こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3) 作:勇樹のぞみ
託された船にあんな部屋(プレイルーム)があるなんて、と落ち着かなくなったパチュリーは、改めて隅々まで船内を見て回ったのだが、
「何、ここ……」
ワラが敷かれ、鎖の付いた首輪が並ぶ船倉に立ち竦む。
小悪魔はその首輪を手に取ると、弄びながらこう答える。
「パチュリー様。先ほどのは、まだヒトが繋がれるお部屋でしたけど……」
おののくパチュリーに、とっておきの毒を流し込む小悪魔。
「この船のさらに下層に在るここは飼育室。家畜が逃げ出さないよう、首輪でつないでおく場所なんです」
今は空だったが、大航海時代、大洋を渡る大型船には羊やヤギなどが載せられていたという。
「もちろん新鮮な乳や肉を得るためのものですけど、船乗りの男たちの性欲解消にも使われたっていう俗なお話も……」
「なっ!?」
あまりの内容に身をすくませるパチュリーの目の前で、小悪魔は自分の首にそれ、家畜を繋ぐための首輪を巻いて行く。
カチャリ……
金具のかかる、小さな音がやけに耳に響いた。
「一緒に繋がれてみませんか、パチュリー様」
「何を……」
「司書権限で船員さんたちに私たちをただの家畜、羊さんやヤギさんだと認識させてあげるんです」
パチュリーたちに大洋を渡る大型帆船の操船ができるはずも無いので、この船も船員込みでポルトガ王から借り受けているものだ。
彼らの雇用主はポルトガ王であり、またパチュリーたちが行く先々で独自の判断により交易を行い食い扶持を稼いでいるので給料を支払う必要も無く、プレイヤーの目には止まらない存在ではあるのだが……
しかし小悪魔は言う。
「家畜と同じように繋がれ乳を搾られたり…… 海の男たちの欲求不満の解消に使われてみる、今、ここでしかできない体験ですよ」
パチュリーの細い首筋を、指先でなぞりながら言う小悪魔。
「今からパチュリー様の首につけてあげますが」
自分が付けているものと同じ、鎖付きの首輪を手に小悪魔は迫る。
「ゆっくりとやりますから、もちろんお嫌でしたら拒んでもいいですよ」
「あ、ああ…… ぁ……」
選択の余地を与えられたことが、パチュリーを余計に混乱させる。
有無を言わさず繋がれるなら小悪魔に無理やりされた、と言い逃れできるのだろうが、この場合、拒まなければパチュリーは小悪魔の淫靡で倒錯した提案に同意したことになってしまうのだ。
「さぁパチュリー様、首輪が近づいていきますよ」
「そ、そんなぁ、そんなこと……」
今、ここでしかできない体験……
確かにそのとおりで、しかもこの本の中の世界での出来事は現実のパチュリーには何の影響も及ぼさない。
しかし、これはパチュリーの主人としての、いやヒトとしての尊厳の終わりを意味する。
あまりのことに頭が真っ白になってしまったパチュリーは、うわごとのように意味のなさない呟きをもらしながら震えるだけで。
「家畜に堕ちてしまいますよ。自分の欲望に負けちゃうんですか、パチュリー様?」
「だ、だめなはずなのに……」
おののき震えるパチュリーの首筋に、ついに首輪が巻き付けられ始める。
「これが完全に巻かれて金具が止められてしまったら、その瞬間からパチュリー様は家畜に成り下がるんですよ。いいんですか?」
「ああ、終わっちゃう…… 私が、私が……」
混乱のあまりに動けない、抵抗できないパチュリーに、小悪魔は最後の言葉をかける。
「あと少しでも動かせば鍵がかかって、パチュリー様は家畜として繋がれてしまいます。止めるならこれが最後ですよ」
「も、もう…… だ……」
そしてとうとう、
「終わりです、パチュリー様!」
カチャリ、という小さな音と共にパチュリーの心が手折られる。
今この瞬間、パチュリーは薄暗い船倉、飼育室に繋がれた、船員の欲望を吐き捨てられる家畜へと成り下がったのだ!!
もう、逃げられない。
「あああああっ!」
コット、折り畳み式のアウトドア用ベッドの上で跳ね起きるパチュリー。
ここは船ではない。
内陸に離れたネクロゴンドの洞窟の前。
彼女が商人の特技『おおごえ』で呼び出した旅の宿屋のテント張りの部屋だ。
つまりは、
「ゆ、夢…… なんて夢を……」
「どうしたんです、パチュリー様」
隣で小悪魔が起きる気配。
「寝汗でぐっしょりじゃないですか」
そう言いつつ、手にした布で、パチュリーの汗を丁寧にぬぐって行く小悪魔。
その手が首筋に回され、世話され慣れているパチュリーは、拭きやすいようにと首を差し出すが、
ずくん!
その仕草が、先ほどの夢の内容に重なった。
すなわち小悪魔に自ら首筋を差し出し、首輪を甘んじて受け入れるという行為に!
「あ、ああ……っ」
淫らな夢…… 夢特有の自分で自分の身体が動かせない、自由にできないという現象から、首輪を巻かれてしまったパチュリー。
その異常経験のせいでパチュリーの身体に灯っていた官能の残り火が、再び赤々と勢いを取り戻す!
「こぁ……」
壮絶な色香を放つパチュリーの瞳に射すくめられた小悪魔は、
(パチュリー様が発情したっ!!!!)
と歓喜すると同時に、自分の首筋を差し出したままプルプルと震えている主人がどんな行為を望んでいるかを敏感に察する。
そして、
「ふふっ、これ、船から持ち出してきたんです」
彼女がポケットから取り出したのは、飼育室にあった首輪!
パチュリーが見た夢と違って昼間、現実には拒まれたそれを小悪魔は密かに持ち出していたのだ。
「こぁっ、こぁっ……」
首輪を目にし、一層興奮した様子で自分の愛称を呼ぶパチュリーに、
「お望みどおり、つないであげますね」
小悪魔は首輪を丁寧に、巻き付けて行く。
そして、
カチャン……
「あっ……」
「お似合いですよ、私の可愛いパチュリー様」
まるで首輪をつけた動物を愛撫するかのように頬を、髪をワシャワシャと撫でる小悪魔。
その仕草にパチュリーは、本来は主人である自分が、使い魔である小悪魔に愛でられるだけの動物。
そのように扱われているのだと察し、ぶるりと身体を震わせるのだった……
十分に休憩を取ったパチュリーたちは、ネクロゴンドの洞窟に挑む。
(先刻の、あの小悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ)
ということにして。
実際、体験したことを夢で見るのは誰にでもあること。
そして身体が思うように動かないという夢は誰だって見る。
寝ているときに、実際の身体は動かないのだから。
この二つが偶然にも重なってしまっただけであって、それをもって、
(自分にそういった被虐癖があるのでは……)
などと考えるのは深読みが過ぎるというものだ。
パチュリーのように頭の良い人物は、物事の本質や人情の機微をとらえようと思考するあまり、逆に真実からかけ離れてしまうことがある。
特にヒトの思考や心理に対しては何かしらの意味やつながり、整合性を求めてしまうのだが、それが間違いなのだ。
戦場で、間抜けな敵軍の指揮官が考え無しのバカげた行動を取ったのを見て、
「この常識外れの大胆な行動には何か意味があるはず。やはり罠か……」
などと考えて絶好のチャンスなのに攻撃を控えて勝ちを逃してしまう理論派軍師みたいな感じで。
世界はもっといい加減で偶然に満ちていて、人の思考も頭脳派の人間が思うほど理論的でも合理的でもなく、衝動や何となく、たまたまで決められていることが大半である。
ともあれ頭を切り替えたパチュリーは、これからについて考える。
「ネクロゴンドの洞窟はここまでに出て来たトロル、フロストギズモ、ミニデーモンに加えて、ザキ、ザラキを唱えるホロゴーストと、二回攻撃で焼けつく息を吐きまくってマヒさせてくる地獄の騎士が追加で出現するのが厄介よ」
ゆえに、
「即死呪文が効いた場合に身代わりに砕け散ってくれる命の石と、マヒ治療のための満月草を持って行くわよ」
「お店で買える満月草はともかく、ここまでで拾える命の石はサマンオサ城と、サマンオサ南の洞窟で得られる2個だけでしたっけ?」
「そうね、だから通常の4人パーティだとメンバー全員には行き渡らないわね」
「ああ、ですからエルフの隠れ里で買える天使のローブを魔法使いだけでなく僧侶、賢者といった後衛に身に着けさせておくといいんですね」
「天使のローブの効果はザキ、ザラキの命中率を半減させるものだから、確実とは言えないのだけれどね」
それでも、
「無いよりはマシでしょう。特に攻略に詳しいプレイヤーだと、他の能力値を優先して運の良さの成長率を犠牲にしている場合が多いから。即死も含めた状態異常攻撃には弱くなっているでしょうし」
使えるとされる有能な、尖った成長補正を持つ性格の多くは運の良さを犠牲にしているため、そのようなことが起こる。
まぁ、パチュリーたちの場合は、小悪魔は運の良さの成長補正が高いセクシーギャルであるし、パチュリーはあなほりで比較的簡単に得られるラックの種で補正しているから人並み以上に状態異常には強くなっているのだが。
ともあれ、
「その点、二人パーティなら確実に拾える2個の命の石だけで完全防御ができるし、私のような商人なら、あなほりで爆弾岩のドロップを比較的短期間で掘り出すことができる」
とパチュリーは以前、諸刃の剣を掘り出すついでに得られた、もう一つの命の石を見せる。
このように予備があれば、さらに安全安心だ。
「盗賊が居るパーティなら……」
「爆弾岩が命の石をドロップする確率は1/128よ。盗賊が居たとしてもここを攻略する段階のレベルでは人数分の入手は大変だと思うわよ」
そんなわけでパチュリーたち勇者と商人の二人パーティは、ホロゴーストのザキ、ザラキに対しては他のパーティより遥かに楽に、安心して戦えるのだった。
そうやって備えつつ入ったところで、さっそくホロゴースト4体の群れと遭遇。
もっとも、
「まぁ、他の厄介なモンスターと一緒でなければ鋼のムチと炎のブーメランでお終いなのだけれど」
と瞬殺。
経験値は一人当たり2080ポイントと美味しいし、これで小悪魔はレベルが上がる。
ちから+6
すばやさ+2
たいりょく+4
かしこさ+1
うんのよさ+5
ステータスは、
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル/タフガイ
性別:おんな
レベル:24
ちから:86
すばやさ:152
たいりょく:86
かしこさ:63
うんのよさ:63
最大HP:171
最大MP:124
こうげき力:153/126
しゅび力:188/181/178
ぶき:ゾンビキラー/はがねのむち
よろい:だいちのよろい/まほうのよろい
たて:ドラゴンシールド/まほうのたて
かぶと:オルテガのかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ/パワーベルト
という結果に。
そして昇りの階段に到達。
ここは高地に上って行く洞窟。
入ったところが地下1階で、そこから上に続くのだ。
ゆえに、階段を昇って1階へ。
まずはひたすら西へと進み、1つ目の宝箱から小さなメダルをゲット。
「あと1枚でドラゴンテイルが手に入るわね」
この洞窟でそれは手に入るのだが、しかし交換のためにアリアハンに戻るのはめんどくさすぎるという問題が。
そしてまたホロゴースト4体に遭遇し、瞬殺。
「レベルが上がったわ」
パチュリーはレベル27に。
「さすがに今回は豪傑の腕輪を外せなかったわね」
というわけで、
ちから+5
すばやさ+1
たいりょく+4
かしこさ+2
うんのよさ+1
となり、ステータスは、
名前:パチェ
職業:しょうにん
性格:ごうけつ/タフガイ
性別:おんな
レベル:27
ちから:136
すばやさ:99
たいりょく:143
かしこさ:38
うんのよさ:47/97
最大HP:278
最大MP:73
こうげき力:261/193
しゅび力:139/129/119
ぶき:せいぎのそろばん/ほのおのブーメラン
よろい:ぬいぐるみ/マジカルスカート
たて:ふうじんのたて/まほうのたて
かぶと:ぎんのかみかざり
そうしょくひん:ごうけつのうでわ/しあわせのくつ
ということに。
そして次に見つけた宝箱からは、
「稲妻の剣です!」
待望の稲妻の剣を入手。
勇者、戦士が使える武器で、攻撃力は+82。
そして戦闘中、道具として使うと全体攻撃呪文、イオラの効果があるというもの。
「それじゃあ、この剣はあなたに。私は雷の杖をもらうわ」
これでフロストギズモ対策は万全である。
レベルアップのためにも出てきて欲しいところであった。
しかし現れたのはミニデーモン。
先制されて低ダメージな直接攻撃と冷たい息を吐かれたものの、炎のブーメランと鋼の鞭で倒しきる。
そして次の宝箱から出てきたのは刃の鎧。
勇者、戦士が装備できるもので、守備力は+55。
さらに受けた物理ダメージの半分を敵にも与える効果を持つ。
「これもあなたの装備ね」
これも小悪魔に。
そして遭遇したのが、ミニデーモン、トロル、地獄の騎士各一体の群れ。
「ここは対トロルの物理防御優先で!」
守備力重視の防具に切り替え、小悪魔は稲妻の剣で地獄の騎士を攻撃!
「倒しきれません!?」
地獄の騎士の最大ヒットポイントは75。
小悪魔は74ポイントダメージを出しており、非常に運が無い所で倒しきれないでいた。
しかし、
「まだ!」
パチュリーの炎のブーメランがミニデーモンのついでに地獄の騎士を倒しきる。
残ったトロルが小悪魔を殴るが、小悪魔の守備力は193と高まっており、苦しいほどのダメージにはならないし、刃の鎧の効果で受けたダメージの半分を返している。
そして次のターン、
「これで!」
「終わりよ!」
小悪魔の稲妻の剣とパチュリーの正義のそろばんが炸裂し、トロルを倒しきった。
「それじゃあ、薬草で治療して」
パチュリーの指示で小悪魔は自分を薬草で治療。
そして昇り階段に到着。
2階に上がる。
ここからは踊る宝石、そしてライオンヘッドが出るようになる。
パチュリーはついでに5回だけあなほりをするが、
「不幸の兜が出たわ」
これはミニデーモンが1/128の確率でドロップするアイテムであり、
「やまたのおろち2回戦目に使う予定だったからちょうどいいわね」
「ええっ、また私、それを被るんですか!?」
という話だった。
そしてひたすら南下して行くと、
「ライオン、さん?」
小悪魔が途中で首をひねるとおり、ライオンに見えて背にコウモリのような羽が生えており、脚は六本もあるというモンスター、ライオンヘッド二匹がフロストギズモ2体を従えて登場する。
「最大ヒットポイント115、守備力80の相手。睡眠、火炎呪文に対しては強耐性、魔封じには弱耐性」
氷結呪文のヒャド系、風のバギ系、ついでに勇者の雷撃呪文デイン系には無耐性だが、パチュリーたちには使えない。
「ミニデーモンを強化した感じかしら」
攻撃力は120。
ベギラマとマホトーンを使うという相手。
「とりあえず装備は魔法耐性優先で先にフロストギズモを倒しましょう」
ゆえにパチュリーは炎のブーメラン、小悪魔は稲妻の剣をあえて使う。
「強耐性でも通じる3割の確率に期待するのは、さすがに虫が良すぎたかしら」
小悪魔の稲妻の剣はライオンヘッドには通じなかったが、パチュリーの炎のブーメランのダメージと合わせてフロストギズモを倒しきる。
ライオンヘッドはベギラマを唱えるが、魔法に耐性のある装備を身に着けているのでその効果も半減。
直接攻撃も小悪魔に当たり、15ポイント程度で済む。
そしてあとは小悪魔の鋼のムチとパチュリーの炎のブーメランで終わりである。
薬草で治療し、先に進む。
賽の目状に並んだ6つの落とし穴を横目に通過し、昇り階段が見えてきたところで、
「またライオンさんです!」
ライオンヘッド、ミニデーモン、地獄の騎士の集団だ。
「また、面倒な取り合わせを……」
各一体ずつなのでまだマシだが、
「防具は魔法耐性主体で、私は炎のブーメラン、こぁには稲妻の剣で地獄の騎士を倒させる?」
ということを狙うが、
「地獄の騎士が生き残った!?」
わずかにダメージが足りず、地獄の騎士からの攻撃を許す。
「まずい!?」
二回行動、味方全体にマヒを誘発させる焼けつく息を警戒するが、通常攻撃のみしかせず、パチュリーは胸をなで下ろす。
ライオンヘッドもまた通常攻撃で、ダメージは大したことは無い。
「なら次で止め!」
小悪魔は再び稲妻の剣を振るい、地獄の騎士に止め。
そしてパチュリーの正義のそろばんがライオンヘッドに止めを刺した。
薬草でパチュリーのヒットポイントを回復させ、3階への階段を昇る。
ついでに5回だけあなほりをするパチュリーだが、
「出たわ、嘆きの盾」
これはライオンヘッドが1/256という低確率でドロップするアイテムだ。
「勇者と戦士が装備できる盾で、守備力+42と上の世界では最高の守備力を誇るものね」
「おお!」
感心する小悪魔だったが、
「呪われる上、装備者が受ける打撃ダメージを半減し、減少した分のダメージをパーティの誰かに与えるという特殊効果をもたらすわ」
「ダメじゃないですかー!」
という話だが。
「そうでもないでしょう? うちのパーティなら私の方がヒットポイントが高いんだから、あなたが使えば痛恨を受けたとしてもあなたが即死する確率が低くなるし、守備力が高いあなたを前に出せるようになるから、その分、パーティ総合のダメージは減るわ」
「なるほど!」
「例えば、このネクロゴンドの洞窟に来るまでのルートは簡単確実に倒せて経験値の多いフロストギズモ相手にレベル上げをするのに使えるのだけれど、下手をすると同じ場所で出るトロルの痛恨で死傷者ばかり出る、なんてことにもなりかねないわ」
トロルの痛恨の一撃は140ポイント前後のダメージを叩き出す。
小悪魔の最大ヒットポイントも今は171まで上がったとはいえ戦闘中、常にキープできるものではない。
「その点、嘆きの盾を装備してあなたが受けるダメージを半減させてやれば、即死の危険も無く安全に経験値稼ぎができるわけ」
ただし、
「魔法の盾やドラゴンシールドといった、耐性のある盾を使えなくなるのが問題なのだけれど」
ということはある。
「そういう点では、ボストロールとの対戦前に手に入っていれば有用だったんでしょうけどね」
ボストロール戦であれば、呪文耐性もブレス耐性も関係無いため有用だったろうにという話。
「ただ、このことに関してはリメイク以降の話よ。ファミコン版なら、そもそも耐性のある盾なんてアレフガルドに行かないと手に入らない勇者の盾だけなんだから」
ということであるし、
「それにファミコン版だと刃の鎧と同時に装備すると、反射ダメージだけが処理されて、嘆きの盾は単なる硬い盾になってしまうって話だし」
「ファミコン版だと? リメイクでは……?」
「それは面白い命題ね」
中断の書を用いて試してみる。
「……ダメですこれ」
ファミコン版とは逆に、嘆きの盾の味方にダメージを半分与える効果が出るだけで、刃の鎧の反射ダメージが処理されなくなるという具合。
「仕方ないわね」
中断の書で時間を巻き戻し、無かったことにするが、
「ただ、確かに面白い装備ではあるのよ。だから将来的には誰かが思いもよらない活用方法を編み出すかも知れないわ」
そう語るパチュリーだった。
そして3階を東へ進み、地割れの先にある昇り階段を目にしつつ身を投げる。
「ひあああああっ!」
落ちたところは2階の独立した大広間。
パチュリーはとりあえず、あなほりを5回だけ行い、
「命の石が出たわ」
ホロゴーストのドロップアイテム、命の石を拾う。
ファミコン版では1/256の低確率でドロップしたものだが、スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではすごろく券を1/16の確率でドロップするよう変更され。
そしてスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版においては、すごろく場が無くなったために、すごろく券をドロップするモンスターはドロップ品をファミコン版と同様のものに差し戻したのだけれど、ドロップ率を戻すことを忘れていた、というもの。
極楽鳥などもそうだったが、やはりスーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ですごろく券を落としていたモンスター全般が戻し忘れているということらしかった。
「二個目の予備が手に入って、さらに安心安全ね」
「もう、商人のあなほりがあれば、ホロゴーストのザキ、ザラキは気にしなくてもいいんじゃないかって感じですね」
そういうことになった。
このフロア真ん中、壁にある燭台から真っすぐ南に進んだ床の上には小さなメダルが隠されているが、
「一々調べなくても、アイテムが隠されている場所に行くとエクスクラメーションマーク、俗に言うビックリマークが出て知らせてくれる親切仕様になっているので楽ですね」
と小悪魔。
これはスマホ版等で見られる仕様。
「これでメダルは70枚。ドラゴンテイルと交換できるのだけれど」
戻ってまた来るのは非常に面倒なため、このまま行くことにする。
部屋の北側にある階段を昇り3階へ戻ると、そこは先ほどの亀裂を渡った先につながっているので、南下して落ちる前に目にした階段へ。
それを昇れば最終フロア、4階だ。
「この階ではホロゴーストが出ないから命の石は要らないわ。代わりにガメゴンロードが出るから万が一に備えて草薙の剣を持っていて」
「草薙の剣? つまり剣に宿ったルカナンと同じ敵の守備力を下げる力が必要だということですか?」
「ガメゴンロードはガメゴンの上位種で、魔法反射呪文マホカンタの使い手。優先行動に設定されているから大抵最初のターンに唱えてくるわ。素早さが90もあるから、私たちでもリアルラック次第で先制されるし、この時期の普通のパーティだと、まず阻止できないわね」
「そうですね。仮に自分の方が素早かったとしても、万が一先攻された場合を考えると呪文攻撃はできませんね」
物理で倒そうにも、
「守備力はガメゴンと同じ200で、最大ヒットポイントは大幅に強化されていて120、それが最大2匹まで出現するわ」
「それは倒しきれませんね」
「倒そうと思うならバイキルトを使うぐらいしか無いのだけれど、長いネクロゴンドの洞窟の最終階、普通ならマジックパワーも枯渇気味でしょうし」
ただ、
「ファミコン版だと、笑い袋や踊る宝石と同等の回避率『1/16』が設定されていたから、バイキルトで強化しても攻撃をひらりとかわされる、なんてこともあったのだけれど」
「カメが回避!?」
驚く小悪魔。
パチュリーは苦笑すると、
「実際、カミツキガメなんかはジャンプして噛みついてきたりするし、カメの中にも素早いものは居るのよ」
「言われてみれば素早さ90でしたね……」
これは上の世界では、はぐれメタルの150、ミミックの100に続く第三位のものである。
「まぁ、この回避率設定はスーパーファミコン版以降のリメイクでは無くなったものだから、今は気にしないでいいわ」
とはいえ、
「厄介な相手だからと言って、逃げてやり過ごそうにもガメゴンロードのモンスターレベルはこのネクロゴンドの洞窟で出現するモンスターの中で一番高い36、レベル差で確実に逃げるなんて方法も使えないから、攻撃力113の打撃と、2/7の確率で吐くパーティ全体に30~40の炎ダメージを与える火炎の息によってヒットポイントをゴリゴリと削られることになるわ」
しかし、
「ただ、マホカンタの呪文反射は道具を使用して生じる効果には無効なの。呪文に対して軒並み強耐性持ちなガメゴンロードだけれども、ラリホー、マヌーサに弱耐性、ルカナン、ルカニには完全無耐性だから」
「ああ、だから草薙の剣ですか」
「そう、ファミコン版ではそれしか対抗手段が無かったわ」
故にファミコン版では草薙の剣はガメゴンロードキラーとも呼ばれていた。
実際、使えば大幅に攻略難易度が下がるものだったし。
逆に言えば普通のルカナン、ルカニの使い手が居るパーティで草薙の剣の道具使用によるルカナンの効果を生かせる相手が、ガメゴンロードぐらいしか居ないということでもあったが。
だが、
「リメイクだと眠りの杖がありますよね。なら草薙の剣は要らないんじゃ?」
と気付く小悪魔。
「そうなんだけれど、リメイク版以降だと1/7の確率で使うのよね、スクルト」
「はい?」
キャタピラー等と同じで、ファミコン版でもデータ上は設定されていたが実際には使われなかったというもの。
リメイク版以降ではそれがアクティブになって、実際に使ってくるのだ。
「まぁ、地獄のハサミが使うインチキスクルトよりはマシだけど」
モンスターが使って来るスクルトには二種類あり、地獄のハサミのスクルトは敵全体の守備力を元の値と同じだけアップさせるというぶっ壊れ性能なものなのだから。
ともあれ、
「スクルトで守備力を上げられてしまったら、さすがにそれを下げることが必要になるでしょう?」
ゆえに草薙の剣はやはり準備しておいた方が良いのだ。
そうして装備を整えて進んでいくと、ライオンヘッドと地獄の騎士二体ずつが登場するが、幸い魔物たちは驚いていて一方的に攻撃することができた。
次のターンの先制で全滅させる。
そして次に現れたのは、
「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
「落ち着きなさい」
「ほあああああっ、宝石っ、踊る宝石ですっ!」
お金持ちモンスター。踊る宝石。
しかも単独出現。
「これはもう、倒すしか!」
小悪魔の金銭への渇望が込められた稲妻の剣が一撃で倒す!
そして、
「1023ゴールドをゲットです!」
さらに進むと、
「何でしょう、これ、崖?」
と小悪魔が言うような真っ暗な一角があって、そこに足を踏み入れると、
「あ、抜けられましたね」
正解の道が開かれる。
後は分岐も無くまっすぐ外への階段を目指すだけ。
しかし、
「いい目があった分、逆の目もあるのね」
魔物に驚かされた!
相手はガメゴンロードとフロストギズモ1体ずつ。
ガメゴンロードはマホカンタを張り、フロストギズモはヒャダルコを唱える。
しかし、
「耐魔法防御装備のまま歩いていて良かったわ」
パチュリーたちは魔法に耐性のある防具を身に着けていたのでダメージは半減。
「それじゃあ、行きます!」
小悪魔は眠りの杖を振りかざした!
敵を甘い香りが包み込む!
事前に二人で話し合ったとおり、魔法反射呪文マホカンタは道具の使用効果には効かない。
ファミコン版では草薙の剣が唯一の対抗手段だったが、リメイクには眠りの杖があり、それが通じる。
……まぁ、ガメゴンロードの弱耐性に阻まれて効かなかったが。
一方パチュリーは正義のそろばんでフロストギズモを倒す。
ガメゴンロードは燃え盛る火炎を吐いたが、そこまでだ。
「下位種のガメゴンが使って来る、眠りを誘う甘い息の方が厄介だったのだけれど」
それに比べれば火炎の息はそこまで怖くはない。
次のターンで止めを刺す。
そして小悪魔のレベルが上がった。
ちから+3
すばやさ+2
たいりょく+3
かしこさ+2
うんのよさ+5
ステータスは、
名前:こあくま
職業:ゆうしゃ
性格:セクシーギャル/タフガイ
性別:おんな
レベル:25
ちから:89
すばやさ:156
たいりょく:89
かしこさ:65
うんのよさ:68
最大HP:176
最大MP:126
こうげき力:171/129
しゅび力:195/188/180
ぶき:いなずまのけん/はがねのむち
よろい:やいばのよろい/まほうのよろい
たて:ドラゴンシールド/まほうのたて
かぶと:オルテガのかぶと
そうしょくひん:ほしふるうでわ/パワーベルト
という結果に。
そして昇りの階段に到達。
外へ。
「おー」
と小悪魔が感心するとおり、目の前には水と山地に囲まれた魔王バラモスの城が。
今は行けないので、東に見えるほこらを目指す。
そのネクロゴンドのほこらには貴人の姿があって、
「なんと! ここまでたどりつく者がいたとは! さあ、このシルバーオーブをさずけようぞ!」
とシルバーオーブを渡してくれる。
「そなたなら、きっと魔王をうち滅ぼしてくれるであろう! 伝説の不死鳥ラーミアも、そなたらの助けとなってくれるであろう」
そう言い添えて。
このほこらの北壁にある墓の前からは小さなメダルが見つかる。
スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版では他にすごろく券が2枚手に入ったのだが、この世界は携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版の流れをくむもの。
すごろく場が無いため、ここで出るすごろく券も無くなっているのだった。
「それじゃあ、帰りましょうか」
小悪魔のルーラでアリアハンに戻る二人だった。
ネクロゴンドの洞窟を突破。
> ファミコン版とは逆に、嘆きの盾の味方にダメージを半分与える効果が出るだけで、刃の鎧の反射ダメージが処理されなくなるという具合。
私はiPhone版で確認しました。
ゲームボーイカラー版とかはどうなんですかね?
次回はやまたのおろち2回目にチャレンジする予定です。
ベホイミが無いと倒すのが難しいと言われていますけど、無しでのチャレンジですね。
12/30(木)の更新はお休みさせていただきます。
次回更新は1/6(木)の予定です。
ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。