こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
「それじゃあ、今度はダーマ神殿にでも行きましょうか。炎のブーメランの威力も確かめておきたいし」
小悪魔のルーラでジパングに跳ぶ。
「はい?」
「バハラタから歩くより、ここから船で河を遡った方が早いのよ」
海、河川ではエンカウント頻度が減るのだし。
そんなわけで船でダーマ神殿へ向かう。
神殿が見えてきて上陸間際、というところでマーマンと幻術士2体の群れと遭遇。
小悪魔が雷の杖を使うと、それだけで幻術士は全滅。
あとはパチュリーが炎のブーメランでマーマンを倒してお終いだが、
「歯ごたえが無かったわね」
あっけなさ過ぎて、試し斬りにならない。
そしてダーマ神殿に到着。
門の前には貴人の姿があって、
「ダーマ神殿によくぞ来た!」
冒険の書に記録をしてくれる。
「すぐにセーブできるのは便利ですね」
そう小悪魔は言う。
確かにルーラで跳んで、すぐセーブできるということでプレイ慣れしている人間だと利用する者も多いという話ではあるが、
「セーブだけならね」
とパチュリー。
「はい?」
「確かに最速でセーブできるけど、セーブする時って大抵はその前に宿に泊まって回復させるでしょう?」
「ええ、そうですね」
「ここの宿屋は一人一泊2Gでアリアハンと一緒の安い価格で泊まれるのだけれども……」
神殿の付属設備らしくて質素に男も女も一緒の大部屋。
そのためか非常に安い。
「安ければいいんじゃないですか?」
という話だが、
「入口、受付まで少し歩かないといけないから、宿泊込みでセーブするならアリアハンで済ます方が早いのよ」
「ああ、そういう……」
うなずく小悪魔。
「恋するパチュリー様はせつなくて小悪魔を想うとすぐお泊りできる方を選んじゃうの、ですね」
「何の話よ!?」
そしてこのダーマ神殿の最大の目玉は、転職を行えるということ。
マッチョな石像が立ち並ぶ広間には、
「わたし魔法使いになるの」
という女性。
「私は武闘家になろうと思っています」
と武闘家を志す商人。
その太鼓腹で? という話だが、まぁそういう格闘家も居ないではないのでアリなのだろうか。
しかし、
「わしはぴちぴちのコギャルになりたいのう」
と言い出すお爺さんは、絶対に何か間違っている。
そして、
「ぼくは商人になって お金をもうけたいな!」
と言う青年。
「確かにもうかりますよね」
「何、真剣な顔をしてうなずいているの?」
自覚のない商人パチュリーの、素で分かっていない不思議そうな言葉に、
(お金が無いのは悔しいよぉ、みじめだよぉ、イギギギギギ……)
と血の涙を流さんばかりになる小悪魔。
いや、
(お金が無いのがみじめなのではなく…… お金持ち自慢しているわけでもない、悪意の無いパチュリー様の素の言動に、嫉妬してしまう自分の心がみじめだっ!!)
ゆえに、
「
と小悪魔は突進して行くが、
「おろか者め! 勇者をやめたいと言うのか? それだけはならんっ!」
と転職の儀式を担当する神官に叱られてしまう。
「だから前にも言ったのに……」
勇者に職業選択の自由は無いのだ……
なお、この場に居た転職希望の人々は夜になると宿で寝ているのだが、
「すやすや…… ベギラマー!」
と微笑ましいようでいて物騒な寝言を唱える魔法使い志望の女性。
本当に使えたら、寝言で辺り一面、焼け野原である。
「ぐうぐう…… アチョー!」
と寝相が悪いのかベッドに逆さまになって寝ぼける武闘家志望の商人。
「むにゃむにゃ…… 何を買うかね?」
と、シーツをはだけたまま夢の中で商人になっている青年。
「ぐうぐう…… やだー、だってぇ、あいつってチョベリガンブロンだしい……」
などとギャル語で寝言を言うコギャル志望のお爺さん。
チョベリガンブロンとは『超ベリー顔面不細工ロン毛野郎』の略らしい……
ファミコン版ではコギャルではなく、
「わしはぴちぴちギャルになりたいのう」
で寝言も、
「ぐうぐう…… きゃー! うれぴー!」
だったのだが。
のりピー語……
ファミコン版が発売された頃は、某有名少年マンガ作中で主人公が悪役キャラに「い~~かげんにしろっぴ! このクソガキゃあ!!」とか「マンモス哀れなヤツ!!」呼ばわりされたりしていた時代ではある。
流行を(中途半端に)取り入れるドラクエらしいと言えばそのとおりだが、リメイクでアップデートしたチョベリガンブロンだって既に死語。
「流行ネタはすぐ風化するぞ」「ほら、風化した……」を地で行くセリフであった。
そんな話はともかく……
パチュリーは四体の石像のうち、右手奥のものの前から小さなメダルを回収。
ダーマ神殿では転職の他、命名神マリナンの神官である老婆がキャラクターの名前を変えてくれる。
「『ふくろ』にも名前を付けられるのね。『こぁ』って名付けようかしら」
「むむっ、私を無視して、ふくろに話しかけたりして意地悪するつもりですかっ」
「あら、よく分かってるじゃない」
片頬を吊り上げて見せるパチュリーだったが、それで終わらないのが小悪魔である。
「パチュリー様が私の中に入れたり出したりするんですね。卑猥ですっ」
「卑猥なのはどっちよ!」
そんなこんなで、
「はぁ、次はテドンに行くわよ」
ということで小悪魔のルーラでポルトガに跳ぶ。
船で南下するわけだが、ポルトガの対岸には灯台があり、
「この灯台に来たのは正解だったぜ。海の男のオレさまが世界のことを教えてやる!」
と荒くれ男が、船を使った旅に関して教えてくれるのだ。
「ここから南、陸に沿って船をこげば、やがてテドンの岬をまわるだろう。そしてテドンの岬からずっと東へゆけばランシール。さらにアリアハン大陸が見えるだろう。アリアハン大陸からずっと北へ船で行くと黄金の国ジパング。で、世界のどっかにある6つのオーブを集めた者は船を必要としなくなるって話だ。とにかく南に行ってみな」
という具合に。
「おっとそれから今のオレの言葉をよおく心に刻み込んでおけよ」
というのはスーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版であった『おもいだす』『もっとおもいだす』『ふかくおもいだす』という勇者の特技に関連するものだろうが、それの無くなった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4・ニンテンドー3DS版でもセリフは残っている。
まぁ、プレイヤー自身の心に刻み込んでおけばいいので、間違いではないが。
「ファミコン版より、親切になっているのね」
と、パチュリー。
ファミコン版では、
「ここから南、陸に添って船を漕げばやがてテドンの岬をまわるだろう。 そしてずっと陸ぞいを行くとバハラタ。さらに行けば黄金の国ジパング。 世界のどっかにある6つのオーブを集めた者は船がいらなくなるって話だ。とにかく南だ!」
という情報で、
「それは……」
「これはポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマが発見したインド航路であり、ポルトガルの船団が日本(ジパング)に到達したときの航路と同じ。つまり、よりリアルな視点に立った情報だったわけね」
なお、ここの灯台の一階には鉄格子を開けて入ることができる場所に旅の扉があり、
「どこに繋がっているんでしょう?」
試しに行ってみると、
「ここは……」
「レーベ南の草原。ナジミの塔への地下通路の入り口わきにあった、鉄格子の付いた建物ね」
アリアハンへと行くことができる。
「何の役にも立ちそうにないですね」
と小悪魔は言うが……
「今の私たちが思いつかないだけで、将来的に誰かが活用方法を思いついてくれるかもしれないわ」
とパチュリー。
「最初から切り捨てたりせずに色々な可能性を考えて行った末に見つかった技や攻略法も数多く存在するのだし、ここは未来の誰かに期待といったところね」
そして再び船で出発。
教えられたとおり南下し、テドンを目指す。
「貝殻を背負ったスライムさんがいっぱい!」
「マリンスライムの群れね」
マリンスライムが7匹の大群である。
殻が付いているだけあって守備力は100と高く、しかも、
「リメイク版以降だと使うのよね、スクルト」
とパチュリーは状況を分析する。
キャタピラーと同じで、ファミコン版でもデータ上は設定されていたが実際には使われなかったというもの。
リメイク版以降ではそれがアクティブになって、実際に使ってくるのだ。
「まぁ、地獄のハサミが使うインチキスクルトよりはマシだけど」
モンスターが使って来るスクルトには二種類あり、地獄のハサミのスクルトは敵全体の守備力を元の値と同じだけアップさせるというぶっ壊れ性能なものなのだから。
しかし、
「つぼ焼きにしてあげます!」
小悪魔は雷の杖を振りかざした!
杖から雷がほとばしる!
「効かないのも居ます!?」
効けば一撃で倒せるのだが、マリンスライムは火炎系呪文に弱耐性があり3割の確率で無効化する。
四匹までは倒したが、三匹が無傷で生き残り、
「これで!」
パチュリーの炎のブーメランが薙ぎ払い、全滅させる。
「最大ヒットポイントが38と低いから、炎のブーメランなら倒しきれるのね」
そして再び南下。
日も傾き始めたところに、陸地にほこらが見える。
モンスターに遭遇するまでの歩数カウントをリセットするためにも寄ってみるとそこは教会で、シスターが、
「ここはさまよえる船人たちが立ち寄る小さな教会」
と迎えてくれる。
「昔はテドンの村人たちもよく来ていました。でも、今は……」
表情を曇らせ、そう語るが、
「来たことありますよね、ここ?」
「ジパングの対岸にあった旅人の宿屋から旅の扉をくぐって行くことができた旅人のほこらね」
そういうことだった。
再び船で出て、少し南下した後、河を遡る。
日が暮れたところでテドンの村が見えてきて上陸。
ついでにあなほりを5回だけやってみるが、
「ラックの種を手に入れたわ」
この周辺は、ラックの種を1/32の高確率でドロップするシャーマンの出現地帯なのだ。
「ようこそ。テドンの村へ!」
夜なのにも関わらず元気に迎えてくれる村人には悪いが……
「街はボロボロだし、正直不気味ですよね」
おっかなびっくり、朽ち果てた武器屋に入ってみる小悪魔、そしてパチュリー。
だが、
「外見によらず、品揃えは良いですね!」
驚く小悪魔。
テドンの武器店で売られているのはモーニングスター、鋼のムチ、おおばさみ、マジカルスカート、魔法の法衣、魔法の鎧、とんがり帽子。
「そうね、灯台の男性の勧めどおり船を得て最初にここを訪れていれば魔法の鎧が買えていたでしょうね」
その他には、
「僧侶、賢者、遊び人が居れば守備力+21のとんがりぼうしを買うのが良いかもしれないわ。遊び人にとってはこれが最強の兜よ」
と、スライムのような形をした帽子を手に取って見せるパチュリー。
「えらく頑丈ですね?」
「そうね、ドラクエ5から登場し、リメイクで逆輸入されたアイテムだけど、他のシリーズには無い高い守備力を持っているわ」
これは、
「公式ガイドブックのイラストの色からしてメタルスライムに似ているから、つまり後のドラクエ9に登場する守備力+33のメタスラヘルムの簡易版という説もあるわ」
「なるほど、でもどうして僧侶、賢者、遊び人にしか装備できないんですかね?」
「形がティアラ、教皇が被る教皇冠に似ているから、かしらね」
それで僧侶系の僧侶、賢者、そしてそういった縛りに囚われず、さらには悟りの書無しで賢者になれる遊び人のみが身に着けられるということだろうか。
「スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版では、第3のすごろく場のよろず屋でも購入可能だし、第2のすごろく場で何もないマスを調べると拾えることがあるのだけれど」
第2すごろく場は、アッサラームの南西のほこらの中にあるので、この時点で手に入れば破格の性能。
確率は低いが狙って調べるのも良いかも知れないが、
「携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では、すごろく場が廃止された結果、ここテドンの武器店でしか手に入らなくなったわ」
とはいえ、
「女性なら+20と1ポイントだけ守備力が低いけど、もっと安い銀の髪飾りが買えるので不要かも知れないけど」
ということだが。
「同様にすごろく場が廃止された携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では、マジカルスカートはアッサラームのボッタクリの店の他は、ここでしか買えなくなっているわ」
とパチュリー。
「ピラミッドで1着拾えるようになっているとはいえ、魔法の鎧が着れないメンバーが多くて魔法に抵抗力のある装備が欲しい、という場合はここで買うのも良いでしょうね」
という話だった。
その後、住人たちからは、
「魔王は北の山奥ネクロゴンドにいるそうです。近いせいか、ここまで邪悪な空気がただよっているように感じます」
「テドンの岬を東にまわり陸ぞいに、さらに川を上がると左手に火山が見えるだろう。その火山こそが、ネクロゴンドへのカギ」
という具合に、魔王への道筋のヒントが得られるが、
「しかし、よほどの強者でもないかぎり火口には近づかぬほうが身のためだろう」
と忠告される。
「実際、火山のイベント前でも、ネクロゴンドのモンスター、トロル、フロストギズモ、ミニデーモンたちとは戦えるわけなのだけれど」
フロストギズモは経験値が1070と高い割に、炎の呪文に完全無耐性でイオラとベギラマを重ねるだけで倒せる相手。
とはいえ、トロルやミニデーモンなども現れる地域なので、こればかりを楽して狩って経験値稼ぎをする、というわけにも行かないのが難だが。
ドロップアイテムはスーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではすごろく券だったが、ファミコン版、そしてすごろく場の無くなった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では諸刃の剣をドロップする。
ごくらくちょうのドロップをあなほりで狙えるパチュリーには不要であるし、ファミコン版と違って、すごろく券のドロップ率が修正されないまま引き継がれていると思われるのでドロップ率が逆転しているのだろうし、狙う意味は無いが。
一方、
「ミニデーモンのドロップアイテム、不幸の兜を狙うのはアリかしら?」
「……何か、名前からして嫌な感じがするんですけど」
と警戒する小悪魔に、パチュリーは言う。
「勇者と戦士が使えるもので、守備力はオルテガの兜の+30ポイントを上回る、上の世界最強の+35」
それだけ聞くと良さそうではあるものの、
「ただし呪われていて外せなくなるうえ、運の良さがゼロになって呪文への抵抗力が下がるという欠点があるわ」
「やっぱりダメじゃないですか!」
「でも、補助呪文を使ってこないやまたのおろち戦の他、ボストロール戦、バラモス戦で呪文を封じた後に使うなんて生かし方もあるし」
ということ。
「ミニデーモンは世界樹縁辺と呼ばれる世界樹の西、南、北に存在するエリアにも出るから、この位置にこだわる必要も無いけど……」
しかし、
「あなほりなら、アイテム取得判定の関係で、そちらよりここの方が有利という話もあるわね」
「あなほりのアイテム取得判定ですか?」
「……そうね。その内、機会があったら教えてあげるわ」
意味ありげにほほ笑みながら答えるパチュリーだった。
また、魔王の住処に近いせいか、
「ああ空を飛べたら、どんなにステキかしら! そうすれば魔王におびえることもなく、行きたい所へ行けるでしょうね」
と嘆く女性や、
「たとえ魔王がせめて来ようとも わしらは自分たちの村を守るぞい!」
と言う老人の姿があった、
「パチュリー様、「今日も一日ガン掘るぞい!」って言ってみて下さい」
「何の話よ?」
そして、この村には、
「ここは牢獄。立ち去られよ!」
という具合に牢があり、囚人が囚われている。
最後の鍵で鉄格子を開けて中に入ると、
「おお! やっと来て下さいましたね。私はこの時を待っていました。運命の勇者が私のもとをたずねてくださる時を…… さあ、このオーブをお受け取り下さい!」
囚人からグリーンオーブを受け取る。
「世界に散らばるオーブを集めてはるか南、レイアムランドの祭壇に捧げるのです。あなた方にならきっと新たなる道が開かれるでしょう」
と、その使い道についても教えてくれる。
が……
「オーブを入手した人々が不幸になる率が異様に高い件について……」
レッドオーブは海賊が昔盗んだと言っているからには、海賊に襲われた人物が持っていたのだろう。
グリーンオーブはこのとおり、持ち主が投獄。
イエローオーブも街づくりイベントで商人が大金をはたいて購入した結果、住人のヘイトを稼いでしまった商人が投獄。
パープルオーブの持ち主だったヒミコはやまたのおろちに……
例外は地球のへそに安置されていたブルーオーブ、ネクロゴンドのほこらに安置されていたシルバーオーブぐらいか。
また、
「ビリっときましたあああああ!!」
村の奥には足を踏み入れた者にダメージを与える毒の沼地が広がっていた。
しかしパチュリーは小悪魔の悲鳴を無視し、その中に落ちている小さなメダルの捜索を優先。
ダメージにヒクヒクと痙攣する小悪魔を無理矢理曳き回す。
「ひあああぁあぁッ!? あぁっひ、くひいいぃいぃぃ!! ああぁあぁぁッ!!」
連続して加えられるダメージに悶絶する小悪魔!
「死ぬ、このままじゃあ本当に死んじゃいますぅぅぅっ! 許してっ、許してくださいパチュリー様ぁぁぁぁっ!!」
ということだったが、パチュリーは取り合わない。
「知ってるでしょう、スーパーファミコン版以降のリメイク作では毒の沼地やバリアーのダメージでは死ななくなってるってこと」
「だからと言っても、ヒットポイントが減らない、痛くないわけじゃないんですよ!」
単にヒットポイントが1以下には減らなくなっているというだけである。
そもそも、
「何でパチュリー様は平気なんですか!」
という小悪魔からのツッコミに、ふと考え込むパチュリー。
「喘息を抑える強い薬湯を飲み続けているし、魔法薬の作成、試飲で慣れているせいかしら」
つまり、
「毒と薬は同じものよ。使い方によって毒は薬に、薬は毒になる」
そして薬には副作用もある。
パチュリーは常人には毒になりかねない強い薬で喘息を無理矢理抑えているようなものなので、毒の沼地のダメージも、そういった強い薬を飲んで副作用で指先がピリピリしている、その程度にしか感じられないのだ。
「それに何より……」
「それに?」
「あなたがヒットポイント1、瀕死の重傷を負うような状況でも、私のヒットポイントなら全然大丈夫なんだし」
「そ、そうでしたー!」
パチュリーのヒットポイントは小悪魔の倍以上あるのだから、そうなるのは当たり前である。
「まぁ、ドラクエ1のロトの印の頃から、毒の沼地に落ちているアイテムを探させる、というのは定番の展開なんでしょうね」
そして、小悪魔の悲鳴をBGMにしながら毒の沼地を進み、
「あったわ、小さなメダル」
目的のものを発見。
「一々調べなくても、アイテムが隠されている場所に行くとエクスクラメーションマーク、俗に言うビックリマークが出て知らせてくれる親切仕様になっているから楽ね」
これはスマホ版等で見られる仕様である。
なお、
「奥にお爺さんが居ます!?」
と気付く小悪魔だったが、
「話を聞いてみましょうか」
「痛い痛い、毒ダメージが痛いですパチュリー様!」
と、さらにダメージを受ける。
毒沼を超えた場所に居る老人から、
「よいか旅のお方。まず牢屋の扉をも開く最後の鍵を見つけられよ。バハラタのはるか南の島ランシールに行くがよい」
とのアドバイスをもらう。
「今さらですよね!」
叫ぶ、小悪魔。
「まぁ、そうだけれども、ポルトガの対岸にあった灯台の男性の言葉に従えば、船を得て最初に来るのがこの村なんだから、その場合は最後の鍵に続く有用な情報になるでしょう?」
ということ。
この老人のそばにあるツボからは55ゴールドが手に入るのだが、
「毒の沼地のダメージを余計に受けることになるし、この程度、無視しても良いのだけれど」
とスルーしようとするパチュリー。
しかし、
「だ、ダメージは痛いけど、お金のためなら耐えられますっ!」
「そ、そう?」
小悪魔の熱意に押され、ゴールドを回収。
その後、見つけた階段から地下に降りると、
「カンオケです!?」
棺桶が二つ。
パチュリーはそっとカンオケの中をのぞいてみた……
「パチュリー様っ!?」
死んでいるような……
生きているような…… しかしやはりただの、しかばねのようだ……
夜の地下室に置かれた棺桶というホラーな状況にも怯まず調べた結果、その周囲の床からは命の木の実を拾うことができた。
そうしてまた毒の沼地を渡って戻るのだが、
「ひ、ヒットポイントが1/3以下になりました……」
毒の沼地のダメージでヒットポイントを削られてしまった小悪魔。
パチュリーの方はまだまだ余裕なのだが。
「なら宿に泊まってみる? このテドンの村はルーラに登録されないから、ルーラを使って朝にするという技は使えないこともあるし」
それに、
「宿泊料金は一人1ゴールドという最安値だし」
ということだが、
「安すぎです。怪しすぎます。きっとこの街全てが呪われていて、みんな生ける死者なんです。泊まったら大変なことに……」
「私にはゾンビキラーがあるし」
「私は持ってませんよ!?」
いや、正確に言えばゾンビキラーを買う金が無いのだ。
ああ…… それにしても金が欲しいっ……!!
そんな小悪魔にパチュリーは、
「それじゃあ、朝まであなほりして過ごしてみる?」
と提案してみる。
「この周辺に現れるのはゴートドン、魔女、地獄の鎧、シャーマン、腐った死体。それぞれゴートドンが1/64の確率で力の種を、魔女が1/256の確率で消え去り草を、地獄の鎧が1/64の確率で鉄の鎧を、シャーマンが1/32の確率でラックの種を、腐った死体が1/64の確率で布の服をドロップするわ」
種はさらにパチュリーの力を押し上げるし、鉄の鎧は825ゴールドで売却できるため資金稼ぎにもなる。
しかし、
「今以上、これ以上、差を付けられたら私の、勇者の存在意義が無くなってしまいます……」
そんなわけで、苦渋の選択であばら家のようになっている宿に泊まることに同意する小悪魔。
パチュリーもさすがに穴だらけになっている板の間に小悪魔を転がしておくこともできず。
また、何かあった場合に身動きできなかったら死んじゃいます、とふるふると震える小悪魔の主張を受け入れて、変なことはしないという約束の元、拘束をせずに唯一無事な様子の一つのベッドに入り夜を明かすことにする。
「お休みなさい」
「ちょ、ちょっとパチュリー様、そんな簡単に~」
「………」
「ひっ、一人にしないでくださいぃぃぃっ!」
そして翌朝、一緒のベッドで目覚めるパチュリーと小悪魔。
「おはよう、こぁ」
「お、おはようございますパチュリー様。……は?」
街はすっかり廃墟に。
昨夜の人々の姿はどこにも無かった。
「グリーンオーブがあるということは、夢や幻覚じゃなかったということね」
パチュリーは荷物を確かめ納得する。
人影が消えた街を探索。
武器屋の二階に上がると、
「べ、ベッドに白骨死体が~っ!?」
「返事が無い。ただのしかばねのようね……」
昨晩、対応してくれた武器屋の主人のものだろうか?
なまじ、その生前の姿を見ているだけに、戦慄が走ると同時に憐みを誘った。
ここのタンスからは黒頭巾が見つかる。
守備力+18で、武闘家と盗賊が装備可能。
バハラタとサマンオサでも1200ゴールドで売られていたものだ。
また、宝箱からは闇のランプをゲット。
「これは……」
「火を灯すと暗闇が辺りに染み出すという不思議なランプで、強制的に夜にすることができるものよ」
「……どういう理屈なんです?」
「街の住民たちが誰一人として一瞬で夜に変わったことに何の疑問も持たないことを考えると、時の流れを瞬時に進ませているわけではなく、使用者とその仲間に対してのみ作用して半日後に飛ばす一種のタイムスリップをさせるアイテムと推測することもできるわ」
「そんなすごいことできるんですか、これ?」
「もっと安直な説もあるわよ」
「はい?」
「瞬間催眠で立ったまま意識を夜になるまで飛ばすというものよ」
「それは……」
つまり他の人間から見たら、
「ママー、あの人たち立ったまま寝てるー」
「しっ、見ちゃいけません」
というやつだ。
そして、
「城、町、村の中で使うと強制的に入り口に戻される……、城、町、村専用のリレミトとしても利用できるし、フィールドで使うとモンスターに遭遇するまでの歩数カウントがリセットされてしまうという話もあるわ」
「ええっ!? それじゃあ、永遠にエンカウント無しで歩ける……」
「一回夜にしたら、次使えないでしょう? 夜を昼にすることもできる魔法使いの呪文ラナルータなら別でしょうけど」
それでもエンカウントまでの歩数を倍にする忍び足に近いことを代償無しに1回はできるということで、盗賊抜きのパーティでは便利なのかもしれない。
問題は、そのエンカウント直前のタイミングを見切れるかどうかであるが……
グリーンオーブを渡してくれた囚人の所に行って見ると、そこにもまた屍があった。
しかしよく見てみると壁には落書きが……
『生きているうちに、オーブを渡せて良かった……』
「ほ、ホラーです」
「………」
> ファミコン版が発売された頃は、某有名少年マンガ作中で主人公が悪役キャラに「い~~かげんにしろっぴ! このクソガキゃあ!!」とか「マンモス哀れなヤツ!!」呼ばわりされたりしていた時代ではある。
『聖闘士星矢』のデスマスクですね。
『ジョジョの奇妙な冒険』は第二部でジョセフ・ジョースターが柱の男サンタナ相手に「ハッピーうれピーよろピくねー」と言っていた時代です。
> 流行を(中途半端に)取り入れるドラクエらしいと言えばそのとおりだが、「流行ネタはすぐ風化するぞ」「ほら、風化した……」を地で行くセリフであった。
ドラクエ9をリメイクしたらガングロギャル妖精サンディとかも変更があったりするんですかね?
ドラクエ5のリメイクで追加されたデボラみたいに別タイプの妖精を選べるとか……?
ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。