こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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サマンオサの街と城 地下牢に繋がれパチュリーに責められる小悪魔

 改めてサマンオサの街を探索するパチュリーたち。

 宿屋の脇のタルからは小さなメダルが手に入った。

 

「スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではこのタルからはすごろく券が手に入ったのだけれど」

 

 この世界は携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4・ニンテンドー3DS版の流れをくむもの。

 すごろく場が無くなっているためすごろく券も無く、小さなメダルに差し替えられていた。

 これは本来、すごろく場で拾える分だ。

 

 そして昨晩、葬儀を行っていた墓地の敷地内に立つ建物を訪れると、覆面の男がそこには居た。

 

「墓地に覆面の荒くれ者?」

「墓守ってやつね」

 

 中世ヨーロッパ風に言うと『墓掘り』もしくは『墓掘人』

 宗教上の理由から火葬ではなく土葬を望んだキリスト教徒が埋葬される地下墓地(カタコンベ)を掘り、管理することから付いた名だ。

 そんな彼は、

 

「ここだけの話、王さまがおかしくなったのは変化のつえのせいだ。オレはそう思うんだが、あんたどう思う?」

「はい?」

「う~ん やっぱりなあ。あんたはそういうと思ったよ」

 

 そう、王様の心変わりと変化の杖について語ってくれるが、

 

「ところでバシルーラされた仲間は、ルイーダの酒場にもどっているって話だぜ」

「何で唐突にそんな話に!?」

「ここに来るまでに出合う魔法おばばがバシルーラを使って来るからでしょう。発売当初は仲間が居なくなったってメーカーに問い合わせが来たそうだし、このセリフはリメイクで追加されたものらしいわ」

 

 まぁ、それより先に海上等でヘルコンドルに飛ばされている可能性もあるわけだが。

 そして墓場では昨晩の葬式の喪主を務めていた女性が、

 

「どうしてこんなことに…… 夫もさぞや無念だったと思いますわ。うっうっ……」

 

 と泣いている。

 この墓地からは小さなメダル、素早さの種を拾えるが、他にも、

 

「何か反応がありましたけど、見つけられませんでしたね。何でしょうこれ」

 

 スマホ版ではアイテムが隠されている場所に行くとエクスクラメーションマーク、俗に言うビックリマークが出て知らせてくれる親切仕様となっているのだが……

 

「発見には何か条件があるってことでしょうね」

 

 あとはスーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではすごろく券が拾えたのだが、これは無しになっていた。

 街を歩けば女性が、

 

「多くの人たちが毎日牢に入れられたり、死刑になっているんです。昔はおやさしい王さまだったのに……」

 

 と嘆いていて、パチュリーは、

 

「盗賊カンダタは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』から、そしてオリビアの岬と海賊船がワーグナー作曲のオペラ『さまよえるオランダ人(フライング・ダッチマン)』からなら、こちらは太宰治の『走れメロス』よね」

 

 と考察する。

 しかし、

 

「勇者が全裸で赤面するお話ですね」

「どうしてそんなところだけ!?」

「感動のラストシーンですよね?」

「それはラストのオチであって、感動するのはそこじゃないでしょう!!」

 

 小悪魔のボケにツッコミが追い付かない。

 民家のツボからは力の種を入手。

 そして「圧政の不満から目をそらすために王が設立した」などと批判される格闘場の建物の裏手に回ると老婆が居て、

 

「王さまは夜になると2階でひとりで寝ているそうじゃ。城内とはいえ無用心だと思うがのう」

 

 などと言って来る。

 この老婆は、昨晩教会で「わしは若いころからの王を知っておるが…… 今の王と同じ人物とは思えんのじゃ」と言っていた人物。

 つまり、こんな人目に付かない場所で武装したよそ者に、王の身辺の警護情報を漏らすのは、

 

「これはアレですね。夜中に忍び込んで殺ってしまえって暗に言ってるんですね」

「……まぁ、そうなるのかしら?」

 

 そんなわけで、サマンオサの城へと向かうパチュリーたちだったが、途中で、

 

「私はサイモンの息子。ゆくえ知れずになった親父をさがして旅をしている。うわさでは、どこかの牢屋に入れられたと聞いたのだが……」

 

 とサマンオサの東にある旅人の教会で追放されたと聞いた勇者サイモンの子供と出会う。

 

「旅の扉からオリビア岬の方に追放されたって聞きましたけど……」

「その先にある牢獄に入れられた、ってことね」

 

 オリビア岬から船で進んだ場所にあるほこらの牢獄。

 そこにサイモンは投獄されたのだ。

 

「城に入る前に、庭から小さなメダルを拾って」

 

 正面入り口は警備の兵に昼夜を問わず塞がれているので、勝手口から入るのだが、

 

「ここはお城の台所。殿方の入ってくるところではありませんわ」

 

 と言われてしまう。

 

「そういうのは今時流行らないと思うんだけど…… って言うか、お城だったら普通逆、男性のコックを雇ってるわよね?」

 

 ドラクエが作られた日本でも、またモデルとなっているであろう中世ヨーロッパでも通常、料理人と言ったら男であり、女性が進出したのは比較的新しい時代であるが、この国では事情が違うらしい。

 この台所のツボから小さなメダルが見つかる。

 

 中庭では王女が、

 

「あんなにやさしかったお父さまなのに…… 姫にはお父さまが別人のように思えてなりませんわ」

 

 と嘆いている。

 

「まぁ、実際別人、いえ別トロールなのだけれど……」

 

 という話だが。

 この中庭では、草花に紛れ落ちていた命の木の実をゲットできる。

 またこの王女の寝室の向かい、警備の兵の控室では衛兵が、

 

「うわさでは魔王という者が 世界をほろぼそうとしているらしい。もしかして王さまは魔王に 心を売ってしまわれたのであろうか……」

 

 と本音を漏らしている。

 

「まぁ、欲望に負け、良心を売り渡すような者も確かに居るわよね」

 

 と小悪魔を冷たい目で見るパチュリーだったが、小悪魔は、いきり立って反駁した。

 

「ひとの心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳ですよっ! パチュリー様は、私の忠誠さえも疑って居られるんですか!?」

「疑うのが正当の心構えなのだと、私に教えてくれたのはあなた自身よ。悪魔の忠誠は、あてにならない。悪魔はもともと私慾のかたまり。信じては、ならないわ」

 

 パチュリーは落着いて呟き、ほっと溜息をついた。

 

「私だって、平和な日常を望んでいるのだけれど」

「なんの為の平和ですか。自分の貞操を守る為ですか」

 

 こんどは小悪魔が嘲笑した。

 

「罪の無い私を疑って、何が平和です!」

「だまれ、下賤の者―― って、何で私があなたと暴君とメロスごっこをしなければならないの!」

 

 一連の会話は太宰治の『走れメロス』の一節から。

 紅魔館大図書館の主であるパチュリーと司書の小悪魔らしいインテリな言葉遊びだったが……

 

 パチュリーは当たり前の真実しか言っていないが、小悪魔の方はまったくの虚偽…… いや、自覚が無いのか?

 面の皮が厚すぎる主張である。

 大体、自分の貞操を守ることを非難される筋合いなど無いのだし。

 

 パチュリーはやれやれとため息をつきながら階段を昇り、尖塔の上に出た後、

 

「行くわよ」

「行くって……」

 

 小悪魔を引っ張って共に飛び降りる!

 

「で、デビルウィーングっ!」

 

 小悪魔は慌てて悪魔の翼を広げて滑空。

 パチュリーを支えながら軟着陸を決める。

 そこは二階のテラスで、

 

「ここの扉から中に入れるわね」

 

 そこは王の寝室。

 部屋の中を物色すると、本棚からはずるっこの本、タンスからは棍棒が手に入る。

 

「ずるっこの本は、ロマリア王の父親の部屋にもあったものね。王族には必要なものなのかしら?」

「棍棒って、何で……」

 

 首をひねる小悪魔だったが、まぁ、その答えは後でということ。

 そうして探索を終えたら、改めて王との対面。

 謁見の間では踊り子たちが、

 

「王さまは、とってもりっぱなかたですわ。おほほほ」

「王さまのためだったら、私たちなんでもいたしますわ。おほほほほ」

 

 などと媚びを売りながら踊り続けている。

 そして王の前に進むと、

 

「うぬらはどこから入ってきたのじゃ? あやしいヤツめ! この者らを牢にぶちこんでおけい!」

「ハッ! さあ来るんだっ!」

 

 と、一方的に「怪しい奴」呼ばわりされ、捕らえられる。

 まぁ、よくよく考えると武装した集団をあっさりと王の前に通してしまう他国の警備の方が異常。

 この偽サマンオサ王の対応の方が普通だったりするのだが……

 

「やめて! 私に乱暴する気でしょう? 官能小説みたいに! 官能小説みたいに!」

 

 と叫ぶ小悪魔だったが、

 

 しねーよ。とっとと入れ。

 

 とばかりに地下牢に投獄されてしまう。

 そして、

 

「小悪魔は激怒した。必ず、かの無知暴虐の王を除かなければならぬと決意した」

「は?」

「小悪魔には政治がわからぬ。けれどもエッチなネタに対しては、人一倍に敏感であった」

 

 小悪魔はまた太宰治の『走れメロス』の一節を元にした主張を始めるが、しかしその話の焦点はまったく別なところにあって、

 

「女勇者と仲間が捕らえられて地下牢に監禁ですよ! だったらもっとこう、ありますよね? やらなきゃいけないことが!!」

「そんなものはない」

 

 思わず真顔で言い切るパチュリーだったが、興奮している小悪魔には届かない。

 

「パチュリー様に迫る凌辱調教の魔の手。そこで従者たる私が健気にも「私が身代わりになりますからパチュリー様に手を出さないで!」と言って身体を張ってお守りするんです!」

「自分で健気って言う?」

 

 まぁ、ここで終われば、イイハナシダナー、で済んだかもしれないが、

 

「ところがパチュリー様はボロボロにされる私を見ながら、性的に興奮してしまうんです」

「妄想の中であっても私を汚すのは止めてくれる?」

「自己嫌悪に陥るパチュリー様、それを私が身体を使ってお慰め……」

「それが本音!?」

「全部本音です!!」

 

 小悪魔、魂の叫びに頭痛を覚え、額に手を当てるパチュリー。

 そして、

 

「ボディチェックも無しなんだから、甘いわね」

 

 最後の鍵があるのだから、牢から出るのは容易い。

 小悪魔をスルーして脱獄の開始である。

 パチュリーたちが閉じ込められていた牢の向かいには吟遊詩人が捕らえられていて、

 

「私は旅の詩人です。はるかロマリアの北東、湖のほこらの牢獄でくちはてたサイモンのように、わたしもここで一生を終えるのでしょうか? ああ!」

 

 と、サイモンの行方を教えてくれる。

 この牢のツボから小さなメダルを回収し、更に奥へ。

 隣の牢には白骨化した遺体がある。

 その壁には吊り下げられた鎖とその先に付けられた手かせがあり、囚人を繋ぐことができるようになっているのだが、それを見た小悪魔は、

 

「こういう拘束、調教道具を見ると濡れちゃいますよね」

「どこが!?」

 

 思わず突っ込むパチュリーだったが、はっと気づき、

 

「いい、説明しなくてもいいから!」

 

 とセクハラ妄言を吐き出そうとする小悪魔を止める。

 しかし、

 

「そう言えば……」

 

 とふと思い直し、小悪魔の両手にその手枷を嵌め壁に固定する。

 

「パチュリー様?」

 

 主が拘束調教プレイに目覚めたか!? とドキドキする小悪魔。

 

「パチュリー様になら、私、責められても……」

「はい、素早さの種」

「もがっ!?」

 

 口の中に、サマンオサの街で拾った素早さの種を突っ込まれてしまう。

 

「あひいいいっっっ!」

 

 小悪魔の身体を能力値上昇に伴う筋肉痛を凝縮したような痛みが襲い、鎖をジャラジャラと鳴らしながら激しく身悶えする。

 

「あら、1ポイントしか上がっていないわね」

 

 と、パチュリーは小悪魔のステータスを確かめてつぶやく。

 その目は患者を診る医師のような……

 いや、実験動物の経過観察を続ける学者のように冷徹で。

 

「さぁ、中断の書で時間を巻き戻してもう一度試しましょう?」

「あ…… ああ……」

 

 小悪魔の悲鳴と、鎖の鳴く音が、何度も何度も繰り返し地下牢に響き、その石組みの中へと吸い込まれていくのだった……




 地下牢の壁に鎖と枷があるのはリメイク作からですが、クリエイターはどんな意図で追加したんですかね……

 次回は地下牢からの脱出、そしてサマンオサの街でお買い物の予定です。
 小悪魔はゾンビキラーを買って、呪われた諸刃の剣から逃れることができるのか!?(注:無理です)

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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