こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
「ラーの鏡も手に入れたし、これでボストロールと戦えるようになったわね」
パチュリーは攻略前の下準備のため、小悪魔のルーラでアッサラームに跳ぶ。
そこから船で南下。
テドンで聞いた火山を横目に上陸するが、
「ここまでエンカウントが無い…… 嫌な予感がするのだけれど」
そのとおり、目的のエリアに一歩足を踏み入れた瞬間に現れる巨体!
「トロルです!」
粗末な毛皮をまとい棍棒を手にした、人型と言うには醜悪過ぎる腹の出た褐色の肌の化け物。
それが2体である。
「トロルの最大ヒットポイントは250! 守備力は32と低いけど、それでも先制で倒しきれるものでは無いわ」
このヒットポイントは、ボスキャラを除けば上の世界で爆弾岩に次ぐ二位のものだ。
ゆえにパチュリーは正義のそろばんではなく、炎のブーメランで削りに行く。
幸い、トロルはラリホーやメダパニ、マヌーサには弱耐性しか持たないので、
「ラリホーで眠らせて」
と小悪魔に指示するが、しかし、
「ダメです、寝ません!」
そして反撃で30台、40台のダメージを受ける。
「ひぎぃっ! らめぇ、そんな太いの壊れちゃうぅ」
叫ぶ小悪魔。
確かにトロルはぶっといトゲ付き棍棒を振り回しているのだが、
「ファミコン版だと棍棒を持ってなくて素手だったのだけれど」
「えっ、じゃあフィストをぶち込まれて、わからせられてしまうんですか、パチュリー様!?」
「何の話をしているの?」
おそらくスーパーファミコン版でリメイクするにあたり攻撃モーションを付け加えた結果、上位種で棍棒を持っているボストロールやトロルキングと別に素手で殴るモーションを作るのは無駄ということでそれ以降、棍棒を持たされたのだろう。
そもそもトロルのドロップアイテムは棍棒なのだし。
「「武器や防具は装備して身につけるように! 持ってるだけじゃダメですぞ!」ですね」
「えっ、まぁ、うん」
小悪魔が言っているのは、アリアハンの城で兵士がアドバイスしてくれる言葉だ。
初代ドラクエでは武器を購入するだけで自動的に装備されたが、2以降は身に着けることが必要になり、このように作中でアドバイスしてくれるキャラが出るようになった。
ファンの間ではトロルの棍棒のように、ドロップするぐらいなら何で自分で使わないの? というモンスターに対してのツッコミの言葉として広まっているのであった。
そして次のターン、
「今度こそ!」
小悪魔はラリホーで何とか1体を眠らせるが、やはり残った1体の攻撃が凄まじい。
「トロルの攻撃力は155もあって、ボスを除けば上の世界でトップ。ボスや固定キャラを含めてもバラモス、人食い箱、ボストロールに次いで4位」
炎のブーメランを飛ばしながら語るパチュリーだったが、
「はい? それじゃあ……」
「中ボスの、やまたのおろちより上なのよ」
ということ。
「しかも2/8、つまり1/4の確率で痛恨攻撃を放ち、決まれば守備力無視で約140ポイントの大ダメージを与える」
「やめてくださいしんでしまいます」
現在の小悪魔の最大ヒットポイントは146だが、既に傷ついてそれを割っているようにギリギリ過ぎて戦闘中、常にキープできるものではない。
特に複数で現れていては。
「さらに判断力が0でバカだから勇者パーティの隊列が認識できず、平気で後列を殴ってくる相手よ」
パチュリーたちは前衛職しか居ない二人パーティなので関係無いが。
次のターン、もう一度ラリホーを唱えて、ようやく2体とも眠らせる。
小悪魔の鋼のムチ、そして放ち続けたパチュリーの炎のブーメランで目覚める前に何とか倒しきり、戦闘は終了。
経験値が一人1030ポイント入るが、苦労に見合うかというと、疑問だったりする。
確率の問題なので、ここで経験値稼ぎを続けていたら、いつかは痛恨攻撃を受けて死亡しそうである。
……小悪魔が。
「それじゃあ、あなほりをしましょう」
パチュリーは中断の書を利用したあなほり回数のリセットを繰り返しながら掘るのだが、
「出まくるわねぇ、諸刃の剣」
この周辺に出現するフロストギズモのドロップ品、諸刃の剣がポンポン出てくる。
ファミコン版では1/128の確率でドロップしたものだが、スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではすごろく券を1/32の確率でドロップするよう変更され。
そしてスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版においては、すごろく場が無くなったために、すごろく券をドロップするモンスターはドロップ品をファミコン版と同様のものに差し戻したのだけれど、ドロップ率を戻すことを忘れていた、というもの。
極楽鳥もそうだったが、やはりスーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ですごろく券を落としていたモンスター全般が戻し忘れているということらしかった。
そして開始7分で、
「出たわ不幸の兜」
目的のものを掘り当てたので終了。
これはこの周辺に現れるミニデーモンが1/128の確率でドロップするアイテムだ。
「他にトロルのドロップアイテムの棍棒が一本と、諸刃の剣が5本ね。こんなにあっても要らないから、売り払おうかしら。一本が3750ゴールドで売却できるから、5本で18750ゴールドね」
「な、7分あなほりしただけでそれだけ儲かるんですか!?」
これが商人の能力“いともたやすく掘り出されるえげつない高額アイテム”
とばかりに戦慄する小悪魔。
この時期ではピラミッドで1体につき350ゴールドを得られる笑い袋を倒しまくるのが一番効率のいいゴールド稼ぎだと言われているが。
それでも一度に1体しか倒せず、しかもリメイクのピラミッド3~6階はエンカウントまでにかかる歩数が2倍、1、2階は4倍必要なように設定されている、という話もあるため、黄金の爪を拾って呪い状態にするか、遊び人がレベル13で覚えるモンスターを呼び寄せる特技『くちぶえ』を使うかしないと効率が悪い。
そしてそれだけやっても、7秒に1回以上のペースで倒せなければ勝てないという……
しかも、
「不幸の兜目当てだったんだから、そのついでよ?」
「ついでで、それ……」
小悪魔も、開いた口が塞がらない。
「あとはジパングの洞窟でも、あなほりしなくちゃね」
小悪魔のルーラでジパングに跳び、洞窟から出たり入ったりしてカウントをリセットしつつ、あなほり。
開始から15分で、
世界樹の葉 1
キメラの翼 2
毒蛾の粉 16
とげのむち 1
力の種 1
所持金の半額 90,215ゴールド
を掘り出す。
「きゅ、きゅうまんごーるど……」
先ほどの諸刃の剣の束が可愛く思える収入に、小悪魔は眩暈すら感じる。
「そういえば、小さなメダルも貯まっていたわね」
アリアハンに戻ってメダルおじさんから、小さなメダル65枚で入手できる『疾風のバンダナ』をゲット。
スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版では70枚で手に入ったものだったが、携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では、65枚に変更され、代わりにドラゴンテイルが70枚で交換できるようにされている。
パチュリーは疾風のバンダナを手に取って見定めた。
「疾風のバンダナは装飾品のようね。これを身に着けていれば素早さが上がるようね」
素早さを+30してくれるというもの。
「星降る腕輪の下位互換ですか?」
「そう思われがちだけど、戦士のように素早さが低くて30未満しか無い場合はこっちの方が効果が高くなるわよ」
ということ。
さらに、
「稲妻みたいな動きでみんなから電光石火って呼ばれるようになるわね」
身に着けた者の性格を『でんこうせっか』に変えてくれるというものだ。
『でんこうせっか』は素早さの成長補正が最高の+40される上、他の能力値には補正がかからない、つまりマイナス補正がまったくつかないという性格。
補正皆無の『ふつう』や『へこたれない』はもちろん、素早さだけが取り柄で他にマイナス補正がかかる『すばしっこい』『おっちょこちょい』『うっかりもの』の完全上位互換で、
「僧侶や魔法使い、賢者なんかに向いていそうですね」
と小悪魔の言うとおりなものだった。
しかし僧侶、魔法使い、ついでに勇者は最初にこの性格にすることはできなかったりするのだが。
「お店に持って行くのはもったいないと思うけど……」
とパチュリーが言いよどむとおり限定品で、スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではこの他にジパングの第5すごろく場の会場内からもう一つ拾えるが、すごろく場の無くなった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では完全な一点ものとなっている。
それでも星降る腕輪と豪傑の腕輪を持っているパチュリーたちには不要と思えるため、
「727ゴールドで売れるわね」
と売却することになる。
もっとも、後から考えると二人の今の最大のボトルネックは攻撃力ではなく、勇者がベホイミを覚えるのはレベル29以降、ベホマは33以降と回復手段に難があること。
つまり『ボスキャラ攻略時に二人とも守備力優先で上げた方がいい場合もある』ため、取っておいた方が良かったのかも知れないが。
アリアハンの勇者の実家で休憩後、キメラの翼でサマンオサへと跳ぶ。
「どうしてルーラを使わないんですか?」
「今のあなたのマジックパワーは117。作戦上必要とされる呪文の消費マジックパワーは6で、薬草が切れた場合に必要になるホイミの消費マジックパワーは3。つまり……」
「ああ、ルーラの消費マジックパワーが1だとしても、116に減ったらホイミ1回分が使えなくなるってことですか」
「そう。そしてサマンオサの宿屋の料金は一人20ゴールド。キメラの翼は25ゴールドだから」
「二人で泊まって40ゴールド払うより、キメラの翼を使った方が安いですね」
そんなはした金、パチュリーにとってはどうでもいいのだが、赤貧にあえぐ小悪魔が居ることだし、ボストロールを倒せば今度はエルフの里での買い物があるのだし。
それに、
「キメラの翼も、あなほりでついでに拾えていて貯まる一方だし」
ということもある。
「今使わずして、いつ使うのだ! ですね」
サマンオサの城は、昼間では問答無用に兵士に牢へ入れられてしまうため、闇のランプを使って夜に忍び込むことに。
そして王の寝室で最後の戦闘準備。
「あなたは補助と回復さえしていればいいから武器は要らないわ」
ゾンビキラーを取り上げられる小悪魔。
「またですか~」
「草薙の剣で敵の守備力を下げてもらうから、不安なら装備しておけば?」
どうせボストロールはニフラムに完全耐性を持っているので、ゾンビキラーの追加ダメージは発生しない。
ゾンビキラーと草薙の剣の攻撃力は2ポイントしか違わず、これは実ダメージにおいて約1ポイント差、誤差範囲であるとも言えるし。
「そして不幸の兜を装備して守備力を上げてもらうわ」
不幸の兜は、この上の世界で最高の守備力+35を誇る。
今小悪魔が被っているオルテガの兜が守備力+30であるから、5ポイントの上昇だ。
ただし、
「ええっ、不幸の兜って呪われて外せなくなるうえ、運の良さがゼロになるんですよね!? ボストロールってルカナンで守備力下げてくるってお話ですけど、魔封じの杖やマホトーンなんかで呪文を封じた後に切り替えるならともかく最初から?」
「それだと薬草を持てる数が一つ減るでしょう? 問題ないから被りなさい」
と、無理矢理不幸の兜を被らされてしまう。
これで小悪魔の守備力は+5され、186ポイントに。
「あとは世界樹の葉を2枚と、保険のための祈りの指輪、それから薬草を持てるだけ持って。私も念のため薬草を持つわ」
最終的に、二人のステータスと装備は、
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:ごうけつ
性別:おんな
レベル:24
ちから:117
すばやさ:94
たいりょく:129
かしこさ:32
うんのよさ:45
最大HP:252
最大MP:64
こうげき力:242
しゅび力:137
ぶき:せいぎのそろばん
よろい:ぬいぐるみ
たて:ふうじんのたて
かぶと:ぎんのかみかざり
そうしょくひん:ごうけつのうでわ
その他:やくそう×7
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル
性別:おんな
レベル:21
ちから:72
すばやさ:138
たいりょく:72
かしこさ:58
うんのよさ:0
最大HP:146
最大MP:117
こうげき力:137
しゅび力:186
ぶき:くさなぎのけん
よろい:だいちのよろい
たて:ドラゴンシールド
かぶと:ふこうのかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ
その他:せかいじゅのは×2、やくそう×4、いのりのゆびわ
じゅもん:メラ、ホイミ、ニフラム、ルーラ、ギラ、アストロン、リレミト、ラリホー、マホトーン、トヘロス
そしてラーの鏡を使い、映し出された偽の王の正体、それは緑色の肌をした醜い巨体のモンスター、ボストロールだった!
「見~た~なあ? けけけけけっ、生きて帰すわけにいかぬぞえ」
小悪魔は草薙の剣を振りかざした!
青い光が地面を走る。
しかし、
「効きません!?」
「ボストロールは草薙の剣の効果やルカナン、ルカニといった守備力を下げる呪文に強耐性を持っているから70パーセントの確率で無効化されてしまうわ」
そしてボストロールの棍棒がパチュリーに振り下ろされる!
「早いっ!?」
ボストロールの素早さは80。
星降る腕輪で素早さを倍の138まで上げている小悪魔はともかく、素早さの種で強化しているとはいえ94ポイントのパチュリーでは、リアルラック次第で先手を取られてしまう。
「くっ!」
60ポイント越えの大ダメージを受け、さらにボストロールは2回行動でルカナンを唱える。
パチュリーは抵抗に成功したが、不幸の兜で運の良さをゼロにされてしまっている小悪魔は、
「守備力を下げられちゃいました~」
守備力が半減する。
「装備技でリセットすればいいでしょう!」
パチュリーは正義のそろばんで100ポイント近くのダメージを叩き出しながら言う。
「そうでした!」
小悪魔は防具を装備し直すことで、下げられた守備力を回復。
「でも、ここからが問題ですよ!」
と小悪魔が言うとおり。
ボストロールは完全ルーチンの2回行動で、
通常攻撃+ルカナン → 痛恨攻撃+通常攻撃 → 通常攻撃+痛恨攻撃 → ルカナン+通常攻撃
を繰り返す。
最初のターンこそ何とかなったが、第2、第3ターンで繰り出される痛恨の一撃は守備力無視で160ポイント前後のダメージを叩き出し、小悪魔ならヒットポイントフルでも、これだけで即死。
さらにボストロールの180ポイントの攻撃力は通常攻撃でもパチュリーなら最大60台、小悪魔でも50台のダメージを叩き出す。
そして最初のターンでは2回行動の後にルカナンだったので装備技で守備力を回復できたが、4番目のターン、ルカナンで守備力を下げた直後の攻撃ではこの方法は取れず、パチュリーで80台、小悪魔で70台ものダメージを受ける。
対してパチュリーたちの回復手段はスーパーファミコン版を元にした携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版の流れをくむこの世界では回復量が30~40に落ちている薬草と、30~39の小悪魔のホイミ、そして2回だけ死亡からフル回復できる世界樹の葉だけ。
仮に運よく痛恨の一撃が出なくとも、押し切られてしまうのは目に見えていた。
通常のパーティなら、マホトーン、魔封じの杖でルカナンを封じつつ、スクルトで自分たちの守備力を上げ、ダメージを減らそうとする。
それでも守備力無視の痛恨攻撃は防げないし、ルカナンを封じた場合、ローテーションは、
通常攻撃+痛恨攻撃 → 通常攻撃+通常攻撃 → 痛恨攻撃+通常攻撃
に切り替わり、かえって痛恨攻撃の頻度は上がるため食らう率が高くなる。
スーパーファミコン版ならバイキルトがかかっていると会心、痛恨が出ないというのを応用して、スクルトで十分に守備力を上げた後に、ボストロールにバイキルトをかけるという奇策で痛恨を封じることもできるが。
そうやって固めるまでに痛恨を受けて負ける可能性もあるし。
そもそもファミコン版、ゲームボーイカラー版ではバイキルトがかかっても痛恨は出るし、スマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版では敵に補助呪文をかけるということ自体出来ない。
つまり、いずれにせよ痛恨が出ないよう祈るしかないというもので、ボストロール攻略には、どんなに方法を極めても運が絡むのが避けられない。
そう言われていた。
だが、それもパチュリーの知略と二人の力の前には過去のものになる。
「アストロンよ、こぁ」
「は、え?」
パチュリーの指示により、小悪魔はアストロンの呪文を唱えた。
味方全体を鉄の塊にし、3ターンの間、無敵状態とする呪文だ。
ターンの最初に最優先で発動するため、敵も味方もどんなに素早くても先攻はできない。
しかし、
(あらゆる攻撃を受け付けなくなりますが、その代わり行動が一切とれなくなります。これに何の意味が?)
ボストロールは、痛恨攻撃+通常攻撃 → 通常攻撃+痛恨攻撃 → ルカナン+通常攻撃と、完全ルーチンの攻撃を放ち続けるが、すべて徒労で終わる。
(マジックパワー切れを狙って?)
そう考える小悪魔だったが、ボストロールの最大マジックパワーは255。
そして255が指定された場合、マジックパワーは減らず無限扱いとなるので意味はない。
まぁ、スマートフォン版においては、
「無限のはずのバラモスのマジックパワーが切れるぞ」
という声も聞かれるので、もしかしたら無限扱いではなく単に255ポイントになっているのかもしれないが。
ただ、そうだとしても小悪魔の魔力が切れる方が先だろうから意味は無い。
3ターンが終了し、アストロンの効果が解けた。
小悪魔は再び草薙の剣を振りかざすが、
「効きませんっ!」
そして今度は先攻できたパチュリーの攻撃は、80ポイント台のダメージ。
「やっぱり守備力120を抜くのは大変ね」
だからこそ7割の確率で無効化されるとはいえ、小悪魔に草薙の剣を使わせ続けているのだが。
ボストロールの反撃は、パチュリーに命中。
さらに2回行動のルカナンが小悪魔の守備力を下げるが、
「あれっ!?」
「気付いたようね」
そう、ボストロールは完全ルーチンの2回行動で、
通常攻撃+ルカナン → 痛恨攻撃+通常攻撃 → 通常攻撃+痛恨攻撃 → ルカナン+通常攻撃
を繰り返す。
つまり180ポイントの攻撃力が繰り出す、小悪魔ならヒットポイントフルでも一撃死する160ポイントダメージの痛恨攻撃や、ルカナンで守備力を下げられた直後の攻撃が怖い3ターンをアストロンで飛ばせば、通常攻撃+ルカナンのターンだけ攻撃できる。
ルカナンの効果は装備技で打ち消すことができるから、実質1回の通常攻撃だけしか受けなくなるということである。
なお、魔封じの杖や呪文でルカナンを封じた場合、ローテーションは、
通常攻撃+痛恨攻撃 → 通常攻撃+通常攻撃 → 痛恨攻撃+通常攻撃
に切り替わる。
かえって攻撃が激しくなるうえ、アストロンで飛ばすことができなくなるのだ。
「アストロンの消費マジックパワーは6ポイントで結構重いんですけど……」
ぼやく小悪魔だったが、
「今まで何のために、あなほり分も含めて手に入った賢さの種すべてをあなたに食べさせてあげていたと思うの? あなたのマジックパワーは117。アストロンだけなら19回唱えられるわ」
ボストロールの最大ヒットポイントは1500であり、パチュリーが80~100ポイント台のダメージを与えている以上、最後まで封じきれるだろう。
万が一に備えて祈りの指輪も持っていることだし。
「そして星降る腕輪に加え不幸の兜まで使って守備力を上げた上、私の後ろに配して死なないようにしている、生かしているのは何故か、ということ」
そういうことであるが、
「そ…… それじゃ私、アストロンを唱えるために生きてたんですか」
勇者なのに、という話だった。
そうしてふたたび攻撃の激しい3ターンをアストロンでスキップ。
装備技で下げられた守備力をリセットし、小悪魔は草薙の剣を振りかざした!
青い光が地面を走る!
ボストロールの守備力を60下げた!
「効きました!」
今度こそ効果があり、ボストロールの守備力が120ポイントから60ポイントに半減。
そこにパチュリーの攻撃が炸裂し、120ポイント越えのダメージを与える。
ボストロールの反撃は、
「今度は私っ!?」
やまたのおろち戦の時とは違い、パチュリーの背後に居た小悪魔に炸裂!
50ポイント近くのダメージを与えた後、ルカナンで守備力を下げてくる。
「慌てず装備技で守備力リセット、アストロンで3ターンスキップして!」
「はい!」
治療をするにも、アストロンでスキップしてからだ。
そうしてパチュリーは常に100ポイント超えのダメージを叩き出し、小悪魔は自分のヒットポイントが削れたら薬草で回復、そうでなければ草薙の剣を使って守備力ダウンを狙う。
パチュリーへのダメージは平均で55ポイント前後、小悪魔へのダメージは42ポイント前後だろうか。
それを繰り返していくと、とうとうパチュリーが倒れる。
「パチュリー様っ!」
すぐにでも治療したい気持ちをぐっと抑え、小悪魔はアストロンでボストロールの痛恨やルカナンで守備力を下げた直後の攻撃をスキップ。
装備技で守備力リセット後、パチュリーに世界樹の葉を使って蘇らせる。
このターンは、攻撃を自分が受ける覚悟をするが……
「あれっ?」
ボストロールの攻撃はパチュリーに向けられた。
「ボストロールの判断力は最高の2。つまり私たちのようにターン開始時に行動を決定するのではなく、ターン中、行動直前に決められるのよ」
それゆえに、ターン中に復活したパチュリーをターゲットとしたわけである。
「賢い方が戦いやすい場合もあるってことね」
小悪魔が死亡すると攻略パターンが崩れる為、攻撃はなるべくパチュリーの方に行って欲しいのだ。
ルカナンで守備力を下げられるが、装備技でリセット、アストロンで3ターンスキップ。
これを繰り返す。
残念ながら小悪魔の振るう草薙の剣は効かず。
小悪魔の治療に使う薬草が切れ、ホイミに切り替えたあたり、アストロン14回目で、
「ぐげげげ…… お、おのれ…… うぐあーっ!!」
ボストロールが沈む。
まさに完封、完全勝利にパチュリーは、
「パーフェクトね、こぁ」
と
それに対し小悪魔は恭しく、
「感謝の極み」
と一礼するが、
「……ですが、せっかくパチュリー様があなほりで手に入れた二枚目の世界樹の葉、出番がありませんでしたね」
「そうね、安全マージンは十分にあった。つまりこの勝利は運によるものではないという証明だと思えばいいんじゃない?」
まぁ、痛恨の一撃も、ルカナンで守備力を下げたところに180ポイントの攻撃力で殴る、という機会もそもそも一度も与えていないため、運が介在する余地はほぼ無い。
よくRTA(Real Time Attack)、ゲームスタートからクリアまでの実時間(時計で計測した現実の所要時間)の短さを競うプレイや、低レベルクリア、縛りプレイなどで「勝率は6割のところを1度でクリア」などという話も聞くが、この攻略方法では、まず負けることが無いのだ。
こうして、
パチェによってニセの王様は倒され、すぐさま本物の王様が助け出された……
「何ですか、このナレーション! まるでパチュリー様だけで倒したようになってますっ!?」
「あなたのサポートと回復は重要だったけれど、1ポイントたりともボストロールにはダメージを与えていないわけだし?」
まあ、そうなるなという話である。
そして夜が明けた!
「ボストロールを倒した王様の寝室に居るわけですけど……」
と、小悪魔。
「ヒットポイント、マジックパワー共にフル回復しています。私たち、この血に染まる惨劇が起こった部屋で寝たってことですか?」
部屋に出現していた宝箱から、この騒動の元となった変化の杖を回収。
これだけの騒ぎを起こしたアイテム、正直、世界の果てにでも捨ててしまいたいような気がするが……
「再びここに座れるとは思わなかった。心から礼をいうぞパチェ!」
と王にも感謝される。
しかし、
「やっぱりパチュリー様が勇者扱いされてるー!」
まあ、そうなるなという話である。
そんな小悪魔は放って置いて、
「もう、コウモリやヤモリを料理しなくてもいいんです! うれしくてうれしくて……」
「その時点で、普通におかしいって気付きなさいよ」
城のメイドの話に突っ込むパチュリーだった……
ボストロールに完封勝利したパチュリー様たちでした。
ベホイミも無い状況で二人だけで勝てるんですね、と我ながら感心したり。
普通のパーティだと小悪魔ほど勇者のマジックパワーは多く無いでしょうけど、祈りの指輪で補えばいけそうですし、応用もできそうですよね。
次回はエルフの里でお買い物の予定です。
まぁ、その前に買うものが無かったのでしばらく放って置いた公平配分、精算をしておかないといけないのですが。
ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。