こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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やまたのおろち2回目

「小さなメダルが貯まっているから景品と引き換えましょう」

 

 アリアハンの井戸に入り、メダルおじさんから小さなメダル70枚の景品、ドラゴンテイルを受け取る。

 

「ドラゴンの尾を加工して作られている鞭ね。攻撃力は+52で、勇者、戦士、盗賊、遊び人、賢者が装備可能。戦士にとっては初めて装備できる複数攻撃武器よ」

 

 スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版では第3すごろく場のクリア景品であり船入手後すぐに手に入れられたが、この世界の元となった携帯電話版から続くスマートフォン版、PlayStation 4、ニンテンドー3DS版ではすごろく場が無くなったため、このようにメダルの景品とされ、入手は最速でもネクロゴンドの洞窟前と遅くなっている。

 パチュリーたちは商人の街イベントを進めていないので、入手は今のタイミングになったが。

 スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではマイラのすごろく場でももう一つ手に入ったが、すごろく場の無い携帯電話版以降では、完全な一品ものとなっている。

 

「これ以上の範囲攻撃武器はグリンガムのムチと破壊の鉄球しかないし、それを別にしても盗賊、遊び人にとってはバラモスを倒しアレフガルドに行くまでは単体攻撃武器を含めてもこれが最強の攻撃力を持つものよ」

「えっ? 盗賊って、これで上の世界では打ち止めなんですか?」

「そうよ、メダル75枚でドラゴンクロウが手に入った携帯電話版という例外はあるけれども、それも以降のスマホ版などでは80枚入手に戻っているし」

 

 それで小悪魔は気づく。

 上の世界ではドラゴンクロウが手に入らない。

 つまり、それ以下の武器しか使えない盗賊、そして武闘家は……

 

「あれっ? 盗賊、それに武闘家って、上の世界のボスキャラ戦では意外と役立たず?」

 

 と。

 

「そうね、盗賊、武闘家が上の世界で装備できる武器の攻撃力は低いわ」

 

 パチュリーはそう言って考え込む。

 

「ドラゴンテイルの攻撃力+52、そして武闘家の黄金の爪の攻撃力+50は、僧侶でも使えるゾンビキラーの攻撃力+67より遥かに下。何なら魔法使いが使える理力の杖の+65より下よ」

 

 ということ。

 

「もちろん前衛職は力の能力値が高いから、総合の攻撃力では後衛職には負けないけれど」

「それでもボストロール、やまたのおろち、バラモスを相手取るには不足がありますよね?」

「そうねぇ、攻略情報が広く知られるようになった結果、中ボスも低レベル攻略が普通にできるようになって」

 

 そうなると、

 

「レベルが低いと素の力の能力値もまた伸びていないから低い。結果として武器の攻撃力の差がより効いてくるようになっているわ」

 

 レベル稼ぎをせずに先に進んで強力なアイテムを手に入れることで強化して、というようなプレイをしていると特に……

 

「大器晩成型と言えば聞こえはいいけれど、だったら早熟なメンバーでパーティを編成してさっさと下の世界、アレフガルドまで進み、はぐれメタル狩りができるようになってから改めてキャラを育成した方が、かかる労力は少なかったりするわね」

 

 これは転職にも言える。

 ダーマの神殿のすぐ近く、ガルナの塔でメタル狩りができるからと早め早めの転職に走りがちだが、実際には転職せずにバラモスを倒してアレフガルドまで進み、はぐれメタル狩りができるようになってからした方が労力的には楽な場合が多い。

 

 ガルナの塔のメタルスライム狩りより、アレフガルドで行うはぐれメタル狩りの方が圧倒的に効率的なのだから。

 レベル上げ作業は、後になればなるほど楽。

 それを忘れてはいけない。

 

「もちろん早解きや効率プレイだけがすべてじゃないんだから、自分が望むとおりにプレイすればいいのだけれど」

 

 ということではある。

 

「そもそもロールプレイングゲームとはその名のとおり、役割を演じるゲームなんだから」

 

 つまり、

 

「例えば僧侶は賢者の完全下位互換だけれども「自分は女僧侶がお気に入りだから転職させずに使い続けるよ」とかでもいいのよ」

 

 多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)の走り、『ラグナロクオンライン』ではそういうコンセプトで、エタアコ(エターナル・アコライト)とかエタプリ(エターナル・プリースト)を楽しんでいた人々も多かった。

 有利不利や効率だけがRPGの楽しさではないのだ。

 

 まぁ、それはそれとして、

 

「あなたの装備も色々変わったし、ここで一度精算をしておかないとね」

 

 小悪魔向けの装備を色々と入手したので、その精算である。

 エルフの隠れ里で買い物をした後の所持金は、

 

小悪魔:1162G

パチュリー:272695G

 

「ここから、それぞれの収入を足すと」

 

小悪魔:7488G

パチュリー:279021G

 

「それで稲妻の剣と刃の鎧、ドラゴンテイルを手に入れたけれど、これらは私にも所有権があるから、あなたのものにするならその半額7725ゴールドを私に払わないといけない」

「ま、また借金ですか!?」

「大丈夫よ、今まで使っていたゾンビキラーと大地の鎧、鋼のムチを売ると18675ゴールドの収入になるから」

 

小悪魔:18438G

パチュリー:286746G

 

「あとは私があなほりで拾った命の石だけれど、これは共用の消耗品として扱おうかしら。売却価格600ゴールドの半額300ゴールドを負担してもらうわ」

「それくらいなら」

 

小悪魔:18138G

パチュリー:287046G

 

 となった。

 

「それじゃあ、やまたのおろち2回戦目をやりましょうか」

 

 小悪魔のルーラでジパングに跳ぶ。

 

「やまたのおろち2回戦目は、1回戦目に比べて能力が強化されているわ」

 

 これから挑む相手に関する情報を提示するパチュリー。

 

「最大ヒットポイントが1800から2000へ、攻撃力も130から140へ。素早さが40から50へ」

 

 守備力は68のまま据え置きだったが。

 

「微増、ってところですか?」

「そうね、ただランダムで1~2回行動だったのが、完全2回行動になっている。ここが大きいわ」

 

 一方、

 

「攻撃オプションが、攻撃:5/火炎の息:3だったのが、息切れしたのか、攻撃:5/火炎の息:2/火の息。一番怖い火炎の息を使う確率が減って、弱い火の息を使うように弱体化しているけれど、やっぱり完全2回行動による与ダメ上昇の方が大きいわね」

 

 あとは、

 

「睡眠に対し強耐性だったのが、完全耐性に切り替わっているからラリホーや眠りの杖は使えないわ」

「強耐性なら、どのみち使えなかったのでは?」

「強耐性でも3割の確率で効くからボストロールを先に攻略していれば、1回戦目に全員に眠りの杖、もしくはラリホーを使わせて眠らせて殴るという戦法もアリだったのよ」

 

 これは同じくラリホーに強耐性を持っているバラモスにも有効な手段だ。

 

勇者ラリホー「オラッ!寝ろッ!眠り死ねッッッ!」

バラモス「オ゛♡ヤッベ♡♡」

僧侶ラリホー「オラいくぞ!寝ぼけマナコにダメ出し睡魔で眠り死ね!!」

バラモス「ほおォォ~♡♡ ヤバいって♡♡寝るッ♡寝るッ♡♡♡」ウトウトウトウト♡♡♡

魔法使い眠りの杖「7割無効化でも全員で眠らせにかかったらな!おら早く寝ろやボケ!死ね!!!」

バラモス「やっべぇぇ~~ッッ♡♡寝る♡♡♡ちょっと寝るッ♡♡♡」ウトウトウトウト♡♡♡♡

 

 起きてもそのターンは何もできないし、素早さが低い戦士の後攻行動を重ねておけば、

 

戦士眠りの杖「何起きてんだボケ!オラまた寝ろッッ!!死ね!!!!」

バラモス「ん゛へぇッ♡♡ あ゛♡♡寝たァ♡睡眠確実ッッッ♡♡」スヤスヤスヤスヤ♡♡

 

 という具合に運良く効けば、そのまま睡眠継続だし、ダメでも次のターン、素早い者がさらに眠らせに行けばよい。

 毎ターン自動回復があるボスキャラの場合はこうやって眠らせている間にバイキルト、スクルト、フバーハ等で自分たちを強化、ルカニ、マヌーサ、マホトーン等で相手を弱体化し固めきったところで一気に攻めればいいし、ゲームボーイカラー版のバラモス等、自動回復が無い相手なら眠らせたままで永眠、倒しきることも可能。

 眠ったらガチで死ぬやつ、である。

 

「でも二戦目では完全耐性になっているから使えないの」

 

 ではどうするか、だが。

 

「私たちも強くなっていますし、前と同じではダメなんですか?」

「前の戦闘で、どこがボトルネックになったか覚えている?」

「あ、回復手段がホイミと薬草しか無いので追いつかない」

「そう。だから、あなほりで世界樹の葉をもう一枚用意して頼った」

 

 そして、

 

「回復手段がそれしかない、というのは変わっていませんものね」

 

 ということだった。

 

「あなたは今、レベル25。ガルナの塔にこもってメタルスライムを30匹ほど狩れば、ベホイミを覚えるレベル29に到達できるわ」

 

 勇者はベホイミを29~31レベルの間で覚えるが、賢さが52あれば必ず覚える。

 今、小悪魔の賢さは65と余裕で超えているので確実に覚えることができるだろう。

 

「30匹というと大変そうに思えるかもしれないけど、ガルナの塔のメタルスライム出現率はかなり高いし、毒蛾の粉を使えばさほど難しくないし、何よりこの世界だと効果があるまで毒蛾の粉は再利用できるし」

 

 割とすぐである。

 だからRTA(Real Time Attack)、ゲームスタートからクリアまでの実時間(時計で計測した現実の所要時間)の短さを競うプレイでは通常の戦闘を極力避け、ガルナのメタスラ狩りで最低限必要なレベル上げを短時間に済ますのだし。

 

「どうせ、この後バラモスと戦うには最低でもベホイミが必要でしょうから、今ここで上げておくというのもいいんでしょうけど」

 

 だがしかし、

 

「あなたが言うとおり、前と違ってこちらもレベルが上がり、そして草薙の剣もある。これなら……」

 

 と作戦を立てるパチュリー。

 

「被ダメを減らすため、素早さの高い私が星降る腕輪を付けて前に出るわ」

 

 星降る腕輪の効果は素早さ二倍なので、素早さの高いパチュリーが装備した方が、効果は高いわけだ。

 一方、

 

「豪傑の腕輪を外すと攻撃力が下がりますが、それは……」

 

 という心配もあるが、

 

「前より私たちがレベルアップしている分、攻撃力は上がっているし、やまたのおろちはルカナン、ルカニには弱耐性しか持っていないから、草薙の剣の効果で守備力を下げてやればダメージは増やせるわ」

 

 ということ。

 

「私は代わりに豪傑の腕輪ですか」

「あなたに攻撃させようとは思わないから、こんなことなら守備力が上がる装飾品、疾風のバンダナを売らずに残しておけば良かったわね」

 

 と思うものの、今さらだ。

 

「幸い、不幸の兜があるから、これで補って」

「不幸の兜が幸い!?」

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:タフガイ

性別:おんな

レベル:27

 

ちから:136

すばやさ:198

たいりょく:143

かしこさ:38

うんのよさ:47

最大HP:278

最大MP:73

こうげき力:246

しゅび力:189

 

ぶき:せいぎのそろばん

よろい:ぬいぐるみ

たて:ふうじんのたて

かぶと:ぎんのかみかざり

そうしょくひん:ほしふるうでわ

やくそう×7

 

 

名前:こあくま

職業:ゆうしゃ

性格:ごうけつ

性別:おんな

レベル:25

 

ちから:89

すばやさ:78

たいりょく:89

かしこさ:65

うんのよさ:0

最大HP:176

最大MP:126

こうげき力:186

しゅび力:161

 

ぶき:いなずまのけん

よろい:やいばのよろい

たて:ドラゴンシールド

かぶと:ふこうのかぶと

そうしょくひん:ごうけつのうでわ

くさなぎのけん、やくそう×5、せかいじゅのは

 

 

 という状態で挑む。

 床に伏したヒミコは、

 

「わらわの本当の姿を見たものは、そなたたちだけじゃ。

 だまっておとなしくしているかぎり、そなたを殺しはせぬ。それでよいな?」

 

 と言うが、Noと答える。

 

「ほほほ、そうかえ。

 ならば生きては帰さぬ! 食い殺してくれるわ!」

 

 やまたのおろちとの戦闘が始まる!

 まずはパチュリーの正義のそろばんによる攻撃だが、豪傑の腕輪の攻撃力補正+15が無くとも1回目に戦った時より攻撃力が上がっているため、100ポイント越えのダメージを与える!

 そして、

 

 小悪魔は草薙の剣を振りかざした!

 青い光が地面を走る。

 

「効きました!」

 

 草薙の剣の効果で、やまたのおろちの守備力が半減!

 やまたのおろちは5/8の確率で繰り出される通常攻撃を先頭に立つパチュリーに叩き込むが、20ポイント前後のダメージにしかならない。

 二回行動なので、1ターン、40ポイントを超えるがそれでも、

 

「まだまだ!」

 

 最大ヒットポイント278のパチュリーには余裕がある。

 次のターン、パチュリーの攻撃は120ポイント越え!

 そして小悪魔の草薙の剣が、さらにおろちの守備力を半減させる。

 これでおろちの守備力は最初の68から1/2の1/2、つまり1/4の17ポイントまで低下。

 おろちはパチュリーに通常攻撃の後、火炎の息を吐く。

 これは全体に30~40の炎ダメージを負わせるもの。

 パチュリーはブレスに耐性のある装備が無いので素でダメージを負うが、小悪魔はドラゴンシールドの耐性で3/4までダメージを減らせる。

 

 次のターン、これ以上守備力を下げる必要も無くなった小悪魔は攻撃する。

 ここまで守備力が下がっていると、小悪魔でも70ポイント越えのダメージを出せるが、

 

「あなたは余計なことしないで、治療でもしてなさい!」

 

 とパチュリーに怒られる。

 実際、またブレスが来たため、小悪魔は自身の治療に追われることに。

 

「そう、自分優先で。余裕があるなら私を」

 

 小悪魔はパチュリーの後ろに居るので、全体攻撃のブレスか、たまに流れてくる通常攻撃でしか負傷しない。

 守備力が下がっているので直接攻撃を受けると30ポイント前後のダメージを受けるが、同時に刃の鎧の効果で、その半分のダメージを返すことになる。

 

「割と、持ちますね」

 

 途中、低ダメージの火の息が1/8の確率ではさまれることもあり、小悪魔が薬草で治療し続けると意外に長く耐えることができる。

 一応、小悪魔の治療が追い付かない場合のためパチュリーも薬草を持っているのだが、出番は無い。

 とはいえ、

 

「さすがに火炎の息二連発はきついです!」

 

 こうなると自身の治療に追われ、パチュリーの方まで手が回らない。

 ゆえにパチュリーのヒットポイントはじりじりと減り続け、

 

「くっ……」

 

 とうとう倒れる。

 

「パチュリー様っ!」

 

 小悪魔は世界樹の葉を使ってパチュリーを蘇生する。

 

「ここからが勝負よ!」

 

 ヒットポイントをフル回復させたパチュリーが勝負を挑む。

 その後ろで、薬草が切れたためホイミを連発させる小悪魔。

 もう世界樹の葉は無いので、二人の内、危ない方を治療するわけだが、

 

「あれっ!?」

 

 意外とあっさり、余裕があるうちに倒しきる。

 

 やまたのおろちをやっつけた!

 

 それぞれ4020ポイントの経験値を獲得!

 1000ゴールドを手に入れた!

 

「レベルが上がったわ」

 

 パチュリーはレベル28に。

 

 

 

 なんと! ヒミコはおろちだった! そのうわさはまたたく間に国中に広まっていった。

 

 そして夜が明けた。

 

 

 

 しかし、

 

「ボストロールを倒した際はフル回復したのに、今回はそのまま? いえ、いいんだけれど」

 

 誰もおろちと大決戦した部屋で寝たいとは思わないのだし。

 宝箱からパープルオーブを入手する。

 

 この屋敷の者たちはというと、

 

「やまたのおろちが ヒミコさまになりすましておったとは……」

 

 と動揺しており、召使の女性たちも、

 

「あのヒミコさまがおろちだったなんて! あなおそろし!」

「きっと本当のヒミコさまは、おろちのキバにかかって…」

 

 ということで、住民のセリフから死んだものとされている本物のヒミコはというと、

 

「スーパーファミコン版、ゲームボーイカラー版ではしんりゅうの願い事で行けるようになる第五のすごろく場に何気にひょっこり居たりするのよね」

 

 そうパチュリーの言うとおり登場している。

 

「わらわは ヒミコと申す者。

 ここは どこじゃ?

 このような まがまがしき所は…

 おお そうかっ!

 おろちの 腹の中じゃなっ。

 あな くちおしや……。」

 

 などと嘆いているのだが、

 

「『まがまがしき所』って…… いえ、ギャンブル場というのは人の情念と欲望が入り混じる場所ではあるんでしょうけど」

 

 と小悪魔。

 

「それより、第五のすごろく場への入り口はジパングの井戸の底にあるんですよね、すぐに帰ることができるはずなのに」

 

 そう首をひねるが、パチュリーは、

 

「案外、ヒミコの言っていることは本当なのかも」

 

 とつぶやく。

 

「はい?」

「黄泉國(よみのくに)、あるいは根之堅洲國(ねのかたすくに)。黄泉比良坂(よもつひらさか)の先にあるという死者の国だけれども」

 

 神道における死後の国だ。

 古事記にもそう書かれている。

 

「ジパングの地下にあるすごろく場は、その死者の国に在って、だからヒミコの言うとおり『まがまがしき所』で、そこに居る者たちはすべて死者」

「ヒェッ」

「死んだはずのヒミコが居るのも、彼女がジパングに帰れないのも……」

「そこまでです!」

 

 ズキュウウウン

 

 パチュリーの口を自分の唇で塞ぐことで、それ以上の発言を封じる小悪魔!

 そうして、

 

「うぐっ」

 

 うめくパチュリー。

 小悪魔は口移しに力の種を飲み込ませたのだ。

 筋力を短期間に上げるために生じる、筋肉痛を凝縮したような痛みに座り込む。

 そんな主人を見下ろしながら小悪魔は言う。

 

「パチュリー様、おろちとの戦闘でレベルが上がり……」

 

ちから+3

すばやさ+2

たいりょく+5

かしこさ+2

うんのよさ+1

 

 となったが、

 

「同時に力の成長上限値も上がって余裕が出たはずですが、ストックしていた力の種はもう使いましたか? まだですよねぇ」

「くぅっ……」

「怖いお話で、か弱い使い魔を怖がらせて喜ぶような悪いご主人様にはお仕置きが、わからせが必要ですよねーーーーッ」

 

 強い恐怖から恐慌状態に陥り、そこから逃れるためにキレてハイになってしまった小悪魔に襲われるパチュリー!

 

 まぁ、パチュリーは理詰めで考えているだけで、小悪魔を怖がらせるために話をでっちあげているわけでは無い。

 ただ、その思考の結果をもって怖がらせてやろうという意識が完全に無かったかというと微妙で。

 そこに負い目を感じてしまうがゆえに、小悪魔の責めを受け入れてしまう。

 この読み手に物語を体験させる本の中に構築されたドラクエ3の世界で起きたことは、現実のパチュリーには何の影響も与えないのだし。

 本気になったら跳ねのけられる程度のものだから、という強者ゆえの余裕が産む隙とでもいうのだろうが、

 

「アヒィィィィッ!?」

 

 しかし、その隙を、

 

(そっ、そんなぁ、人前でここまで、ここまでされてしまうなんてぇ……)

 

 とパチュリーがおののくほどの手加減無しの方法で、小悪魔は無理やりにこじ開けていく。

 パチュリーとは逆に、主の強さ、自分との圧倒的な力量差を知っているがために、全力を出しても絶対に大丈夫という嫌な安心感の基に、一切の遠慮無しで責めてしまうのだ。

 

「どうしました? ただのマッサージなのに、そんなアヘ顔を晒して」

「へあぁぁっ、あ、へっ……」

 

 公衆の面前で悪魔の淫技に翻弄され、凄惨な肉刑に処されるパチュリー。

 プライド、いや人格すら徹底的な淫ら責めで汚され、へし折られる公開処刑が彼女を襲う!

 

「お仕置きも兼ねて少し強めにしているだけ、基本的にはお身体を楽にするためのものなのに……」

 

 これは本当。

 小悪魔は健全な範囲に納まるような揉み解ししかしていない。

 だが、これまでの日々のマッサージで少しずつ肉体を開発され、同時に被虐の芽を精神に埋め込まれていたパチュリーは、自分を弄る小悪魔の指先に抵抗できなかった。

 

「その痛みも、羞恥を感じさせて反省を促すための周囲の目も、パチュリー様にとってはマゾの快楽を愉しむ為のエッセンス、刺激にしかなっていないんですね」

 

 呆れたように、蔑むように言う小悪魔だったが……

 逆である。

 徹底的に追い込まれたパチュリーの身体と精神は痛みと羞恥から逃避するために、その裏返しに存在する被虐の快楽を見つけ縋ることになっているのだ。

 しかし一転して、

 

「でも私、パチュリー様のそういうどうしようもないところも好きですよ」

 

 と本当に、慈愛に満ちた母性すら感じさせる笑顔を見せる小悪魔。

 自作自演なマッチポンプ、パチュリーには頭でそうだと分かっていても、

 

(は、反則ぅぅ、ここまで辱めて、貶めておいて、それを笑顔で受け入れるなんてぇぇ……)

 

 それでも本気で言っているであろう、小悪魔の言葉と笑顔にほっとしてしまう、安心を感じてしまう、惹かれてしまう自分を止められない。

 身体の奥が、甘えるようにきゅんとうずくのを自覚してしまう。

 自分を弄り尽くす相手に依存する、媚びてしまう自分に対する絶望と、同じくらい感じる暗い喜び。

 

 小悪魔の責めの厄介なところは、本当にパチュリーを想い、愛しているが故の行為だということ。

 そこに悪意や害意があるなら被虐の快楽に耽るパチュリーも本気で抵抗し跳ねのけることができるだろうに、善意しかないからその気も萎える。

 根底に絶対的な安心感があるから、自分の身を任せてしまうことに対する心理的ガードも下がってしまう。

 

「あ……♡ あぅ♡♡」

 

 そしてとうとう小悪魔の責めを受け入れてしまうパチュリー。

 どこまでも…… どこまでも堕ちて行く彼女だった。

 

 

 

 そうやって力を種で+3した結果、ステータスは、

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:ごうけつ/タフガイ

性別:おんな

レベル:28

 

ちから:141

すばやさ:101

たいりょく:148

かしこさ:40

うんのよさ:48/98

最大HP:294

最大MP:78

こうげき力:267/199

しゅび力:140/130/120

 

ぶき:せいぎのそろばん/ほのおのブーメラン

よろい:ぬいぐるみ/マジカルスカート

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ぎんのかみかざり

そうしょくひん:ごうけつのうでわ/しあわせのくつ

 

 

 ということになったが。

 

 一方、

 

「こうして生きて行けるのは、あなた様のお陰。ありがとうございました」

 

 恋人らしき男と共に礼を言う、やよい…… 生贄となるところを恋人にこっそりと逃がされ、倉庫のツボに隠れていた女性。

 

「何となく悪代官から助けられた町人と黄門様といった風情なのは、ここがジパングだからでしょうか?」

 

 つぶやく小悪魔だったが、

 

「その前に、公衆の面前で乱暴される私、っていうシーンが無かったらうなずくこともできたんでしょうけどねぇ」

 

 とパチュリーににらまれる。

 

「何言ってるんですか、パチュリー様。水戸黄門に意味のない入浴シーンとか、お色気要素は必須ですよ!」

 

 むしろ力を種で強化するという目的、意味がある分、自分たちは健全、と主張する小悪魔。

 パチュリーはあきらめたようにため息をつき、ジパングを出ることにする。

 

「行くわよ、こぁ」

「それじゃあ、お幸せにー」

 

 ジパングの人々の感謝を背に受け、再び旅立つパチュリーたちだった。




 やまたのおろち2回目撃破!
 ベホイミも無しの二人パーティでも倒せるんだなぁ、と感心したり。
 なおパチュリー様に怖い話をされた小悪魔が少々暴走していますが、

> 小悪魔は健全な範囲に納まるような揉み解ししかしていない。

 はいこのお話は健全~~~~(健全なマッサージしかしていないため)
 ということでご理解ください。

 次回はいよいよ商人の町イベントです。

「街の有力者にまで登りつめてクーデター起こされて牢獄ですよ。何も起きないはずもなく…… ああ、なんてかわいそうな私のパチュリー様」

 ってやつですね。

 ご意見、ご感想、リクエスト等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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