こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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地球のへそ パチュリーの一人遊び

「よくきたパチェよ! ここは勇気をためされる神殿じゃ。たとえひとりでも戦う勇気が、お前にはあるか?」

 

 そう問う神父にパチュリーは「はい」と答え、

 

「では私についてまいれ!」

 

 と言われ、小悪魔を置いて一人付いて行くが、

 

「真面目なシーンでパチェって呼ばれるのも……」

 

 と微妙な表情でつぶやく。

 ドラクエ3には名前の入力は4文字までという制限があり、そう入力したのだから、という話だが……

 現実でパチュリーのことをそう呼ぶのは友人である紅魔館の主、レミリア・スカーレットだけ、彼女だけが使う愛称のようなものなので、

 

「ではゆけ! パチェよ!」

 

 と、いう具合に真剣な表情で連呼されると、調子が狂うことおびただしい。

 

「まずは小さなメダルの回収よね」

 

 気を取り直し、送り出そうとする神父に逆らって出口とは反対側の突き当りにあった宝箱から小さなメダルを回収する。

 それから改めて山脈に囲まれ外界から隔絶された砂漠、その中心にある洞窟、地球のへそへと足を踏み入れる。

 

「ここからは幸せの靴はふくろにしまって、代わりに星降る腕輪を」

 

 持てるアイテムは12個。

 そのうち装備した刃のブーメラン、ぬいぐるみ、風神の盾、銀の髪飾り、星降る腕輪で5つの枠が埋まるので、残りは7つ。

 

「持っておくのは豪傑の腕輪、ゾンビキラー、魔封じの杖に魔法の盾、そして毒蛾の粉を三つ」

 

 これで持てるアイテムの枠がすべて埋まる。

 ふくろの中のアイテムは戦闘中には使えないのだから厳選する必要があるのだ。

 なお、豪傑の腕輪ではなく星降る腕輪を身に着けているのは驚かされ、先制で一方的に攻撃された場合への保険。

 この場合、豪傑の腕輪には何の恩恵も無いが、星降る腕輪なら素早さ倍増に伴う守備力上昇、被ダメの軽減の効果がある。

 豪傑の腕輪には戦闘に入ってから切り替えればいいのだ。

 

 そうして最初に出会ったのは、

 

「さまよう鎧とキラーエイプ!?」

 

 それぞれ1体ずつの群れ。

 なら、刃のブーメランで攻撃すればいいかというと、

 

「どうせ倒すのに2ターンかかるなら、先に1体を確実に倒せるほうがいいわ」

 

 と判断し、豪傑の腕輪を身に着けた上で、ゾンビキラーを使ってキラーエイプに斬りかかる。

 

「先制できる! 素早さの種11個をつぎ込んだ甲斐があったわね」

 

 尻尾の生えた紫色のゴリラ、キラーエイプをあっさりと斬り捨てるパチュリー。

 このモンスターはアッサラーム近辺で猛威を振るったあばれザルの上位種なのだが、あばれザルの最大ヒットポイントがファミコン版で50、スーパーファミコン版以降のリメイクで60もあったのに対し、たった40と倒しやすいのだ。

 残ったさまよう鎧はホイミスライムを呼ぶが、

 

「もう終わりよ」

 

 次のターン、さまよう鎧をあっさりと斬り倒す。

 残ったホイミスライムの攻撃など、1ポイントのダメージにしかならず。

 そのホイミスライムも次に放った攻撃で倒される。

 

 空間が捻じ曲げられているのか左右がつながっている無限ループの通路を無視しさらに進むと、宝箱を置いた小部屋が左右に4つ配置されるフロアに出る。

 いやらしいことにUの字型の仕切りがあって、真ん中を真っすぐ進むと行き止まり、左右は行き来ができないという構造になっている。

 パチュリーから見て右側に進み、手前の小部屋の宝箱から248ゴールドを回収。

 

「今さらこの程度、無視しても構わないのだけれど」

 

 赤貧にあえぐ小悪魔のため、取ってやる。

 その次の小部屋の宝箱はミミックが化けているものなので無視するとして、少し戻って反対、左側へと回り込むが、

 

「よく考えると、さっきの宝箱は帰りに取れば良かったんじゃあ……」

 

 と気付く。

 行きはこちら、左側の宝箱を取りながら奥に進み、帰りは右側を通って宝箱を取る。

 そうすれば戻る必要は無かった。

 

「私はリレミトが使えないのだし、万が一死に戻り、デスルーラすると所持金も半減するのだからゴールドが入った宝箱は取っても意味が…… いえ、取らない方が良い?」

 

 ということであるし。

 そんな具合に余計な回り道をしたことで、

 

「面倒くさい混成の群れね」

 

 ハンターフライ、さまよう鎧、キラーエイプ、ベビーサタン、各一体ずつの群れに遭遇する。

 

「今度は全体攻撃ができる刃のブーメランで!」

 

 豪傑の腕輪を身に着けたパチュリーが放つ刃のブーメランはハンターフライを倒し、それ以降の敵にも次々にダメージを与えて行く。

 リメイクで攻撃力が75から80まで上がったキラーエイプの反撃だが、

 

「くっ」

 

 11ポイントのダメージ。

 しかし最大ヒットポイントが169もあるパチュリーならまだまだ余裕。

 また、

 

「下位種のあばれザルと違って痛恨の一撃を出さなくなっているから怖くないわ」

 

 ということだった。

 一方、さまよう鎧からの攻撃では、

 

「痛くないわ」

 

 たった3ポイントのダメージ。

 ロマリアに到着した当初は強敵だった相手も、装備を整えレベルを上げればこんなものか。

 こちらは守備力貫通の痛恨の一撃があるが、それが出たとしても42ポイント前後のダメージであり、最大ヒットポイントが67しか無い小悪魔ならともかく、パチュリーなら問題なくしのげる。

 

 そしてベビーサタンはイオナズンを唱えるが、

 

「MPが足りない……」

 

 という出オチな行動。

 

「もう一度!」

 

 パチュリーの刃のブーメランがモンスターの群れを薙ぎ払い、キラーエイプとさまよう鎧を倒す。

 生き残ったベビーサタンはメガンテを唱えるが、もちろんマジックパワーが足りず不発である。

 

「次で終わりね」

 

 パチュリーはレベルアップに備え、装飾品を星降る腕輪に切り替える。

 攻撃力が下がるが、ゾンビキラーの威力なら問題なくベビーサタンを倒すことができた。

 

「レベルが上がったわ」

 

 この戦闘でパチュリーのレベルが16に。

 小悪魔とは実に3レベルの差がついているのだが、ここで単独で経験値を得ているだけではなく、

 

「幸せの靴の効果で積んだ経験値の差が出てきているわね」

 

 ということ。

 これが無ければ今回の戦闘でパチュリーにレベルアップは無かったのだ。

 そして、

 

「最後のターン、装飾品を星降る腕輪に切り替えて元々の性格であるタフガイに戻したのだけれど」

 

 戦闘中は別の装備を選択することで付け替えることはできても、外す、何も付けない状態にはできない。

 ゆえに幸せの靴や星降る腕輪などといった性格が変わらない装飾品は、戦闘中に性格を元のものに戻すためにも有効なのだ。

 そして力の成長上限値に引っかかりそうなので力の種を使わずに4個もストックしているのだから、性格をタフガイに戻して体力の成長の方を優先させた結果はというと、

 

ちから+3

すばやさ+2

たいりょく+4

かしこさ+2

うんのよさ+1

 

 となった。

 

「力の成長上限値が上がって、狙い通り余裕が出たからストックしていた力の種を使いましょう」

 

 と、中断の書を利用し、力をさらに種で+3する。

 当然、短時間に筋力を上げるための筋肉痛を凝縮したような痛みには耐える必要があり、

 

「くぅ……っ」

 

 一人なので、小悪魔のマッサージにより痛みを和らげることもできない。

 

「あ、かはぁ…… くふぅ……」

 

 普通なら、普通ならここで小悪魔のありがたみを再認識し、イイハナシダナーとなる流れなのだが、

 

「……痛いことは痛いけれど、何て言うか、あの子のセクハラまがいのマッサージに耐える方がよっぽど大変というか」

 

 ひょっとして小悪魔のマッサージは逆に自分の負担にしかなっていないのでは?

 と根源的なところに立ち返るような疑問を覚えるパチュリーだった。

 最終的に、パチュリーのステータスは、

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:ごうけつ/タフガイ

性別:おんな

レベル:16

 

ちから:81

すばやさ:62/124

たいりょく:87

かしこさ:21

うんのよさ:21

最大HP:172

最大MP:41

こうげき力:163/120

しゅび力:121/111/152

 

ぶき:ゾンビキラー/やいばのブーメラン

よろい:ぬいぐるみ

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ぎんのかみかざり

そうしょくひん:ごうけつのうでわ/ほしふるうでわ

 

 

 という具合に。

 

「薬草でフル回復させておきましょうか」

 

 これまでの負傷に加え、最大値が伸びた分も含めてヒットポイントを満タンにした後、宝箱を開けて小さなメダルを回収。

 

「ここの宝箱はファミコン版だとミミックだったのだけれど」

 

 リメイクにあたり、小さなメダルに変更されたものだ。

 それゆえファミコン版と同じと思っていると取り忘れてしまうものだった。

 そして、

 

「ハンターフライとさまよう鎧?」

 

 一体ずつなので、刃のブーメランを放ってハンターフライを倒す。

 さまよう鎧の反撃はミスでノーダメージ。

 二度目の攻撃で止めを刺す。

 

 そうして次の宝箱から賢さの種を回収。

 

「これはあの子の分ね」

 

 と小悪魔に与えることにするが、当の小悪魔は借金で首が回らない状態である。

 

 そしてさらに進むと、さまよう鎧3体とアントベア2匹の群れに遭遇。

 刃のブーメランを放つが、

 

「倒せない、わね」

 

 力、攻撃力も上がったので1体ぐらいは行けるかと思ったが、そんなことは無かった。

 もっともアントベアの反撃は6、または7のダメージ程度で終わるし、さまよう鎧の攻撃は3体とも全ミスという結果に。

 

「これで!」

 

 二回目の刃のブーメランで、アントベア1体を残して倒し、

 

「そこまでよ!」

 

 残る一体も次の攻撃で倒しきる。

 

「地下1、2階のモンスターは問題なく倒すことができるようね……」

 

 公式ガイドブックが推奨する地球のへその到達レベルは25。

 そこにレベル15の商人で踏み込むことに身構えていたが、考えていたよりも悪くは無い。

 薬草でフル回復の後に、階段に到着。

 地下二階へと降りる。

 この階も出現するモンスターは地下1階と同じだが、

 

「これは……」

 

 そこは広大な広間になっており迷いやすいが、階段を目印にして行けばさほど苦労しない。

 

 途中、さまよう鎧4体と遭遇するが、相手は驚き戸惑っており先制の刃のブーメラン、そして次のターンの刃のブーメランで何もさせずに全滅させる。

 

 そして階段を昇って地下1階、ここまで来るために使ったフロアとは別口の独立したフロアへと足を踏み入れる。

 通路を進み、

 

「出たわね」

 

 ハンターフライ2体、ベビーサタン2体、アントベア1体の群れと遭遇。

 

「割と楽勝ね」

 

 豪傑の腕輪を付けて刃のブーメランを放てば、それだけでハンターフライが全滅する。

 しかし、

 

「くっ!?」

 

 生き残ったベビーサタンは冷たい息を吐いた!

 イオナズン、ザラキ、メガンテといった強力な呪文を唱えるもののマジックパワー不足で不発の無駄行動を取ることが多いベビーサタンだが、1/4の確率で繰り出す冷たい息は、パーティ全体に9~20のダメージを与える厄介なもの。

 しかし、

 

「運が良かったわ」

 

 パチュリーが受けたダメージは9ポイントと、最低の効果で終わっていた。

 もう一体はザラキを唱えるが当然、不発。

 アントベアの攻撃も6ダメージで終わり、

 

「これで終わりよ」

 

 次のターンの刃のブーメランで全滅する。

 

「楽勝だったけれども…… 念のためヒットポイントはフル回復させておきましょうか」

 

 パチュリーはふくろに大量にストックしてある薬草を使って治療。

 金は余っているのだから、ケチる必要はない。

 

 そして突き当りの部屋にあった宝箱から大地の鎧を入手した。

 

「これで目的の半分は果たしたわね」

 

 その帰り道、

 

「出たわ、メタルスライムよ!」

 

 メタルスライム1匹にさまよう鎧4体の群れ。

 まずは星降る腕輪を身に着け素早さを上げた状態で、メタルスライムが逃げ出す前に毒蛾の粉を使用。

 

「混乱したわ!」

 

 メタルスライムは混乱に対し弱耐性しか持っていないため、毒蛾の粉を使用すれば7割の確率で効く。

 そして混乱したモンスターは最後の1匹になるまで絶対に逃げなくなるのだ。

 

 混乱したメタルスライムは、さまよう鎧に攻撃。

 さまよう鎧はパチュリーに攻撃し、ミス、3ダメ、3ダメ、1ダメで終了。

 星降る腕輪で素早さを上げれば、守備力も上昇するという話である。

 

 そして次のターンだが、

 

「混乱したモンスターが同士討ちするとメタルスライムにもダメージが通るのだけれど、さまよう鎧は混乱に完全耐性を持っているからその手は使えない」

 

 では、さまよう鎧を攻撃して数を減らし、被ダメを減少させてからメタルスライムを倒すか?

 さまよう鎧には守備力無視の痛恨攻撃もあるし、という話だが、

 

「数を減らすのもダメ。そうして表示枠に空きができたらさまよう鎧はホイミスライムを呼ぶ」

 

 そうなったら、せっかくメタルスライムにダメージを積んでも、ホイミで治療されてしまうだろう。

 となると結局、この状態でさまよう鎧の攻撃に耐えながら自力でメタルスライムにダメージを積んでいくという作業になるが、

 

「当たらない!」

 

 ゾンビキラーで攻撃。

 当てても1ポイントダメージだが、そもそも当たらなければそれも出ない。

 

「装飾品を豪傑の腕輪に切り替えるべき?」

 

 豪傑の腕輪を付ければ攻撃力は上がるが……

 メタルスライムの守備力1023の前には、+15ポイントも焼け石に水だろう。

 確実に効く星降る腕輪による守備力増強の方が有利か。

 

 そうやってミスったり当てたりを繰り返しながら、ようやく、

 

「倒しきったわ!」

 

 メタルスライムを倒す。

 あとは、さまよう鎧を始末するために装飾品を豪傑の腕輪に切り替え、刃のブーメランを放つ。

 

「あ、一体倒せたわね」

 

 レベルアップの恩恵プラス運か。

 そして次のターンだが、

 

「忘れずに装飾品を星降る腕輪に付け替えて、性格をタフガイに戻して」

 

 攻撃。

 残りのさまよう鎧を倒しきる。

 一人でメタルスライム1体を含むモンスターの群れを倒したパチュリーには、実に4412ポイントの経験値が入り、レベル17へとレベルアップ。

 

ちから+3

すばやさ+3

たいりょく+4

かしこさ+1

 

 さらに『おおごえ』を覚えた。

 

「『おおごえ』の特技はマジックパワーを15消費して『旅の商人(品ぞろえは最後に立ち寄った店と同じ)』『旅の宿屋』『旅の神父』の中からランダムに1つを呼び出すことができるけれど」

 

 フィールドマップの他、ダンジョン内でも有効だが、ピラミッドの地下、地球のへそ、サマンオサ南の洞窟、ネクロゴンドの洞窟、バラモスの城、ラダトーム北の洞窟、ルビスの塔、ゾーマの城、天界のダンジョンでは使用不可能。

 

「長めで回復が欲しくなるようなダンジョンではことごとく使えないという微妙な仕様なのよね」

 

 という具合。

 しかし、

 

「最後に立ち寄った店の品が買える『旅の商人』を使って、エルフの隠れ里の商品を後から買う。スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版なら同様にすごろく場のマス目にあるよろず屋の商品を後から買うなんて使い方もできるし」

 

 毒蛾の粉を買ってガルナの塔でメタルスライム狩り、というのもいい。

 途中で毒蛾の粉が切れても『旅の商人』を呼ぶことで買い足せれば延々とメタル狩りが続けられるという寸法だ。

 

 あとは、

 

「力の成長上限値が上がって余裕が出たから、またストックしていた力の種を使いましょう」

 

 と、力をさらに種で+3する。

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:ごうけつ/タフガイ

性別:おんな

レベル:17

 

ちから:87

すばやさ:65/130

たいりょく:91

かしこさ:22

うんのよさ:21

最大HP:177

最大MP:44

こうげき力:169/126

しゅび力:122/112/154

 

ぶき:ゾンビキラー/やいばのブーメラン

よろい:ぬいぐるみ

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ぎんのかみかざり

そうしょくひん:ごうけつのうでわ/ほしふるうでわ

 

 

「ここ、レベル稼ぎには丁度いいのかもしれないわね。一人向けの迷宮だから麻痺などといった致命的な攻撃をしてくる敵が居ない、いえ、毒持ちの敵すら居ないし」

 

 稼ぐならメタルスライムが出る地下1、2階でやるのがいいか。

 最下層の地下3階にはメタルスライムが出ないし、低レベルで一人だとブレスの怖いスカイドラゴン、最大四体で出現し、高い確率で守備力無視で80ポイント前後の痛恨の一撃を放つ地獄の鎧、ベギラマを放ってくる魔女が出現する。

 

「スカイドラゴンはニフラムに無耐性。つまりゾンビキラーの追加ダメージがフルに加わるから、今の私の攻撃力なら一撃で葬れるし、魔女は先制で魔封じの杖を使えば良いのかしら?」

 

 まぁ、魔女はマホトーンに弱耐性を持っているので3割の確率で効かなかったりするから油断できない。

 何ならゾンビキラーで一体ずつ確実に倒した方が良いのかもしれない。

 

「一番まずいのは3/8の高確率で痛恨の攻撃をしてくる地獄の鎧ね」

 

 最大ヒットポイントが60、守備力が100。

 しかも炎の呪文に強耐性を持っているので雷の杖も効きにくいし、二フラムに完全耐性を持っているのでゾンビキラーにも追加ダメージが発生しないという難敵だから、倒しきるまでに時間がかかり、その分だけ痛恨の一撃を受ける率が高くなる。

 小悪魔ならヒットポイントがフルでも、それだけで即死しかねないし、パチュリーにしてもギリギリの戦いになりそうである。

 

 階段まで戻ったら、地下二階の大広間に降り、次は下りの階段を目指す。

 そして見つけた階段からいよいよ地下三階へ。

 

「ひき返せ!」

 

 壁面の不気味な仮面にカエレと言われる。

 

「リメイクだとセリフと同時に目が光るという演出が追加されたのよね」

 

 つぶやくパチュリー。

 

「たった一人でこれを聞いてると、気が滅入って仕方ないのだけれど」

 

 そういう意味でも試練の迷宮なのだろう。

 もっとも、一人で進む心細さにつけ込むような仕掛けに見えて、実際には正解の道では進むに従って仮面の頻度が減るが、不正解の道は逆に仮面が多く奥へ進むほど警告だらけとなる。

 さらに不正解の道は行き止まりになっており、散々仮面に警告された挙句、最奥の仮面に「時には人の言葉に従う勇気も必要だ」と言われてしまう。

 

「顔に似合わず親切な仮面たちだったりするのよね」

 

 そしてパチュリーはモンスターたちに遭遇。

 

「やっぱり地下三階で出るモンスターは毛色が違うわね」

 

 マッドオックス2体、マージマタンゴ2体、キラーエイプ1体の群れだ。

 マッドオックスは凶暴な牡牛、と言われるが、外見は羊に近く、そもそもオックス(ox)は去勢された牡牛のことだったりする。

 

「つまりo(タマ)がx(バツ)にされちゃったってことですかね、可哀想に」

 

 という小悪魔の声が聞こえてきそうだ。

 

 そんな話はともかく、モンスターたちは驚き戸惑っていた。

 ここは一方的に攻撃できるチャンス。

 パチュリーは装飾品を豪傑の腕輪に切り替え、刃のブーメランを放つ。

 

「うーん、やっぱり一体も倒せないわね」

 

 ということだが、次のターンの先制攻撃でモンスターたちはキラーエイプを残して全滅。

 キラーエイプの反撃も12ポイントのダメージで終わる。

 あとは装飾品を星降る腕輪に切り替えてゾンビキラーによりキラーエイプを倒して戦闘終了。

 

「レベルが上がったわ」

 

 前回の戦闘でメタルスライムを倒したため、その時点でレベルアップしただけでなく、一回戦闘をしただけでもう一度レベルが上がるところまで経験値が貯まっていたのだ。

 

ちから+3

すばやさ+1

たいりょく+5

かしこさ+1

 

 といったところ。

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:ごうけつ/タフガイ

性別:おんな

レベル:18

 

ちから:90

すばやさ:66/132

たいりょく:96

かしこさ:23

うんのよさ:21

最大HP:192

最大MP:45

こうげき力:172/129

しゅび力:123/113/156

 

ぶき:ゾンビキラー/やいばのブーメラン

よろい:ぬいぐるみ

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ぎんのかみかざり

そうしょくひん:ごうけつのうでわ/ほしふるうでわ

 

 

 というステータスに。

 

「次のレベル19での力の成長上限値は98。ギリギリ過ぎて、力の種の使用はまたお預けね」

 

 タフガイの性格でもレベルアップ時に力が+5ポイント上昇することがある。

 これが上限という確証も無いので、念を入れての対応だった。

 

「ひき返したほうがいいぞ!」

 

 という仮面の忠告を聞き流しながら先に進むパチュリーは、マッドオックス、キャットフライ、キラーエイプ、マージマタンゴ一体ずつの群れに遭遇。

 

「マージマタンゴに眠らされると厄介ね」

 

 というわけで、先にゾンビキラーでマージマタンゴを倒すことにする。

 マッドオックスのギラに備え、風神の盾から魔法のダメージを軽減する魔法の盾に切り替え。

 守備力が下がる分は、装飾品を星降る腕輪に切り替え、素早さ上昇に伴う守備力上昇で補う。

 

「そこっ!」

 

 豪傑の腕輪を使わない分、攻撃力は下がるが、それでもゾンビキラーならマージマタンゴ程度、一撃で倒せる。

 マッドオックスは運よくギラを使わず角でかち上げて来たので1ポイントのダメージで済む。

 キャットフライはいつもの開幕マホトーンだが効かないし、商人のパチュリーなら呪文を封じられても問題にならない。

 キラーエイプの攻撃もまた6ポイントのダメージに留まる。

 

 次のターン、装飾品を豪傑の腕輪に切り替え素早さが下がったせいか、マッドオックスから先制のギラをもらうが、

 

「問題無いわ」

 

 魔法の盾の効果でダメージは3/4に減少、12ポイントで済む。

 パチュリーは刃のブーメランで反撃し、これだけでキャットフライを倒す。

 キラーエイプの攻撃は、装飾品を付け替え守備力が下がった影響で11ポイントとダメージが上昇するが、

 

「そこまでよ!」

 

 止めの刃のブーメランでモンスターの群れは全滅した。

 

 薬草でヒットポイントを回復させた後、

 

「ひき返せ!」

 

 と言う仮面を尻目に宝箱に到達。

 

「小さなメダルとブルーオーブね」

 

 これで目的は達成。

 しかしパチュリーは迷宮脱出呪文、リレミトを使えないのでここからまた歩いて帰ることになる。

 そんな彼女を襲ったのは、

 

「マミー!? ああ、出るんだったわね」

 

 ミイラ男の上級モンスター、マミー4体が出現。

 パチュリーはすかさず刃のブーメランで攻撃。

 倒しきれずに反撃をもらうものの、

 

「ミスでダメージを受けないか、受けても1、2ポイントのダメージ? まぁ、痛恨があるから油断はできないけれど」

 

 しかし守備力無視の痛恨の一撃を食らったとしても54ポイント前後。

 ヒットポイントの低い小悪魔ならともかく、パチュリーなら問題なく耐えられる。

 ピラミッド到達時には強敵だったが、今ならまず、ろくなダメージも受けず刃のブーメランを二回、つまりあと一度放っただけで倒しきれるだろう。

 

 だが、そこでパチュリーはピラミッドで小悪魔とかわした会話を思い出してしまう。

 

 

 

「包帯緊縛、マミフィケーションの話です」

 

 マミフィケーションというのはその名のとおりミイラ(マミー)のように全身を包帯その他でぐるぐる巻きに拘束する緊縛プレイの一種。

 一般にはドラゴンクエストでも登場するモンスター、ミイラ男のイメージが強いため理解しづらい面があるが、イメージの根源となるエジプトのミイラは手足を身体と一緒にまとめて身動きできない形で包帯に縛られている。

 寝袋の一種にマミー型シュラフがあるが、その名のとおりあのような形をしているものだ。

 つまりマミフィケーションとは包帯により身体を芋虫のように一つに縛り上げられてしまう全身緊縛を意味するのだった。

 性的嗜好に基づいた愉しみ方の一つ、というのはパチュリーも知識としては知っていたが、

 

「想像してみてください、パチュリー様」

 

「自分がこんな風に、蜘蛛の糸に巻かれるように全身を、手足までまとめて縛り上げられ芋虫のように転がり這いつくばるしかない、完全に無力化させられる拘束感を」

 

「ギチギチに、くっきりと体のラインが出るくらいに締め上げられ緊縛され、身動きもできないままに肺の中の空気を、いいえ、被虐の快楽が入り混じった吐息を、苦鳴を搾りとられるさまを……」

 

 そして、

 

「この先出てくるミイラ男というモンスターですけど、ドラゴンクエストの派生作品『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』では特殊攻撃に『バンテージホールド』という拘束技が追加されてまして……」

 

 敵一体を包帯で縛り上げ、身動きできなくする技だ。

 

「体験、してみますか? 司書権限でこの世界を改変することも可能ですよ。のちの作品の要素を旧作リメイクで取り入れる。ドラクエシリーズでは珍しいことではありません」

 

「本来のパチュリー様の力なら歯牙にもかけないモンスターの攻撃を、あえてその身で受けてみる、状態異常に捕らわれ、自由を奪われてみるんです。ゾクゾクしませんか?」

 

 戦闘中に状態異常を受けてしまう……

『避けられなかった運命』という大義名分の下に、モンスターからの拘束を受け、がんじがらめに縛られてみる。

 本来のパチュリーならば通用する余地などないくらい、隔絶した実力差のある格下からの攻撃に自ら望んで拘束されてみる。

 

 小悪魔の誘いに身を委ねたら、一体どんな風にされてしまうのだろう?

 

 そんな好奇心も無いではない。

 パチュリーは生まれながらの人外、生粋の魔法使いではあるが、少女の形を取る以上、その思考は外見に引きずられる。

 性的なことに目覚めつつある思春期の少女特有の戸惑い。

 だが、しかし大人ではないからそれに対する処し方が分からない。

 このパチュリーの脳裏に浮かんだ戸惑いも、そんな思春期特有の、一時の気の迷いと言って良いもの。

 程度や方向性は違えど、誰にだって似たような経験はするものだ。

 

 だが…… 普通の少女が弱さゆえ、恐怖から踏みとどまってしまうこの手の迷いを、しかしパチュリーは実行に移したとしても害されない強さを持っていた。

 だからこそ迷う。

 

 わざと拘束を受け、がんじがらめにされ自由を奪われる。

 それはどのような感覚を、感情を自分にもたらすのだろうか?

 

「パチュリー様の理性は否定するでしょうけど、魔法使いであっても生きている、生者である限り心のどこかには生の欲動(エロス)と死の欲動(タナトス)に基づく、性への欲求とか破滅願望などが微量でも無いとは言えないわけで」

 

「ここは本の中の世界で誰も見ていないんですから、本当の自分をさらけ出してもいいんですよ」

 

 

 

 マミーもまた『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』では条件付きではあるが『バンテージホールド』を使うことができた。

 

「体験、してみますか? 司書権限でこの世界を改変することも可能ですよ。のちの作品の要素を旧作リメイクで取り入れる。ドラクエシリーズでは珍しいことではありません」

 

 ここには居ない小悪魔の…… 悪魔のささやきがパチュリーの脳裏を何度もリフレインする。

 小悪魔が持つ司書権限はパチュリーが与えたものであり、パチュリー自身は当たり前だがもっと高位の権限を持つ。

 それこそ小悪魔に気付かれることなくこの本の中の世界を改変したり、痕跡も残さないように戻したりしてしまえるほどに。

 

「いいじゃないですか、これはゲームなんですから」

 

 小悪魔は言っていた。

 そう、ゲームなのだからちょっと試してみるだけ。

 パチュリーに小悪魔が主張するようなおかしな願望が無ければ、ちょっと自由を奪われ、拘束されるだけで終わることだ。

 そのはずなのに……

 

 どうして呼吸が浅くなるのだろうか?

 どうして鼓動が早まるのだろうか?

 どうして、どうして……

 

 隔絶した実力差があるので危険は無いという安心感が、他人の目が無い、小悪魔さえもここには居ないという事実が、理性のタガを緩ませ、千々に乱れる思考は衝動に流される。

 そして……




 パチュリー様のソロプレイの様子、愉しんでいただけたでしょうか。
 この続きは次回に……

 しかしレベルが上がりすぎですよね。
 小悪魔が行った方が良いのでしょうが、小悪魔の実力では危険すぎるという問題。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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