こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
「次はガルナの塔に行ってみましょうか」
賢者への転職に必要な悟りの書があるというガルナの塔だが、
「転職しないから、悟りの書は要らないので行かなかったんでしたよね」
そう小悪魔が言うとおり、行かずに飛ばして進めていた場所だ。
小悪魔のルーラでダーマ神殿に跳んで、
「メタルスライムが出るから毒蛾の粉を持ってね」
準備をして北上するが、
「紫色のおサルさんです!」
「キラーエイプね」
パチュリーにとっては地球のへそで散々相手にしてきたモンスターだったが、小悪魔にとってはこれが初遭遇だ。
何より、アッサラーム周辺で出る下位種のあばれザルの怖さを体験しているだけに緊張するが、
「あれっ?」
雷の杖を振りかざしただけで、キラーエイプの群れは炎に飲み込まれ全滅する。
「このモンスターはアッサラーム近辺で猛威を振るったあばれザルの上位種なのだけれど、あばれザルの最大ヒットポイントがファミコン版で50、スーパーファミコン版以降のリメイクで60もあったのに対し、たった40と倒しやすいのよ」
炎の呪文に弱耐性を持っているため、3割の確率で無効化されなければ、の話ではあるが。
そして小悪魔がレベルアップした。
ちから+4
すばやさ+2
たいりょく+4
かしこさ+1
うんのよさ+3
という結果に。
ステータスは、
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル/タフガイ
性別:おんな
レベル:16
ちから:54
すばやさ:122
たいりょく:48
かしこさ:42
うんのよさ:40
最大HP:94
最大MP:83
こうげき力:121/94
しゅび力:173/163/156
ぶき:ゾンビキラー/はがねのむち
よろい:だいちのよろい/まほうのよろい
たて:ドラゴンシールド/まほうのたて
かぶと:オルテガのかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ/パワーベルト
さらに催眠呪文ラリホーを覚えた。
そしてガルナの塔に到着。
「仏教では慈悲のことを『カルナ』と言うわ。ダーマの神殿といい、何か関係があるのかしらね」
そう語るパチュリーの言うとおり、入り口近くの部屋には、
「人生は悟りと救いを求める巡礼の旅。ガルナの塔へようこそ」
と歓迎してくれるシスターと、
「この塔のどこかに悟りの書とよばれる物が眠っています。悟りの書があれば、賢者にもなれましょう」
と教えてくれる女性の姿があった。
そして、奥へと進む二人に忍び寄って来たのは、
「鳥さんと…… 怪しい影!?」
鳥の頭に足が付いたような、おおくちばしと、正体不明の怪しい影が襲って来る。
「おおくちばしは任せたわ」
「はい!」
1体ずつなので、それぞれに分担する。
小悪魔はゾンビキラーでおおくちばしに斬りかかるが、鳥相手に出せたダメージはたった38。
「私って、こんなに弱かったんですか~?」
おおくちばしはニフラムに完全耐性を持っているのでゾンビキラーの追加ダメージが発生しないということもあるが、これはひどい。
一応、倒せはしたものの、おおくちばしの最大ヒットポイントは43であるから、たまたま相手のヒットポイントが低かっただけという話だったりする。
「こ、こあくまダイーン!! と言いますか、いえ、それよりまるで少年マンガで呪いの装備に洗脳されて主人公たちを苦しめていたライバルキャラが、呪いから解き放たれ、味方になったとたん弱体化して新たなる敵の強さを表現するための噛ませ犬になるっていうパターン……」
「あなたは何を言っているの?」
まぁ、今まで王者の剣に次ぐ攻撃力を持つ諸刃の剣でごり押ししていただけで、実際の小悪魔の実力ではこの程度という話である。
そしてパチュリーの攻撃だが、当然、正義のそろばんは100ポイント近くのダメージを叩き出し、一撃で怪しい影を葬り去る。
怪しい影の正体は不明だったが、何もさせずに片付けてしまえば問題ない。
「何だか分からないけどヨシ、ね」
と言うネコの着ぐるみを着たパチュリー。
そして、
「おおくちばしは、その名のとおりクチバシが素材として売れるのよね」
パチュリーたちは倫理コードの解除に伴いゴールド・ドロップが無効になって、代わりに収入はリアルな剥ぎ取り、つまりモンスターを解体して得られる素材や所持品をゴールドに換金しなくてはならない。
小悪魔はゾンビキラーの刃を使って、しとめた獲物から豪快に剥ぎ取るが、
「金なら1枚、銀なら5枚、送ってね! ってやつですね」
「あなたが何を言っているか分からないわ……」
幻想郷の人間に、外の世界のチョコボールピーナッツの金のエンゼルネタを分かれと言う方が難しいか。
しかしスーパーファミコン版以降のリメイク作にはそのものずばりの『金のクチバシ』というアイテムがあり、装着者の性格を『ラッキーマン』に変えてくれるのは、これが元ネタだからとも言われている。
さらに言うなら『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー3』では『ゴールドエンゼル』という金のエンゼルスライムが登場したりする……
その先の小部屋では宝箱から賢さの種が見つかるが、
「これはあなたに」
パチュリーから種を渡され、ポリポリとかじる小悪魔。
そして、次いで現れたのは、
「マッドオックスとおおくちばしね」
マッドオックスが3体におおくちばしが2体の大群だ。
「どちらも炎の呪文には耐性が無い。なら」
小悪魔の雷の杖がマッドオックスに炸裂し、パチュリーの炎のブーメランが敵全体を薙ぎ払う!
それでマッドオックスは全滅。
さすがにおおくちばしに生き残りが出るものの、
「おおくちばしの攻撃力は55。こちらの守備力はその倍以上あるから、最低ダメージしか受けないわ」
まぁ、2回攻撃をしてくるので、少しはダメージが蓄積するが、
「これで終わりです!」
次のターン、小悪魔が雷の杖を振るうことで戦闘は終了。
その後も、おおくちばしが4体の群れで現れるが、雷の杖と炎のブーメランのコンボで終了である。
「おおくちばしは判断力が0で、隊列を無視して後列にも攻撃してくるから普通のパーティだとうっとうしいのだけれど」
「後列の居ない私たちには関係ありませんものね」
そういうことだった。
またキラーエイプ3体の群れにも襲われるが、
「っ!? 雷の杖が効きません!!」
「キラーエイプは炎の呪文に弱耐性を持っていて3割の確率で無効化するから」
運次第で、こういうこともある。
「まぁ、3体すべてに無効化されるなんて、珍しいことだけれど」
「リアルラックが足りません!?」
ということ。
それでもパチュリーの炎のブーメランが一閃すれば全滅させられるが、複数攻撃武器は後になるほどダメージが減って行くので、
「3体目はギリギリだったわね。今度からは、あなたも鋼のムチで確実にダメージを入れる方が良いかも?」
そういうことになった。
「それにしても、メタルスライム抜きでもなかなかに経験値が入って来ますよね」
「そうね、公式ガイドブックにおけるガルナの塔の到達レベルは21。私たちはそれ以下だし、二人パーティだから経験値は倍入って来るしね」
そうして階段を昇り、空中に張ったロープ上を軽業師のように渡り、階段を下り……
階段の上り下りでフロアが切り替わる度に、あなほりを5回だけ行うパチュリーだったが、
「キメラの翼に賢さの種ね」
「ポンポン出て来ますね」
ついでで、これである。
「キメラの翼は、キラーエイプが1/64の確率で、賢さの種は、おおくちばしが1/64の確率で落とすアイテムね」
ということであるが、
「はい?」
「どうしたの?」
「いえ、おおくちばしって、バカじゃないですか」
「そうね」
おおくちばしの判断力は最低の0である。
「それで、どうして賢さの種が……」
「それを言うなら素早さの種を落とす上位種のデッドペッカーも完全2回行動のため素早いと思われがちだけど、意外にも素早さはたった29しかないわよ」
まぁ、そんなものである。
「毒のあるユーカリを食べるコアラは、体内で生体濃縮した毒を鋭い爪で敵の体内に送り込むことで身を守っているわ。すなわち1年間貯蔵しておくと、どんな相手にでも効く毒が……」
「ええっ!?」
「……なんてことは無いでしょう? 食べ物と能力に直接の因果関係は無いこともある、というのが現実的よ」
まぁ、毒を持つ鳥、ピトフーイの仲間たちは自ら毒を生成するわけでなく、捕食した甲虫類から摂取して身に着けるということをするので、完全に無いとも言えないのだが。
小悪魔に賢さの種を食べさせて、先を急ぐパチュリー。
旅の扉を使って移動するが、
「あなほりで毒蛾の粉が拾えたわ」
「パチュリー様?」
「さっきの旅の扉だけれど、同じ階にワープさせているの。つまり旅の扉の移動なら、同じ階であってもあなほりのカウントはリセットされるということよ」
それが実証されたわけである。
そして階段を昇り降りして、宝箱に入っていた小さなメダルと448ゴールドをゲット。
先を急ぎ……5階でまた、あなほりにより素早さの種を得る。
「これはメタルスライムが1/32の確率でドロップするものね」
というわけで、とうとうメタルスライムが出現する階層にたどり着いたということだった。
その場には2階にもあった空中を渡るロープが張られているが、今度は5階。
ロープの中央付近から飛び降りれば、すぐ下の4階のフロアに着地できるが、端のあたりで足を滑らせると2階まで直行ダイブである。
まぁ、ドラクエの冒険者はどんな高所から落ちようともダメージは負わないのではあるが、それでも足がすくむ。
この物語を仮想体験させる魔導書の中に構築されたドラクエ3の世界ではパチュリーは商人であり、魔法も使えないし飛べないのだし。
鳥肌が立つのは、危険を感じた身体がアドレナリンを放出させるためだろう。
そんなロープの上に一歩足を踏み出したところで、
「パチュリー様、さっき拾った素早さの種を忘れず使っておかないと」
パチュリーの背後から抱き着き、その口に素早さの種を放り込む小悪魔。
自分はまだ床の上に立っているからといって、これは!
「っ!?!?!?」
短時間に速筋を鍛えるための、筋肉痛を凝縮したような痛みがパチュリーの全身に走る!
しかしここは不安定なロープの上、パチュリーは自分の身体に回された小悪魔の腕にすがり付く!
「ダメですよパチュリー様、身体の力を抜いてくれないとマッサージできないじゃないですかぁ」
背後から、パチュリーの耳元にささやく小悪魔の声。
その腕が遠慮なくパチュリーの身体をまさぐり、これまでのマッサージで開発し続けてきたツボを刺激しまくる。
「はぁうッ!!」
耳朶をくすぐる小悪魔の吐息に背筋を走るむずがゆさ。
小悪魔の腕に支えてもらわないと高所から真っ逆さまという恐怖に強張る身体。
そして全身を襲う筋肉痛と、それを解きほぐす小悪魔のマッサージの心地良さ。
「だめ…… だ……め。そんな、あ……あっ」
相反する感覚にいっぺんに襲われ混乱するパチュリーに、小悪魔はにんまりと頬を吊り上げる。
(ふふふ、恐怖や不安を恋愛感情や性的興奮と錯覚してしまう心理現象が『吊り橋効果』ですけど、このドラゴンクエスト3の世界の中ではパチュリー様は飛べない。それを利用して、ここぞという場面で仕掛けたのは正解でしたね)
そして、
「きゃああああっ!」
くん、と勇者の力をもって、パチュリーの身体を持ち上げる。
足がロープから離れる、その恐怖にパチュリーの喉から悲鳴が迸った。
「しっかり掴まっていてくださいね。でないと落ちちゃうかも」
パチュリーの細い腰に回した腕一本でその身体を支えながら言う小悪魔。
言われずともパチュリーは全力でその腕にすがりついている。
(ああ、パチュリー様から全身全霊で、痛い位に抱き着かれているこの充実感!)
そして、小悪魔のもう一方の手は、逃げることも暴れることもできなくなったパチュリーの身体を好き放題にまさぐる。
「私の、身体をっ! モノみたいにっ!!」
持ち上げて……
「はげしっっ」
強引に責める。
「終わってっ、早く終わってっ!!」
主として『命じれば』いつでも止められるものを、混乱しているのか、それとも無意識に止めないことを望んでいるのか『懇願する』主に、
「筋肉痛が、納まるまでっ!? 無理よっ! そんなのむりぃっ!!」
酷いことをささやいて鳴かせてやる。
「こ、こんなぁ、こんな風にされてしまうなんてぇぇ」
ああ、その絶望したような表情が……
「か、かわいいなんて言うなぁ!」
いつもの怜悧な言葉ではなく、切羽詰まった、ただの女の子のように可愛らしい悲鳴を上げ続けるパチュリーに、ゾクゾクと来るような愉悦を感じる小悪魔。
「やめてって、言ってるのに、どうして!?」
それはあなたが『命じて』いないからですよ。
「身体が、逆らって、くれないっ!?」
多分、筋肉痛と混乱のせいで上手く動かせないだけだと思いますけど……
「こぁ、の、手が、私をおかしく……」
そうそう、私のこと身体と精神(こころ)が受け入れているせいだって錯覚してくれれば、
「ダメっ、これはダメっ! ダメに、なっちゃう!!」
ダメになってください。
「あ、ふ…… ああっ!」
混乱の余り、見開かれたパチュリーの瞳から涙が散る!
それを、頬に唇を寄せ、舐め取る小悪魔。
甘い…… あまりに甘すぎる味。
「だめっ、力が入ら、ない……っ」
小悪魔の腕にすがり付くパチュリーの両手がぶるぶると震えだし、
「けっこう粘りますね、パチュリー様。果たしてどれだけ持ちますかね……」
クスリと笑う小悪魔は、パチュリーを責め立てる手に一層、力を入れ、
「ほーら、パチュリー様。もっと感じてもいいんですよ。ほうら、ほら」
ゆさゆさとパチュリーの肉体を揺すりながら耳元に息を放つ。
その揺さぶりに胸下に回された小悪魔の手に持ち上げられた乳房と、恐怖のあまりのけ反り、弓なりになった身体…… 突き出された下半身が、揺れ弾んだ。
「あ、ひいいっっっ!!」
混乱のあまり涙を流しながら、パチュリーは叫んだ。
「ああっ! ああっ!! ああーーーっ!!!」
天上の小鳥がよがり鳴くような、可愛らしくも音楽的な声をあげつつ、パチュリーは少女らしからぬ淫らな動きで絶頂するかのように身体を反らせ、がくがくと腰を突き上げる。
「あ、やっ、あ、あうっ、ああっ、あ」
小悪魔の腕の中、揉み絞るように身体を悶えさせるパチュリー。
そして、とうとう限界に達したのか、
「大好きです、パチュリー様」
「っ!?」
小悪魔が耳元に熱くささやいてやると、その身体が硬直し、それでも弱々しく、
「す、好きなんて言うなぁ……」
と、抗おうとするところに、
「愛していますよ」
被せるように言った言葉が止めとなり、
「やっ、やああっっ」
と叫び、ビクンビクンと身体を跳ねさせたあと、一瞬の間を置いて小悪魔の腕の中で、硬く強張っていた肉体が一気に弛緩する。
「そんなに良かったですか?」
小悪魔の悪戯めいた問いに、しかし答えは無い。
失神したのか、力を失いずるりと落ちそうになったパチュリーの身体を、小悪魔はがっしりと抱え直すと笑う。
「パチュリー様がこの世界では飛べない事を利用して『吊り橋効果』により、恐怖や不安を恋愛感情や性的興奮と錯覚させて刷り込んであげる。こんなにうまくいくとは思いませんでしたよ」
と……
しかし、
「……この、最っ低の、クズ……ッ」
パチュリーにはまだ意識があったのだ!
やばいと顔を引き攣らせる小悪魔だったが、
「もう少しで、本当に、好きに…… なりそう、だった!!」
と口走るパチュリーに、ずくん、と心臓を、精神を、そして子宮を鷲掴みにされたような衝撃が走り、
「パチュリー様ぁ!」
と、力一杯に抱きしめる。
パチュリーはただ身体を弛緩させ、喘ぎ続けるだけだった。
そんなこんなで、
「メタルスライムの群れだわ!」
ロープを渡るパチュリーたちの前に、メタルスライム3体が出現。
ぐにょぐにょ動く癖に、打撃を受けた瞬間だけは固まるという謎の外皮のため、攻撃がなかなか通らない上、逃げ足が異様に速いのだ。
「毒蛾の粉を使うのよ!」
メタルスライムはメダパニに対し弱耐性しか持っていないため7割の確率で混乱する。
そして混乱したモンスターは最後の1体になるまで逃げなくなるのだ。
二人がかりで毒蛾の粉を使い……
「あら?」
「パチュリー様?」
「……いえ、ちょっとおかしなことがね。今はいいから戦闘に集中して!」
「は、はい!」
3体とも混乱状態へと導く。
それまでに敵の攻撃やメラの呪文が飛んで来たが、パチュリーたちは魔法に抵抗力のある防具に切り替えているので問題はない。
一方で、敵の同士討ちで1体が倒れる。
「何でモンスター同士だとダメージが通るんでしょうかね?」
「ダメージの計算式は(攻撃側の攻撃力-受ける側の守備力/2)/2×乱数=ダメージ値なのだけれど」
正義のそろばんを振るいながら説明するパチュリー。
「敵モンスターの打撃は別に攻撃力の0~12%程度の最低ダメージが保障されているのよ」
ということ。
ゆえに混乱したモンスターの同士討ちではその最低ダメージが効いてしまうということだった。
「他にもリメイクで遊び人がレベル5で覚える遊び『石を拾ってお手玉』だと失敗して石が当たって自分か敵に10ポイント程度のダメージが入るのだけれど、これもそのまま効くわ」
同士討ちもそうだが、予期しない攻撃には、メタルスライムの打撃を受けた瞬間だけ固まるという防御が働かない、そう考えればいいのだろう。
そうやって話しながらもこちらの攻撃で1体を倒し、あと1体をもう少しで倒せるというところで逃げられてしまう。
それでも2人でメタルスライム2体を倒したパチュリーたちには、実に一人4140ポイントの経験値が入り、パチュリーはレベル21へとレベルアップ。
ちから+3
すばやさ+1
たいりょく+3
かしこさ+2
さらにメタルスライムは宝箱を落としており、素早さの種が手に入ったので使用することに。
「パチュリー様……」
と目の色を変える小悪魔をきっとにらみ、
「ロープを渡り切ってからよ!」
と宣言するパチュリー。
その言葉に小悪魔は、
(渡ったらいいってこと!? さっきの強引なマッサージにも特に罰は与えられなかったし、パチュリー様、口ではあんなこと言ってるけど、実はもう堕ちてる!?)
などと、内心盛り上がる。
そしてパチュリーはロープを渡り切り着地。
後ろでまだロープ上に居る小悪魔に向かって背中越しに、
「拘束制御術式展開。悪魔罠(デーモントラップ)第3号、第2号、第1号発動」
使い魔としてパチュリーと繋がっているパスを通じて、三重の封魔捕縛式を作動。
小悪魔は指一本動かせない状態で、ロープの上で静止する。
「ちょっ、パチュリー様ぁぁぁっ!?」
不安定なロープの上、しかも拘束を受けていたら、落ちても翼を使えないどころか受け身も取れないではないか。
盛大に慌てる小悪魔を他所に、パチュリーは自分に素早さの種を使用。
「くふっ……」
筋肉痛を凝縮したような痛みにも耐え、素早さを上げるが、
「くっ、+2ポイント、か。やり直しね」
最大上昇値である+3を達成できず、中断の書を使ったセーブ&ロードで最大値の+3が出るまでやり直すことにする。
「こぁ?」
そして振り向くパチュリーだったが、
「あ……」
ちょうど、小悪魔がロープの上から落ちるところだった。
「ひいいいいいっ!!」
しかし、
「は? ……えっ?」
階下に激突する寸前で、パチュリーが中断の書を用い、時を戻すことにより再び小悪魔はロープ上に!
しかし、
「あ、ああ…… ああ……」
小悪魔の顔は恐怖で真っ青だった。
リセットにより時を戻しても、記憶まで無かったことにはならないのだ。
継続している意識には、ロープ上から身動きも取れない状態で真っ逆さまに落ちるという恐怖の異常経験が刻み付けられている。
「こぁ、セクハラをしてごめんなさいと言ってみなさい」
「っ!?」
そして再び素早さの種を口にするパチュリー。
小悪魔はそれを前に、再びロープ上から落下するが……
「ひ、ひいいいいっ!!」
再び時を戻される。
「また+2だったわ」
この恐怖体験は、パチュリーが素早さ+3を達成するまで続くのだ。
「何回目で折れるのかしらね?」
あなたの精神(こころ)。
そう言って素早さの種を口にするパチュリーだったが、
「もうとっくに折れてますぅ! だから助けてっ! 助けてパチュリー様ぁ!!」
小悪魔は叫び、主に訴えかける。
「そう、反省したならいいわ」
うなずくパチュリーは、
「素早さが+3されるまでで許してあげる」
と優しく微笑みかける。
「ひいいいいっ!!!」
まぁ、素早さの種が発生させる筋肉痛を凝縮させたような痛みに耐えるパチュリーもまた大変なのだが。
そうして、ようやくのことで素早さ+3ポイントを達成した結果、ステータスは、
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:ごうけつ/タフガイ
性別:おんな
レベル:21
ちから:105
すばやさ:83
たいりょく:110
かしこさ:29
うんのよさ:38/88
最大HP:215
最大MP:59
こうげき力:230/162
しゅび力:131/121/111
ぶき:せいぎのそろばん/ほのおのブーメラン
よろい:ぬいぐるみ/マジカルスカート
たて:ふうじんのたて/まほうのたて
かぶと:ぎんのかみかざり
そうしょくひん:ごうけつのうでわ/しあわせのくつ
ということに。
なお、小悪魔もレベルアップしていたので、
ちから+3
すばやさ+2
たいりょく+4
かしこさ+2
うんのよさ+3
となり、ステータスは、
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル/タフガイ
性別:おんな
レベル:17
ちから:57
すばやさ:126
たいりょく:52
かしこさ:50
うんのよさ:43
最大HP:104
最大MP:97
こうげき力:124/97
しゅび力:175/168/165
ぶき:ゾンビキラー/はがねのむち
よろい:だいちのよろい/まほうのよろい
たて:ドラゴンシールド/まほうのたて
かぶと:オルテガのかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ/パワーベルト
という結果に。
パチュリーはネコの着ぐるみ姿で、
「ヨシ!」
と自分と小悪魔のステータスを確認するが、
「ヨシじゃないですよ! 落ちる落ちる落ちるーっ!!」
ロープ上、拘束状態で叫ぶ小悪魔。
もう駄目だ、というところで何とか助けてもらうのだった。
「むー、むー」
「ちょっと、何よ、こぁ」
むーむー言いながら、抗議するようにパチュリーの身体に頭をぐりぐり押し当てる小悪魔。
しかし、その頭に生えている悪魔の翼は、まるで叱られた子犬の耳のようにぺたんと伏せられていて……
(ああ、やりすぎだったようね)
パチュリーは理解する。
先ほどのお仕置きでは小悪魔に傷一つ負わせていない。
それどころか、パチュリーの方が素早さの種を使った副作用の痛みに何度も晒されていたわけであるが……
しかしパチュリーと小悪魔では、大人と赤ん坊以上の力量差がある。
例えば、本当にぶたなくても大人が赤ん坊に暴力を振るうようなそぶりを見せれば、それはトラウマじみた傷を心に負わせてしまうだろう。
それぐらい怖かったのだ、とパチュリーは小悪魔の心情を理解する。
「もう怒ってないし、もうしないから」
と言ってなだめようと小悪魔の頭に手を伸ばし、
「っ!」
びくっと身をすくめる僕に罪悪感じみた心地悪さを感じ、それを打ち消すためにも、
「大丈夫、大丈夫」
そう言いながら優しく丁寧に撫でてやる。
そうしてやると徐々に小悪魔の身体のこわばりが解け、安心したかのようにすりすりと頭を、そして身体をパチュリーに擦りつけてくる。
本当に、叱られた後の子犬のように。
(あー、もう……)
邪険にするわけにも行かず、それを甘んじて受け入れるパチュリーだった。
ロープを渡り切った場所にある階段を上がる。
そしてそこにあった宝箱から、銀の髪飾りをゲット。
「もう買ってあるし、これは売却処分ね」
ということだが。
そして階段を降りて再び5階、ロープの張られたフロアに戻って来るが、
「また素早さの種が手に入ったわ」
あなほりで素早さの種をゲット。
さて、
「反省してる?」
「してます、してます」
先のお仕置きがよほど恐ろしかったのか、コクコクとうなずく小悪魔に、ため息をついて、
「だったら誠心誠意、邪念を捨ててマッサージしなさい」
そう、指示を出し素早さの種を口にするパチュリー。
立て続けに3つも口にするのは大変だったようで、まともなマッサージは欲しかったのだ。
「ん…… そこ、そう……」
さすがにお仕置き直後では小悪魔も自粛したのか、まっとうなマッサージに満足するパチュリーだった。
しかし……
「くふっ、は、あ、あぁ…… いい…… んっ!」
今までの小悪魔の仕込みのせいか、妙に色気のある吐息交じりの声。
そしてマッサージする指が飲み込まれていくような、柔らかな肉体。
それを前に小悪魔は、
(何ですか、このお預けプレイは―っ!!)
と、血の涙を流さんばかりに身悶えするのだった。
再びロープ上を進み、中央付近から飛び降りて、すぐ下の4階へ。
あなほりで、
「鉄の爪!?」
「ガルーダが1/128の確率でドロップするアイテムね」
という具合に鉄の爪を拾った後に、ひび割れに再度飛び降り、3階へ。
そこから階段で降りたところには宝箱があって、
「悟りの書が手に入ったわ」
賢者への転職を可能とする悟りの書が手に入る。
ファミコン版の公式ガイドブックでは仏教における経典のような蛇腹状の本の形をしていたが、スーパーファミコン版の方では巻き物(スクロール)になっている。
「『まきものはおまえをすくうろうる』ですね」
「『ここはだじゃれのくに』じゃないのよ」
『だじゃればかりいってるのはだじゃれ』である。
「でも、ずいぶん長い道のりでしたね」
と言う小悪魔だったが、
「実を言えば5階に上がったらロープを渡らず即飛び降りることで、このフロアには着くのよ」
「はい?」
4階のフロアに着地できず、2階まで直に落ちてしまう。
するとここに直行できてしまうのだ。
「まぁ、普通は6階の銀の髪飾りを手に入れるでしょうから、その帰りだと、今来たルートを辿った方が早いのでしょうけど」
ということだった。
ついでにこのフロアで5回、あなほりをすれば命の木の実が二つ手に入った。
「これはスカイドラゴンが1/64の確率でドロップするアイテムね」
ともあれ、これでガルナの塔の探索は終了。
小悪魔のリレミトで脱出した後は、ルーラで帰るだけである。
叱られわんこな小悪魔と、シュンとされると罪悪感からすぐに許してしまう、ちょっとダメ飼い主なパチュリー様の、心温まるハートフルぴゅあコメディでした。
次回はアープの塔ですが、その前に世界樹の葉をもう一度拾いに行ったり、ジパングの洞窟から般若の面を拾ったり。
そしてファミコン版、スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版には無かったはずの現象が……
ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。