こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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ランシールへ 1回約8万ゴールドの死に戻り(デスルーラ)を許容する程度の財力

「次はランシールの地球のへそに潜って大地の鎧を手に入れることにしましょうか」

 

 そう提案するパチュリー。

 しかし小悪魔は、

 

「はい? 大地の鎧よりも耐性が付いている魔法の鎧の方が有利なんですよね?」

 

 と自分が着こんでいる魔法の鎧を見下ろしながら聞く。

 パチュリーはうなずいて、

 

「そうね。ただ守備力だけを見れば魔法の鎧の+40に対して大地の鎧は+50と高いから、攻撃呪文を使ってこないボストロールやヤマタノオロチに対して大地の鎧を使うというのはアリでしょう?」

 

 ということ。

 ヤマタノオロチに対しては、ボストロールを先に撃破して進めてしまえば入手できる刃の鎧を使うというのもアリだが。

 

 そんなわけでアリアハンから船で西へ。

 しかし、

 

「パチュリー様?」

 

 途中、パチュリーは上陸してアリアハン大陸の西にある岬の洞窟へ入る。

 すぐに出て再び海へ。

 

「モンスターに遭遇するまでの歩数カウントをリセットしたのよ」

「ああ、なるほど」

 

 といったような小技を使い、エンカウント無しでランシールの村へと到着。

 

「ここはランシール。小さな村よ」

 

 と迎えてくれる女性。

 そして青年が、

 

「村は小さいけど神殿は大きいよ。だからおとずれる人は、けっこう多いんだ」

 

 そう教えてくれる。

 まぁ、宿では、

 

「くそっ! 大きな神殿などどこにも無いではないかっ! この村のどこかにあるはずだが、私の探し方がまだ甘いのであろうかっ!」

 

 と神殿を見つけられずにいる男が居るのだが……

 

「とりあえずは武器屋ですね」

「あなたには買うお金が無いでしょう?」

「うぐっ!?」

 

 それでも見るだけでも、とパチュリーの背を押すようにして店を訪れる小悪魔だったが、

 

「……買うものがありませんね」

 

 と言うとおり。

 この村の武器店で売っているのは、鋼のムチ、大金槌、パワーナックル、身躱しの服、魔法の法衣、魔法の鎧、鉄仮面だが、

 

「鋼のムチはポルトガで買えますし、戦士専用の大金槌はスーで買えるバトルアックスの方が強いですよね」

「そうね、パワーナックルは武闘家と盗賊が使える武器だけれど、リメイクならピラミッドから持ち出しさえすれば呪いが働かない黄金の爪があるし、盗賊なら同じ攻撃力でグループ攻撃が可能な鋼のムチの方が有利だわ」

「魔法の鎧は私たちのように先にサマンオサで買っていないなら買う価値はありますか?」

「そうね、テドンでも買えるのだけれど……」

 

 と考え込むパチュリーだったが、

 

「私たちがそうだったように歩数リセットを使って上手くすればエンカウント無しで到達できる近場にある村だから、船を得て先に訪れていれば役立ったのでしょうね」

 

 そう、同意する。

 

「魔法の法衣は魔法の鎧の5800ゴールドより1400ゴールド安い4400ゴールドですが……」

「ああ、でもそれ守備力が魔法の鎧の+40に対して+30と10ポイントも低くなるし、何より僧侶、賢者しか使えないものよ」

 

 とパチュリー。

 

「ファミコン版だと、ここランシールでは魔法の鎧が売られていなかったからテドンに行く前なら買う価値もあったかも知れないけど……」

 

 ということ。

 そして鉄仮面も、サマンオサにまだ行っていないなら買う価値があるが、パチュリーたちは既にサマンオサを訪れているし、勇者にはオルテガの兜があるので不要というものだった。

 

 一方、道具屋で売っているのは、

 

「聖水とキメラの翼、あとは消え去り草だけですか?」

「そうね。ここ、神殿はあっても教会が無いから毒の治療ができないのは結構痛いかも知れないわね。まぁ、この周辺だとランシール縁辺部で出る『あやしいかげ』の中身が毒を使うモンスターだった、という場合以外には毒を受ける恐れが無いのだけれど」

 

 そして、

 

「ファミコン版だと先頭キャラがレベル15以上で聖水を使えば『あやしいかげ』は中身に関係なくモンスターレベルが10扱いで固定だから、出現を完封できたのだし」

「そのための聖水でしょうか?」

「さぁ? リメイクでは聖水やトヘロスの呪文の判定がエリアレベルとの比較に変わったから、ランシール周辺ではレベル27以上になるまで封じることができなくなっているしね」

 

 最悪、不足があればキメラの翼を使って他の街へ行って買って来いということだろうか。

 

「あとは消え去り草ですが……」

 

 この店を出ると、

 

「私は道具屋の娘。消え去り草を買っていってくださいな。消え去り草はあなたの姿を見えなくしちゃう不思議な草よ。持ってると便利なんだから」

 

 と使い方を教えてくれる女性が居る。

 その言葉にしばらく考え込んでいたパチュリーは、

 

「自分を見失う、つまり自失状態になってしまう不思議なクサ、それはつまり……」

「ダメ。ゼッタイ」

 

 と、危ないことを言おうとして小悪魔に止められる。

 なお『クサ』は麻薬を意味する隠語だったりする。

 ともあれ、

 

「スーの村でも買えるけど、先にこちらに来たのなら買っておいた方がいいということでしょうね」

 

 そういうことだった。

 そして西の民家ではツボから5ゴールド、タンスからは小さなメダルが見つかる。

 

「スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではこのタンスからはすごろく券が手に入ったのだけれど」

 

 この世界は携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4・ニンテンドー3DS版の流れをくむもの。

 すごろく場が無くなっているためすごろく券も無く、小さなメダルに差し替えられていた。

 これは本来、すごろく場で拾える分だ。

 

「それじゃあ、噂の神殿に行ってみましょうか」

 

 木々の横をすり抜けて村の北へ向かうと、そこには大きな神殿がある。

 左右、両脇の鉄格子を開けて中に入るとそれぞれに貴人が居て、

 

「イエローオーブは人から人へ、世界中をめぐっているそうじゃ。たとえ山びこの笛であっても、それをさがしだすことはむずかしいであろうな」

 

「わしには見える。もし旅先で別れた仲間がいるとすれば、その者が希望をもたらすであろう」

 

 という具合に、イエローオーブ入手のヒントが語られる。

 

 また、神殿脇の右の突き当りでは小さなメダルが拾え、左の突き当りには、

 

「スライムが居ます!?」

 

 スライムの姿があり、

 

「消え去り草を持ってるかい?」

 

 と話しかけてくる。

 

「はい?」

「だったらエジンベアのお城にいきなよ」

 

 という具合に、消え去り草を使ったエジンベアの城への侵入を促してくるのだが……

 

「ヒントをくれるスライムさんですか。なかなか可愛いですね」

 

 と微笑む小悪魔に、パチュリーは眉をひそめ、

 

「可愛い?」

「えっ、そうじゃないですか?」

 

 戸惑う小悪魔に、パチュリーは事実を告げる。

 

「ファミコン版では、そこに居たのはホビットなのよ」

「そうなんですか?」

「そしてスーパーファミコン版以降のリメイクでは、スライムが成り替わった……」

「は……?」

 

 パチュリーの言いように、どうしようもない悪寒を感じ、身体を震わせる小悪魔。

 そんな彼女にパチュリーは語る。

 

「こんな人気のない神殿脇、その奥であった成り替わり劇。目撃者は皆無。叫んでも誰にも気づかれない。遺体もスライムなら……」

 

 つまり、それは、

 

「きあー!!」

 

 叫ぶことでパチュリーの言葉を遮る小悪魔。

 

「あーあー」

 

 頭を抱えるようにして耳を塞いで、パチュリーに背を向けうずくまる。

 

「私はそうゆうスプラったな話わダメです」

 

 とブルブルと震える。

 

「悪魔なのに?」

「悪魔がみんな、そういうお話に耐性を持っていると思ったら大間違いですよっ!?」

 

 涙目で叫ぶ小悪魔だった……

 

 

 

 神殿の前に居る武人からは、

 

「この神殿から、地球のへそと呼ばれる洞くつに行けるらしい。地図で見たときに、ちょうどおなかのあたりにあるから地球のへそと呼ばれているのだ」

 

 という話が聞ける。

 そして、

 

「ここから先は一人で地球のへそに挑むことになるわ」

「はい?」

「公式ガイドブックが推奨する地球のへその到達レベルは25なのだけれど……」

「私、レベル13ですよ!?」

 

 悲鳴を上げる小悪魔。

 

「……仕方ないわね」

 

 そんなわけで、ここはパチュリーが行くことにする。

 

「ファミコン版と違ってリメイクだと『ふくろ』に大量の薬草を詰め込むことができるのだし、私のヒットポイントなら最悪、薬草で回復させながら全逃げでクリアーすることもできるでしょう」

 

 ということ。

 

「アイテムさえ回収できたのなら、デスルーラで帰って来てもいいのだし」

「デスルーラ?」

「死に戻りを利用した迷宮脱出方法ね。デスペナルティが比較的軽いゲームではよく使われる手法のようよ。地球のへそで死んだら、この神殿に戻されるわ。もちろん所持金の半額を失うわけだけれども、別にいいわよね」

 

 現在、二人の所持金は159155ゴールド。

 つまり1回約8万ゴールドのルーラというかリレミトである。

 まぁ、パチュリーがいいのなら小悪魔には問題は無い。

 何しろ彼女の所持金はマイナス。

 パチュリーに借金している状態なのだから、全滅で所持金が半額になろうとも状況に変化は無いわけである、が……

 

「1回8万ゴールドのルーラって何ですか!?!?!?」

 

 小悪魔には精神的に許容できない贅沢である。

 自分に影響が無かったとしても、もったいなさ過ぎる話だった。

 

 一方、

 

「星降る腕輪と魔封じの杖を貸してちょうだい」

 

 と小悪魔から一時的に装備を借り受け、単独行動に備えるパチュリー。

 

「雷の杖は要らないんですか?」

「一度に持てるアイテムには限りがあるのだし、そこはあきらめるわ」

 

 本来なら雷の杖も借りた方が良いのかも知れないが、

 

「ここで出現するモンスターのラインナップを見ると、雷の杖が持つベギラマの効果では微妙に倒しきれなかったり、そもそも耐性を持っていたりというものが多いのよ」

 

 という話。

 

「どうせ一撃で倒しきれないなら、全体攻撃のできる刃のブーメランの方が確実だしダメージ総量は上になるでしょう?」

 

 という考え方である。

 まぁ、これもパチュリーが勇者である小悪魔以上の攻撃力を持っているからこその話で、そうでなければ雷の杖を持った方が良いのだろうが。

 なお、

 

「それともあなたが行ってみる?」

 

 と、豪傑の腕輪を差し出すパチュリー。

 しかし、

 

「!!」

「青ざめたわね…… 勘のいいあなたは悟ったようね…… さっき話した死に戻り、デスルーラについて思い出し、私がそうなった場合より恐ろしい結末になることに気付いたようね!」

 

 どっと冷や汗をかく小悪魔。

 

(パチュリー様、()()()()()()()()()()()()()…… それは…… 危なすぎ…… です)

 

 もう、これ以上何も考えたくなかったが、逃れることはできない。

 彼女はチェスや将棋でいう『詰み(チェック・メイト)』にはまったのだッ!

 

「パチュリー様? もし私が一人で地球のへそに潜って死に戻り、デスルーラしたら……?」

「もちろん、あなたは私に8万ゴールド近い損害を与えたことになるのだから、その分は借金に加算されるわね」

「ひいいいいいいっ!?!?!?」

 

 あまりの恐ろしさに、思わず失禁しそうになる小悪魔だった……




 次回はとばして進めていたノアニールの村の解放イベントの予定だと言ったな、あれは嘘だ。

 そんなわけで、先に大地の鎧を取りにランシール、そして地球のへそへとやってきました。
 いえ、現状でもパチュリー様の実力なら、行けそうな気がしたので。

 次回はいよいよパチュリー様が単身、地球のへそへと乗り込む模様。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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