃げましょう」

 

 面倒なので、逃げることにする。

 3回失敗し回り込まれ、攻撃を受ける。

 攻撃力は低いので大したダメージにはならず危険はないが。

 必ず成功する4回目にしてようやく逃げ切る。

 

「腐った死体、呼びませんでしたね」

 

 首をひねる小悪魔だったが、

 

「機種によって違うようだけど、4体現れた時点で出現枠を使い切ってしまうらしいわ」

 

 ゲーム的に言えば画面にそれ以上、表示する余地が無いということ。

 シャーマンは痩せ細った体格に反して、手足を振り上げ長い杖を構えているので割と表示幅を取るのだ。

 

 かくして、少々の傷を小悪魔のホイミで治療した後に最後の、強敵が出現するモンスターエリアを素通りし、サマンオサにたどり着く。

 

「すっかり日が暮れてしまったわね」

 

 夜は敵が強くなる。

 安全策を考えるなら、オリビアの岬のほこらの宿屋で一泊してから来るべきだったか。

 

「パチュリー様、この街ではゾンビキラーが売られているんですよね?」

「え、ええ」

「だとしたら、諸刃の剣を使わずともそこそこのダメージは出せるはず。教会で呪いを解いてもらって……」

「あ、待ちなさい!」

 

 教会は24時間営業ではあるのだが、

 

「あれ、神父様が居ませんよ」

「神父に頼る悪魔……」

 

 呆れるパチュリーだったが、そこには神前で祈る老婆の姿があるのみだった。

 彼女からは、

 

「わしは若いころからの王を知っておるが…… 今の王と同じ人物とは思えんのじゃ」

 

 という具合に旅人の教会の神父から聞いた、人が変わってしまったという王の情報を確かめることができる。

 そしてこの教会の神父がどこに行ってしまったのかだが、近くの墓地で、

 

「天にめします我らが神よ。戦士ブレナンの冥福を祈りたまえ。アーメン……」

 

 と葬儀を行っていた。

 

「王様の悪口を言っただけで死刑なんて、あんまりですよ! これじゃおちおち商売もできませんよ!」

「ねえ、もう父ちゃんは帰ってこないの? どこかへ行ったの?」

「おーい、おいおい……」

「ブレナンよおー。おまえはいいヤツだったのにな~」

「あんたあ~、なんで死んだのよお~? うっうっ……」

「坊やだからさ」

 

 という具合に王の悪口を言って処刑されたらしいが、

 

「何しれっと最後に混ざって変なことつぶやいてるの」

「早苗さんが、どうして死んだのかって問われたらこう答えるものだって言ってましたよ」

「守矢の巫女が?」

 

 小悪魔が言っているのは守矢神社の風祝、東風谷早苗のことである。

 最近まで外の世界にいた現代人ゆえの、若さゆえのあやまちか……

 

「まぁ、それはともかく不穏よねぇ……」

「これは調査が必要ですね、パチュリー様」

「そうね。だけど聞き込みをするなら昼の方がいいかしら」

「お泊りですね?」

 

 小悪魔は期待に目を輝かせるが、

 

「あなたは何を言っているの?」

 

 と首をひねるパチュリー。

 

「さっさとルーラを唱えなさい」

「はい?」

 

 そんなわけで、ルーラの呪文で『サマンオサ』に跳ぶ二人。

 

「ああ、ルーラを使うと朝になりますもんね」

「ついでに街の外まで戻してくれるから、街や城の奥まった場所から出たい場合なんかには時間短縮になるわよ」

 

 RTA(Real Time Attack)、ゲームスタートからクリアまでの実時間(時計で計測した現実の所要時間)の短さを競うプレイではよく使われる技である。

 

「でもどういう仕組みで時間が経過するんですかね?」

「そうね、弾道飛行により地球上のどの地域へも短時間に到達するサブオービタル機というものが考案されているけれど、それの発展形、魔法版といったところかしら」

「はい?」

「高空に打ち上げられ周回軌道上に待機した後に、タイミングを計って降下、暁の帰還を果たす」

 

 そして、

 

「高空を周回飛行する成層圏プラットフォーム的な交通ハブがあって、いったんそこに待機した後に、各地へと降下させるという説もあるわ。これなら利用者同士のニアミスも起きない。必ず朝になるのはその航空交通システムの仕様で、危険な夜間の降下着陸を避けるため明朝になるのだということね」

 

 さらには、

 

「そんな高空では呼吸ができないなど人体が耐えられないため、魔力による障壁を張ると共に一時的に仮死状態にしてやり過ごす。それで使用者たちには時間の経過が体感できず、即朝になったように感じられるという話が……」

「無駄に凝りすぎですよ!?」

「まぁ、そんな説もあるということよ」

 

 そういうことだった。




 思い切ってサマンオサまで行ってみました。
 やり方さえ工夫すれば、このように割と安全にたどり着けますので。
 先にここでゾンビキラーやドラゴンシールドを買ってしまうと後が楽ですしね。

 次回は、

「女勇者と仲間が捕らえられて地下牢に監禁ですよ! だったらもっとこう、ありますよね? やらなきゃいけないことが!!」

 となる予定です。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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